九段理江のレビュー一覧

  • しをかくうま

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    意味は全然わかんないけど、読んでてとっても楽しい。作品全体が詩みたいだし、馬みたいでもある(今わたしたちが持ってる"ブレイン"とは全く違う基準で動いているような、という意味で)。
    根安堂(ネアンドウ)家おもしろすぎるし、途中で出てくる順番記号は競馬の順位や予想も連想させるし、あとヒとビの話は普通にすき。
    「彼の頭上にまず降りかかってきたのは不幸の極致にあるものだった。雨だ。」
    読んでる途中から、どうしても馬に乗りたくなってホーストレッキングを予約しました。ということは、この詩は概念を書いてるんじゃないんだな、だからこんなに面白いんだなと思いました。

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    2024年07月09日
  • Schoolgirl

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    『School』
    “みんなを愛したい”

    からの

    “美しく生きたいと思います”

    が良かったです。
    あと、少女のうちに死にたかった、、、ってところも。


    上記だけでなく、冒頭から太宰治『女生徒』のオマージュを彷彿とさせるはじまり。

    太宰治『女生徒』が十代の少女の日記をベースにした小説であり、語り手というか本来の日記の書き手の少女は当然ひとり。
    それに対して『Schoolgirl』は母と娘が、母のモノローグと娘が一方的に社会派YouTuberとして配信する動画で語っている。

    娘になめられている母親も読み進むにつれて母親然としている。
    偉そうなことを言っている娘もお母さんお母さんと繰り返す。

    今まで一番ひどい、と塞ぎ込んでいる娘に対して、たかだか14年分だけのニュースを頭の中で振り返るだけで済ませる母親。東日本大震災でさえも対象にならない。それが娘の、少女の年齢を極端に浮かび上がらせてきたと感じた。

    太宰治『女生徒』を書いた1937年は戦時中だったと。そんな話をしたとき、小説に囚われた母親のことどう思ったんだろうかってまだ少し考えてます。



    母も娘も名前が出てこない。これは母と娘のふたりが語っている(娘は動画を通して)けど、結局これは一人なんだろうな。ってよく分からない感想に行き着きました。


    ―――――――
    『悪い音楽』







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    2024年06月10日
  • Schoolgirl

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    グレタさん風社会派中学生YouTuber × 文學が好きな専業主婦の母を描いた「School girl」、音楽で食べていく道を断念した元音大生の音楽教師×合唱コンクールで優勝したい熱心な生徒を描いた「悪い音楽」の2編から成る作品。

    社会に揉まれていく内に諦めと限界と妥協を知った大人と、そんな大人の冷めた態度に純粋な気持ちで真っ向から反抗する子供の対立構造。軽快な文章とその表現力、時に皮肉が込められた台詞などそのどれもが面白く飽きない。

    九段理江先生の感性はめちゃくちゃ新しい発見になる。

    School girl|変な反抗期を迎えると子供はこうなるのか。太宰治の「女生徒」など小説を愛読する母に対して、フィクションを読むのは時間の無駄だと一刀両断する娘。娘が母の本棚を遡っていったシーンが印象的。確かに人の本棚ってある意味その人の持つ思想や何か核のような部分が反映されているのかも。ここでも「東京都同情塔」の主題の1つである、生まれながら恵まれているから善人、恵まれていない人は悪人になりうるという一節があった。

    悪い音楽|問題を起こした生徒の保護者と面談する場面で、脳内でリリックを再生して韻を踏んでいたのは、まさか合唱コンクールの後夜祭で披露する演目のテーマだったからというのは想定外で笑った。

    同居人のサエは、感情が不安定な時があり、自分が話したいことをつらつらと話してスッキリして満足するタイプで、聴く側の感情を置き去りにする。不謹慎や道徳的線引きが違うので、こっちはセーフでも向こうはアウト…みたいなことがある。クライマックスは、地震が起きて担当クラスの合唱が中断したのに、再開せず自分の演目をやり切ったのは、さすがに実際にいるとドン引きしたけどソナタの気持ちも分かる。読後感はなぜかすっきりとした不思議な作品でした。

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    2024年05月29日
  • しをかくうま

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    タイトルも意味不明だが内容もぶっ飛んでいた。静かに。そしてその世界観が何故かとても心地よかったのだ。何故だ。
    松浦理英子の犬身を読んだときも同じように心震えるものがあったことを思い出した。

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    2024年05月04日
  • Schoolgirl

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     『Schoolgirl』も良かったが、『悪い音楽』に登場する音楽教師ソナタのズレが印象的だった。
     保護者を呼んで生徒指導する場面で、その内容をネタにしたラップを考え、教師や保護者から問い詰められたり、合唱コンクールな学級指導で音痴な男子をカバーするために声量をあげることを指導し伴奏者の生徒から反感をかったりと、音楽的才能は優れているのに、あまりにも周囲と噛み合わない感じが、実に面白かった。
     今後の作品にも目が離せない。

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    2024年02月24日
  • 東京都同情塔(新潮文庫)

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    薄いからささっと読んでしまおう、なんて思っていたけど、完全にいい意味で裏切られた。
    全然進まない。
    それは、言葉について、とことん対話してくる小説だからだと思う。
    東京都同情塔というストーリーを使い、ここまで言葉について、人間同士の分かり合えなさ、人間の尊厳etc…について書き切ってきたか。

    流石の芥川賞受賞作だと思った。
    一度読んだくらいでは到底分かるわけがない。この作品は、読む人にそれだけのことを突きつけてきているのだから。

    少し経ったら必ずもう一度、噛み締めながら再読してみよう、久々にそんな作品に出会えた。この作品に出会えてよかったと思う。

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    2026年10月03日
  • GOAT Winter 2026

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    絶対好きでしょ、と夫が買ってきてくれました。
    文芸誌を読んだのは人生初です!

    表紙がキラキラでキャラクターもとてもかわいく、所有欲が満たされました♪
    内容に関してもベテランから新進気鋭の作家さんまで幅広く、また、芸能人の対談等もあり、お値段以上の読み応えでした。

    就寝前にパラパラめくりながら気になるところを拾い読み出来る感じもよかったです。(なので全部読み終えるのに何か月もかかってしまった)
    逆に言うと、通勤時には持ち歩けないんだけどね。分厚くて重いし、表紙が高級過ぎてつるつる滑る。

    好みの作家さんとの新たな出会いもあって、文芸誌を読むのもいいなあ、と思っちゃいました☆

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    2026年09月21日
  • GOAT Winter 2026

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     『GOAT』第3号(特集は「美」)です。この表紙のキラキラ度合いのこだわり! 「美」の特集にちなみ、虹色の輝きを放つ特殊加工(コールドフォイル)が施されています。また毎号ですが、部分的に質感の異なる紙を使用し、視覚+触感こだわりも見事です。

     今回の特集が「美」ということで、小説、エッセイ、対談・鼎談、インタビュー、コラムなどで、多彩な作家陣が多様な解釈の「美」のテーマ作品を寄稿しています。多視点から「美」と感じる、人の心理描写が読みどころと捉えました。

     また、気のせいでしょうか慣れたのでしょうか、文字ポイントが若干大きくなったような…。5段組がなくなったし、4段組も許容範囲と感じました。これは目に優しいです。改良ポイントに視認性向上もあることに拍手!

     ジャンルや執筆陣の多様さは文芸誌ならではですし、だからこそ普段読まない方の文章にふれるよさがあります。もちろんそこに好みは分かれるわけですが、意識して負担にならない程度に読もうと思ってます。新たな気付きや発見を期待して…。

     大手の出版社にゆとりがあるからなのか、「採算度外視の熱量」は持続可能なのか!?が気がかりです。ゴート(510円)が発酵して納豆(710円)になったり、存続危機で苦闘(910円)に陥ったりしないよう願いながら、読者として応援を続けたいと思います。

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    2026年09月09日
  • GOAT Winter 2026

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    ネタバレ

    一人の作家をじっくり追う読書も楽しいけれど、『GOAT』の魅力は、短編を通してこれまで知らなかった作家と出会えることにあるのだと思う。目当ての作品から読み始めたはずが、思いがけない一篇に惹かれ、新しい「好き」が増えていく。その偶然の出会いがとても楽しい。

    小説だけでなく、対談やインタビューまで充実しているのも嬉しいところ。作品を読むだけでは見えてこない作家や表現者の考えに触れられることで、一冊の中にさまざまな楽しみ方が詰まっている。

    そして、この圧倒的なボリュームと内容でこの価格というコスパの良さには素直に驚かされる。美しい装丁や紙の手触りも含め、電子ではなく「本を手に取って読む」喜びを改めて感じさせてくれる一冊だった。

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    2026年09月06日
  • しをかくうま

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    圧倒的な文章力で、すごい。こんな文章書ける人はなかなかいないし、自分の内省に役にたつ!
    着地点や話の展開を全て理解はできてないっていうか、70%くらいしか分かれてない気はするけど、それ以外のニュアンスがすごく自分に合ってた。
    内省好きにはおすすめ!

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    2026年09月04日
  • 東京都同情塔(新潮文庫)

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    ネタバレ

    序盤で言葉の使い方にどこかはっとするというかおもしろさを感じた。
    ストーリーだけでなく、言葉にも引きこまれる。
    ミルクレープのようなことば。とても真摯に向き合って探られた言葉なのに、同時にひらひらと多面的というか。初めて彼女の文章を読んだけど、すぐ他の作品も読んでみたい。

    そういえば、ザハ案の新国立競技場を扱った岡田利規の作品も印象的な舞台だったな。


    p11〝狂ってる。何が?頭が狂ってる。いや、「頭」はあまりに範囲が広いか?〜STOP、主語のサイズに要注意。OK,それなら「有識者」でーと、鍵のかかった私の頭の中に誰も入れるわけがないのに、オートモードでワードチョイスの検閲機能が忙しなく働く。〜〟


    p18〝〜本当に「世界を起こす」ために当然、幻視を描き起こすだけでは足りない。建築家の前に出現した美しい幻を現実化するには、実際的な技能も同じくらい必要だ。予算と工期を計算すること。権力にすり寄るのを恥じないこと。その建物がその形状をしていなければならない理由を、素人にもわかる言葉ででっち上げること。これらの技能のうちひとつでも欠けていたら、きっと私は美術館の壁に飾るためのお絵描きでもして暮らしていただろう。〜〟


    p24〝〜それにしても、ただの言葉から軽いだの重いだの堅いだのやわらかいだのと、ありもしない想像上の感触を勝手に受け取って、実際に傷付いたりするのはいかにも奇妙で、〜〟

    p43〝「牧名さんはこれからの人だ。ザハの教訓を忘れてはいけない。予算をきっちり守り、そして言葉を正しく使うことも重要だ。建築のエラーが、未来のエラーにならないように」〟

    p44〝〜そしてこれは比喩ではなく、実際に建築とはそうあるべきなのだと、私はあらためて確認するのだった。建築は都市を導き、未来を方向付けるものでなければならない。〟

    p51〝〜既に何度もお話ししたことではありますが、私はあなたがこれまで「犯罪者」にならずに済んでいるのは、私やあなたが素晴らしい人格を持って生まれたからではありません。あなたの生まれた場所がたまたま、素晴らしい人生を育むことが可能な環境だったからです。犯罪と関わりを持たずとも幸福な人生を歩むことができると、信じさせてくれる大人が周囲にいたからです。あなたが良いことをしたり、学校で良い成績をとったりするのを、大人たちが褒め、推奨してくれたからです。彼らがあなたに、「次もまた良いことをしよう」というモチベーションを与えてくれたからです。良いことを繰り返すうちに、目の前に困難な壁が立ちはだかっても、酷い失敗をしても、前を向き、未来に希望を持てるように育てられたからです。幸福な未来への意識が働くと、罪を犯したらどうなってしまうのだろうという予測を立てられるようになります。未来への想像力は、道を踏み外しそうになった時の協力な抑止力につながっているのです。あなたがこれまで罪を犯さず、クリーンに生きてこられたのは、あなたの幸福な特権のおかげに他なりません。〜〟

    p54〝〜四十を過ぎてからそれをやろうとすると、おそらく諦観が進みすぎているのと、保身に走りすぎて冷静な判断を下せなくなる。あるいは冷静な判断しか下せなくなる。冷静さと正しさに関連性はない。〟

    p69〝〜それに、これは店に来る客からいつも学ぶことだけれど、嘘っぽさはせっかくの本当に上質な服を安っぽく見せる。〜〟

    p81〝〜「名前は物質じゃないけれど、名前は言葉だし、現実はいつも言葉から始まる。本当よ。この陸上世界を動かしているのは数学や物理が得意な人間じゃなく、口が上手い人間なんですよ。それで私もずいぶん痛い目に遭って来たんだから。君は違うの?〜〟

    p124〝〜「それはマックスさんが「比較」をするからだと思いますよ。あらゆる不幸は他者との比較から始まると、マサキ・セトが言っていました」タクトは業務連絡のようにそっ気なく言った。〜〟

    p148〝〜ただの言葉に抵抗するには、反論の言葉を考える前にまず、何が何でもぐっすりと眠らなくてはいけないのだ。〜〟

    p150〝でもだからこそ、何の約束もないからこそ、私は私を待ち望み、祝福してくれる新たな世界の期待に応えたいと望む。私はその場所で、偶然によって得た力の全てを、そこに住む人々のために注ぎたいと、強く欲望する。なぜだろう?別に理由なんてない。何か特別な理由があって数式が解けるわけでもないのだ。〜〟

    p157〝「マックス。私にとっては、理解も誤解も、あまり違いはないように思えるんだ。〜〟

    p158〝「もちろん。それでもね、毎日のように『死ね』と言われ続けたおかげで、ひとつわかったことがある。世の中には、『死ね』という言葉を聞いて、自分の心臓に向かってナイフを突き刺さる感触を覚える人もいれば、単に動詞+命令形と処理する人間もいるよね。短い人生、もっと意味のある言葉を言えばいいのに、とヘイト中毒者に心からの同情をする人間もいる。『言葉』と聞いて葉っぱがざわざわ擦れる音を聞いている人もいれば、無音のテキストメッセージとして『言葉』を扱える人もいるわけでしょ。私はその全部であるべきだと思っている人間なんだけれど、何しろ体の方が足りていない。あなただってそうじゃない?そんな私たちが言葉を通して何かを本当に理解し合えるなんて思わない方がいい。私とマックスの耳を取り換えられるなら話は別だけれど。『手を洗って』と言って手を洗ってくれれば、私としては不満はないの」〟

    p166〝「君の知っている建築家のエピソードを適当に入力して、『伝記っぽい文章にして』ってbuiltに頼めばいいじゃない」 「もちろん、何回もやってる。でも僕の目を通した建築家の女の人じゃないと、なんか伝記にならないんだよ。なんとなくだけれど、でも絶対に、『違う』って体が拒否してる。僕の中に住んでいる検閲者が、それは伝記じゃなくてただの文章だって言ってる。フォルムとテクスチャーがない、ただのクソ文、ファッキン・テキストだって」〟

    p171〝〜有り得ないことではない。言語的に表現できている時点で、じゅうぶんに現実化の可能性を秘めいている。何といってもそれは、まだ見ぬ未来の語彙の中で起きている出来事なのだ。〜〟


    ------特別対談 建てること、書くこと 未来を創り出すこと------
    p191〝九段 このあいだメディアアーティストの落合陽一さんに「九段さんはロマンチストだ」と言われたんです。落合さんは、一つの建築で人の意識や世界が変わることはないというんです。私は正反対の考えで、もしザハの〈新国立競技場〉が建っていたら人の意識は変容し、社会のあり方はかなり違っていただろうという想定のもと小説を書いたのですが、本山さんはその点どう思われますか?私はロマンチストすぎますか?

    永山 そんなことないでしょう。たとえば一つ建築が建つと、その後建てられる周囲の建築は何らかの影響を受けます。特に日本は都市の中のコンテクストを大切にしているし、海外に行くと文化圏ごとにコンテクストの扱い方は違うことを実感します。そして国ごとに文化が異なるように、環境は人の精神性に何らかの作用をするでしょう。〟



    ------解説 ------
    解説 言葉でつくられた建築 青木淳

    p202〝同じことは、言葉を素材とした構築体である文学にも言える。文学もまた建築として読むことができるし、文学のなかには建築として見て示唆的な作品がある。〜言葉が、柱となり、梁になり、壁となって文学をつくる。〜〟

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    2026年08月29日
  • GOAT Winter 2026

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    買ってから長らく放置し続けてしまった。
    そのくらい読み応えのあるボリュームと値段の安さは素晴らしい!内容も面白いものが多かったけれど、字が細かくて少し見づらさはあった。

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    2026年08月15日
  • 東京都同情塔(新潮文庫)

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    ザハ・ハディド案の国立競技場が完成した、もう一つの東京。建築家・牧名沙羅は、〈同情されるべき人々〉が暮らす新時代の刑務所「シンパシータワートーキョー」のコンペに参加する。

    刑務所が、社会のシンボルになる。
    その時点で、もう違和感でしかない。ザハ・ハディドが建つ東京という設定も強烈だった。理想と現実を振り切った世界。共感されなくても建てる、という意思がそこにある。

    建築物は、建った瞬間から周囲に影響を与える。それは言葉も同じなのだと思う。同情、寛容、平等。どれも正しいことを言っているようで、読み進めるほど足元が不安定になる。

    正直、難解だった。けれど、高層建築の構造を自分がすべて理解できているわけではないように、この小説もまた、理解しきれないまま確かにそこにある。高く、異様で、圧倒的な存在感。

    読む人は選ぶのかもしれない。けれど、言葉や社会の「正しさ」に少しでも違和感を覚えたことがある人には、深く刺さる作品だと思う。

    建物の解釈が時代によって変わるように、この小説の読み方も、読むたびに変わるのかもしれない。
    読み終えても、その違和感だけが崩れずに残った。

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    2026年07月31日
  • 東京都同情塔(新潮文庫)

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    ささっと読むには難解であったが、AIとの関係性や、ザハの国立競技場が成立した世界線等、少し世界が違ったらこうなることもありうるのでは、という世界観が面白かった。

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    2026年07月27日
  • 東京都同情塔(新潮文庫)

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    新感覚系
    導入がすごく好きでのめり込んだ。
    まず現代思想、大独り言時代の到来、言葉の軽率さと理解し合う前提のなさについて話してる。
    またAIが文盲だとよく言ってる。保守的な発言をしすぎてムカつく話とか、

    「自己存在を疑うことは、誰にとっても健康的な自己評価を持つ上で有害であり、誰もが自分自身を肯定的に受け入れることが大切です.」
    って言ってるのに対して
    「自己存在を疑わずして、人はどうやって進化するの?無批判な自己肯定は、人間の潜在能力を過小評価することにならない?
    「誰もが」って誰?君には本当のことを言ってくれるお友達でもいるの?」

    って言ってる。
    「AI自身の好奇心によって疑念を発生させるには、どのように言葉を覚えさせるべきか?」

    これまじ確かになと思う
    AI自体の好奇心ってそもそもなんなんやろって感じ
    いわゆる教師なし学習に該当するのかもしれないけど、自身で正解ラベルなしで学習を進めていくってことは自身で疑念を生んで解決する学習を進めるってことなんかな?

    建築関連の話を読んだことはなかったけど、
    建築が与える周囲への影響って、言われてみれば確かに大きいものだと思った。景観維持法が身近にある京都では、そのトーキョートドージョートーみたいな近未来的建築物を建てることはできないんだろうと思うし、万博とかでもかなり反感が多かったしね、知らないだけで世の中を支配する影響力にちょっと興味が湧いた。

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    2026年07月16日
  • 東京都同情塔(新潮文庫)

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    自分の美学の実現しか考えてない女が私は大好き。
    言葉をぶんぶん振り回しながら、言葉の伝達性には興味がないふりをしている人にとって、AIは言葉を解釈しないから、文盲ならぶん殴ってもいいだろうという気分になるのだ、ということを描いている。
    あと、東京都同情塔って言葉思いついたとき相当気持ち良かっただろうなと思ってたら、予想以上にそれが気持ち良かった話を本編でずっと言ってた。
    あの儚い感じのイケメンの年下の男の子に思いつかせるという、構築的でマッチョな女が惹かれちゃう魔法的な感覚を彼に投影するのは、かなり作家の嗜好がわかる。わかる^_^
    Planet Her いいね!!
    あと永山祐子と全然話が合ってなさそうで笑った。

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    2026年07月15日
  • 東京都同情塔(新潮文庫)

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    文庫化を待ってて良かったなと思える、芥川賞っぽさを感じる作品

    言葉遊びは面白かったが、犯罪者は環境が作る云々あたりで萎えた

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    2026年07月09日
  • 東京都同情塔(新潮文庫)

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    SF likeな純文学、て感じ?
    入りはやや難解だし、感情移入の余地はないが、読み応えあって面白かった。

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    2026年06月27日
  • 東京都同情塔(新潮文庫)

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    AIに頼ることが当たり前となってきて、自分で言葉を探すことをしなくなって、与えられる言葉を使って生きていくことにむしろ気楽さを感じていた。誰も傷つけないふわふわしたカタカナみたいな言葉を使うことが当たり前のように染み付いていたので、そのアンチテーゼの思想を持つ建築家の女性は理解し難いものだったが、同じような葛藤を抱える人間なのだと感じる面もあった。建築を生み出す究極のエゴイズム、人間の支配欲求は理解するのに難しい。ただ淡々とそれを良いものか悪いものか感情は置いておいて受け入れる。そんな一市民として生きてしまうことは果たしてダメなのか?このお話で伝えたいだろうことを理解できた気はしないので、もう少し寝かせることにします。

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    2026年06月26日
  • 東京都同情塔(新潮文庫)

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    建築としての文学という解説に頷く。言葉で構築されたエッシャーみたいな感じ?伏線は回収されず螺旋状に連環する。内部のない構造の生成と消滅。
    最近の芥川賞も建築の話だったし(冒頭で挫折したけど)建築と文学というのはポストモダンな風情のようで実は今キテるのかもしれない。

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    2026年06月23日