あらすじ
21世紀、巨大な軍産複合体と化したアメリカは、地球のほぼ全域を支配下におさめていた。資源を求め、各国は唯一残されていた月に進出する。だが、莫大な軍事費を捻出するために企業の戦時協力金が不可欠な陸軍は、平和維持活動の名のもとに月に兵士を派遣、諸外国の施設を占領しコロニーを建設するが……他国軍からの執拗な攻撃と、理不尽な軍上層部の命令から部下の命を守るため、スターク軍曹の月面での戦いが始まる!
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Posted by ブクログ
ミリタリーSFというと、異星人との戦いというスペース・オペラ的設定が多いのですが、ここには異星人は出てきません。戦う相手は自国の企業を脅かす他国の軍隊。地球のほとんどは米国の支配下におかれ、残る場所は月。月をも自国の土地と宣言し諸外国の施設を占領するために軍隊を派遣するでのす。主人公のスタークはその米国軍の軍曹。現在をデフォルメした世界で様々な矛盾と理不尽と戦わなくてはならないのです。
そう、このシリーズは理不尽と戦う人間の物語なのです。(意味不明の侵略をしかけてくる異星人も究極の理不尽ではないか?)
ちゃんと動かない装備、理解不能な命令、一枚板ではない組織、じゃまする同僚、手間だけかかるプロセス・・・今に通じる「理不尽」満載。デフォルメ具合がわかりやすいこの作品はリーダーシップに関するビジネス書としても読めてしまうのです。
タイトルの「聖戦」もまた、皮肉に響く佳作!
Posted by ブクログ
歩兵部隊が主役のミリタリーSF!って感じで楽しいシリーズの予感
共和国の戦士シリーズとは違ってミリタリーSF!(感嘆詞付き)なので楽しんで読めた。
正直者の軍曹がアメリカ月面派遣軍を率いる事になっちゃうんだけど。
地球上の資源すべてを支配しているアメリカ政府(けれども企業に支配されてる言いなり状態)。その他の国々はアメリカが興味を示さない月面で細々と開発をしてる。
当然アメリカ軍は世界一なんだけど、士官は自分の出世にしか興味が無くて兵士は消耗品という。ありがちと言えなくもない世界設定
アメリカ企業は月の資源も欲しくなって侵略開始。企業も植民というか開発のコロニーを建設して資源開発を始める。が、アメリカに優秀な士官はいないので戦争は膠着状態。
お決まりの無能で真面目な将軍が画期的な作戦案『精密な数学的計算に基づく不屈の精神力で突撃すれば一人の兵士が敵兵12人に相当する(らしい)』を携え、実戦未経験のエリート師団を引き連れて地球からやってくる。
要塞攻撃を開始して、当然、味方はほぼ壊滅。けれども突撃命令だけ延々と届く。
でついに主人公がキレて、上官を拘束して味方の救出をはじめ、ついには派遣軍の全軍曹が味方について軍を掌握。
今後は怒った企業に後押しされたアメリカの反乱軍鎮圧部隊と戦うのか、月面の民間人(こちらは地球企業の搾取に喘いでいる状態)と良好な関係を構築するのか?さてさて