阿部謹也のレビュー一覧

  • ハーメルンの笛吹き男 ――伝説とその世界

    Posted by ブクログ

    グリム童話で知られる「ハーメルンの笛吹き」の説話の真実ついて、中世ヨーロッパの社会状況や宗教、民族、風習など、様々な観点から分析し、考察していく大変興味深い一冊。
    最終章のドイツの老学者の話はちょっと胸が熱くなる。

    0
    2025年03月14日
  • ハーメルンの笛吹き男 ――伝説とその世界

    Posted by ブクログ

    内容はかなり本格的で重い。でも読んでいくと筆者と一緒に謎解きをしてるような感覚がして、それが面白くするすると読めた。

    ハーメルンの笛吹き男の伝説を当時の一般庶民や更にその下の被差別階級の人たちの生活や文化をもとに紐解いていくという内容で、ハーメルンの笛吹き男自体の検証も興味深かったけどそれと同じくらいあまり語られることのない庶民の置かれな状況や歴史を知ることができるのが魅力的に感じた。
    差別や階級化をされる側の描写が現代の基準から考えるとあまりにも悲惨で、そういった感情の発露として口伝でハーメルンの笛吹き男を含む色々な伝説が語り継がれていったんだなと。
    一方で差別や階級を作る側の心情描写も興

    0
    2024年04月09日
  • ハーメルンの笛吹き男 ――伝説とその世界

    Posted by ブクログ

    前に読んだ際には、あまり面白くなかったのだが、最近、エロール・ル・カインの絵本を見て、ふと、思い出して読み直した。
    深い!一気に読んだ。中世の街と民衆の暮らしや、伝説の変遷、研究の歴史がよくわかる。たぶん、前に読んだときは、謎解きミステリーのようなものを期待して、外れたんだろうな。

    0
    2024年02月12日
  • ハーメルンの笛吹き男 ――伝説とその世界

    Posted by ブクログ

    阿部謹也(1935~2006年)氏は、一橋大学経済学部卒、一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学、小樽商科大学助教授、アレクサンダー・フォン・フンボルト財団奨学生としてドイツ連邦共和国(西ドイツ)滞在、小樽商科大学教授、東京経済大学教授、一橋大学社会学部教授・学部長、一橋大学学長・名誉教授、国立大学協会会長、共立女子大学学長等を歴任した、西洋史学者。専門はドイツ中世史。サントリー学芸賞、大佛次郎賞等を受賞。紫綬褒章受章。
    私はこれまで、著者の著作では、『自分のなかに歴史をよむ』、『日本人の歴史意識―「世間」という視角から』を読んだことがあるが、今般たまたま新古書店で著者の代表作である本

    0
    2023年12月31日
  • 物語 ドイツの歴史 ドイツ的とは何か

    Posted by ブクログ

    サブタイトルは「ドイツ的とは何か」。
    本書はドイツの特異性として、以下を指摘しています。

    -ドイツ民族は、ヨーロッパの中央にあるという特異な位置だけでなく、その発端はゲルマン諸部族にあり、それはドイツという表記には直接つながらない。他のヨーロッパ諸国の言語を見ると、フランス人とフランス語のように、それぞれの国の言語は国や民族を示す固有名詞から名付けられている。
    -現代の移民政策にあるようにアジール(庇護権)の理念は近代以降も呪術的なものを抱え込みながら生き残っている。
    -中世のドイツは帝国としてヨーロッパの中で優位に立っていた。しかしまさにそれ故にドイツは国家形成において他のヨーロッパ諸国か

    0
    2023年10月15日
  • 中世の星の下で

    Posted by ブクログ

    読みやすさ ★★★★
    面白さ ★★★
    ためになった度 ★★★

    中世の中でも、特に賎民史に詳しい阿部謹也氏の短文集。日本の中世賎民史との類似が興味深い。網野善彦氏が本書の解説文を書いていることも、日本と中世の類似性のひとつの象徴といえる。

    0
    2023年09月25日
  • ハーメルンの笛吹き男 ――伝説とその世界

    Posted by ブクログ

    ハーメルンの笛吹き男という題材を元に、中世の民衆史を描く。特に被差別民の姿は、陰鬱だが、現代まで続く問題であり、着眼点が見事。

    0
    2023年09月23日
  • ハーメルンの笛吹き男 ――伝説とその世界

    Posted by ブクログ

    ランケ学派ではなく社会民衆史の嚆矢となった一冊。
    「ハーメルンの笛吹き男」を当時の社会事情、庶民の動向などあたれる限りの資料をもとに、伝説の成り立ち、背景、変形の理由を解き明かす。そして当時(ヨーロッパ中世)の社会を浮き彫りにする。
    「すごい執念」としか言いようがないけど、この手法だと大きな歴史のうねりを捉えるのは難しいような。いや、そう思えるのは、それだけ自分の考え方が硬直してるってことかな。

    0
    2022年11月07日
  • 「世間」とは何か

    Posted by ブクログ

    我々は「世間」という言葉に対してどのような印象を持っているだろうか。
    Wikipediaには、インド発祥で迷いの世界を表す宗教用語とか書いてあるけど、少なくとも現代日本ではそのような意味で使われることはまずない。「社会」とか「世の中」といったものを表す用語として使われるのが一般的だろう。

    本書は日本におけるこの「世間」について、英語の「society」の訳語にあたる「社会」との違い、日本人が自己を形成する上での「世間」との付き合い方、「世間」の中で「個人」はどのような位置を持っているのか、といった観点で論を展開している。
    そのテキストとして、万葉集、古今和歌集、方丈記、徒然草、井原西鶴や夏目

    0
    2022年08月20日
  • ハーメルンの笛吹き男 ――伝説とその世界

    Posted by ブクログ

    50年前の話なので、今の基準からすると、ややユルくも感じるが、臨場感があって面白い。最近、自分のルーツを考える上でも、日本の中世史を見てるんだけど、この本の解像度にはまだ達してないなと思った。50年前に阿部先生がドイツの文書館で史料を調べてたようなことが、オンラインでできるようになってきてるので、史学の民主化は進んでるかも知れない。

    0
    2022年08月11日
  • ハーメルンの笛吹き男 ――伝説とその世界

    Posted by ブクログ

    コロナ前の19年の国慶節で日本に帰った時、ちょうど増刷されたタイミングで平積みされていたのを見かけてお買い上げ。大学入学した時の学長だし。アベキン。でも、そのまま積読。
    ハーメルンの笛吹き男はグリム童話の話だと思っていたけど、実は実話だったのね。笛吹き男が子供を連れ去った日はうちの結婚記念日だったのね。そして、アベキンって「世間」のことを語る人ってだけじゃなかったのね。
    もとは論文として書かれたものを一般向けに再構成されたものだったので、すんなりと読めた。

    0
    2022年05月20日
  • ハーメルンの笛吹き男 ――伝説とその世界

    Posted by ブクログ

    ハーメルンの笛吹き男伝説の元となった子供の大量失踪事件(1284年、日本だったら北条時宗の死亡した年)が史実だったことを解き明かし、いかにして伝説化したのか、当時の社会情勢や被差別民の意義を踏まえながら論じている。馴染みの薄いドイツ中世史で、しかも著名な人物も出てこないので知らないことの連続だが、ついつい引き込まれて読み進んでしまう。

    0
    2021年11月12日
  • 対談 中世の再発見

    Posted by ブクログ

    中世の再発見

    二人の中世史の巨人を招いた対談本。ワンピースに例える中カイドウとビッグマムの海賊同盟並みの二人。
    贈与や宴会、市場などのテーマに関しての対談から、日本とヨーロッパの精神の基層をなす中世の人々の考え方を浮かび上がらせるとともに、11世紀頃を境に他の諸国と全く別の文化的習慣を持つに至ったヨーロッパの特殊性についても触れる。特に贈与ではマルセル・モースの贈与論を引いた上で、贈与や互酬関係において人々が繋がりを持っていたとされる。貨幣は貨幣を媒介にしてこれまで関わってこなかった人々と新たな関係性を取り成すとともに、中世の人々は貨幣の持つ呪術性についても信じていた。ゆえに、彼らは死者への

    0
    2021年10月03日
  • ハーメルンの笛吹き男 ――伝説とその世界

    Posted by ブクログ

    そんなにお気楽に読める本ではない。まず、舞台がヨーロッパの中世。
    現代の日本人にはそれだけで理解が難しくなりますが、本書は史料を読み解きながら丁寧に時代とハーメルンの町と人々を叙述して行きます。

    庶民や一般大衆を中心にした社会史は、網野善彦さん等の考え方に連なるものであると思うが、人間を根源的に解き明かす一つの考え方でもあると改めて感じた。

    また、作者が巻末でふれている老学者のあり方も、作者の学問に対する考え方をよく表していると思う。

    0
    2021年03月14日
  • 「教養」とは何か

    Posted by ブクログ

    教養といういかにもな翻訳語を西欧の歴史的観点を踏まえて解説した本である。

    筆者は結論として、教養のある人を、「世間」における立ち位置を把握し、その中で何ができるか知っている、あるいは知ろうとしている状態と定義している。

    日本では明治以降に生まれたとされる、"個としての自分"に向き合うこと、そこから"どう生きるか"を考えるようになる。

    そして時に排他的な集団にもなり得る"世間"で何ができるか?どうすれば良くなるか?を考え、知ることこそ教養であるとしている。

    令和ではインターネットが当たり前となり、情報やコミュニティがほぼ民主化さ

    0
    2020年12月29日
  • 対談 中世の再発見

    Posted by ブクログ

    民俗学から法学、経済、宗教まで幅広く扱われていて面白い
    割と会話のドッヂボール感が強いけど、参考文献として色々読みたくなるので興味の入り口として良いかも

    0
    2020年05月13日
  • 対談 中世の再発見

    Posted by ブクログ

    読むと面白いのだけども、自分の問題意識とはマッチせず、途中でストップ

    読みたい本が多過ぎて、ガッツリとこないものは、どんどん飛ばしてます

    いや、こういう本があるとかじって知ってれば、そういうタイミングがきたときにまた読めばいいのだ

    0
    2020年05月01日
  • 近代化と世間 私が見たヨーロッパと日本

    Posted by ブクログ

    これまでの主張がコンパクトにまとまっている。第三章は他章と重複する箇所あり、もう少し削ぎ落せたか...。
    個人が尊重されない日本が垣間見れる医師とのエピソードは、他領域においても容易に想像がつく。紡ぎだされる結語は、死が間近に迫ったが故の達観なのだろう。
    “世間”関連書籍を通読してから本書を手に取ることをお勧めする。
    「日本人にとっては一年を超える目的をたてることは容易ではないでしょう。目的自体はたてられても、それを具体的に実行する手だてを決めることは難しいからです。将来計画を立てることに不得手なのは「世間」の時間意識の結果なのです。~中略~このような「世間」においては学問はきわめて不利な立場

    0
    2020年04月12日
  • 「教養」とは何か

    Posted by ブクログ

    『「世間」とは何か』(1995年、講談社現代新書)の続編です。

    本書では、西洋史における「教養」の形成過程が比較的ていねいにたどられ、そこでは個人の完成が目標とされていたことが明らかにされています。ここで著者は、「教養」とは「自分が社会の中でどのような位置にあり、社会のためになにができるかを知っている状態、あるいはそれを知ろうと努力している状況」だと定義し、「世間」との対峙のありかたによって「教養」を理解しています。その一方で、フンボルトに代表される「リベラル・アーツ」の理念が国家による統制に絡めとられてしまう可能性があることを指摘します。ここには、日本の「大正教養主義」に代表される教養が、

    0
    2019年09月21日
  • 「教養」とは何か

    Posted by ブクログ

    世間の延長にある、集団の「教養」。 その社会(というか世間)に最適化しながらそれぞれが「どう生きるべきか」を身につけていくという生き方。 この二、三世紀で忘れられたもの。 一方で、個人の自己実現のための「教養」ばかりに目が向けられている現代。 特に、西洋とは異なる公の概念(セミパブリック!!)を秘めている日本においては、文字や学問の延長線上にはない「教養」を再考しなければならない。 来たるAIの時代、「リベラルアーツが大事なのだよ」と、偉い人の言葉を拠り所に、無思考の人間性にすがりく私達に問いかける。

    0
    2019年06月30日