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Posted by ブクログ
・視覚は「草原に生きる」ように完備されている
・錯覚図形やだまし絵を見たときの不思議さの裏には、生物進化の長大な歴史がひかえている
・「注意」
・速い変化に自動的に注意を向ける機能が進化した
・視線や指さしの先の物体を検出する機能は、人間ではきわだって発達している
・多くの自閉症患者は「注意共有」モジュールに欠陥があり、指さしの意味が理解出来ない
・「記憶」
・確信がある記憶は、必ずしも「体験した事実の記憶」ではなく、「事実ではないが有効に活用された記憶」の可能性がある
・「感情」
・「危険でない」という理性的な認識よりも、「怖い」という感情のほうが、力強く心の中を支配する
・「想像」
・人間に入ってくる情報(知覚)と、出ていく情報(身体運動)の両方、すなわち入出力情報すべてにかかわる、重要な心理的機能
・技術的知能と社会的知能
・社会的知能が働きすぎると幽霊や心霊写真や鬼や妖精が見えてくる
・「信念」
・原則100人程度しか、信念共通化の確認作業をすることができない
・人間は信じやすい動物
・懐疑の精神が現代では少し必要
・四分割表を書いて考えるテクニックがある
・数値をたすきがけの要領で掛け算して大きいほうのマスに意味のある関係がありそうと結論出来る
・反対側に注目しない傾向がある
・「予測」
・近い将来の予測には重きをおくが、遠い将来の予測には重きをおかないようになっている
・人類は法則好き
・予測ができて、かつ、それに対処できてはじめて、予測に意味がある
・現状の問題に対処できない無力感が、うつ病にもつながる
・人類は、想像力を身につけ、法則を発見し、協力して働き、文明を築いたが、かわりにさまざまな苦悩も背負った
Posted by ブクログ
進化心理学への入門。人間の心の形成の基礎の部分には遺伝の影響があるとされている。与えられた環境の中で生き延びてきた人類進化の過程が,「心」に結実しているという興味深い話。
以前「進化倫理学」についての本を読んだが,それと似た感じ。
本書は,「錯視」「注意」「記憶」「感情」「想像」「信念」「予測」の六章を通じて,各心理特性がいかにして獲得されたのか,なぜ時々うまく機能しないのかを探る。
人間は受け取る情報の多くを視覚に依存する。目が太陽光に対して感度が高いように進化してきたのと同様に,脳における視覚の解釈系も,動く物を瞬時に捉えるなど,人類が置かれてきた環境を生き抜くのに有利なように進化してきた。
凹凸錯視というのがある。二次元に書かれた図から凹凸を感じることができるのは,遠近を把握するのが生存に有利だったため。その際,照明は上部にあることが前提なので,これを逆にすると凹凸が逆転して見える錯視が起こる。太陽光の下で生きてきたためこのような視覚特性が獲得された。
また人間は外部を認識する際に,重要とされるところにリソースを振り向けて注意を払い,そうでないところは気にとめない。それが生存競争に有利だったから進化した。この特性を逆手にとって,マジシャンは重要でないところに注意を向けさせ,注目されないところでトリックを行なっている。
人間の記憶もすべてをありのままに記憶するものではない。それでは容量が足りないので,もっと効率的に,体系づけて記憶は行なわれる。そうしなければ人類は生き延びられなかった。そのおかげで,今までの経験に反することなどが記憶から抜け落ちがちである,など欠点も含むことになった。
また,記憶が曖昧でも,選択を迫られて一度エイヤと決めてしまうと,その決断を当初からの記憶と誤信してしまうことが多い。記憶の効率を高めるには適しているが,無意識に記憶が改変されてしまう。目撃者への犯人の「面通し」がこの仕組で冤罪につながるケースも後を絶たない。
感情も,進化の賜物。危険を察知し退避するための「恐怖」,新しい有用なことを始める「好奇心」,集団の結束を深める「怒り」や「愛情」。捕食動物に囲まれた危険な環境という大きな淘汰圧が,「恐怖」などの感情を発達させたが,淘汰圧が薄れると,次第に多様化も許される。
また人間は,自分勝手に行動するより協力して活動する方が生き残りに有利だった。そのため,仲間から行動や言葉で伝達される信念を重視する方向に進化が進む。これを逆手に取ったのが詐欺師やデマを流す人々。人間は他人を信じるのがデフォルト。懐疑心は教えていかなくてはいけない。
人間は,他の類人猿から分岐して300万年もの間,狩猟採集生活をしてきた。農耕開始からは1万年程度にすぎない。だから危険な動物に囲まれた狩猟採集生活の中での進化の影響が,心にも色濃く残っている。そのころの人間集団は百人程度で,互いに顔見知り,相互信頼が有利だった。
ところが集団の規模は1万年で急増し,相互信頼が必ずしも有利でなくなってしまった。この短期間では,懐疑精神が進化でできあがるまでには至らなかったらしい。文字を発明し,懐疑精神を含む知恵を後世に伝達することが可能になった為に,人類はこの急変にも対処できてきたのかも。
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