九段理江のレビュー一覧
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ネタバレ◯Schoolgirl
34の母と、環境保護などのyoutuberをしている14歳の娘。母はその母から虐待を受けていて、娘の気持ちを優先するが娘の意識が高く噛み合わない。母視線と、娘は母の見るyoutubeの中で想いを語る。太宰の女生徒をきっかけに会話の兆しができて終わる。
巧みな文章で娘と分かり合えない母の感情が描かれているけど、なぜ娘はその高い意識に反して「本当はお母さんだけを助けたい」までの感情があるのか、たぶんそのために嫌いな小説、女生徒に興味を持ったのかがわからない。そこの葛藤を書くのが小説じゃないかしら、それが芥川賞の選評にある「ここから小説は始まるのでは」に繋がるんじゃないないか。
でも結局は文も構成もすごくて面白いです。異国の凄惨な映像を見て悪夢を見るとどうせわかっているのになぜ見なきゃいけないの、と言う母に激しく同意。
昔の小説を自分の作品世界に組み込むということは、敬意を持って、それを蹂躙する覚悟が必要である。ちょっと及び腰だったかも。by山田詠美さん
◯悪い音楽
個人的にはこっちの方がより読んだ後の面白さがあった。他人に共感できない音楽教師の話。表情筋を鍛えたりするのだけど友人が怒る理由、生徒が怒る理由がわからずいけないところで笑ってしまったり合唱祭で生徒をディスるラップを披露してしまう。良かったのはこの主人公が歪んでいた過程がなんとなく想像できたところ、クソジジイ主任や友人のよう分からない抽象画。Black monkey、聴きたかったな。 -
Posted by ブクログ
人が発語し書く詩の語順、字数、語の意味(どこまでを一つのモノとして区切りどう名付けるか)にとことんこだわる姿勢は強烈。太文字表記やわざと通常通りではない表記を選ぶ語と文は視覚的にも強く残る。他の小説にはない唯一無二の独自性があると思う。馬(マ)/人(ヒやビ)が今に至るまで歩んできた歴史が物語に一貫した主題になっている。人間にとって神々しい馬、そして馬を始めとして様々な箱を発明して遠く遠くへ移動しようと努力してきた人。人間のこれからはどうなるのか?遠く遠くへ向かい、人類がこれまでに苦労して見つけ出してきて累積した知恵や知識へ一瞬でアクセスして、自分で動いて考える必要がなくなっていくこれからの人間には二度と「詩」は書けなくなるだろう。…という批判的なメッセージが込められているように感じた。これは、近年のAI技術進歩によって、人がこれまでの進歩と思考、感情を外部に委託し自我を放棄することの危険性に警鐘を鳴らし、目をそらされているネガティブ面を鋭く指摘していると思う。同時に、いま一度原始、自然しかなかったころからの人間の歩みを振り返り、再評価するべきではないかという作者の愛のムチを感じた。
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Posted by ブクログ
保奈美ちゃんの番組「あの本、読みました?」で著者が出演されていました。
自信家で、人をくったような態度の著者でしたが面白いなとその言動に惹かれ、現代版(太宰治の)女生徒、と紹介されていていた本書に興味が湧きました。
確かに女生徒、でしたよ。
意識高い系の中二病の主人公と母の話で、子供と大人の狭間な感じがよかったです。
でも私はそれよりも、もう一遍収録されている悪い音楽の方が好みでした。
悪い教師がよい音楽を作っても不思議はないよねとか、教師になることは音楽家一族にとって本当にもったいないことなのかとか、考えているうちに、どんどん展開してどんどんハラハラさせられました。
まあどちらも、ザ・純文学、でしたね。
著者の長編も読んでみたいけど、この感じで長くなるのは私には難しくなりすぎて読みにくそうな予感ですが・・ -
Posted by ブクログ
ネタバレ【言葉を使うヒト、の行く先…】
主人公がTV局での競馬の実況の仕事をしている世界と、もう一つの異次元的な世界とが、交ざり合っていく。
この題名が平仮名なのは、あえてその意味を固定せずに言葉で遊んでいる節があるー「詩を書く馬」「死を欠く馬」。
詩や言葉について、幾度も触れられている。
一頭でも多く馬の名前を電波に乗せるという使命感。
馬に付けられる名前。その言葉の重み。
語順。
ヒトが言葉を生み出す過程。生物としての進化、分岐。
人工知能を内在化する未来のヒト。
結果と意義。なんのための言葉?何のための進化?みたいなところを問うているような、でもはっきりとは示さない構成。ニーチェとかサルトルとかの思想を知っていると理解が深まるのかな。そういった部分が難しかった。
とにかく私にはまったく新しい切り口で、言葉を持つ人間界を少し相対化するような、逆に馬を少し神聖化するような、ユニークな視点で描かれた作品。
正直最終的に、漢字をずっと見てたら漢字じゃなくなる現象の、言葉バージョンみたいになってしまったような部分がある。