九段理江のレビュー一覧
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ネタバレザハが勝ち取った国立競技場が建設された世界線が描かれたディストピア風の物語。
まわりくどくて飽きが来そうな論調と、テーマの深さのバランスが絶妙でなんだかんだ読み終えてしまう。
AIに対して、回答しないという選択肢が取れない不憫や哀れな存在だと揶揄する描写や、幸せを論ずる上で他者との比較を禁止するというシンパシータワートーキョーのルールだとか、日本人はどんどん日本語を捨ててダサくなってるとか…。物語の核となる刑務所タワーともいうべき「東京都同情塔」も犯罪者は同情すべき存在、「ホモ・ミゼラビリス」としたり、発想はとても面白かった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ読み終えて印象に残っているのは、悪い音楽の方。最後サエは笑ってたのか泣いてたのか、何考えてたんだろう?全く検討がつかない。ロールシャッハテストみたい。人の気持ちに共感できる人ならこの時のサエの気持ちを三十文字でまとめよ、という問いにみんながみんな同じ正答を書けるんだろうか。
人の気持ちが理解できない主人公の心の理解できなさが少しづつ見えてくる平熱な文章の読み心地がよい。理解できなさが理解できる。
サエは芸術家としてすごく成功している人物という設定だけど、大麻に対して過剰に反応したり、主人公の告白に対してすごく視野の狭い返答をする辺り、この人の作品を見てみたいと思えない人物描写。逆に主人公のラップは聴いてみたくなる。
芸術と芸術家は切り離せるのか、というのは永遠のテーマで、条件によっていろんな答えが出せる無限に考え続けるられる問題だと思う。もう少し深掘りしてほしかった。 -
Posted by ブクログ
◼️ 九段理江「東京都同情塔」
現代の最先端に違和感を投げかける架空の話。芥川賞受賞作。
AIを一部用いた作品として海外でも反響を呼んだ。その後かなり些少な部分だったと訂正している。作中にもまさにAIが取り上げられている。
当初新国立競技場の案とされ後に白紙撤回されたザハ・ハディド設計の新国立競技場が建設されている東京。建築家・牧名沙羅は都心に計画されている受刑者らの高層収容施設「シンパシータワートーキョー」の設計に挑む。犯罪者らにも幸福な生活を、という主張に厳しい反対の声も多い中、ある時牧名の中に発想が突然降りて来るー。
主な登場人物は牧名と、彼女がショップでいわばナンパした美青年、タワーの存在価値を説いた本の著者、批判的で粗っぽい記事を書く外国人ジャーナリスト。
私的な解釈をすると、SNS等の発達で賛否両論の声が上がりザワザワした社会の中、でAIと人間の生の心との差をあぶり出す。そこには現実を受け入れる人、一市民にはどうしようもなく実施されてしまう大規模プロジェクトの虚しさ、逞しい慣れ、個人の欲のようなもの、が描かれているといったところか。
テーマがそうだけに、理屈、言葉数があまりに多いのはやむないところもあると思う。また、人の生の逡巡、微妙な部分は、常識で割り切れないところもあって、対比としてそれなりに表出されているのはふむ、とも思った。
また、巻末の対談も併せ、建築家は未来を創る、建築物は社会にさえ影響を与える、というのは腑に落ちた。
先に著者の「しをかくうま」を読んで、これがあまりに純文学に過ぎたのでこの作品もんー、うーむ、と読む前は少し構えていたのだが、分かりやすく生の手応えもあってそこは安心して読んだ。
ただ、やはり私的には言葉数を多くするよりも、物語で語る、のほうが好きかなやっぱり。 -
Posted by ブクログ
510円でこれだけボリュームあるもの読めたら嬉しいし合う作家にも出会える。まだ全部読めてないけど…!朝井リョウと藤ヶ谷太輔の対談が最高だった。あらゆる感情がかわいいに翻訳されてるってまさにその通りだと思う。言語化を諦めちゃいけないなと改めて思うとともに中々それが難しいんだよなぁ。
ふたえ 高瀬隼子
なんとも不思議な話。テーマが美なのでそれにぴったり(?)な父が二重整形をした。からのもっと大掛かりな整形をする話。それだけなんだけどどうなるんだ?と思って一気読み。高瀬隼子さんの作品は今回が初めてで、実はおいしいごはんが食べられますようにを積読しているのでこれを機に読まないと
あと他にも何個か読んだけど美というテーマに沿った内容はあんまりないか?
2号の悪の方がよりまとまっていた気はする。
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Posted by ブクログ
(途中で読むのをやめてしまった作品もいくつかあるけど)以下、私的に良かった作品。
※敬称略
・ふたえ(高瀬隼子)
“お父さんが整形”という衝撃的なテーマを扱いながらも、エンタメとして消費せず、主人公と父親のリアルな心の動きにフォーカスしてたのが良かった。自分に刺さりまくった「おいしいごはんが〜」とまさか同じ作者さんとは。
・ハッピーエンドの小説(金子玲介)
前半は一風変わった主人公の行動にクスクス笑いながら読めてたけど(特にコールセンターのポケモンの話好き)、ラスト1、2ページがぞわぞわする…。
金子さんの作品はこれで3作目だけど、笑いとシリアス、ゾワッとさのバランスがいつも絶妙。
・家になった男(八木詠美)
まさに「この家族、どこか変だ」作品。(映画やドラマの謳い文句でたまに見るよね)
最初は主人公の考えや行動のキモさに引いてたけど、まさかラスト1ページでその結末になるとは…!今まで読んだ中で、トップクラスで不気味なラストでした。