トニモリスンのレビュー一覧

  • レシタティフ

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    読みながら不安定な気持ちになる。
    トワイラとロバータ、どっちが白人? 黒人?
    それは最後まで明かされない。
    もちろんそれが著者の狙い。偏見を招く構造への疑問。
    そして施設での彼女らより「下」の位置にいる、施設で働くマギーはたぶん障がい者。これもまた二項対立。
    全編示唆的なストーリーで、メタファーかなと思わせる会話や表現が山盛りもり。

    作品自体は短く、大きめの字で56ページ。
    それとほぼ同量(以上?)のゼイディー・スミスによる序文「実はあの中にちゃんとした人間がいた」があって、内容的にネタバレになるので、作品の後に移されている。
    これがまた深い考察で素晴らしい。

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    2026年01月15日
  • ビラヴド

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    シーンの切り替わりが多く、読みにくい部分はあるが、後半は流れるように読める。

    過去を背負いながら、これからをどのように生きるのか。過去との繋がり、現在の繋がり、その結節点にいることを強く感じた。

    アメリカの歴史に興味を持つきっかけになった

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    2025年08月31日
  • ビラヴド

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    ネタバレ

    読み応え抜群の小説。一行一行をじっくり味わいながら読み進めるにふさわしい作品である。
    主人公は、奴隷として働かされていた農場から逃げ出してきた黒人たち。登場人物たちはそれぞれ、思い出したくない過去を抱えている。基本的には時系列で進むが、過去の出来事は彼らの回想の中で少しずつ明かされていく。

    主な登場人物は、4人の子を産んだセサ、その末子デンヴァー、セサと同じ農場で働いていたポールD、すでに亡くなっているセサの義母ベビー・サッグス、そしてデンヴァーの姉であり幼くして命を落としたビラヴドである。ほかにも、セサの夫ハーレ、奴隷仲間のシックソウ、逃亡を助けたスタンプ・ペイドとエラといった印象的な人物

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    2025年08月16日
  • 暗闇に戯れて 白さと文学的想像力

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    ネタバレ

    やさしく持論を説明してくれることはなく、非常に難解なので、訳者解説にたいへん助けられる。しかし、モリスンは「アフリカニズム」「ロマンス」などのことばを使って難解な理論を提示するに終わらせず、テクスト読解を実践するそれを読むと、読者はモリスンの言いたいことが具体的に理解できるようになる。すなわち、白人男性中心主義をあぶり出すべく、モリスンがトウェイン、ヘミングウェイなどのテクストを読解して見せるくだりはたいへんスリリングである。

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    2025年07月30日
  • ビラヴド

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    白人にとって、奴隷は人じゃない。資産であり、労働力であり、獣だったんだな。本当に怖いな。
    読むのに時間がかかった。構成やキャラ設定の緻密さにびっくりする。小説として面白い。奴隷制やアメリカ文化に親しみがあればさらに面白いと思う。

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    2025年07月26日
  • ビラヴド

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    読むのきっついなぁと思いながら読んでいると、後半にかけてバーっと視界がひらける。そりゃノーベル賞取るわ。ものすごい才能だね。

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    2025年07月05日
  • ビラヴド

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    ネタバレ

    誰にも話せない(話したくない)過去を持つセサとポールD、母親への気持ちが絶えず変化するデンヴァー、謎の存在のビラヴド、全ての登場人物の心理描写がとても丁寧だった。
    また、徐々に過去が明らかになっていく構成が見事で、とことん引き込まれてしまった。
    奴隷制度を扱う作品はたくさんあるけど、本作を唯一無二にしているのは、やはりビラヴドの存在だろう。幽霊なのか、何者なのか?最後の最後まで読み応え抜群だった。

    結局、誰しも過去を忘れることはできないけど、前を向いて生きていくしかない。そのためにも、まわりの人々と助け合っていく必要がある。
    まだまだ黒人差別が残るアメリカにおいて、もっと多くの人が本作を読ん

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    2025年05月01日
  • スーラ

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    ネタバレ

    フォークナーのヨクナパトーファ・サーガに通じるものを感じた。善悪がテーマであり、スーラがいわゆる悪女のキャラクターである。スーラは背徳、性的放縦、裏切りに生きるけれど、それらを反省して悪だと考えることはせずに、その果てに自分が何かに、誰かに愛されている、誰かとの友情が成り立つと実感できると考えている。いわゆる毒母に育てられると、自己肯定感が低く、愛情に飢えた子に育つ。そうなるに当たっては、社会的に差別された黒人の貧困、野蛮も当然関係しているのだろう。

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    2025年01月30日
  • 暗闇に戯れて 白さと文学的想像力

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    そうか、わたしはアフリカ系の人が書いた本を読んだことがないんだ。
    いままで意識していなかったけど、本書を読み進めるうちに気がついた。

    「奴隷たちの心や想像力や振る舞いに目を向ける学問には価値がある。けれども、主人たちの心や想像力や振る舞いに人種のイデオロギーがどんな影響を与えたかを見ようとする本気の知的努力にも、同様に価値がある。」

    モリスンは「白人男性至上主義」「進歩史観による人種主義」これらで構築された、普遍的な価値が評価する、アメリカ文学を「黒人奴隷が白人アイデンティティに与えた影響」として、ヘミングウェイやハックルベリーフィンの冒険を例に具体的に考察している。

    黒人たちは、強制的

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    2024年06月17日
  • タール・ベイビー

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    女性ノーベル賞作家の四作目。
    白人の庇護を受けて育った娘と、黒人だけに囲まれて育った青年。男女の心の葛藤が良く表現されている恋物語…などという単純なものではなかったです。

    文化的に異なる環境で育ったが故に、娘は相手を辛辣な言葉で非難したり蔑んだりしてしまいます。相手にも育ってきた環境や世界観があるなかで、白人世界で育ってきた価値観を振りかざし、ただ自分に迎合させようとするのは、いかがなものかと考えてしまう。そういった相手を尊重しない文化的な軋轢を男女関係を使ってよく表していると思います。しかも、それを白人と黒人ではなく、黒人同士で描き切っているのですから。

    ただ、この小説は読書初心者や海外

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    2023年12月09日
  • 暗闇に戯れて 白さと文学的想像力

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    タイトルから小説と思っていたが、評論であった。大学での授業をもとにして議論を進めたと書かれている。様々な小説、ヘミングウェーの小説の問題点も指摘している。アメリカ文学を卒論で扱うときには必須の本であろう。解説が1/4以上を占めているし、本文も140ページしかないので、解説から読むのもいいと思われる。

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    2023年10月19日
  • ビラヴド

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    ネタバレ

    奴隷としての厳しい生活の過去、亡霊ビーラブドととの毎日、最後は社会へのつながりを持とうとする
    デンヴァーを描く。とても長い物語だが読み切った。一回読んだだけではこれまた解読できない。

    ■第一部(〜P.336)
    セサの母、ベビーサッグズの死、セサの息子二人は既に家出、かつて一緒に奴隷として働いていたポールDがある日18年ぶりに現れ同居することになる。
    ■第二部(〜P.477)
    幼児の亡霊ビラブドととの絡み
    ■第三部
    空腹の為、日々の暮らしが苦しくなる中、デンヴァーは、共同体に助けを求める。

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    2022年05月01日
  • ビラヴド

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    読後しばらく放心。
    マジックリアリズムをはらんだ世界観で描きあげる。
    これは、この方法だったからこその迫力。奥行き。
    アメリカという白人が跋扈する土地に染み込む名もなき黒人達の怨念、怨嗟。
    その中で生をつなぐある家族の物語。
    『地下鉄道』ともつながった。

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    2022年02月14日
  • ジャズ

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    ネタバレ

    作品紹介にもあるが、化粧品のセールスマンをやっているジョートレイスが、恋に落ちたドーカスを射殺してしまう。ドーカスの葬式の日にトレイスの妻ヴァイオレットがナイフで切りつける。トレイスは親が赤ん坊を捨てた孤児、ドーカスは暴動で両親が殺されている、ヴァイオレットは、母親のローズディアが井戸に自殺している過去をもつ。登場人物のつらい過去を背景に、お互いの愛を正常に育むことができない。読めば読むほど味わい深い、何度も読み返したい一冊。

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    2022年01月15日
  • スーラ

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    オハイオ州の小さな町、メダリオンが舞台の物語、二部構成、主人公のスーラピース、ネルライトの友情を描く。第一部はネルが結婚する1927年まで、第二部はスーラがメダリオンに戻ってくる1937年から始まる。社会常識的な生き方をするネルと、自由奔放に生きるスーラの対照的な性格のもととなる母、祖母の背景を含め話は展開される。ネルの夫を寝取って、棄ててしまうことからスーラと疎遠になってしまうが、スーラが亡くなる間際ネルは最期に会いに行くが、お互いが理解し合えないまま家を出る。スーラの埋葬式の後、仲のよい友達だったことに気づき号泣する。登場人物が何をもたらしてるのか、また一読するだけでは解読できない深い後味

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    2022年01月03日
  • ビラヴド

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    ネタバレ

    重いかもしれない。のっけからキツい展開が続く。けれど、物語の牽引力がものすごく強くて、ほとんど一気読みのようにして読み切った。
    奴隷制の下では、愛することすら特権になってしまうというメッセージが突き刺さる。
    自分の子どもも、伴侶も、友人も、自分の過去も、自分自身の体も、自分の置かれた世界の風景さえも、何もかも愛しすぎないことでしか生き延びられない世界。それが、人間としての尊厳を奪われ、奴隷という動物に堕とされた過去をもつ人々が生きる世界なのだ、ということなんだろうか。
    白人の魔の手から子どもを守るには、子どもを殺すしかない世界って……しかも、実話に基づいて構成されているって……(けど、近いこと

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    2021年12月01日
  • ビラヴド

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    これはすごかった。一文一文が読み流せない濃密さで、読むのに時間と体力が必要だった。私にとってこれまでで今年一番の作品かもしれない。なんかもう下手な感想書けません。母親の愛の裏表が濃密に刻まれていて、重く苦しいのに素晴らしすぎる。人種差別は、極端に聞こえるかもしれないけれど、これまで読んだ人種差別の物語のいくつかが、甘やかなロマンに仕立て直されていたのかと思わされるほど苛烈な物語だった。命の帰るところと生まれ来るところの闇。
    あとがきにあるように、「見つめたくない、知りたくない、伝えたくない」と、「見つめなければならない、知らなければならない、伝えなければならない」のリフレイン。フラナガン「奥の

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    2019年08月24日
  • ソロモンの歌

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    長らく積んでいたが、モリスンを悼んで読んだ。もっと早く読めばよかった。肉体の生死とはべつの「生きること」とは何かを問うている物語のように読んだ。

    父を崇めて父親が失ったものを埋めるために必死で金やステイタスを求めるメイコン、おなじく父親からうまく離れられなかった母ルースの元に生まれたミルクマンは黒人でありながら裕福であるために属するところがあやふやな主人公だ。叔母であるパイロット、友人のギター、愛人のヘイガーなど、周囲の人たちとの関わり方、遅かりし自立の旅。成長物語という事もできるかもしれない。
    ミルクマンの青臭さや至らなさは、誰もが心の中に持っているもので、差別や社会的な不公正を扱いながら

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    2019年08月17日
  • ソロモンの歌

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    最近読んだ「青い眼がほしい」が良かったので、同じトニモリスン著のこの本を読むのも楽しみだった。とても読み応えのある本でした。ミルクマンと呼ばれる少年が成長し、ひょんなきっかけから自分のルーツを知っていく。当時のアメリカでアフリカンアメリカンたちがどんな生活をおくっていたのかも伝わってきて、その場にいる気分になるくらいストーリーに入り込めます。
    この本オバマ前大統領が人生最高の書に挙げたそう。

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    2019年07月11日
  • ラヴ

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    「スーラ」とよく似ている、女同士の友情を綴った物語。それは、爽やかな心ではない。憎しみの上に、苦しみの果てに、悲しみの中に。
    深い傷が膿まなくなった頃、その傷跡をいとしく指でなぞることができるだろうか。

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    2009年10月04日