九段理江のレビュー一覧
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九段理江さんといえば、なんといっても、芥川賞受賞作品である「東京都同情塔」だとは思うのだが、捻くれている私は先に初小説集である、こちらから読んでみて、どんな感じなのかを確かめたくなってしまう衝動に駆られてしまったと思ったら、こちらも表題作が芥川賞候補作だったのですね。
そして、読んでみて驚いたのは、このタイトルが若い頃に読んだ小説(内容は殆ど覚えていないが)の英語版だということで、帯にも「令和版『女生徒』」と書いてある通り、現代の多様化した社会に於いても依然変わらずに残り続ける、鬱屈とした雰囲気をシニカルに描きながらも、元の作品に於ける当時の空気感漂う文体との邂逅を果たすことで、それが母 -
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ネタバレグレタに憧れる女子中学生と文学を愛する母親。
フィクションは時間の無駄だという娘と
戦時中ですらフィクションこそ生き残るという母。
九段さんと小川哲さんの文章に共通点を感じ、この人の文章が好きだと直感が働いた。
太宰治の女生徒を基に書かれたそうだが、知識がないせいか「なるほど、女生徒はこういう作品なのか」としか思わなかった。
AIスピーカーやYouTubeのない時代、女生徒はどんなふうに書かれていたのだろう。
娘がフィクションを信じていないにも関わらず、母の本棚をどんどん散策していき、遂に「女生徒」にたどり着く。
そして。。
母を毛嫌いし、馬鹿にしつつも、母の世界に入りたい娘の気持ち。 -
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少女ゆえの全能感、自分以外のみんな、特に自分の世話を焼く母親が馬鹿に思える。そんな少女期を通過していく様子が、読んでいて痛みを感じるほどよく描かれている。母親に愛されているからこその辛辣な言葉と、赤の他人に向けて吐露される本音。「明日から戦争が始まるっていう日でも、お母さんは小説の話をするの?」母親の答えに少女が気付きを得るのと同じように、私もハッとさせられた。
「悪い音楽」にも、全能少女が登場するが、対する音楽教師もなかなかのものである。行き過ぎた音楽ファーストによって、教師として窮地に立たされることになる。こちらは「Schoolgirl」とは違って笑いながら読めた。面白い。 -
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ネタバレ新人賞受賞作「悪い音楽」から読みました。
人の心がわからない教師の話。
音楽家の父につけられた名は「ソナタ」。
もうこれは呪いだな。
確かに、心に寄り添うとか感情を揺さぶるとか、やたら共感を求められる時代にあって、他人の感情を忖度しない人は悪者扱いされてしまうのかも。
ソナタ先生は感情が無いわけではなく、自覚が薄いだけで喜怒哀楽の末に苦しんだり傷ついたりもしている。サエはちゃんとそれを感じとっているのだとラストシーンを解釈しました。
「Schoolgirl」はステレオタイプな思考が並び実態がつかみづらい。世界は大小のさまざまな説でできている。良い意味で最初の印象が裏切られていきます。
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「School girl」では、14歳の娘をもつお母さんの想いと映像で語っているyoutuberの娘の想いを交差しながら読むことが不思議な感覚でした。
さらにそこに太宰治「女生徒」の話しが出てきて、時間軸的にも面白く描かれていました。
まだ「女生徒」読んだことないので、読んでからまたこの本を読み返してみたいです。何かまだトリッキーな仕込みがありそうです。
そしてもう一つの「悪い音楽」ですが、癖があり、新しい視点であり、そしてつい笑ってしまう場面あり、音楽で例えるとロック?いやカートコバーンやビリーコーガンを思わせるオルタネイティブ的な気持ちを感じました。
わたしも心当たりがあるのですが、笑っ -
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表題作の【女生徒】は、私も大好きな太宰の女生徒を本歌取りしているということで、どんな小説になるんだろうと芥川賞ノミネート作の中でもとりわけ気になっていた。
バイリンガル社会派Youtuberとして意識高く活動する14歳の娘から、“小説ばかり読んで頭がおかしくなった空想癖のある母親”と見下されている34歳の「私」。
彼女と同様、なぜ私も女生徒が好きかというと、ありのままの少女がありのままに描かれているからなんだよね。純度100%の共感があって、だからこちらの小説でも私はきっと14歳の娘の方に理解できるものがあるかと思ったんだけど、全然そうじゃなかった。驚愕。
娘から馬鹿にされ冷たい目を向けられ -
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ネタバレ『Schoolgirl』
クローゼットの中の『女生徒』が出てくるあたりから、吸い込まれるようにおもしろくなった。2作目の『悪い音楽』の方が好き。
p31〝何気ない雑談を額面どおりに受け取ってくれる素直な人って、最近はもうどこを探してもいない。何風の何、なんて考えだしたら何風の何風の何風の何風の……といつまでもきりがない。いろいろな立場のいろいろな事情に配慮した、誰も傷つかない言葉を追求していくと、誰も自分のことなど説明できなくなる。〟
『悪い音楽』
p108〝仮説。人間の感情を拡大させたすべての元凶は、音楽家や画家といったアーティストである。そこに詩人や小説家を付け加えてもいいかもし