九段理江のレビュー一覧

  • 東京都同情塔

    Posted by ブクログ

    犯罪者は"同情"すべき存在。
    牢屋で人権を奪った生活をさせるのではなく、穏やかに快適な時間(刑期)を過ごせるようにと、大都会のど真ん中に、"シンパシータワートーキョー"という超高層刑務所タワーを建てる。
    主人公は建築家の牧名沙羅。シンパシータワートーキョーの設計を担う。

    彼女の、言葉や思想への固有の態度から、その天才ぶりに惹かれてしまった。いかにも芥川賞を攻略した作品、という風が終始吹いていて格好良かった。

    このわかりきれない心地よさは、映画「君たちはどう生きるか」を見終わった時のそれと似ていて、とても好感を持てる。そして映画同様に、この作品も評価が

    0
    2025年12月09日
  • Schoolgirl

    Posted by ブクログ

    面白かった。
    楽しませてくれる小説に出会った喜びを感じます。
    144ページ「悪い音楽」
    「事前に私の人となりを詳しく知ってしまったら、音楽以外の要素があなたの作品に影響を及ぼしてしまうのでは?」
    この言葉にドキッとした。
    芸術作品を本当にそれだけ鑑賞しているのかと日頃感じているので、刺さりました。

    86ページ「Schol girl」
    「頭の中からできるだけ自分を失くす」

    0
    2024年10月03日
  • 東京都同情塔

    Posted by ブクログ

    フィクションと現実との境目が絶妙。建築へのフェティシズム、言葉への拘りが絡み合う文体がおそろしく好みだった。

    0
    2025年09月11日
  • しをかくうま

    Posted by ブクログ

    意味は全然わかんないけど、読んでてとっても楽しい。作品全体が詩みたいだし、馬みたいでもある(今わたしたちが持ってる"ブレイン"とは全く違う基準で動いているような、という意味で)。
    根安堂(ネアンドウ)家おもしろすぎるし、途中で出てくる順番記号は競馬の順位や予想も連想させるし、あとヒとビの話は普通にすき。
    「彼の頭上にまず降りかかってきたのは不幸の極致にあるものだった。雨だ。」
    読んでる途中から、どうしても馬に乗りたくなってホーストレッキングを予約しました。ということは、この詩は概念を書いてるんじゃないんだな、だからこんなに面白いんだなと思いました。

    0
    2024年07月09日
  • Schoolgirl

    Posted by ブクログ

    『School』
    “みんなを愛したい”

    からの

    “美しく生きたいと思います”

    が良かったです。
    あと、少女のうちに死にたかった、、、ってところも。


    上記だけでなく、冒頭から太宰治『女生徒』のオマージュを彷彿とさせるはじまり。

    太宰治『女生徒』が十代の少女の日記をベースにした小説であり、語り手というか本来の日記の書き手の少女は当然ひとり。
    それに対して『Schoolgirl』は母と娘が、母のモノローグと娘が一方的に社会派YouTuberとして配信する動画で語っている。

    娘になめられている母親も読み進むにつれて母親然としている。
    偉そうなことを言っている娘もお母さんお母さんと繰り返す

    0
    2024年06月10日
  • Schoolgirl

    Posted by ブクログ

    グレタさん風社会派中学生YouTuber × 文學が好きな専業主婦の母を描いた「School girl」、音楽で食べていく道を断念した元音大生の音楽教師×合唱コンクールで優勝したい熱心な生徒を描いた「悪い音楽」の2編から成る作品。

    社会に揉まれていく内に諦めと限界と妥協を知った大人と、そんな大人の冷めた態度に純粋な気持ちで真っ向から反抗する子供の対立構造。軽快な文章とその表現力、時に皮肉が込められた台詞などそのどれもが面白く飽きない。

    九段理江先生の感性はめちゃくちゃ新しい発見になる。

    School girl|変な反抗期を迎えると子供はこうなるのか。太宰治の「女生徒」など小説を愛読する母

    0
    2024年05月29日
  • しをかくうま

    Posted by ブクログ

    タイトルも意味不明だが内容もぶっ飛んでいた。静かに。そしてその世界観が何故かとても心地よかったのだ。何故だ。
    松浦理英子の犬身を読んだときも同じように心震えるものがあったことを思い出した。

    0
    2024年05月04日
  • 東京都同情塔

    QM

    購入済み

    不思議な文章

    不思議な文章で、AIによる回答も多々引用されている。感想を言うのが難しい。言葉を発するときにいちいち「これは言っても大丈夫か?」と考えなきゃいけないのはすごく疲れるだろうな。

    0
    2024年03月22日
  • 東京都同情塔

    購入済み

    誰が牢獄にいるのか?

    現代の気遣いの文化は良いのだけど、ぶつかり合うことで得られるものが得られなくなるようにも思えてくる。かと思うと、一方で、それぞれの人間が自分のことしか考えない状態が、さらに増しているように思える。マキナはmachineに似た響きを持っている。デウスエクスマキナ。神が流れを思いのままに変える?いや、彼女にはそんな力は無さそうだ。彼女は牢獄にいる。タクトも母との関係が普通ではなく、彼らも同情塔にいる。二つの建築物は性的な一対とも思える。それなのに、人間同士の性的な関係も希薄だ。人間が機械に近づいて、和やかな関係を作れなくなっているようだ。

    0
    2024年03月02日
  • Schoolgirl

    Posted by ブクログ

     『Schoolgirl』も良かったが、『悪い音楽』に登場する音楽教師ソナタのズレが印象的だった。
     保護者を呼んで生徒指導する場面で、その内容をネタにしたラップを考え、教師や保護者から問い詰められたり、合唱コンクールな学級指導で音痴な男子をカバーするために声量をあげることを指導し伴奏者の生徒から反感をかったりと、音楽的才能は優れているのに、あまりにも周囲と噛み合わない感じが、実に面白かった。
     今後の作品にも目が離せない。

    0
    2024年02月24日
  • Schoolgirl

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    表題作『Schoolgirl』の親子は、簡単に病名が付く令和では客観的に診察されたら何かしらの病名が付くのかもしれない。親子関係としてはありふれた現代的な親子で、情報社会に影響を受けまくった活動家もどきの子供っていうのは沢山いる気がする。大抵は予防接種みたいなもので、厨二病の亜種のようなものなのかもしれない。
    『悪い音楽』の主人公は音楽家になっていれば芸術家らしいと称される人物だろう。全てが音楽を中心の彼女が、音楽のために同居人を手放してしまわないことを祈る。登場する女子生徒は、私はめちゃくちゃ苦手なタイプ。なんで女が二股すると男同士が殴り合うんだろうな。二股した張本人を殴るならまだ理解できる

    0
    2024年02月15日
  • GOAT Winter 2026

    Posted by ブクログ

    いろんな作家さんの短編や対談があり、ものすごく読み応えがあった。
    中でも、貴志祐介の短編は笑わせてもらったし、平野啓一郎とマライ・メントラインさんの対談、俵万智さんと岸田繁さんの対談が面白かった。
    あと、編集後記も何処となくサークル感を感じさせてくれて親近感が沸いた。
    雑誌を読んでもあんまり自分のなかで読書の実績にはなかなか認めにくいところはあるけれど、安価でこれほどの質と量を兼ね備えた文芸誌は貴重な存在なので、コスパ最高。定期的に出してほしいな、と思う。

    0
    2026年02月01日
  • GOAT Winter 2026

    Posted by ブクログ

    相変わらず、悪ふざけが過ぎる(褒め言葉)!

    こんなに豪華な文芸誌を510円で手にして良いはずがない。まずなんだこの表紙は?!!笑
    テンションが上がりすぎるう!!!

    今回の私のおすすめ1つ目は、藤ヶ谷太輔さんと朝井リョウさんの対談。朝井リョウさんの軽妙な相槌がいつものことながら楽しい。
    2つ目は遠田潤子さんの作品。ぐいぐい引き込まれて、思わぬところにミスリードもあり、読後感がとても良かった。遠田さんの作品は初めて読んだが、もっと読んでみたいと思った。

    次号も楽しみです。

    0
    2026年01月18日
  • 東京都同情塔

    Posted by ブクログ

    "言葉"は、正義やら、理想やら、概念やらを語りまくることが出来る手段ですが、"実"はない。
    "塔"は、建ってしまえば現実そのもの"実体"となる。

    この本に登場する幸福論者の言う、刑務所の在り方はなんとなく理想的なものに聞こえる。
    そういう側面や事情の犯罪者もいるだろうなという気持ちにもなる。
    でも、よくよく考えてみると変な話しだなとも思う。
    そんなタワー建築を前に、建築家の女性と、イケメンとすごく口の悪い外国人の記者と…そうそうあと、忘れてはいけないのがAI。
    登場人物はそれくらいしかいないものの、それぞれのキャ

    0
    2026年01月01日
  • Schoolgirl

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    著者の小説は、東京都同情塔に次いで2冊目。
    軽快で少し毒のある心情描写が好き、心地良い。
    メインとなる登場人物はいわゆる「普通」から外れた思考や癖を持ってるが、読み進める中でその思考を辿るのが楽しい。
    ラップする音楽の先生、ファンキーで最高。
    ルッキズムに関する描写、花で例えてるとこも良い

    0
    2025年12月31日
  • GOAT Winter 2026

    Posted by ブクログ

     大掃除・小掃除が終わったら、「美」をテーマにしたGOAT第3号(2026 Winter)を読んでみましょう。

     表紙ではゴートくんが手鏡でお顔を映しています。
    表紙を開くとゴートくんと羊くんが美について話していました。

    「美ってなんだろう
     大きな羊?
     羊の角を頭に飾った人?」

    「由来は所説あるけど、
     ヤギじゃなくて羊なのか・・・」
    ちょっと残念そうなゴートくんです。。。

     最初の小説は、高瀬隼子さんの「ふたえ」でした。
    67歳のお父さんが、二重まぶたに整形したのに飽き足らず、顎やら頬やらを全身麻酔の手術を受けて整形するというお話です。

     思えば、美しい顔の基準は個々人によって

    0
    2025年12月31日
  • 東京都同情塔

    Posted by ブクログ

    芥川賞でちゃんと読めたの初めてかもしれない。この世の皮肉を広い視点から、現実のような表現で言葉で書かれているのがすごかった。
    庭で殴られたときはぞっとした、小さくたくさんゾッとした

    0
    2025年12月28日
  • GOAT Winter 2026

    Posted by ブクログ

    朝の情報番組で紹介されてて早速購入
    GOATにちなんで510円!
    表紙がキラキラしてて、ひとつひとつが読みやすい
    名前は知ってても、初読み作家さんが盛りだくさん
    「父の輪郭」はなるほどです

    0
    2025年12月24日
  • 東京都同情塔

    Posted by ブクログ

    いろんな言葉が入り乱れていて面白く読めました。読者に何が正しいのかを突きつけているでもなく、反応を求めない独白を聞いているような気持ちで読み終えました。東京都同情塔、実際にあってほしいとなぜだか思ってしまいました。

    0
    2025年12月23日
  • Schoolgirl

    Posted by ブクログ

    ネットと繋がって自己発信することが当たり前、生まれながらに多様な価値観に触れて生きてきた「娘」と、時代の流れには乗らず「少女時代」から触れてきた文化を大切にしている「母」が対照的に描かれていて、序盤、娘の強さに圧倒されて母の気持ちや境遇を考えるといたたまれない気持ちになるのだが、終盤立場がガラリと変わる。結局、体験せずに見聞きしただけの情報から「自分」を方向付けるよりも、自分の世界にとっぷり浸かって、考え、感じたことの方がリアルで、重みがあって生きた価値観なのかなと思った。
    九段先生は、現代社会に新たに発生した価値観を否定したいわけじゃないのだろうけれど、メスを入れるのが上手いと思う。とてもお

    0
    2025年12月04日