石川幹人のレビュー一覧
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ネタバレ私達は、選択を迫られた時、時には論理的に考え、時には気持ちに従って、判断していると思っている。しかし、私達が自分で考えて判断していると思っているだけで、実はDNAに組み込まれた何かに従って判断しているとしたら・・・
私達は、DNAに組み込まれた何かが、環境の変化に対して有利な者達の生き残りなのか・・・
DNAに組み込まれた何かを知ることによってよりよく生きられる?
「おろか」な行動は、実は生き残りのための賢い戦略かもしれない。人間の心の動きを、生物進化の仕組みに照らし理解しようとする新しい学問、進化心理学.そのエッセンスを詳しく解説する。
進化の速度が一定とするならば、人間に固有の脳のう99 -
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感情。
そう聞くとマイナスなイメージを持つ方も多いだろう。
仕事やプライベートでもよく、「感情的になるな」と注意される。
怒りや悲しみ、不安は無いほうが楽に生きられる。
ただ、この本では、人がサルと違い、進化できたのは
感情によるものだとしている。
「不安とはばくぜんとした恐怖が持続する状態だといえます。狩猟採集時代に人間の想像力が高まり、今ここに直面する事物以外に、創造物に対しても恐怖をいだくようになったのです。『今ここ』のみに生きている、他の動物にはあまり見られない感情なのです。」(P.40)
人間は「今ここ」だけでなく、過去や未来に対して考え、感情をいだく。
それは時として、マイ -
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・視覚は「草原に生きる」ように完備されている
・錯覚図形やだまし絵を見たときの不思議さの裏には、生物進化の長大な歴史がひかえている
・「注意」
・速い変化に自動的に注意を向ける機能が進化した
・視線や指さしの先の物体を検出する機能は、人間ではきわだって発達している
・多くの自閉症患者は「注意共有」モジュールに欠陥があり、指さしの意味が理解出来ない
・「記憶」
・確信がある記憶は、必ずしも「体験した事実の記憶」ではなく、「事実ではないが有効に活用された記憶」の可能性がある
・「感情」
・「危険でない」という理性的な認識よりも、「怖い」という感情のほうが、力強く心の中を支配する
・「想像 -
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最近、感情的に振舞ってしまう自分に気づき、後悔することがしばしばあります。
どうやって自分の感情をコントロールしようかと考えていたところ、興味深い題名の本があったので、手に取ってみることにしました。
「進化心理学」という学問分野があるのですね、この本を読んで初めて知りました。
人間の脳の構造は、「古い脳」「新しい脳」に区分され、感情は「古い脳」を中心とした働きであること。
そして「古い脳」について、人間の進化の過程を踏まえて、「ジャングル由来の心」と「草原由来の心」に分けて考える。
それぞれの環境で生き延びてきた人類が、「どのような精神反応を示せばより、生き残りやすかったか」という視点で、人間 -
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進化心理学への入門。人間の心の形成の基礎の部分には遺伝の影響があるとされている。与えられた環境の中で生き延びてきた人類進化の過程が,「心」に結実しているという興味深い話。
以前「進化倫理学」についての本を読んだが,それと似た感じ。
本書は,「錯視」「注意」「記憶」「感情」「想像」「信念」「予測」の六章を通じて,各心理特性がいかにして獲得されたのか,なぜ時々うまく機能しないのかを探る。
人間は受け取る情報の多くを視覚に依存する。目が太陽光に対して感度が高いように進化してきたのと同様に,脳における視覚の解釈系も,動く物を瞬時に捉えるなど,人類が置かれてきた環境を生き抜くのに有利なように進 -
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人間の心を文明発祥以降の理性を中心とした「文明固有の心」、動物の時代に形成された感情を中心とする「野生の心」に大別し、更に「野生の心」をおもにジャングルで生活していたころ身につけた『ジャングル由来の心』と人類とチンパンジーがの共通祖先が分岐した後に形成された『草原由来の心』に二分する。
そして、恐怖と不安、怒りと罪悪感、愛情と友情、好きと嫌い、嫉妬と後悔、自己呈示と承認、楽しさと笑い、悲しみと希望、信奉と懐疑心、驚きと好奇心、名誉と道徳観、幸福と無力感について、それぞれどの心か、そしてそれが人間の進化にどのように寄与したかを論じます。
ここでは、人類の進化というとてつもなく長いタイム -
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[ 内容 ]
なぜ「だまされる」ように心は進化したのか。
「おろか」な行動は、実は生き残りための「賢い」戦略かもしれない。
人間の心の働きを、生物進化の仕組みに照らし理解しようとする新しい学問、進化心理学。
そのエッセンスを詳しく解説。
進化の仕組みをもとにした、その成果から現代を生き抜く賢い戦略が見えてくる。
[ 目次 ]
序章 恐怖を手なずける
第1章 人生をうみだした進化の原理
第2章 遺伝子の生存競争
第3章 わかりあえないオスとメス
第4章 狩猟採集民の脳と心
第5章 人間は「協力するサル」である
第6章 文明社会への適応戦略―信頼の転換
第7章 現代社会の生きにくさにせまる
終章 -
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序 章 恐怖を手なずける
第1章 人間をうみだした進化の原理
第2章 遺伝子の生存競争
第3章 わかりあえないオスとメス
第4章 狩猟採集民の脳と心
第5章 人間は「協力するサル」である
第6章 文明社会への適応戦略――信頼の転換
第7章 現代社会の生きにくさにせまる
終章 だまされ上手の極意
あとがき
石川幹人(いしかわまさと)
1959年東京生まれ。東京工業大学理学部卒業。同大学院物理情報工学専攻、松下電器産業(株)研究開発部門、通産省の国家プロジェクトなどを経て、現在、明治大学情報コミュニケーション学部教授。大学・大学院では、生物物理学・心理物理学を学び、企業では人工知能の開発に従事。 -
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大学での授業の反応を踏まえた学生向けの進化心理学入門書とのこと。幅広い分野にわたる関連文献の紹介が多く、オリジナリティ不足との批判はありそうですが、面白い話題満載で読み甲斐があります。
手段と目的に置き換えられる「至近要因」と「究極要因」との区分け(行動の究極的な目的を想定する意義)や、進化心理学の目標は「遺伝子に還元する」よりはむしろ「生育の歴史を重んじ、遺伝子に還元できるところは取り入れつつ人間に関する諸科学の見通しをよくする」こととする議論の周辺で、記憶力、生き残り戦略、さらには男のハゲまで身近なテーマが取り上げられ、読み飽きしません。
知識を伝えるだけでなく、発想の柔軟さや現実感覚も強 -
Posted by ブクログ
近年「フェイクニュース」が政治家からも、マスメディアからもましてやSNS/Xポストなどに日々増えている。これからの世の中、「偽情報・フェイク」された発信の頻度が増えることは間違いない。それは、最新のAIによる情報収集とともに利用者、発信者の都合、自己主義的忖度で改ざんされる事が今後大きなポイントになる気がするからだ。特に科学技術や権威ある機関からの資料やデータを良いどこ取りした情報が拡散、蔓延する気もする。一方フェイクではないが言葉の表現での「取り違い・思い込み」もある。例題として「新しい治療法で、発病者の3分の2を救える」と言う言い方と「新しい治療法でも発病者の3分の1は救えない」どちらも間