九段理江のレビュー一覧
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◼️ 九段理江「東京都同情塔」
現代の最先端に違和感を投げかける架空の話。芥川賞受賞作。
AIを一部用いた作品として海外でも反響を呼んだ。その後かなり些少な部分だったと訂正している。作中にもまさにAIが取り上げられている。
当初新国立競技場の案とされ後に白紙撤回されたザハ・ハディド設計の新国立競技場が建設されている東京。建築家・牧名沙羅は都心に計画されている受刑者らの高層収容施設「シンパシータワートーキョー」の設計に挑む。犯罪者らにも幸福な生活を、という主張に厳しい反対の声も多い中、ある時牧名の中に発想が突然降りて来るー。
主な登場人物は牧名と、彼女がショップでいわばナンパした美青年、 -
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510円でこれだけボリュームあるもの読めたら嬉しいし合う作家にも出会える。まだ全部読めてないけど…!朝井リョウと藤ヶ谷太輔の対談が最高だった。あらゆる感情がかわいいに翻訳されてるってまさにその通りだと思う。言語化を諦めちゃいけないなと改めて思うとともに中々それが難しいんだよなぁ。
ふたえ 高瀬隼子
なんとも不思議な話。テーマが美なのでそれにぴったり(?)な父が二重整形をした。からのもっと大掛かりな整形をする話。それだけなんだけどどうなるんだ?と思って一気読み。高瀬隼子さんの作品は今回が初めてで、実はおいしいごはんが食べられますようにを積読しているのでこれを機に読まないと
あと他にも何個か読 -
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(途中で読むのをやめてしまった作品もいくつかあるけど)以下、私的に良かった作品。
※敬称略
・ふたえ(高瀬隼子)
“お父さんが整形”という衝撃的なテーマを扱いながらも、エンタメとして消費せず、主人公と父親のリアルな心の動きにフォーカスしてたのが良かった。自分に刺さりまくった「おいしいごはんが〜」とまさか同じ作者さんとは。
・ハッピーエンドの小説(金子玲介)
前半は一風変わった主人公の行動にクスクス笑いながら読めてたけど(特にコールセンターのポケモンの話好き)、ラスト1、2ページがぞわぞわする…。
金子さんの作品はこれで3作目だけど、笑いとシリアス、ゾワッとさのバランスがいつも絶妙。
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テーマは「美」。よかったものをいくつか。
『ふたえ』高瀬隼子
子どもの頃からずっと、単身赴任で川崎に住んでいるお父さんと、遊びのため四国から上京して何年かぶりで会ったら、目が二重になっていた。そしてさらに、顎の骨を削る手術をするという。ずっと別居、67歳になって退職しても田舎には帰ってはこない、でも離婚もしていない、両親がケンカしていた感じもない、父の家に行ったが、愛人がいるような感じもない。で、整形。じつに不思議な家族の話。
『ヴィンテージ』井上先斗
古着屋を経営する大学時代の友人に、50万円のデニムジャケットを持って飛んだアルバイトを探して欲しいという依頼を受けた探偵。アルバイトのイン -
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美しさとは
ただ見た目のものだけではなく
その振る舞いであったり
姿勢であったり
言葉であったり
さまざまなものが
絡み合っていると思う
「そとばこまちの夜」
の中で老婆が言う
『そうして私が私と出会えた時、
ずいぶんと小さく縮こまった小娘が
胸の内で泣いていたっけ
華やかで美しいと信じていた美女など
己の中にはいなかった
他人の目によって造られた幻影だった
だからその怯える小娘と
向きあうことにした
その子が本当に好きなものを探して
愛でる
それは人目を気にして
怯えていた日々に比べて
どれほど豊かで満たされたものか』
本当の自分が求めるものは
いったい何か
はたして今、どれくらい
豊か -
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ネタバレ◯Schoolgirl
34の母と、環境保護などのyoutuberをしている14歳の娘。母はその母から虐待を受けていて、娘の気持ちを優先するが娘の意識が高く噛み合わない。母視線と、娘は母の見るyoutubeの中で想いを語る。太宰の女生徒をきっかけに会話の兆しができて終わる。
巧みな文章で娘と分かり合えない母の感情が描かれているけど、なぜ娘はその高い意識に反して「本当はお母さんだけを助けたい」までの感情があるのか、たぶんそのために嫌いな小説、女生徒に興味を持ったのかがわからない。そこの葛藤を書くのが小説じゃないかしら、それが芥川賞の選評にある「ここから小説は始まるのでは」に繋がるんじゃないないか -
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人が発語し書く詩の語順、字数、語の意味(どこまでを一つのモノとして区切りどう名付けるか)にとことんこだわる姿勢は強烈。太文字表記やわざと通常通りではない表記を選ぶ語と文は視覚的にも強く残る。他の小説にはない唯一無二の独自性があると思う。馬(マ)/人(ヒやビ)が今に至るまで歩んできた歴史が物語に一貫した主題になっている。人間にとって神々しい馬、そして馬を始めとして様々な箱を発明して遠く遠くへ移動しようと努力してきた人。人間のこれからはどうなるのか?遠く遠くへ向かい、人類がこれまでに苦労して見つけ出してきて累積した知恵や知識へ一瞬でアクセスして、自分で動いて考える必要がなくなっていくこれからの人間