トニモリスンのレビュー一覧

  • 青い眼がほしい

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    想像を絶する黒人奴隷制度。その時代を生きた先人、その子、孫世代に受け継がれている様々な悪影響、思想等。そのような大人たちの振る舞いの中、若い未来のある世代が試行錯誤して自分の人生を生きていく。自分を守り、過去を受けとめ、強く生きなければならない。

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    2026年07月17日
  • ビラヴド

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    逃亡奴隷による子殺しという歴史上の実話をもとにした創作。黒人が白人に自由を奪われ、金銭で取り引きされ、暴力を振るわれていた時代に、トラウマを負うことなくして生き延びられなかった人々を描いている。そして、それは幽霊譚のかたちを取って語られていく。厳しい差別と抑圧の現実に傷ついた人々の心は強迫観念につきまとわれることなしには生きていけないのだ。しかし、これはたんに絶望的なだけの物語ではない。彼らが自らの恢復力によって時間をかけて負の体験と記憶から自分たち自身を解放し、魂を癒していく物語でもある。

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    2026年03月30日
  • ビラヴド

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    とっつきは悪いが読んでいるうちにだんだん引き込まれる小説。
    南北戦争前後の黒人社会の話。幽霊が絡む心霊的なものは苦手なのだけれど、それを越えて読ませる面白さがある。

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    2026年03月26日
  • レシタティフ

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    黒人と白人の女の子が主人公。まるで塩と黒胡椒といわれる同室の2人だが、どちらが塩でどちらが黒胡椒かが最後までわからない。人種を特定できる要素が巧妙に消し去られていて、それでも物語が成立するところにトニ・モリスンの真骨頂を感じる。

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    2026年03月07日
  • 青い眼がほしい

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    愛は、けっして愛する者以上にはならない。よこしまな人々はよこしまに愛し、はげしい人々ははげしく愛し、弱い人々は弱々しく愛し、おろかな人々はおろかな愛し方をするが、自由な人間の愛が安全なことはかつてない。愛する相手に捧げる贈りものがないからだ。愛する者だけが、愛の贈りものを持っている。愛される者は、愛する者のぎらつく内なる眼の光のなかで、裸にされ、無力にされ、凍らされる。

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    2026年02月21日
  • レシタティフ

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    読みながら不安定な気持ちになる。
    トワイラとロバータ、どっちが白人? 黒人?
    それは最後まで明かされない。
    もちろんそれが著者の狙い。偏見を招く構造への疑問。
    そして施設での彼女らより「下」の位置にいる、施設で働くマギーはたぶん障がい者。これもまた二項対立。
    全編示唆的なストーリーで、メタファーかなと思わせる会話や表現が山盛りもり。

    作品自体は短く、大きめの字で56ページ。
    それとほぼ同量(以上?)のゼイディー・スミスによる序文「実はあの中にちゃんとした人間がいた」があって、内容的にネタバレになるので、作品の後に移されている。
    これがまた深い考察で素晴らしい。

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    2026年01月15日
  • ビラヴド

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    シーンの切り替わりが多く、読みにくい部分はあるが、後半は流れるように読める。

    過去を背負いながら、これからをどのように生きるのか。過去との繋がり、現在の繋がり、その結節点にいることを強く感じた。

    アメリカの歴史に興味を持つきっかけになった

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    2025年08月31日
  • ビラヴド

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    ネタバレ

    読み応え抜群の小説。一行一行をじっくり味わいながら読み進めるにふさわしい作品である。
    主人公は、奴隷として働かされていた農場から逃げ出してきた黒人たち。登場人物たちはそれぞれ、思い出したくない過去を抱えている。基本的には時系列で進むが、過去の出来事は彼らの回想の中で少しずつ明かされていく。

    主な登場人物は、4人の子を産んだセサ、その末子デンヴァー、セサと同じ農場で働いていたポールD、すでに亡くなっているセサの義母ベビー・サッグス、そしてデンヴァーの姉であり幼くして命を落としたビラヴドである。ほかにも、セサの夫ハーレ、奴隷仲間のシックソウ、逃亡を助けたスタンプ・ペイドとエラといった印象的な人物が登場し、それぞれのエピソードが重く心に残る。

    タイトルにもなっているビラヴドの死は、セサの過去に深く関わるある行動の結果であった。その過去の過酷さを物語るには十分すぎるほどの説得力がある。名付けたわけではなく墓石にそれしか彫れなかっただけなのだが、その子はちゃんと「愛されし者」と呼ばれるようになった。

    物語の終盤、ビラヴドは再び姿を消す。しかし残されたデンヴァー、セサ、ポールDそれぞれに未来への希望が見え、救いのある結末を迎える。特にデンヴァーの成長が印象的だった。

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    2025年08月16日
  • 暗闇に戯れて 白さと文学的想像力

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    ネタバレ

    やさしく持論を説明してくれることはなく、非常に難解なので、訳者解説にたいへん助けられる。しかし、モリスンは「アフリカニズム」「ロマンス」などのことばを使って難解な理論を提示するに終わらせず、テクスト読解を実践するそれを読むと、読者はモリスンの言いたいことが具体的に理解できるようになる。すなわち、白人男性中心主義をあぶり出すべく、モリスンがトウェイン、ヘミングウェイなどのテクストを読解して見せるくだりはたいへんスリリングである。

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    2025年07月30日
  • ビラヴド

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    白人にとって、奴隷は人じゃない。資産であり、労働力であり、獣だったんだな。本当に怖いな。
    読むのに時間がかかった。構成やキャラ設定の緻密さにびっくりする。小説として面白い。奴隷制やアメリカ文化に親しみがあればさらに面白いと思う。

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    2025年07月26日
  • ビラヴド

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    読むのきっついなぁと思いながら読んでいると、後半にかけてバーっと視界がひらける。そりゃノーベル賞取るわ。ものすごい才能だね。

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    2025年07月05日
  • ビラヴド

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    ネタバレ

    誰にも話せない(話したくない)過去を持つセサとポールD、母親への気持ちが絶えず変化するデンヴァー、謎の存在のビラヴド、全ての登場人物の心理描写がとても丁寧だった。
    また、徐々に過去が明らかになっていく構成が見事で、とことん引き込まれてしまった。
    奴隷制度を扱う作品はたくさんあるけど、本作を唯一無二にしているのは、やはりビラヴドの存在だろう。幽霊なのか、何者なのか?最後の最後まで読み応え抜群だった。

    結局、誰しも過去を忘れることはできないけど、前を向いて生きていくしかない。そのためにも、まわりの人々と助け合っていく必要がある。
    まだまだ黒人差別が残るアメリカにおいて、もっと多くの人が本作を読んで、あらためて自国の歴史について再考すべきだ。

    セサがどんどんビラヴドに沼っていき、生活がめちゃくちゃになっていく様の描き方もとてもリアルだった。その後の、デンヴァーが母親への愛を取り戻して、地域社会との連帯を強めていく描写にとても感動した。そして、最後のセサとポールDのやりとりは、本当に泣きそうになった。

    最後はあえて、「これは人から人へ伝える物語ではないのだ。」と訳されており、物語の凄惨さを際立たせている。もちろん、僕たちはこの歴史を語り継いでいかないといけないのだが。

    アメリカの奴隷制度を題材にした様々な作品を読んできたが、ここまで文学的な美しさを備えている作品は初めてかも。個人的には最高傑作。
    随所にトニ・モリスンの思いやメッセージが散りばめられており、胸を打たれた。
    作品全体の構成・文体・情景描写・翻訳も非の打ち所がなく、文句なしに黒人文学の最高到達点といえるだろう。

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    2025年05月01日
  • 青い眼がほしい

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    ネタバレ

    言葉が出ない。重たい作品だが、日本文学と異なる点も多くあり、学びになった。感情移入すると、無理だ。読めない。
    あれは何を示す?これは何を示す?というテキストに対する疑問が多く湧いてくる…。
    そういう話を抜きにするなら…。青い眼を求め狂っていくピコーラだが、クローディアたちも同じ黒人である。ニグロ、という枠をどこに当てはめるか…。対比によってのみ生きていく価値観、そこに黒人への差別が投影されているのか…。
    何度も読みたい作品である。

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    2025年02月11日
  • スーラ

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    ネタバレ

    フォークナーのヨクナパトーファ・サーガに通じるものを感じた。善悪がテーマであり、スーラがいわゆる悪女のキャラクターである。スーラは背徳、性的放縦、裏切りに生きるけれど、それらを反省して悪だと考えることはせずに、その果てに自分が何かに、誰かに愛されている、誰かとの友情が成り立つと実感できると考えている。いわゆる毒母に育てられると、自己肯定感が低く、愛情に飢えた子に育つ。そうなるに当たっては、社会的に差別された黒人の貧困、野蛮も当然関係しているのだろう。

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    2025年01月30日
  • 暗闇に戯れて 白さと文学的想像力

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    そうか、わたしはアフリカ系の人が書いた本を読んだことがないんだ。
    いままで意識していなかったけど、本書を読み進めるうちに気がついた。

    「奴隷たちの心や想像力や振る舞いに目を向ける学問には価値がある。けれども、主人たちの心や想像力や振る舞いに人種のイデオロギーがどんな影響を与えたかを見ようとする本気の知的努力にも、同様に価値がある。」

    モリスンは「白人男性至上主義」「進歩史観による人種主義」これらで構築された、普遍的な価値が評価する、アメリカ文学を「黒人奴隷が白人アイデンティティに与えた影響」として、ヘミングウェイやハックルベリーフィンの冒険を例に具体的に考察している。

    黒人たちは、強制的にアフリカから連れてこられたにもかかわらず、白人の自己保身のために動物的な階級へ格下げされ、人間的な意思疎通の可能性を閉ざされ、呪物化されて恐れられ、白人たちの醜さを投影され、貶められた。

    当事者側からなされたこうした指摘や考察は、今後あらゆる分野で必要になってくることだろう。
    ジェンダー、フェミニズム、貧困格差。
    当事者の視点を受け入れなければ、それはいつまでも前時代的な何かのまま、止まってしまう。

    本書を読んでいる最中、偶然、日本の音楽グループがMVでコロンブスとナポレオンとベートーヴェンに扮して、新大陸発見と類人猿との踊りを演出し、炎上したというニュースがあった。
    知らないということがどういうことなのか。
    それを改めて知る良い機会となった。

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    2024年06月17日
  • タール・ベイビー

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    女性ノーベル賞作家の四作目。
    白人の庇護を受けて育った娘と、黒人だけに囲まれて育った青年。男女の心の葛藤が良く表現されている恋物語…などという単純なものではなかったです。

    文化的に異なる環境で育ったが故に、娘は相手を辛辣な言葉で非難したり蔑んだりしてしまいます。相手にも育ってきた環境や世界観があるなかで、白人世界で育ってきた価値観を振りかざし、ただ自分に迎合させようとするのは、いかがなものかと考えてしまう。そういった相手を尊重しない文化的な軋轢を男女関係を使ってよく表していると思います。しかも、それを白人と黒人ではなく、黒人同士で描き切っているのですから。

    ただ、この小説は読書初心者や海外文学に不慣れな人は、読まない方がいいでしょう。いきなり人名が出てきて「この人誰?」となったり、延々と名前のわからない誰のことを言っているのだろうと思っていると、100ページ近くも読み進めてから、やっとその人の人名が書かれていたりします。集中して読書に没頭する時間が確保できないと、頭が浦島さんになってしまうかもしれません。エンディングもはっきりしないので、その辺りが気になる人には向かないかもしれないですね。

    自分は、ハッとするような言葉もあり、読んで良かったと思っていますが、540ページもある本なので、注意点として書き記して置きます。

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    2023年12月09日
  • 暗闇に戯れて 白さと文学的想像力

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    タイトルから小説と思っていたが、評論であった。大学での授業をもとにして議論を進めたと書かれている。様々な小説、ヘミングウェーの小説の問題点も指摘している。アメリカ文学を卒論で扱うときには必須の本であろう。解説が1/4以上を占めているし、本文も140ページしかないので、解説から読むのもいいと思われる。

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    2023年10月19日
  • 青い眼がほしい

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    デビュー作?
    とんでもない作品だ。
    比べるべき作品は、『苦海浄土』しか思い浮かばない。

    差別を僕らはある決まった物語の尺度でしか見ていなかった。

    その奥底、本当の意味をトニ・モリスンの言葉、表現で初めて知る。しかし、それは序の口という印象だ。悲惨に底はない。

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    2023年08月22日
  • 青い眼がほしい

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    文章の素晴らしさに驚いた。「秘密にしていたけれど、1941年の秋、マリーゴールドはぜんぜん咲かなかった」「秘密にしていたけれど」の言葉の意味が持つ親密さ、打ち明け話、信用、このニュアンスが持つ子供の無垢さ。それが差別、暴力の助長につながる。そこをとてもうまく同居させている。

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    2023年05月18日
  • 青い眼がほしい

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    読んだ本は1994年6月30日初版発行の早川書房の本、黒人女性だから書ける本、深く重い印象、ピコーラと言う黒人の女の子の名前が記憶に残る、著者と訳者が1931年の同年生まれ。

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    2023年01月30日