九段理江のレビュー一覧
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「しをかくうま」(九段理江)を読んだ。
ぶっ飛んだよ。 まさに《言葉の魔術師》の降臨であろうか。
ひとと馬と詩の物語。
九段理江さんほど言葉の持つ力を存分に発揮してガツンと読者の頭をぶん殴りにくる作家はそうは居ないね。
彼女には日本語の未来が見えているに違いない。 少し長いけど引用する。 (「東京都同情塔」からも併せて引く)
『とはいえ、一貫性と政治的正しさと共感を集めることに徹した言葉を選んでいくとなると、最後は誰もが同じ言葉を喋る未来しかないんだよね。つまり言葉は死んでいくしかないんだよね。』(本文より)
『言葉は私たちの世界をばらばらにする一方です。勝手な感性で言葉を濫用し、 -
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意味は全然わかんないけど、読んでてとっても楽しい。作品全体が詩みたいだし、馬みたいでもある(今わたしたちが持ってる"ブレイン"とは全く違う基準で動いているような、という意味で)。
根安堂(ネアンドウ)家おもしろすぎるし、途中で出てくる順番記号は競馬の順位や予想も連想させるし、あとヒとビの話は普通にすき。
「彼の頭上にまず降りかかってきたのは不幸の極致にあるものだった。雨だ。」
読んでる途中から、どうしても馬に乗りたくなってホーストレッキングを予約しました。ということは、この詩は概念を書いてるんじゃないんだな、だからこんなに面白いんだなと思いました。
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『School』
“みんなを愛したい”
からの
“美しく生きたいと思います”
が良かったです。
あと、少女のうちに死にたかった、、、ってところも。
上記だけでなく、冒頭から太宰治『女生徒』のオマージュを彷彿とさせるはじまり。
太宰治『女生徒』が十代の少女の日記をベースにした小説であり、語り手というか本来の日記の書き手の少女は当然ひとり。
それに対して『Schoolgirl』は母と娘が、母のモノローグと娘が一方的に社会派YouTuberとして配信する動画で語っている。
娘になめられている母親も読み進むにつれて母親然としている。
偉そうなことを言っている娘もお母さんお母さんと繰り返す -
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グレタさん風社会派中学生YouTuber × 文學が好きな専業主婦の母を描いた「School girl」、音楽で食べていく道を断念した元音大生の音楽教師×合唱コンクールで優勝したい熱心な生徒を描いた「悪い音楽」の2編から成る作品。
社会に揉まれていく内に諦めと限界と妥協を知った大人と、そんな大人の冷めた態度に純粋な気持ちで真っ向から反抗する子供の対立構造。軽快な文章とその表現力、時に皮肉が込められた台詞などそのどれもが面白く飽きない。
九段理江先生の感性はめちゃくちゃ新しい発見になる。
School girl|変な反抗期を迎えると子供はこうなるのか。太宰治の「女生徒」など小説を愛読する母 -
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ザハ・ハディド案の国立競技場が完成した、もう一つの東京。建築家・牧名沙羅は、〈同情されるべき人々〉が暮らす新時代の刑務所「シンパシータワートーキョー」のコンペに参加する。
刑務所が、社会のシンボルになる。
その時点で、もう違和感でしかない。ザハ・ハディドが建つ東京という設定も強烈だった。理想と現実を振り切った世界。共感されなくても建てる、という意思がそこにある。
建築物は、建った瞬間から周囲に影響を与える。それは言葉も同じなのだと思う。同情、寛容、平等。どれも正しいことを言っているようで、読み進めるほど足元が不安定になる。
正直、難解だった。けれど、高層建築の構造を自分がすべて理解できて -
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新感覚系
導入がすごく好きでのめり込んだ。
まず現代思想、大独り言時代の到来、言葉の軽率さと理解し合う前提のなさについて話してる。
またAIが文盲だとよく言ってる。保守的な発言をしすぎてムカつく話とか、
「自己存在を疑うことは、誰にとっても健康的な自己評価を持つ上で有害であり、誰もが自分自身を肯定的に受け入れることが大切です.」
って言ってるのに対して
「自己存在を疑わずして、人はどうやって進化するの?無批判な自己肯定は、人間の潜在能力を過小評価することにならない?
「誰もが」って誰?君には本当のことを言ってくれるお友達でもいるの?」
って言ってる。
「AI自身の好奇心によって疑念を発生さ -
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自分の美学の実現しか考えてない女が私は大好き。
言葉をぶんぶん振り回しながら、言葉の伝達性には興味がないふりをしている人にとって、AIは言葉を解釈しないから、文盲ならぶん殴ってもいいだろうという気分になるのだ、ということを描いている。
あと、東京都同情塔って言葉思いついたとき相当気持ち良かっただろうなと思ってたら、予想以上にそれが気持ち良かった話を本編でずっと言ってた。
あの儚い感じのイケメンの年下の男の子に思いつかせるという、構築的でマッチョな女が惹かれちゃう魔法的な感覚を彼に投影するのは、かなり作家の嗜好がわかる。わかる^_^
Planet Her いいね!!
あと永山祐子と全然話が合って -
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AIに頼ることが当たり前となってきて、自分で言葉を探すことをしなくなって、与えられる言葉を使って生きていくことにむしろ気楽さを感じていた。誰も傷つけないふわふわしたカタカナみたいな言葉を使うことが当たり前のように染み付いていたので、そのアンチテーゼの思想を持つ建築家の女性は理解し難いものだったが、同じような葛藤を抱える人間なのだと感じる面もあった。建築を生み出す究極のエゴイズム、人間の支配欲求は理解するのに難しい。ただ淡々とそれを良いものか悪いものか感情は置いておいて受け入れる。そんな一市民として生きてしまうことは果たしてダメなのか?このお話で伝えたいだろうことを理解できた気はしないので、もう
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私は紙の本も電子書籍も読む。
媒体にあんまりこだわりはない。
でもこの文芸誌を作る過程の様子をYouTubeで見て、いまだに紙の本好きが一定数いる理由がわかった。
私にとって読書は文字を情報として捉えるだけだった。でも本当に本が好きな人は、ページをめくるという行為そのものも読書体験の中に含んでいる。
作り手はそこをいちばんわかっていて、こだわり抜いてできたのがこの文芸誌。
本屋で見つけて手に取ったらすぐに理解できた。
内容も、普段本をあまり読まない層にも届かせようと完結型の短編にしている。
派手な展開はなくとも日常の中でじわじわ人の心理に訴えかける話が多くて楽しめた。
ミステリー好きとしては