阿部謹也のレビュー一覧

  • 「世間」とは何か

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    約20年振りに再読。当時の私のオツムでは理解、消化、吸収できなかったことが少しはできるようになった感はある。自分が身を置く世間の掟、長幼の序と贈与・互酬関係は。生きづらさを感じたこともあり、それこそ隔世というか、その環から避けてきた、背けてきたこともあるし、何を血迷ったのか再度、その環に飛び込んだことも...。世間は変わりつつある。それは地域コミュニティの崩壊という当然の帰結なのだろう。

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    2019年07月19日
  • ハーメルンの笛吹き男 ――伝説とその世界

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    ネタバレ

    読み始めるのが難しかった。ハーメルンの笛吹き男について、ある程度調べてから手に取るのがおすすめ。ドイツや当時の時代背景を考察しており、そういった謎解きが面白い。

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    2020年05月17日
  • 「世間」とは何か

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    とてもわかりやすい「世間」の解説本。「世間」について疑問を投げかける一方で、「世間」がなくなったら日本人は生きていけないという一面があることをも指摘する。

    しかし、岡本公三の父親が息子に極刑を望んだのは、自分に対する世間の名誉を優先しているからという理由は「?」だった。それは単純すぎる。そうじゃないかもしれないよな。もし極刑に値する事件を息子が起こしたなら、(もちろん何から何までとことん聞いた上で、そこに一抹でも息子に情状酌量の余地があるもの以外ならば)きっと私が親なら極刑を望むだろう。

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    2019年01月30日
  • 「世間」とは何か

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    日本歴代の文学・思想から「世間」とは何かを探る。

    面白いのは西欧の歴史研究者である阿部先生が、日本の「世間」をテーマにすること。例えば漱石や荷風のように一旦海外での生活をして日本文化の相対化をしたのだろうか。また著者は学長まで勤めており、専攻分野の割りに(偏見?)実務的な世界、すなわち「世間」とも決して疎遠ではなさそうに思える(勝手な想像ですが)。

    挙げられた事例の中では、真宗の一種の合理主義に関心がある。他は特殊な一個人の思想とも言えるが、真宗はまさにある文化の層を形成しているから。中井久夫もなにか一向宗地域の特異性を指摘していた記憶が。。。

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    2018年11月05日
  • 「世間」とは何か

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    歴史的名著ということではあるが、正直1~4章はほぼ斜め読みしてしまった。
    まず、社会学的分析ではなく、文学からの分析であること。この方法に慣れておらず、もっぱら社会学的な分析を期待してこの本を読むと、かなりの違和感があると思う。
    ただ、やはり歴史的名著と呼ばれるだけあって、「世間」というものを考察しようとしたのはそれだけで歴史的な出来事だと思う。
    おそらくポイントなのは、「社会」ではなく「世間」なんだというところなんだろうな。日本人は本当に複雑怪奇。

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    2018年07月17日
  • 「教養」とは何か

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    むかーし買って、教養話のではなく世間の話をし続けることについていけなくなり挫折。なんとなく気分で第3章のアイスランドサガから読んだら、まぁ面白いではないか。
    新書っていつも後半疲れちゃうんだけどもこの読み方いいのかも。

    けっきょく世間の話に尽きて、教養ある人って世間を認識して自分の立場相手の立場をわかって上手にやりくりする人できる人だよってことなんだ。なるほど。
    このタイトルである必要はないな。
    ないけどおもしろき本であると思います。

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    2017年06月15日
  • 「教養」とは何か

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    教養人は集団の中でしか存在しない。
    それは、アイスランドサガから読み取れる。

    ???
    アイスランドサガの話を随分繰り返すなぁと思っていたら、この結論のためだったのか。
    だから、自分はこの辺りから話についていけなくなったんだ…

    いつかまた再挑戦。

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    2016年07月02日
  • 物語 ドイツの歴史 ドイツ的とは何か

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    92物語 ドイツの歴史 阿部謹也
    ・ドイツ的とは何か:ドイツほど、数多くの優れた作曲家を輩出した国はない。音楽と切り離せない
    ・アジールに関して:ドイツ寛容、日本厳格

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    2016年03月11日
  • 物語 ドイツの歴史 ドイツ的とは何か

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    再読、いつ読んだのかは全く覚えていませんが。
    通史概論なんで粗っぽい面は致し方ないけれども、やっぱり専門から少し外れるからか、近代の叙述が乗っていないというか、それこそ無難感あり。
    逆に中世のくだりは濃密感あり、あとがきのドイツ音楽(当方クラシックは全くの門外漢ですが、ちなみに)と中世史という観点での本を是非読みたい。というか世に出せたのかな?この本も結構晩年近くに書かれている本のようだし。
    しかしなんですね、この国とナチスという組み合わせがやっぱり解せない。この本でもその解説を試みてますが、今ひとつ納得できない。今のドイツを見ているから余計にそう思うのだろうけれど、ほんと人間のダークサイドと

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    2015年11月23日
  • 「世間」とは何か

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    読み終わって、今こそ「世間」を「世界」というものに拡張すべき時に至っているのではないかと思った。

    ここ最近、フライングタイガースとか第二次大戦前から大戦中、朝鮮戦争まで戦争について調べている。だが、もちろん。ソフトにflight jacket。いたってファッショナブルな営為である。

    そんなこんなも含めての世間について考察したわけだが、詩人の金子光晴が関東大震災の後、日本人が戦争に近づいているのを微妙に感じ取っていたと看破していたらしいという記述があったのには驚いた。

    まるで、今の忌野清志郎である。地震のあとには戦争がやって来る。そのままではないか?

    なんか、時期だったのだなぁ…

    しか

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    2015年07月24日
  • 「世間」とは何か

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     遠慮してしまいます。
     なんだか申し訳なくなってしまうのです。
     「もっとこうしたほうがいいのに」「なんでああしないのか」「こうすればきっとうまくいく」……。
     色々なことが頭をよぎります。
     でも、それを口にすることはありません。
     だって、そうしてしまえば「調和」が乱れてしまうから。

     「調和」は日本人の美徳とされ、日本人の特徴の一つともされる。真偽のほどは確かではないが、日本人ほど「世間」を気にする民族はいないとかなんとか。では、その『「世間」とは何か』……? これをきっちりと説明できる人が、どれほどいるだろうか。

     日本人は「世間」を気にする一方で、「世間」に無頓着であった。「世

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    2013年11月17日
  • 「世間」とは何か

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    コレ高校生くらいに買ったような気がする笑 いま大学まで終えてやっと読み通したけど、やっぱよくわかってないと思う笑
    「世間とは何か」と言う問いを、日本の文芸作品での使われ方を集めて考える。って企画かと思ったけど…。「世間」という言葉をまず決めて、それを軸に文芸批評を行った。という企画に見えるな。素人目線だけど。
    いちおう作業仮説として世間とは…と定義するけど、それがされることはないし。「世間」とは関係のなさそうな文章をとりだして解説されるから読みにくい。
    作者の「世間」に対する問題意識ははっきり伝わった。曖昧で非科学的で個人の尊厳を蔑ろにするようなダブルスタンダードとしての世間。現代社会に残るプ

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    2013年09月16日
  • 「世間」とは何か

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    文学を通じて世間という物を分析

    世間という言葉は「世の中」とほぼ同義で用いられているが、その実態はかなり狭いもので、社会と等値できるものではない。
    自分が関わりをもつ人々の関係の世界と、今後関わりをもつ可能性がある人々の関係の世界に過ぎないのである。
    自分が見たことも聞いたこともない人々のことはまったく入っていないのである。世間や世の中という場合、必ず何らかの形で自己の評価や感慨が吐露されていたのである。

    これは日本独自のもの

    世間には、形をもつものと形をもたないものがある。
    形をもつ世間とは、同窓会や会社等。
    形をもたない世間とは、隣近所や、年賀状を交換したり贈答を行う人の関係をさす。

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    2018年11月25日
  • 「世間」とは何か

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    世間とは人と人の関係の環。信仰の基盤のない日本人にとって世間の基準が個人の価値判断の基準となる。世間は、時に権威的で、排他的で、差別的な存在であり、どんな世間に属しているかが問題になる。日本独特の世間と概念がいつ頃から生まれたのか、万葉集から始まり、大鏡、吉田兼好、夏目漱石、永井荷風などの作品から世間というものについて考察を加えた。吉田兼好と夏目漱石は第3者的な立場から世間というものを批判的にみた「徒然草」、「坊っちゃん」、「吾輩は猫である」は多くの人の共感を得る作品となっている。

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    2012年08月14日
  • 西洋中世の罪と罰 亡霊の社会史

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    キリスト教の伝播以前の古ゲルマン社会において、死後の世界は生前の世界の延長であり、現世とほとんど変わらない世界。キリスト教における天国や地獄のイメージとは程遠い。
    そこには、現世の罪に対する罰という概念はなく、「現世の罪」の意識自体が存在していなかった。

    カール大帝によるカロリング・ルネッサンスを始めとしたキリスト教化により、ゲルマン社会にキリスト教的死生観、罪観が浸透していくことになる。
    ラテン語で書かれた聖職者向けの教義・経典の他に、大衆に直接礼拝をおこなう司祭向けには、各地の言語で書かれた説教テキストが流布しており、その説教は古ゲルマン社会の因習、世界観に照らした分かりやすいテーマを設

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    2012年04月03日
  • 「世間」とは何か

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    ネタバレ

    ”ソーシャル”、”世間”、”空気”などのワードを漁っていたところ、この教科書にも掲載されているような阿部さんの「世間」とは何かに行き着いた。

    本書は古典的な書籍から「世間」に関する記述を引用し、その時代時代に応じての「世間」とは何かを客観的に捉えようとした大変興味深い内容だった。

    個人的な興味としては歴史的な内容(古典系)は少し省き、明治以降(特に漱石)を中心に読んでみた。

    前の鴻上さんの書籍でも指摘がされていたのだが、
    社会=Societyには前提として個人=Individualがあるという点があったのだが、日本の場合、組織・社会という単位がメインなので、なかなか社会の定義が難しいとい

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    2011年11月27日
  • 「教養」とは何か

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    教養がある人とは、単に多くの知識を持っている人のことではない。それでは、コンピューターと変わらない。

    社会における自分の立場を理解し、社会に対して自分が何をできるのかを理解している、もしくはそれを知ろうと学ぶ姿勢を持っている人が、真に教養のある人といえる。

    教養は個人で身につくものではない。世間(個人と対比される形で本書のなかでは使用されている)を通して、教養のある人間は形成されてくる。

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    2011年08月17日
  • 物語 ドイツの歴史 ドイツ的とは何か

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    ネタバレ

    [ 内容 ]
    ヨーロッパ連合が結成され、国境線が事実上の意味を失いつつある現在、その進捗はドイツにどのような変化をもたらすのだろうか。
    ドイツの誕生から今日にいたる歴史に、「ドイツ的」とは何かを思索する。

    [ 目次 ]
    ドイツ史の始まり
    叙任権闘争の時代
    個人の誕生
    神聖ローマ帝国
    中世末期の苦悩
    宗教改革の波
    一五・一六世紀の文化と社会
    領邦国家の時代
    三十年戦争の結末
    ゲーテの時代〔ほか〕

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

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    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個

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    2011年04月05日
  • 物語 ドイツの歴史 ドイツ的とは何か

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    現代の亡命に影響を与えた概念、アジールをサブテーマにしているのは、2010年のメルケル首相の発言の背景の一端が見えて面白い。けれどもアジールの記述をはじめ挿話が多く、リズムよく読めなかった。

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    2015年10月16日
  • 「世間」とは何か

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    阿部謹也連読。
    最近ソーシャルメディアが騒がれているので、ソーシャルとは何かを自分なりに考える為に再読した。
    世間とsocietyの違いが「実名」と「匿名」の違いに繋がるのではないかという、自分なりの気づきがあった。
    だが、何よりも読んでて感じたのは、著者の「孤独」。別に著者の気持ちが書かれているわけではないが、金子光晴の引用は、著者の気持ちを代弁しているようで、響いてきた。考えすぎかもしれないけど。

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    2010年12月07日