あらすじ
彼女が「レシタティフ」を「実験」だと言うなら、本気でそれを意図しているのだ。その実験の被験者は読者である――
施設で同室になったトワイラとロバータは、白人と黒人の二人組で「塩と胡椒」と呼ばれていた。 月日が経ち、二人はダイナー、スーパー、デモ集会、レストランで四度再会する。 二人が共有する記憶と彼女たちについて、何が正しいのだろうか?
ノーベル文学賞作家、トニ・モリスンが唯一書き残した実験小説。
大好評「I am I am I am」シリーズ第五弾。解説:ゼイディー・スミス
二人の少女はこの世の誰も知らないことを知ってた――質問をしないこと。信じなきゃいけないことは信じること。
ずけずけと訊かずに広い心で接するのは、気遣いでもあった。
あなたのお母さんも病気? ううん、一晩中踊ってるの。
ふうん――そして、わかった、といううなずき。(本文より)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
黒人と白人の女の子が主人公。まるで塩と黒胡椒といわれる同室の2人だが、どちらが塩でどちらが黒胡椒かが最後までわからない。人種を特定できる要素が巧妙に消し去られていて、それでも物語が成立するところにトニ・モリスンの真骨頂を感じる。
Posted by ブクログ
読みながら不安定な気持ちになる。
トワイラとロバータ、どっちが白人? 黒人?
それは最後まで明かされない。
もちろんそれが著者の狙い。偏見を招く構造への疑問。
そして施設での彼女らより「下」の位置にいる、施設で働くマギーはたぶん障がい者。これもまた二項対立。
全編示唆的なストーリーで、メタファーかなと思わせる会話や表現が山盛りもり。
作品自体は短く、大きめの字で56ページ。
それとほぼ同量(以上?)のゼイディー・スミスによる序文「実はあの中にちゃんとした人間がいた」があって、内容的にネタバレになるので、作品の後に移されている。
これがまた深い考察で素晴らしい。
Posted by ブクログ
ノーベル文学賞受賞作家の
唯一の短編にして実験小説
読者は例外なく、半強制的に
ある実験に参加させられる
そうしなければ
読み進められないからである
そのとき、一体何が起こるのか?
ある二項問題について
己の潜在意識が明確に浮かび上がる
例えば、アメリカなど
今なお根深く残る国の人々ほど、
より鮮明に浮かび上がる
また、別の国の
二項問題に置き換えても成立する
それは日本も例外ではない
本編は50頁ほど
行間も空いてるから、すぐ読み切れる
残りは解説やあとがき
それらを読んで、より深く
著者の伝えたかった事が理解出来る
非常に密度の濃い作品
Posted by ブクログ
完全な早とちりなのだが、カバーの折り返しを見て、2人の少女の名前を順番に白人黒人として読み始めたものの、途中頻繁にわからなくなるため、何度も何度も折り返しを見返しながら読んだ。