月岡小穂のレビュー一覧
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ちょっと変わったヒーローがやってきた。
アニメ番組の知識でキーワードを解き、無重力の部屋でガラクタを組み立てる。
“探し屋”稼業の主人公、望んでもいないのに、関わった周りはどんどん悪い方へ向かう。
連続して振りかかるピンチに対し、主人公ファーガスの考える作戦はどこか笑えるところがあり、そんなところが楽しくなる。
“トラブルメーカー”と、うさんくさそうに疑いの眼差しを向ける周辺の人のなか、本人も“ヒーローなんてめんどくさいものにはなりたくない”のに、けっきょく関わってる。
「正義の味方、世界を救う、ヒーロー」じゃあないところが面白く、難波花月劇場的笑いと人情をちゃんと持っているので、安心して楽しめる。
謎の宇宙人〈アシイグ人〉が、主人公に言う……「興味深い存在であれ」
宇宙は広く、いくらでも物語がある。 -
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スペースオペラを久々に読んだこともあるかもしれないが、これはめちゃくちゃ面白かった。
凄腕の捜し屋ファーガス・ファーガソンが、盗まれた巡航船〈ヴェネチアの剣〉の捜索中に、星間の勢力争いに巻き込まれていくという話。
スペースオペラだけあってさまざまな出自の人物たちが出てくる。その誰もが魅力的で面白いのだが、特に主人公がめちゃくちゃ可愛い。
凄腕で、めちゃくちゃな作戦も成功させてしまうような運の強さも持っているのだが、時折ネガティブスイッチが入ってしまう。そうなると俺なんて……みたいな面倒な性格になる。周りも大丈夫! と叱咤してくれることもあるが、次第にまーた始まったよ……と適当にあしらうこともあって、そのやり取りを見てるだけでも面白い。
700ページ近くある大作ではあるのだが、リーダビリティが高くあっという間に読めてしまった。
このシリーズは3部作の1作目のよう。本国では2022年に3作目の刊行もされたよう。
今後の展開が楽しみだ。 -
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未来に蘇ったジョン・ギアリー大佐を中心に展開する、ミリタリーSFの彷徨える艦隊シリーズ第1巻です。
2つの星間人類文明であるアライアンスとシンディックは、終わりの見えない泥沼の戦争を続けています。
危機的状況のアライアンス艦隊は古戦場で漂う救命ポッドを回収、それには100年前に死亡したと思われていた伝説の“ブラック・ジャック”ことジョン・ギアリーが人工冬眠状態で眠っていました。
特進による大佐でしたが、英雄視されていたギアリー大佐はアライアンス艦隊士官の多くから崇拝されることになります。
今まさにシンディックと不利な交渉を行おうとしているアライアンス旗艦ドーントレスで蘇ったギアリーは事の成り行きと不在だった年月に何があったのかの不安で一杯となり、やはり状況は悪化していくのです。
希望は“ブラック・ジャック”以外に無く、本当は普通の人間であるジョン・ギアリーに託されることになりました。
多くのジェネレーションギャップに悩まされることになりますが、しかし同時にそれが強みにもなるところに面白みがあります。
図らずも艦隊司令官となったギアリー率いるアライアンス艦隊を待ち受ける未来とは…。
2巻にも期待します。 -
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SF。ヒューゴー賞・ネビュラ賞・ノンモ賞受賞作。
宇宙・冒険・超能力・コンタクト・民族学。
著者はナイジェリア出身の両親を持つアフリカ系アメリカ人女性。
連作中編であるようだが、続けて読むことで感動が増すように思うので、長編として読みたい。
宇宙、異星種族、奇妙なコミュニケーション、身体改造など、刺激的で好きな要素がいっぱい。
そもそも、主人公がアフリカの少数民族の女性という設定で、文化や価値観も非常に新鮮。
全く想像したことがないような世界が続き、一冊を通してワクワクしながら読んだ。
個人的に思う、作品の一番のテーマは「多様性」。
あまりにも大きな変化を受け入れ、成長を続ける主人公ビンティ、本当に素敵なキャラクター。
自分がこれまでに読んだ海外SF作品のなかでも、限りなくベストに近い、大好きな作品でした。 -
購入済み
一気読みしてしまう
戦記小説を探していて、評判が良かったので読んでみたら大当たりでした。
往年のスペースオペラ、SFファン。銀英伝が好きな方ならきっと気にいるはずです。 -
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女王陛下の……ここで飛びついた人は、間違いなくイギリス海洋冒険小説のファンなのだと思う。
そう、英国海軍の軍艦はかならず、「女王陛下の艦」が冠せられる。略してH.M.S. となる。
これを冠したタイトルの名作は、同ジャンルのファンならきっと読んでいるはず。マクリーンの『女王陛下のユリシーズ号』だ。
さて、原題はどうなのかというと、"ARK ROYAL"だ。あ、これでとびついた人、普通にイギリス海軍好きですね?
英国の空母の名として有名だけど、念のためWikipediaを引いてみたところ、初代は16世紀のガレオン船で、アルマダの闘いに参戦したとある。その後、水上機母艦の名となり、以降は空母の名前として代を重ねた。
まさにこの名前を冠した航宙母艦が主人公。
しかしこれは、イギリス航宙軍の初代艦なのだそうで、そのため「装甲が分厚く、主力の兵装はマス・ドライバー(つまりでかい砲弾をどーんとぶつける……だけ)」であって、現代的な、最先端の、装甲の薄いスタイリッシュな艦とは大違い~\(^O^)/
これで、もしかすると単にミリタリーが好きな人は、戦艦の時代までの軍艦と、現代の、たとえばイージス艦などの対比を思い浮かべたかもしれない。
これだけでもわくわくものの要素が詰まっているのだが、
予備役のアーク・ロイヤルでずっと艦長をつとめてきたのは酔いどれの准将セオドア・スミス。そこに野心的な若い副長フィッツウィリアム大佐(ちなみに貴族のご出身)が配される!
家庭に色々問題をかかえたロートルな戦闘艇部隊長ほか、あちこちで問題を起こしてアーク・ロイヤルに配属されてきたような乗組員。ちょっとわけありっぽい美人の士官候補生。
ああもうこのあたりはミリタリーものの定番じゃないですか?
そして、イギリス航宙軍に命令を下すのは、かつてはスミス艦長と同期だったという、「第一宇宙軍卿」……海軍卿から命令を受けていたホーンブロワーとかボライソーを思い出すではありませんかw。その他、拿捕賞金の分配、などという話も出てくる。ああ、胸が躍るっ。
最新の艦隊が、突如現れた謎の異星人のプラズマ兵器にあっさり全滅させられた後、ひっぱりだされたアーク・ロイヤルはどんな活躍をするのか……最初から最後まで面白かった。
難を言えば、誘導装置のないマス・ドライバーの砲弾を使って砲撃をするのに、もうちょっと工夫があってもいいんじゃないかと思ったが、それは瑕瑾というものか。
シリーズタイトルがついていないのが気になりますが、訳者あとがきによると既巻9巻、じきに第10巻が発売されるとか。三部作で続くそうなので、せめて3巻までは出してほしいのですが早川書房さん! -
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ネタバレこれも前作に続き面白かった。
ギアリー率いるアライアンス艦隊は敵基地で捕虜収容所の解放に成功する。しかし、その中にはギアリーと同じように伝説となった猛将ファルコがいた。味方の損害を顧みず猪突猛進するタイプであるファルコはギアリーと衝突。しかしファルコには信奉者も多く、ついに39隻の艦とともに離反しギアリーの制止を振りほどき別星系に旅立ってしまう。一方ギアリーの艦隊はワープポイントであるハイパーゲートを破壊するという敵の作戦を阻止すべく戦闘を開始する。別々に行動する艦隊の運命は…
今巻では、ハイパーゲートに関する謎が大きなポイント。人類はハイパーゲートを利用しながら、その物理特性や仕組みについてはほとんど無知であることが判明する。さらに、ハイパーゲートの破壊が超新星爆発並みのエネルギー放出の可能性も判明する。ハイパーゲート破壊が大きな武器になることを知り悩むギアリー。そしてギアリーに近づきついに関係を持つにいたるが相変わらず本心がわからないリオーネ。リオーネと対峙するデシャーニ。さらに辺境域の状況が明らかになるにつれ、異星人の存在を暗示する。
様々な問題を抱えながら故郷を目指すギアリーだが、こんなストレスだらけの生活はごめんだね。なおかつ、逃げ場もない戦艦生活。よく耐えられるものだよ。 -
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地球人は二つの勢力に分かれ100年以上も戦争を続けている。100年前の戦闘で救命ポッドによって冬眠状態だった主人公は、味方艦隊に救われる。しかし、その時味方は敵艦隊に圧倒されていた。首脳陣が全員殺害され、主人公は艦隊を率いることになってしまう。彼には3隻のチームを指揮したことしかなく、100年前の戦いの特別昇進で大佐になっただけというのに…。ところが、彼はすでに伝説の英雄と見なされていた。彼は艦隊を率いて母星に帰還することを目指す。
神格化した彼に全幅の信頼をよこす者にうんざりし、彼の指揮能力に疑問を持つ者の反発に会い、彼の艦長職務は一筋縄ではいかない。なおかつ、この100年で艦隊としての集団戦法は失われ、各自がてんでばらばらに攻撃するしかできなかった。
館長としての負託に応え、皆をまとめて帰還することができるか?
というのが、大体のあらすじ。艦は亜光速で飛行することができ、ワープ航法も手に入れているが、通信系だけは光速を越えられないという制約が話の展開を面白くさせている。
そして、英雄と素の自分という主人公自身の葛藤と、彼に様々な目を向ける艦長たち。
単なるスペースオペラではない、複雑な人間ドラマを展開する! -
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久々に、睡眠時間を削ってしまう面白い話に出会えました。
壮大な話、シカケに溢れた世界設定、想像をかきたてられる描写、散りばめられた知恵、個性豊かなキャラクターとその掛け合い。著者も凄いけど、訳者もまた素晴らしい。
これでSFでなかったら、万人にオススメできるんですが(笑
著者ジャック・キャンベルはなんとアメリカ海軍士官OB。艦隊に関するプロが、今度は宇宙を舞台に艦隊を戦わせる。かと言ってマニアックな表現に囚われず、艦隊に乗り込んだ政治家=軍事の素人に対して説明する形で、しっかり解説。
とは言え3次元空間で艦隊が動く戦闘シーンは読み飛ばしてると訳わかんなくなります。おかげで今2周目。
ストーリーはこんな話。
主人公は自分の指揮していた艦が敵に破壊され、救命ポッドで100年間も冷凍睡眠していた軍人。浦島太郎状態です。
味方に運良く救出されたものの艦隊は敵の只中。いきなり司令官に呼び出され「敵と交渉してくるから留守頼むわ」と言われて艦隊司令官の権限を移譲される。
敵と交渉しに行った司令官はアッサリ敵に殺されてしまい、主人公は満身創痍の艦隊を無事に故郷へ連れ戻す重責を背負わされる…。100年寝てたから知り合いはそりゃみんな死んでるし、現役の軍人たちの考えも変わっている。超アウェー戦ださぁどうする?
インバスケット演習かよ!
解説によると「危機的状況下での指揮権委譲」というテーマは海洋冒険小説の王道テーマのひとつらしい。
指揮権を委譲されてからの主人公のふるまい、少しずつ味方の信頼を勝ち得ていく姿は企業のマネジメントに通じるトコもあって、いつの間にか主人公に理想の上司像を重ねてしまうこと請け合いです。
特に主人公が一人悩むシーンが印象的。
そしていたずらに強権をふりかざすのでなく、理屈や感情に訴えて人を上手く動かしていく。公然と非難を受けて怒りを感じても、それをあらわにするのではなく、冷静に相手の薄い論拠を指摘して合意を形成していく。
そして積み重ねる勝利と、仲間からの信頼。
「もしドラ」読むならこっち読んだ方が面白い。ためにもなる。たぶん!
”規則を調べれば必ず、自分のやりたいことを正当化する根拠がみつかる”という言葉を読んで、自分が今やっている、小難しい法律を紐解く仕事にもやり甲斐を見出せたし(笑
睡眠時間が削られる以外の問題点は、まだこの話、完結していないということ。
最新刊まで読み終わったら、3周目に入らないと耐えられそうにない! -
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最近戦争SFものを読むようになった。
仕事で直面する理不尽な状況や、なんとか問題を解決しようともがく姿に共通するものが感じられるせいかもしれない。
仕事で失敗しても死ぬことは無いけれども、デフォルメされた世界があるのだと思う。
ことに9.11以降の作品は明らかにそれ以前の作品とは違う。戦後体験を聞いているのではなく、突然理由もわからないまま戦争状態に突入してしまう現代に生きているからか。
この作品は、陸軍の経験のある著者によってリアルな近未来戦争を一歩兵の視点で描かれています。現在との地続き感もたっぷり。
宇宙戦艦ヤマトでも見た遊星爆弾で攻撃され、地球は核の冬状態に。成層圏まで吹き上げられた粉塵で、ジェット機は飛べなくなり鉄道による長時間の移動を余儀なくされるという状況もリアル・・・
タイトルはともかく、最近のミリタリーSFではダントツの面白さ。一気読みでした。 -
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彷徨える艦隊シリーズってこんなに面白い話だっけ?
サッサと本編9巻を読んで外伝2を読みたい
話は負けてしまった敵側シンディックの辺境星系ミッドウェイ(戦略的には結構重要)の反乱独立話なんで至って普通の設定なんだが本編よりは好きだ。★4.7ぐらいかな。
本編が百隻以上艦隊を率いる過去から蘇った悩める英雄。こちらは10隻程度の艦隊司令官と数個旅団直率する陸上軍司令官の2人。互いに信頼していいのか悩みながら恋仲になりそうな微妙なところ。他のキャラも魅力的でかつ身近。
人気アニメのOVAの感じが近いかな。とうぜん本編世界を知らないと面白くならないけど -
Posted by ブクログ
ミリタリーSFというと、異星人との戦いというスペース・オペラ的設定が多いのですが、ここには異星人は出てきません。戦う相手は自国の企業を脅かす他国の軍隊。地球のほとんどは米国の支配下におかれ、残る場所は月。月をも自国の土地と宣言し諸外国の施設を占領するために軍隊を派遣するでのす。主人公のスタークはその米国軍の軍曹。現在をデフォルメした世界で様々な矛盾と理不尽と戦わなくてはならないのです。
そう、このシリーズは理不尽と戦う人間の物語なのです。(意味不明の侵略をしかけてくる異星人も究極の理不尽ではないか?)
ちゃんと動かない装備、理解不能な命令、一枚板ではない組織、じゃまする同僚、手間だけかかるプロセス・・・今に通じる「理不尽」満載。デフォルメ具合がわかりやすいこの作品はリーダーシップに関するビジネス書としても読めてしまうのです。
タイトルの「聖戦」もまた、皮肉に響く佳作! -
Posted by ブクログ
冒頭から、いきなり戦闘中のシーン。その中で冷凍睡眠から目覚めた大佐ギアリーは呆然とする。救出ポッドで冷凍冬眠にはいってから100年もたっていたのだ。挙句、完全降伏を迫られている艦隊の指揮を引き継ぐことになった。果たして故郷に帰れるのか!
なんだか、その昔の「宇宙空母ギャラクティカ」を思い出させるような設定なのですが、作者が海軍に所属していた経験もあり、軍隊という組織の特徴を作中に織り込んでいて、非常に話を盛り上げます。100年もたっているから、なんとなく言葉は通じるけれども、話が通じないというSFならではの面白さがあるかと思えば、相対論的な物理法則による時差が状況をややこしくするという、帆船時代の戦争のようなギャップもあり、なかなか面白いです。
あんまり、期待しないで読んだのですが、これは続きが楽しみです。
どのようにリーダーシップをとっていくかで悩む100年前の男ギアリー大佐。ガンバルのだ!