小野不由美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
予備知識なしで何となく読み始めた十二国記シリーズ。日本人作家のファンタジー小説で異世界転生ものは全く読む気はありませんでしたが、勝手な先入観を覆す面白い作品でした。
描かれている出来事は確かにホラー要素があるファンタジーですが、非現実的な出来事に翻弄される、広瀬を含めた高里周辺の人の心理描写は、ファンタジーではなく、現実世界に生きている人が異様な事に直面した際の様々な感情や思惑が丁寧に書かれており、読んでいて楽しい部分でした。
この後シリーズを読み進めていますが、異世界での話しであっても、人の欲望、嫉妬、怨みといった醜さをこれでもかというくらい描かれており、それは世界の中で唯一イノセントな存在である麒麟でさえも逃れられない宿業なのかとも思えます。
シリーズ未完なので、この先登場人物達がどこに向かい、何を選択するのか?
作中の混沌とした世界の有様をどのように昇華させるのか?
物語の続きを楽しみたいです。 -
Posted by ブクログ
小野不由美さん著書、『営繕かるかや怪異譚』。
【あらすじ】
住人を悩ませる不可解な現象に対し、営繕屋の尾端が家の修繕を通してその原因と向き合い解決に導いていく。古い家や住まいにまつわる怪異を描いた全6篇の怪談短編集。
【感想】
本作で印象的なのは、怪異を必要以上に恐ろしく演出しない小野不由美さんの文体であり、淡々とした日常の中に不可解な現象を描くことで、派手さのない静かな恐怖がじわじわと迫ってくる表現力は魅力である。
各篇では、住人を悩ませる怪異に対し、怪異の原因や、そこに至るまでの真実が少しずつ明らかになっていく構成。
怪異をすべて悪意あるものとして捉えるのではなく、そこに隠された人の思いや悲しさを知ることで、その存在に現実味が帯びてくる。それもまた、本作における一つの恐怖として印象に残った。
本作の中でも「異形の人」と「檻の外」は、怪異そのものを恐れるのではなく、そこに至るまでの存在自体に恐怖の視点が変わっていく点が、切なさを感じさせる一方で、怪異そのものの見え方まで変わっていく二篇だと感じた。
怪異を単純に「祓うべきもの」として描いておらず、解決策として受容するといった形で向き合う部分も本作ならではの魅力の一つではないだろうかと思う。
直接的な恐怖ではなく、怪異が生まれるまでの因果関係を描くことで見えてくる恐怖をぜひ感じて欲しいと思いおすすめしたい。 -
Posted by ブクログ
『十二国記』シリーズの一冊。シリーズものではあるものの、先に読んだ『月の影 影の海』との直接的なつながりはそれほど感じられず、むしろ2作品を読むことで、少しずつこの物語の世界観が見えてきたように思う。
独特の設定や言葉が多く、最初は「この世界はどうなっているのだろう」と戸惑う部分もあったが、読み進めるうちに十二国という世界の仕組みが少しずつ理解できてくる。その意味でも、物語だけでなく解説までしっかり読むことで、著者が描いている世界と、自分が読みながら受け取っていた世界観との微調整ができたように感じた。
息もつかせぬ展開で一気に読ませるタイプの作品ではないが、読み終えると不思議と「次はどんな物語なのだろう」と気になってくる。まだまだ知らない国や人物がたくさんいるこの世界を、もう少し覗いてみたくなる一冊だった。 -
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『潰える』をテーマに、最恐の執筆陣が書き下ろした短編ホラーアンソロジーです。
今回の収録作品は、澤村伊智:ココノエ南新町店の真実、阿泉来堂:ニンゲン柱、鈴木光司:魂の飛翔、原浩:828の1、一穂ミチ:にえたかどうだか、小野不由美:風来たりて。それぞれの作者によって全く異なる色合いのホラー小説が展開される。
アンソロジーということで、未読のホラー作家さんの開拓の意味も含めて読んでみましたが、本来私は大層な偏食家だったことを思い出したという感じでした。全編頑張って読みましたが、鈴木光司さんの『魂の飛翔』は一読ではうまく話が理解できず、今一怖さを感じられませんでした。
今作品集で怖い!でも好き!と思うのは断然小野不由美さんの『風来たりて』でした。営繕かるかやシリーズの短編ということだったので、最後にはきっとなんとかなるだろうと思っていましたが、短編でありながらも流石のジェットコースター展開でした。小野不由美さんのお話は上って上って落ちるジェットコースターのような展開が非常にスリリングだと常日頃思っています。どこまで上るのかもわからないし、落ち始めたらどこまで落ちるかもわからない。周りの風景が事細かに描写されるからこそ上っている間も落ちている間も怖い。そんなお話でぞわぞわとした恐怖を丁寧にすり込んで下さるのが、怖いのですが大好きです。
このようなアンソロジーを読んでみるのも、読み口を変えるという意味ではいいかもしれませんが、今回は新規開拓には至りませんでした。またどこかのタイミングでチャレンジしたいと思います。 -
Posted by ブクログ
キダンヒャッケイと入力すると「奇談百景」と変換された、でもこの本は「鬼談百景」という題名になっている。恐怖小説というなら鬼になるのか、と変なところで納得した。
作者の要請に応えて読者から寄せられた恐怖体験談ということになっている。
よくある心霊現象が、怖い。
恨みつらみによる霊現象、憑依、金縛り等々だ。
こういうこともひょっとしたらあるかもしれないと思うが、心理現象など微塵も体験がなく特に霊視もきかず特殊感覚も持たない私は、他人ごとにして読む。
もし体験したら、即死かなー。日が暮れた後、逢魔が時から百鬼夜行の刻にでもなると、蚤の心臓で読むのは冒険だ。
覚えもないままに誰かに恨まれていたなら、その怨念に瞬殺されるかもと思う。それでも好んでホラー小説を読んだり映画を見たりする。
怖いもの見たさ、恐怖心が底流にあっても、古今東西の恋愛小説のように好きの形はいろいろある。
ぞっとする話は、想像してみるとやはりぞっとして(強調繰り返し)怖い、外国の恐怖映画、霊現象、悪魔憑きや死に神、果てはゾンビや、数えきれない映画を見てきて恐ろしかったし面白かった。そこには吸血鬼もいるし、殺人鬼が活躍する(?)惨殺ものや、超常現象も起きる。
とホラーというものの一角を語ってみるが、この「鬼談百景」はちょっと薄味で、学校や都市伝説と一言で言えるようなものから体験者の幻想だったり、幻聴だったり、読んで目新しく震えあがるような話はあまり収められていなかった。短編だからそうなのかというおちも多い。
ホラー好きは少し見聞きが過ぎて、今や手ごわい。ただ日本特有の、人形や古い家屋、土地にまつわる伝承、見える聞こえる体質の経験談は、むしろその気になれば恐ろしいところもあるが。
昼間にはなんでもない話が夜になると、いわく言い難い恐怖がじわっと迫るような話もある。
後ろに眼がないというのはこういう時いいような悪いような、影ができないほど明るくなった現代はありがたいが、こうなると所謂口伝えの怪談とは別な恐怖が生まれるかもしれない。
体験者の話が集まって「百景」を作っている。
他愛もない、雑談になったが、100の形の違った怪奇現象は、繰り返すが、夜に読むと妄想も膨らんできてちょっと恐ろしかった。
書評でお勧めされた通り次は「残穢」が控えている。題名だけでも期待できそう。
後で調べたら99話だったそうで、怪談の100話は語らないものだそうだ、知らなかった(-。-; -
Posted by ブクログ
上巻に続いて下巻も読み終えた。上巻では何も分からないまま異世界に放り出された主人公が、下巻では自分の置かれた状況や世界の仕組みを少しずつ理解し、自らの運命と向き合っていく。その変化がとても印象に残った。
巷では「ネズミが出てくるまで頑張って読んで」と言われているようで正直、そこまでは物語の世界観を理解しながら読み進める感じだったが、確かにネズミが登場した辺りから一気に話が動き始めた。
そこからは主人公を取り巻く状況が大きく変化し、これまでの出来事がつながっていく感覚もあって、一気に読み進めることができた。最後は一旦の結末を迎えるが、まだこの世界の物語は始まったばかりなので続きを読み進めたい。 -
Posted by ブクログ
ティーン向けのライトノベルに分類される作品のようだが、実際に読んでみると、世代を問わず楽しめる深い物語だった。
主人公が何も分からないまま異世界に放り出され、手探りで日々を過ごしていく。その過程が丁寧に描かれているため、読者も主人公と同じように少しずつ世界のことを理解していく感覚があり、自然と物語に引き込まれていった。
人間の本分とは何か、誰かを信じるとはどういうことなのか、そして信義とは何なのか。物語を楽しみながらも、そんなことを考えさせられる作品だった。ファンタジーという枠に収まらず、人がどう生きるのかを問いかけてくる一冊だと思う。