石川幹人のレビュー一覧
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ネタバレ私達は、選択を迫られた時、時には論理的に考え、時には気持ちに従って、判断していると思っている。しかし、私達が自分で考えて判断していると思っているだけで、実はDNAに組み込まれた何かに従って判断しているとしたら・・・
私達は、DNAに組み込まれた何かが、環境の変化に対して有利な者達の生き残りなのか・・・
DNAに組み込まれた何かを知ることによってよりよく生きられる?
「おろか」な行動は、実は生き残りのための賢い戦略かもしれない。人間の心の動きを、生物進化の仕組みに照らし理解しようとする新しい学問、進化心理学.そのエッセンスを詳しく解説する。
進化の速度が一定とするならば、人間に固有の脳のう99%以上は、狩猟採取の時代に形成されたと言えます。つまり私たちのものの見方や考え方や行動の形態は、狩猟採取に環境にふさわしいかたちに適応しているはずなのです。つまり私達の行動は小集団向けにできているのです。
進化心理学を知ることによって、私達は自分自身を“より客観的に”見ることができるようになると思います。
一瞬の衝動に動かされそうになった時、何故“そのような気持ちになったのか?”客観的に考えてみることによって、より自分の目的に合致した選択ができるようになると思います。
また、社会の動き、人の行動の意味について考える際にも、新たな切り口になると思います。
更に、自分が生きて行く目的、目標、手段、そんなことを見つめ直す良い機会になると思われます。 -
Posted by ブクログ
感情。
そう聞くとマイナスなイメージを持つ方も多いだろう。
仕事やプライベートでもよく、「感情的になるな」と注意される。
怒りや悲しみ、不安は無いほうが楽に生きられる。
ただ、この本では、人がサルと違い、進化できたのは
感情によるものだとしている。
「不安とはばくぜんとした恐怖が持続する状態だといえます。狩猟採集時代に人間の想像力が高まり、今ここに直面する事物以外に、創造物に対しても恐怖をいだくようになったのです。『今ここ』のみに生きている、他の動物にはあまり見られない感情なのです。」(P.40)
人間は「今ここ」だけでなく、過去や未来に対して考え、感情をいだく。
それは時として、マイナスにも働く。
しかし、人間は過去から学ぶことができるし、未来に希望を持つこともできる。
感情を頭ごなしに否定することに異議を申し立てたい。 -
Posted by ブクログ
・視覚は「草原に生きる」ように完備されている
・錯覚図形やだまし絵を見たときの不思議さの裏には、生物進化の長大な歴史がひかえている
・「注意」
・速い変化に自動的に注意を向ける機能が進化した
・視線や指さしの先の物体を検出する機能は、人間ではきわだって発達している
・多くの自閉症患者は「注意共有」モジュールに欠陥があり、指さしの意味が理解出来ない
・「記憶」
・確信がある記憶は、必ずしも「体験した事実の記憶」ではなく、「事実ではないが有効に活用された記憶」の可能性がある
・「感情」
・「危険でない」という理性的な認識よりも、「怖い」という感情のほうが、力強く心の中を支配する
・「想像」
・人間に入ってくる情報(知覚)と、出ていく情報(身体運動)の両方、すなわち入出力情報すべてにかかわる、重要な心理的機能
・技術的知能と社会的知能
・社会的知能が働きすぎると幽霊や心霊写真や鬼や妖精が見えてくる
・「信念」
・原則100人程度しか、信念共通化の確認作業をすることができない
・人間は信じやすい動物
・懐疑の精神が現代では少し必要
・四分割表を書いて考えるテクニックがある
・数値をたすきがけの要領で掛け算して大きいほうのマスに意味のある関係がありそうと結論出来る
・反対側に注目しない傾向がある
・「予測」
・近い将来の予測には重きをおくが、遠い将来の予測には重きをおかないようになっている
・人類は法則好き
・予測ができて、かつ、それに対処できてはじめて、予測に意味がある
・現状の問題に対処できない無力感が、うつ病にもつながる
・人類は、想像力を身につけ、法則を発見し、協力して働き、文明を築いたが、かわりにさまざまな苦悩も背負った -
Posted by ブクログ
最近、感情的に振舞ってしまう自分に気づき、後悔することがしばしばあります。
どうやって自分の感情をコントロールしようかと考えていたところ、興味深い題名の本があったので、手に取ってみることにしました。
「進化心理学」という学問分野があるのですね、この本を読んで初めて知りました。
人間の脳の構造は、「古い脳」「新しい脳」に区分され、感情は「古い脳」を中心とした働きであること。
そして「古い脳」について、人間の進化の過程を踏まえて、「ジャングル由来の心」と「草原由来の心」に分けて考える。
それぞれの環境で生き延びてきた人類が、「どのような精神反応を示せばより、生き残りやすかったか」という視点で、人間の感情を説明する。
以上のようなことが、この本の骨格であると理解しました。
人間が感じる「恐怖」「愛情」「幸福」などの主な感情について、ケーススタディーを起点に、説明しています。
特に印象に残ったのは、「怒り」などのマイナスと思われる感情が、実は人類社会に貢献しているという説明。
「解釈次第なのでは?」と疑問に思う部分もありましたが、確かに、「生き残る」という究極の目標を起点に考えると、人間の感情それぞれに合理的な理由があっておかしくないなあと、理解しました。
怒りや不満の感情を抱いている自分に気づいたら、「これはこういう理由だったな」と思いだして、心の平穏を保ちたいと思います。 -
Posted by ブクログ
進化心理学への入門。人間の心の形成の基礎の部分には遺伝の影響があるとされている。与えられた環境の中で生き延びてきた人類進化の過程が,「心」に結実しているという興味深い話。
以前「進化倫理学」についての本を読んだが,それと似た感じ。
本書は,「錯視」「注意」「記憶」「感情」「想像」「信念」「予測」の六章を通じて,各心理特性がいかにして獲得されたのか,なぜ時々うまく機能しないのかを探る。
人間は受け取る情報の多くを視覚に依存する。目が太陽光に対して感度が高いように進化してきたのと同様に,脳における視覚の解釈系も,動く物を瞬時に捉えるなど,人類が置かれてきた環境を生き抜くのに有利なように進化してきた。
凹凸錯視というのがある。二次元に書かれた図から凹凸を感じることができるのは,遠近を把握するのが生存に有利だったため。その際,照明は上部にあることが前提なので,これを逆にすると凹凸が逆転して見える錯視が起こる。太陽光の下で生きてきたためこのような視覚特性が獲得された。
また人間は外部を認識する際に,重要とされるところにリソースを振り向けて注意を払い,そうでないところは気にとめない。それが生存競争に有利だったから進化した。この特性を逆手にとって,マジシャンは重要でないところに注意を向けさせ,注目されないところでトリックを行なっている。
人間の記憶もすべてをありのままに記憶するものではない。それでは容量が足りないので,もっと効率的に,体系づけて記憶は行なわれる。そうしなければ人類は生き延びられなかった。そのおかげで,今までの経験に反することなどが記憶から抜け落ちがちである,など欠点も含むことになった。
また,記憶が曖昧でも,選択を迫られて一度エイヤと決めてしまうと,その決断を当初からの記憶と誤信してしまうことが多い。記憶の効率を高めるには適しているが,無意識に記憶が改変されてしまう。目撃者への犯人の「面通し」がこの仕組で冤罪につながるケースも後を絶たない。
感情も,進化の賜物。危険を察知し退避するための「恐怖」,新しい有用なことを始める「好奇心」,集団の結束を深める「怒り」や「愛情」。捕食動物に囲まれた危険な環境という大きな淘汰圧が,「恐怖」などの感情を発達させたが,淘汰圧が薄れると,次第に多様化も許される。
また人間は,自分勝手に行動するより協力して活動する方が生き残りに有利だった。そのため,仲間から行動や言葉で伝達される信念を重視する方向に進化が進む。これを逆手に取ったのが詐欺師やデマを流す人々。人間は他人を信じるのがデフォルト。懐疑心は教えていかなくてはいけない。
人間は,他の類人猿から分岐して300万年もの間,狩猟採集生活をしてきた。農耕開始からは1万年程度にすぎない。だから危険な動物に囲まれた狩猟採集生活の中での進化の影響が,心にも色濃く残っている。そのころの人間集団は百人程度で,互いに顔見知り,相互信頼が有利だった。
ところが集団の規模は1万年で急増し,相互信頼が必ずしも有利でなくなってしまった。この短期間では,懐疑精神が進化でできあがるまでには至らなかったらしい。文字を発明し,懐疑精神を含む知恵を後世に伝達することが可能になった為に,人類はこの急変にも対処できてきたのかも。 -
Posted by ブクログ
人間の心を文明発祥以降の理性を中心とした「文明固有の心」、動物の時代に形成された感情を中心とする「野生の心」に大別し、更に「野生の心」をおもにジャングルで生活していたころ身につけた『ジャングル由来の心』と人類とチンパンジーがの共通祖先が分岐した後に形成された『草原由来の心』に二分する。
そして、恐怖と不安、怒りと罪悪感、愛情と友情、好きと嫌い、嫉妬と後悔、自己呈示と承認、楽しさと笑い、悲しみと希望、信奉と懐疑心、驚きと好奇心、名誉と道徳観、幸福と無力感について、それぞれどの心か、そしてそれが人間の進化にどのように寄与したかを論じます。
ここでは、人類の進化というとてつもなく長いタイムスパンについて論考していますが、一人の人間の成長も子供だった頃の感情を理性で覆って大人になるので同じことではないだろうか。自明性に閉ざされた日常のなかで感情を押し殺しているのが現代の特に日本人のように思う。
もっと、若かった頃、子供だった頃のように感情に揺さぶられながら生きても良いんじゃなかろうか。 -
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[ 内容 ]
なぜ「だまされる」ように心は進化したのか。
「おろか」な行動は、実は生き残りための「賢い」戦略かもしれない。
人間の心の働きを、生物進化の仕組みに照らし理解しようとする新しい学問、進化心理学。
そのエッセンスを詳しく解説。
進化の仕組みをもとにした、その成果から現代を生き抜く賢い戦略が見えてくる。
[ 目次 ]
序章 恐怖を手なずける
第1章 人生をうみだした進化の原理
第2章 遺伝子の生存競争
第3章 わかりあえないオスとメス
第4章 狩猟採集民の脳と心
第5章 人間は「協力するサル」である
第6章 文明社会への適応戦略―信頼の転換
第7章 現代社会の生きにくさにせまる
終章 だまされ上手の極意
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
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☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
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読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
序 章 恐怖を手なずける
第1章 人間をうみだした進化の原理
第2章 遺伝子の生存競争
第3章 わかりあえないオスとメス
第4章 狩猟採集民の脳と心
第5章 人間は「協力するサル」である
第6章 文明社会への適応戦略――信頼の転換
第7章 現代社会の生きにくさにせまる
終章 だまされ上手の極意
あとがき
石川幹人(いしかわまさと)
1959年東京生まれ。東京工業大学理学部卒業。同大学院物理情報工学専攻、松下電器産業(株)研究開発部門、通産省の国家プロジェクトなどを経て、現在、明治大学情報コミュニケーション学部教授。大学・大学院では、生物物理学・心理物理学を学び、企業では人工知能の開発に従事。遺伝子情報処理の研究で博士号(工学)を取得。専門は認知情報論および科学基礎論。著書に、『心と認知の情報学』(勁草書房)、『入門・マインドサイエンスの思想』(共編著、新曜社)、『心とは何か――心理学と諸科学との対話』(共編著、北大路書房)、訳書に『ダーウィンの危険な思想』(共訳、青土社)、『量子の宇宙でからみあう心たち』(徳間書店)などがある。
現代の人間がこれほど高度に社会を発達させていったにも関わらず、不合理な行動をするのかを教えてくれた本。人間は狩猟採集のクセが抜けきってない。その時期に培った心のもジュールは今も生き続け、最も大事なところでは威力を発揮するようである。それらは意識されるものではなくて、無意識の中に潜んでいる。それらを上手に使っていくことより幸福な人生となる。入門書としては、全ての理屈がすんなり入り納得できた本。タイトルの「だまされ上手」の部分が最初から開示されず、じれったさを感じたが、あとがきに著者の生徒が基礎を分かっていないまま応用に進んでいることを危惧して基礎を多く書かれているのだとわかり。只ただご苦労様としか思いようがなかった。確かに狩猟採集の心のモジュールが残っているのではないかという観点から、また心理学であれば誤解が多く生じる気がするので、そのような配慮は逆にありがたいかもしれない。
ブラックスワン、まぐれ等で人間は合理的ではないことが再三述べられていたが、この本を読んでやっと分かった気がした。
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Posted by ブクログ
大学での授業の反応を踏まえた学生向けの進化心理学入門書とのこと。幅広い分野にわたる関連文献の紹介が多く、オリジナリティ不足との批判はありそうですが、面白い話題満載で読み甲斐があります。
手段と目的に置き換えられる「至近要因」と「究極要因」との区分け(行動の究極的な目的を想定する意義)や、進化心理学の目標は「遺伝子に還元する」よりはむしろ「生育の歴史を重んじ、遺伝子に還元できるところは取り入れつつ人間に関する諸科学の見通しをよくする」こととする議論の周辺で、記憶力、生き残り戦略、さらには男のハゲまで身近なテーマが取り上げられ、読み飽きしません。
知識を伝えるだけでなく、発想の柔軟さや現実感覚も強調され、バランスのとれた内容と思いますが、「だまされ上手」の議論が物足りなく感じるのは、私の読解力不足でしょうか。