あらすじ
「フェイクニュース」が、社会に只ならぬ影響を与えるようになって久しい。コロナ禍でも、誤情報が人々を攪乱している。本書では進化心理学を基にフェイクニュース、ひいては人と情報を取り巻く遺伝的・文化的背景を解き明かす。これにより、人々が「なぜだまされてしまうのか」「なぜ広めてしまうのか」が理解できるはずだ。そのうえで個人の情報リテラシー力強化による努力だけではなく、社会的な制度や取り組みが必要とされる背景にも触れる。
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Posted by ブクログ
ある集団(国民)の特性が、集団主義的であるか、個人主義的であるかという観点は非常に興味深い。例えば自己紹介の時、日本人は自分の所属を言う、一方アメリカ人は自分の能力や知識を披瀝する。
これは日本人のアイデンティティが所属する集団によって確立されること(集団主義)を示しており、一方アメリカ人は個人同士が相互協力できる関係を探し、機動的な集団を作っていくこと(個人主義)を示している。
近年、このような差異は、他の国々に関しても普遍的に論じることが出来る事が判明した。多様な人々が移住し続ける新大陸や、人の出入りが激しい商業地域などでは個人主義的傾向が強く、人口密度が高く農業などの体系的な協力が必要な産業が盛ん、且つ自然災害が多く団結が必要な地域では集団主義的傾向が強い事が見出された。
他方、ビジネス環境に目を向ければ、変化の目まぐるしい現代社会においては、変化に対応して集団を臨機応変に作り直しやすい個人主義の方が有利とされている。
ただ、長い年月にわたって地道な技術開発が必要な分野の場合、短期的な成果に惑わされることなく、団結して継続が可能な集団主義が有利となることもある。
昨今、やみくもにも感じる日本の企業風土改革だが、このような進化心理学的な背景は微塵も考慮されていないように感じられる。
日本人には日本人の働きやすい環境があって然るべき様に感じる。無理やりグローバルフォーマットに当て嵌められて、日本はどんどん不幸せな方向に進んで行っているように感じられる。
Posted by ブクログ
●久しぶりな良書
●我々がフェイクにはまる理由を太古に遡って教えてくれる。なるほどね…
●現代社会の情報伝達技術が人類にはまだ早すぎたのではないかって思っていたけど、まあそうなんだろうな…
●なるべく科学的な方法でフェイクを破ってほしいけど…人類の叡智に期待するしかないな。今はまだ過渡期…
●明らかに電波なことを言ってる人が近くにいるとゲンナリしてしまう今日この頃ですわ…
●現代人必読書です、これわ。全体的に過不足なく、抑制が効いているし、テンポまでよい。
Posted by ブクログ
最後の結論で、フェイクに騙されないためにはフェイクを笑いとばせるようになることというまとめ方になっていて、難しかった。
どうしてフェイクが生まれたのかという点では7章に分けて場面ごと丁寧に理解できた。
初めての新書だったけれど、面白かった。
Posted by ブクログ
フェイクを見抜くのは難しいことを前提に議論を展開しており、次のような分類をしている.見かけがつくるフェイク、共感に訴えるフェイク、言語が助長したフェイク、自己欺瞞に巣くうフェイク、科学の信頼を利用したフェイク、誤解から生じるフェイク、結束を高めるフェイク. それぞれの説明には事例を絡ませて読者を魅了しているが、対応策の複雑さを示しているともいえる.最後に述べている、''人類の歴史で育まれた伝統的な心理構造が、比較的自由な現代の社会環境とミスマッチを起こしている.'' という指摘が重要だと思った.この進化心理学の観点を認識することで、フェイクをジョークとして笑い飛ばせる社会の出現を希望している点に、読破後のやすらぎを感じた.
Posted by ブクログ
進化心理学っていう学問分野があるんだね。
ヒトの心理動向を進化の過程から読み解くもの。
ヒトがヒトを信じるのは集団を維持するために、その方が都合が良かったから。だから他人の言を信じるのだそうな。
そこを逆手にとっているのが広告や近年の詐欺手法だったりするんだけど、うーんこれだと引っかかるよなぁ。
不思議なもので、こういったフェイクにサルは騙されない。これは言語や想像力を獲得していないからなんだそうな。
Posted by ブクログ
近年「フェイクニュース」が政治家からも、マスメディアからもましてやSNS/Xポストなどに日々増えている。これからの世の中、「偽情報・フェイク」された発信の頻度が増えることは間違いない。それは、最新のAIによる情報収集とともに利用者、発信者の都合、自己主義的忖度で改ざんされる事が今後大きなポイントになる気がするからだ。特に科学技術や権威ある機関からの資料やデータを良いどこ取りした情報が拡散、蔓延する気もする。一方フェイクではないが言葉の表現での「取り違い・思い込み」もある。例題として「新しい治療法で、発病者の3分の2を救える」と言う言い方と「新しい治療法でも発病者の3分の1は救えない」どちらも間違いないが発病者にとっては全く別物に捉えてしまう。言葉の表現でよく言われることは「〜もある」か「〜しかない」と言う立場による忖度表現など発信する際には気をつけたい。
Posted by ブクログ
巷に溢れかえるフェイクを7つに分類し、見分け方と対応の気付きを整理しています。フェイクがなぜ必要だったのかや個人主義の国で発展など興味深い内容でした。フェイクに振り回されるのではなく、見分け方を知り、フェイクリテラシーを高めて、フェイクをジョークと扱えるレベルに達したいものです。
Posted by ブクログ
<目次>
第1章 見かけがつくるフェイク~演出までには至らぬ装い
第2章 共感に訴えるフェイク~人の話を信じる理由
第3章 言語が助長したフェイク~想像の果たす役割
第4章 自己欺瞞に巣くうフェイク~承認欲求の暴走
第5章 科学の信頼を利用したフェイク~未来予測の限界
第6章 誤解から生じるフェイク~行動選択の偏り
第7章 結束を高めるフェイク~部族意識の功罪
終章 フェイクとどのように対峙していくか
<内容>
進化心理学から見た「フェイク」の種類とその内容、および対策。といっても素晴らしい対策があるわけではない。著者はいかにも悲観的である。人間の進化の過程で手に入れた能力が、「フェイク」に引っかかりやすくなっている以上、もう少し進化しないと、これを乗り切るのは難しいようだ。特に日本人は、その特性から「フェイク」に引っかかりやすいらしい。気をつけないと…