無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで200万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
これはすごかった。一文一文が読み流せない濃密さで、読むのに時間と体力が必要だった。私にとってこれまでで今年一番の作品かもしれない。なんかもう下手な感想書けません。母親の愛の裏表が濃密に刻まれていて、重く苦しいのに素晴らしすぎる。人種差別は、極端に聞こえるかもしれないけれど、これまで読んだ人種差別の物語のいくつかが、甘やかなロマンに仕立て直されていたのかと思わされるほど苛烈な物語だった。命の帰るところと生まれ来るところの闇。
あとがきにあるように、「見つめたくない、知りたくない、伝えたくない」と、「見つめなければならない、知らなければならない、伝えなければならない」のリフレイン。フラナガン「奥のほそ道」を読んだ時を思い出した。
母乳も血から作られるんだよな、と思ったり。
これ絶版になっているけど、モリスンを悼んでぜひとも重版をお願いしたい。
Posted by ブクログ
黒人女性初のノーベル文学賞を受賞し、ピュリッツァー賞も受賞しているトニ・モリスン氏の代表作。
ここに描かれるのは奴隷制度時代の黒人たちの過酷な環境とそれを端とした母娘の壮絶な過去の出来事。表題「beloved(最愛の)」は逆説的であり、視点や時制を目まぐるしく切り替えながら語る物語は敢えて読者を混乱させ、その混乱は奴隷たちの記憶錯誤であり、自己の存在意義への投げかけにも通じる。本作品の根底には愛とアイデンティティがあり、モノや動物と同等の扱いを受けた彼彼女らの尊厳と平等の再生の物語である。
本書の訳者吉田氏のあとがきが大変よく、作品の理解を深めるため、モリスン氏への的確なインタビューを積極的に試みている。そのなかで、作中レフレインする「pass on」という言葉には「伝える」と「無視する/忘れる」の相反する意味が取り上げてれている。奴隷制度という失策に対して黒人の立場で、当事者としての忘れたい過去、継承者としての伝えるべき過去、両面の矛盾する、しかし両生する複雑な想いを言い表している言葉だと感じる。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。