九段理江のレビュー一覧

  • 東京都同情塔

    QM

    購入済み

    不思議な文章

    不思議な文章で、AIによる回答も多々引用されている。感想を言うのが難しい。言葉を発するときにいちいち「これは言っても大丈夫か?」と考えなきゃいけないのはすごく疲れるだろうな。

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    2024年03月22日
  • 東京都同情塔

    購入済み

    誰が牢獄にいるのか?

    現代の気遣いの文化は良いのだけど、ぶつかり合うことで得られるものが得られなくなるようにも思えてくる。かと思うと、一方で、それぞれの人間が自分のことしか考えない状態が、さらに増しているように思える。マキナはmachineに似た響きを持っている。デウスエクスマキナ。神が流れを思いのままに変える?いや、彼女にはそんな力は無さそうだ。彼女は牢獄にいる。タクトも母との関係が普通ではなく、彼らも同情塔にいる。二つの建築物は性的な一対とも思える。それなのに、人間同士の性的な関係も希薄だ。人間が機械に近づいて、和やかな関係を作れなくなっているようだ。

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    2024年03月02日
  • Schoolgirl

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     『Schoolgirl』も良かったが、『悪い音楽』に登場する音楽教師ソナタのズレが印象的だった。
     保護者を呼んで生徒指導する場面で、その内容をネタにしたラップを考え、教師や保護者から問い詰められたり、合唱コンクールな学級指導で音痴な男子をカバーするために声量をあげることを指導し伴奏者の生徒から反感をかったりと、音楽的才能は優れているのに、あまりにも周囲と噛み合わない感じが、実に面白かった。
     今後の作品にも目が離せない。

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    2024年02月24日
  • Schoolgirl

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    ネタバレ

    表題作『Schoolgirl』の親子は、簡単に病名が付く令和では客観的に診察されたら何かしらの病名が付くのかもしれない。親子関係としてはありふれた現代的な親子で、情報社会に影響を受けまくった活動家もどきの子供っていうのは沢山いる気がする。大抵は予防接種みたいなもので、厨二病の亜種のようなものなのかもしれない。
    『悪い音楽』の主人公は音楽家になっていれば芸術家らしいと称される人物だろう。全てが音楽を中心の彼女が、音楽のために同居人を手放してしまわないことを祈る。登場する女子生徒は、私はめちゃくちゃ苦手なタイプ。なんで女が二股すると男同士が殴り合うんだろうな。二股した張本人を殴るならまだ理解できる

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    2024年02月15日
  • Schoolgirl

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    表題のと、悪い音楽、との二本立てだったが、悪い音楽の方が好み。
    小説というより、現実に近くて面白かった。
    ただ、いつも読みたい話ではないかも。並行して読んでいた別の小説も良かったのに、それの現実離れ感が増してしまって白けるくらい、インパクトはあった。

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    2024年02月10日
  • Schoolgirl

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    ネタバレ

    ⚫︎受け取ったメッセージ
    言葉で表現することの可能性


    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)
    祝・第170回芥川賞受賞
    新芥川賞作家の原点。第73回芸術選奨新人賞受賞作。

    どうして娘っていうのは、こんなにいつでも、
    お母さんのことを考えてばかりいるんだろう。

    社会派YouTuberとしての活動に夢中な14歳の娘は、
    私のことを「小説に思考を侵されたかわいそうな女」だと思っている。
    そんな娘の最新投稿は、なぜか太宰治の「女生徒」について――?

    第126回文學界新人賞受賞作「悪い音楽」を同時収録。


    ⚫︎感想
    2作ともこれぞ純文学という感じで、芥川賞に選ばれてもよかったじゃないか?と思えた。大

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    2024年02月04日
  • Schoolgirl

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    ネットと繋がって自己発信することが当たり前、生まれながらに多様な価値観に触れて生きてきた「娘」と、時代の流れには乗らず「少女時代」から触れてきた文化を大切にしている「母」が対照的に描かれていて、序盤、娘の強さに圧倒されて母の気持ちや境遇を考えるといたたまれない気持ちになるのだが、終盤立場がガラリと変わる。結局、体験せずに見聞きしただけの情報から「自分」を方向付けるよりも、自分の世界にとっぷり浸かって、考え、感じたことの方がリアルで、重みがあって生きた価値観なのかなと思った。
    九段先生は、現代社会に新たに発生した価値観を否定したいわけじゃないのだろうけれど、メスを入れるのが上手いと思う。とてもお

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    2025年12月04日
  • Schoolgirl

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    ネタバレ

    「School girl」、「悪い音楽」の2篇

    「School girl」は太宰治の「女生徒」を踏まえた作品で面白かった。

    「悪い音楽」の方が面白かった。語感が良くて読むのが楽しかった。
    米津玄師に憧れている生徒に米津風作曲のコツでも「レクチャーしてやって、好感度を上げておくんだった」の一節がウケた。

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    2025年11月02日
  • 東京都同情塔

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    インタビュー番組を見て、知らなかった作家さんなんですがやっと読んでみました(書店になかなかなかった)。こういう内容って好き嫌いがはっきりしそうですが、私は好きな方です。
    まずは倫理観を置いておけば、アイデアが面白いと思いました。
    ただもう少し登場人物を膨らませてくれたなら、私は感情移入しやすかったかな。番組で、この本のプレイリストがSpotifyにあると言うので(九段さんが作られた)聴いてみたら、それがなかなか良かったです。読んでいる時に聴くといいかも。

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    2025年10月21日
  • Schoolgirl

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    語感が良くて笑ってしまう。
    一話目の娘と二話目の音楽教師が特に面白い。
    ユニークな登場人物が多いが実在しそうなタイプばかり。
    人を殴るときは床の素材を考えて欲しいとか、口には出せないけれど掃除する側は確かにちょっと思うかも……

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    2025年09月11日
  • 東京都同情塔

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    この本の文章、好きだった。まわりくどいめんどくさい感じの登場人物も好きだし、結局何が言いたいのかわかんない、ちょっと気持ち悪い感じも好き。5年後に読んだらまた別の戦慄走ったりして。示唆回収に恐怖かつ期待。また読もう。

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    2025年08月16日
  • Schoolgirl

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    ネタバレ

    田内学さんが薦めてて読んだ

    グレタさんが娘だったら相当しんどいな
    親に言えないことをyou tube配信しちゃう人いるけど不思議だよな。親が見てるかもしれないのに。
    刀だと切れないけど銃だと撃てるみたいな感じなのか?

    世界が理不尽な殺し合いをしていても助けたいのはお母さんただひとり、なぜ女の子はこんなにもお母さんのことを考えているのか

    泣いた。作者、子供いるのか??

    女生徒を読みたくなった
    ラップ刻みたくなった

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    2025年08月03日
  • 東京都同情塔

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    あるかもしれない近未来

    現代でも耳障りの良いカタカナ語に言葉を置き換える風潮が見られるが、行き過ぎるとこうなるのだろうなと思った。現代的なテーマで考えさせられる一冊でした。

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    2025年07月28日
  • 東京都同情塔

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    さらっと読んだだけでも面白かったが、内容は重層的にいろいろな問題を扱っているようで、じっくり読んで考えたい本だ。
    ザハ案の国立競技場が立っているという設定自体が強烈な印象。
    建築と言葉という二つの大きな題材も、「バベルの塔」で私の頭の中にも一応結びつくのだが、それぞれが大きすぎて私には消化しきれない。
    AIについても同様だ。

    「自分自身が心から同意していないプロジェクトに協力するべきではなかった」と後悔しているところに惹かれてしまった。意にそまない仕事をやり遂げて、「死ね」とか批判されたら、あるいは賞賛してくれている人の方が多かったとしても、どっちにしてもやり切れない。つまりは彼女の言うよう

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    2025年07月28日
  • 東京都同情塔

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    マキナ・サラは最初国籍が分からなかった。マサキ・セトは日本人ぽいけど性別が分からなかった。
    そこら辺に著者のセンスを感じる

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    2025年07月12日
  • 東京都同情塔

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    文章内の、言葉遣いが独特だと思った。読んでいて、著者の思考がそのまま文章として構成されているような感じがした。

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    2025年06月28日
  • 東京都同情塔

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    タイトル深。
    設定がぶっ飛んでるけど、大好き。

    文章が緻密なのに、すごく読みやすくて、すらすらすらすら頭の中で音読されていく。

    これまでの作品(芥川賞受賞作)で、わりかし、考えさせられるタイプだった。

    犯罪者は同情すべきか。
    そうした環境が必ず悪くないというわけではないが、真理を知らず、ただ道徳的に見える行為を積み重ねた先にある世界かと思うと少しゾッとさせられる。

    本当のユートピアとは、神の下の調和と、進歩を兼ね備えた世界だと、知ることが大切なのではないか。

    上辺だけの善意は恐ろしい。

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    2025年06月23日
  • Schoolgirl

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    変人なのに自分が真っ当だと思っている、っていう点で、『成瀬は天下を…』の成瀬もそうなのだが、成瀬はジェダイで九段理江の人物たちはダースベーダーみたいな。
    勝手にそんなイメージ。
    『Schoolgirl』は太宰『女生徒』と対だが、短編のもう一作『悪い音楽』とも対になっている。短編内二作の主人公二人は似ている。対する「娘」と「教え子の女子」も似ている。後者たちは「正しさ」を振りかざし、文学や音楽(といっても高度な音楽)を否定(もしくは理解しない)。前者は敗北者。女の敗北の対として、普通は「権力者=男」みたいな構図で話を進めていく女性作家が多い中で、九段理江は特殊。また自己(=私、あなた)を深追いし

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    2025年05月30日
  • しをかくうま

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    ウマとヒトと言葉と時間がぐわーーと押し寄せてくる本
    分からないままに読んでるとグッと面白くなる
    最後はディストピア的なんだけど、コトバを探す苦しさが伝わってくる
    もう一度最初から読み直したい

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    2025年05月06日
  • Schoolgirl

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    少女と女性
    娘と母
    女生徒とSchoolgirl

    それらの対比で娘と母の関係や女性と世界の関係を描いている傑作。

    太宰治の『女生徒』を中心に母と娘と世界が交わる物語。

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    2025年04月14日