トニモリスンのレビュー一覧

  • 青い眼がほしい

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    万人にはお薦めできないが、人間と人生のネガティブな側面に正面から向き合えるような、真の意味で勇敢な方々に強くお薦めしたい書籍である。

    登場人物が皆、何らかの(主に人種的な意味で)シビアな闇を抱えている。その闇が詳らかに描写され、そして息つく間もなく事件が続く。

    最も凄惨な目に遭う人物は、間違いなく主人公のピコーラという黒人の少女だ。本人にはほとんど落ち度はない(ように見える)のに、行く先々で様々な悲劇に見舞われる。
    一見悪くないのに不遇な扱いを受ける人物は様々な作家の様々な作品で出てくるが、ピコーラはその極致と呼べそうだ。

    個人的に特に共感したのは、終盤に出てくるあるエセ呪術師だ。彼の歪

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    2025年06月10日
  • 青い眼がほしい

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    比喩が秀逸 母親たちの井戸端会議を、「少しだけ意地悪なダンスみたいだ」とするのハッとした

    「どうやって」をいろんな人の視点から描くことで、「どうして」を考えさせる、お手本のような作り方だと感じました

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    2025年03月16日
  • 青い眼がほしい

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    醜いと思っている黒人の少女ピコーラとその周りにいる2人の姉妹。秋から次の夏までの少女たちを取り巻く変化と何かの象徴の物語。ピコーラの妊娠やその父母の悲惨な生い立ち、ネグレクトや近親相姦などの虐待どんどん暗い方向に進む物語の青い眼への希求と変身。妄想?精神の崩壊?全てが悲しい。

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    2025年03月11日
  • ビラヴド

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    ネタバレ

    黒人奴隷の物語と聞いて想像したよりもずっと濃い生命と感情が渦巻き、押し寄せ、翻弄されるような読み心地。知識として知っている悲惨さを、そういうことじゃないんだと思い知らされる。
    波動が激しすぎてクライマックス?は精読できなかった。作者の意図を完全に理解できたわけではないと思う。それにしても、情念に圧倒されるような物語であった。
    全編がスピリチュアル設定を前提にしているけれども、事実とそこから沸き立つ心情をリアルに描き、この人々にはスピリチュアルも一体の現実なのだと思う。

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    2025年03月10日
  • 青い眼がほしい

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    終始重苦しい気持ちで読んだ一冊です。
    ただ、今この瞬間にも人種差別であったり、本人の力だけではどうにもならないところで生きている人たちがいる、ということから目を背けてはならないという戒めのような作品だと感じました。
    風景描写や家具のソファについて細かく繊細な記載があり、翻訳の関係もあるのか外国の小説はこういったタッチで描かれるものなのかな、と新鮮でした。
    みんな一生懸命に生きている。その姿は無条件に美しい。

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    2025年01月21日
  • 青い眼がほしい

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    弱者の中にある、さらなる弱者への差別。不幸の連鎖(親の貧しさ、親に育児放棄された親など)。
    すごく読みづらい、世界観に入り込むのに苦労はしたものの、ピコーラの身に起こった悲劇が今も続いていることを思うと切なくなる。青い眼、眼というよりも「青」の象徴するもの、聖母マリアの色、白色人種の瞳などいろいろあるかもしれないが個人的には聖母の象徴のように思えた。苦しみの中で縋る存在、生きる寄す処、それが「青」い眼なのかもしれない。

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    2024年11月27日
  • 暗闇に戯れて 白さと文学的想像力

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    都甲先生が訳していたので。
    ブロティーガンやブコウスキーを読んだ時からの何となくの直感だけど、アメリカ人の抱える悲しみは絶対日本人のそれに通底するところがある。
    被差別階級を非人間的な存在として苦しみから逃れるとか、いやもっと言語的なレベルで…
    本編もよかったけど、先生の解説だけでもかなり読む価値がある。今まで白人が差別してきた人々が自由を獲得し、境界線を侵犯してくるのではないかという不安を描く上でゴシックロマンスという形式が最適であったとか、「中立的」「科学的」言説と人種主義の強い力だとか。
    ヘミングウェイと看護師もフェミニズム的に読むと面白そう。白人が白人ぽさを出すために髪を染めるとか、す

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    2024年10月01日
  • 青い眼がほしい

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    土地に、暮らしに染みつき終生その生を縛り続ける差別。悲しみの果てにこぼれ落ちたその願い。つらい。
    黒人差別が“当たり前“に横行していた時代の暮らしが悲しい。

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    2024年08月15日
  • ビラヴド

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     語りたいと思いながらも同時に思い出したくない出来事。そのような経験をした者の右往左往する心情がとても丁寧に描かれていた。いざ語りを始めるとあるところまでは語ることができる。その場では語ることができた満足感を得るが、いざ夜に1人になってみた時、得体の知れない化け物が人々を襲う。  

     本作では回想が多く挿入されているが(それが大部分であり重要であるのだが)、その回想は積極的に語ろうとするものと、ふと嫌な記憶を思い出してしまう2点があるように思われた。

     形式が断片的な語りであるため、ストーリーを追うのが割と大変だった。

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    2024年03月16日
  • 暗闇に戯れて 白さと文学的想像力

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    ネタバレ

    大学の講義を元にしたもの。なので専門的で分かりにくい。だが言わんとするところは今となっては当然と思われること、アメリカの移住者の自由のために黒人は作られたのだ。
    訳者の解説が丁寧でかなり理解の助けになった。

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    2023年11月28日
  • スーラ

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     トニ・モリスンは非常に読みにくい。主語と述語がかみ合っていなかったり、目的語がなかったりで意味がとれないところも少なくない。ストーリーも追いづらい。それなのに、読む者の胸に何かを残すことができる。一流の作家だと思う。読後感はジブリ映画を見た後に近いものがある。

     スーラは常人の社会規範とはズレた感覚の持ち主である。友人を守るため、自分の指を切り落とすことも辞さない一方、友人の夫を寝取ることも厭わない。スーラが老いた祖母を追い出し、奔放に振舞うのを見ると、町の住人は急に自分の不道徳を顧みて良識を持つようになる。自分はスーラ的ではないと証明するように。

     スーラは自分の思い通りに振舞っている

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    2023年08月06日
  • 青い眼がほしい

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    白人思想に覆われた日常に、白い肌や青い眼であれば自分も自分として愛されるのか?という黒人少女の純粋で真っ当で身を切るような願い。
    自分たちが劣っているとされる、値打ちがないとされるとしても、同じ黒人のモーリーンは「かわいい」。彼女を美しくしているものを憎むべきだ、という観察眼の鮮やかな切れ味が随所に描かれ、堪能した。現実の根深さに心をえぐるような小説だけど、決して読むのを諦めたくなるようなものではなかった。
    日を跨いで読むよりも一気に読むのがおすすめです。

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    2022年12月09日
  • タール・ベイビー

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    ネタバレ

    そもそも恋愛とは、異文化のすり合わせとも言える。
    生まれた場所も価値観も、培ってきたものも異なる2人が出会い、それをすり合わせる。互いの文化を受け入れてより良い関係になっていくか、それとも受け入れられずに別の道を行くことになるか。それは国や肌の色が同じだろうが違っていようが、必ず起こってくる。
    しかし、白人の富豪の庇護のもとソルボンヌ大を卒業してモデルをしている娘ジャディーンと、黒人だけの小さな町で育ったサンとの文化の違いは、乗り越えることが出来るのだろうか。

    帯の「別世界で育った男女の、激しい恋のゆくえ」というフレーズに誘われて読むと、手痛いしっぺ返しをくらう。激しく燃える甘々の恋愛小説を

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    2022年11月19日
  • 青い眼がほしい

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    西加奈子がどこかで激推ししていた本作。
    冒頭の「秘密にしていたけれど、1941年の秋、マリゴールドはぜんぜん咲かなかった。」の文を読んで稲妻が走ったと話していたが本当に吸い込まれるような冒頭。
    黒人の被差別、黒人間の差別については描き方や起きている現象は全く違うが映画グリーンブックと似たテーマだなと感じた。黒人だからと言って、一枚岩なわけではなくむしろ、黒人にも白人にも除け者にされる人生。原題のthe bluest eyesを「青い眼がほしい」と訳したセンスには脱帽。
    個人的には色や温度の感覚を伝える描写が美しくて好きだ。
    「だから、チョリーがやってきて、わたしの足をくすぐったとき、それはちょ

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    2022年07月29日
  • ビラヴド

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    アフリカ系アメリカ人作者による小説。
    幽霊屋敷に住む母娘のもとに、昔の農場で同僚だった男、次いでビラヴドという娘が訪ねてきて、各人の過去の事情が徐々に明らかになっていく。
    面白いけど、エピソードが重たい。

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    2022年04月09日
  • 青い眼がほしい

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    文体は比喩が長く、読みにくさがあるが、わたしたちの固定観念を見事に払いのける強さがある。
    淡々と語られる日常は、祖先から受け継ぐ圧倒的な強さに基づく諦念を浮き彫りにする。

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    2022年04月07日
  • 青い眼がほしい

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    「秘密にしていたけれど、一九四一年の秋、マリーゴールドはぜんぜん咲かなかった。あのとき、わたしたちは、マリーゴールドが育たないのはピコーラが父親の赤ん坊を宿していたからだと考えていた。」

    最初の章のこの冒頭からもう心を鷲づかみ。トニ・モリスンの文章は歌うような美しさがあります。

    青い眼がほしいと祈る黒人の少女ピコーラ。黒い肌に青い眼、それが美しいと思ってしまうピコーラ。彼女がかわいいと思うのはシャーリー・テンプルのような少女。

    たいして語り手であるクローディアは、大人たちがくれた白い肌、金髪で青い眼のベビードールをばらばらにこわす。
    (黒人の女の子に金髪で青い眼の人形をあげるってよ

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    2022年03月09日
  • 青い眼がほしい

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    ネタバレ

    著者の作品はこれで2冊目。
    これYAにあったけどYAは不相応。
    なぜならば性的表現がきついのと
    ライトに収めているけれども近親相●がでてきます。

    ただし、そこまで重いわけではないです。
    なぜならばあからさまに登場する人物を
    批判するわけではないから。

    主人公の子は黒人の子だったもの、
    ピコーラのようにはなりませんでした。
    それは不条理なことをする白人に怒り
    マウンティングする子たちにくみしないことから
    理解できることでしょう。

    でも、ピコーラはこれらの人種差別の
    犠牲者ともいえるのです。
    肌の色が批判対象でなければ…
    そしてその目すら…
    考えさせられることは多いはずです。

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    2020年12月19日
  • 青い眼がほしい

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    変わった構成を持つ小説。

    1941年、オハイオ。
    太平洋戦争に参戦し、アメリカ社会も高揚する頃。
    恵まれない家庭環境で育つピコーラが、父に犯された上、心が壊れてしまうという悲劇を描く。

    黒人社会の中で、ピコーラのように、より「醜い」とされる者と、そうでない者とに分かれる。
    人種への蔑視が内面化されている。
    (そして、それは私たちにも身に覚えのある感覚だ。)
    追い詰められていく中、「青い眼が欲しい」と願い続けるピコーラの姿は痛ましい。

    最初、近所の少女、クローディアを通して、ピコーラたち、ブリードラヴ家のことが語られる。
    しかし、視点はやがて母ポーリーン、父チョリーに移り、彼らがどんな関係

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    2020年12月02日
  • 青い眼がほしい

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    アメリカにおける白人から虐げられる黒人の生活及び黒人同士のヒエラルキーによる差別も書かれていて、物語の多くの部分の語り手は、まだ未熟な少女なので余計に人間の生々しさが際立つ。
    ピコーラがなぜ青い目を欲しがったのかはよくわからなかった。

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    2020年11月07日