阿部謹也のレビュー一覧
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日本歴代の文学・思想から「世間」とは何かを探る。
面白いのは西欧の歴史研究者である阿部先生が、日本の「世間」をテーマにすること。例えば漱石や荷風のように一旦海外での生活をして日本文化の相対化をしたのだろうか。また著者は学長まで勤めており、専攻分野の割りに(偏見?)実務的な世界、すなわち「世間」とも決して疎遠ではなさそうに思える(勝手な想像ですが)。
挙げられた事例の中では、真宗の一種の合理主義に関心がある。他は特殊な一個人の思想とも言えるが、真宗はまさにある文化の層を形成しているから。中井久夫もなにか一向宗地域の特異性を指摘していた記憶が。。。 -
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再読、いつ読んだのかは全く覚えていませんが。
通史概論なんで粗っぽい面は致し方ないけれども、やっぱり専門から少し外れるからか、近代の叙述が乗っていないというか、それこそ無難感あり。
逆に中世のくだりは濃密感あり、あとがきのドイツ音楽(当方クラシックは全くの門外漢ですが、ちなみに)と中世史という観点での本を是非読みたい。というか世に出せたのかな?この本も結構晩年近くに書かれている本のようだし。
しかしなんですね、この国とナチスという組み合わせがやっぱり解せない。この本でもその解説を試みてますが、今ひとつ納得できない。今のドイツを見ているから余計にそう思うのだろうけれど、ほんと人間のダークサイドと -
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読み終わって、今こそ「世間」を「世界」というものに拡張すべき時に至っているのではないかと思った。
ここ最近、フライングタイガースとか第二次大戦前から大戦中、朝鮮戦争まで戦争について調べている。だが、もちろん。ソフトにflight jacket。いたってファッショナブルな営為である。
そんなこんなも含めての世間について考察したわけだが、詩人の金子光晴が関東大震災の後、日本人が戦争に近づいているのを微妙に感じ取っていたと看破していたらしいという記述があったのには驚いた。
まるで、今の忌野清志郎である。地震のあとには戦争がやって来る。そのままではないか?
なんか、時期だったのだなぁ…
しか -
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遠慮してしまいます。
なんだか申し訳なくなってしまうのです。
「もっとこうしたほうがいいのに」「なんでああしないのか」「こうすればきっとうまくいく」……。
色々なことが頭をよぎります。
でも、それを口にすることはありません。
だって、そうしてしまえば「調和」が乱れてしまうから。
「調和」は日本人の美徳とされ、日本人の特徴の一つともされる。真偽のほどは確かではないが、日本人ほど「世間」を気にする民族はいないとかなんとか。では、その『「世間」とは何か』……? これをきっちりと説明できる人が、どれほどいるだろうか。
日本人は「世間」を気にする一方で、「世間」に無頓着であった。「世 -
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コレ高校生くらいに買ったような気がする笑 いま大学まで終えてやっと読み通したけど、やっぱよくわかってないと思う笑
「世間とは何か」と言う問いを、日本の文芸作品での使われ方を集めて考える。って企画かと思ったけど…。「世間」という言葉をまず決めて、それを軸に文芸批評を行った。という企画に見えるな。素人目線だけど。
いちおう作業仮説として世間とは…と定義するけど、それがされることはないし。「世間」とは関係のなさそうな文章をとりだして解説されるから読みにくい。
作者の「世間」に対する問題意識ははっきり伝わった。曖昧で非科学的で個人の尊厳を蔑ろにするようなダブルスタンダードとしての世間。現代社会に残るプ -
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文学を通じて世間という物を分析
世間という言葉は「世の中」とほぼ同義で用いられているが、その実態はかなり狭いもので、社会と等値できるものではない。
自分が関わりをもつ人々の関係の世界と、今後関わりをもつ可能性がある人々の関係の世界に過ぎないのである。
自分が見たことも聞いたこともない人々のことはまったく入っていないのである。世間や世の中という場合、必ず何らかの形で自己の評価や感慨が吐露されていたのである。
これは日本独自のもの
世間には、形をもつものと形をもたないものがある。
形をもつ世間とは、同窓会や会社等。
形をもたない世間とは、隣近所や、年賀状を交換したり贈答を行う人の関係をさす。 -
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キリスト教の伝播以前の古ゲルマン社会において、死後の世界は生前の世界の延長であり、現世とほとんど変わらない世界。キリスト教における天国や地獄のイメージとは程遠い。
そこには、現世の罪に対する罰という概念はなく、「現世の罪」の意識自体が存在していなかった。
カール大帝によるカロリング・ルネッサンスを始めとしたキリスト教化により、ゲルマン社会にキリスト教的死生観、罪観が浸透していくことになる。
ラテン語で書かれた聖職者向けの教義・経典の他に、大衆に直接礼拝をおこなう司祭向けには、各地の言語で書かれた説教テキストが流布しており、その説教は古ゲルマン社会の因習、世界観に照らした分かりやすいテーマを設 -
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ネタバレ”ソーシャル”、”世間”、”空気”などのワードを漁っていたところ、この教科書にも掲載されているような阿部さんの「世間」とは何かに行き着いた。
本書は古典的な書籍から「世間」に関する記述を引用し、その時代時代に応じての「世間」とは何かを客観的に捉えようとした大変興味深い内容だった。
個人的な興味としては歴史的な内容(古典系)は少し省き、明治以降(特に漱石)を中心に読んでみた。
前の鴻上さんの書籍でも指摘がされていたのだが、
社会=Societyには前提として個人=Individualがあるという点があったのだが、日本の場合、組織・社会という単位がメインなので、なかなか社会の定義が難しいとい -
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ネタバレ[ 内容 ]
ヨーロッパ連合が結成され、国境線が事実上の意味を失いつつある現在、その進捗はドイツにどのような変化をもたらすのだろうか。
ドイツの誕生から今日にいたる歴史に、「ドイツ的」とは何かを思索する。
[ 目次 ]
ドイツ史の始まり
叙任権闘争の時代
個人の誕生
神聖ローマ帝国
中世末期の苦悩
宗教改革の波
一五・一六世紀の文化と社会
領邦国家の時代
三十年戦争の結末
ゲーテの時代〔ほか〕
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