逢坂冬馬のレビュー一覧
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購入済み
女の戦争
初めて読んだ戦争小説がこの作品だった。戦争を深く知ることが怖く、また戦時中の女性を取り巻く環境などに疑問と嫌悪感があったからだ。この作品を読んでいて、もちろんそれがなかったわけではないが、私の中のこれまで抱いてきた感情が少し軽くなった気がした。女だって戦っていた。子どもだって戦っていた。その時代を生きていないから遠いようにも感じていたけれど、主人公セラフィマが照準を合わせたことで、敵を撃ったことで私の中の視界が少し開けたように感じた。もう少し戦争について知ってみようと勇気が出た。少し前に話題になっていて、この本の中でも参考資料としてあった『戦争は女の顔をしていない』岩波現代文庫も気になったので
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奈倉有里さんと逢坂冬馬さんがご姉弟と知った時から、こういう本を待望していたんだと思う。よくぞ出してくださった。
ミーハー的な気分でどんなご家庭でお育ちになったのか知りたかった。納得。自分の子育てにはもうとっくに手遅れなのだが。そもそも親の中身が違うのだから、何十年前から自分をやり直さなければいけない。
「キョーダイ‼︎」のイメージでもう少し軽い感じを想像していたが、内容はとても濃く考えさせられた。文学を愛し、小説を愛し、おかしいことには声を上げ、世界の平和のために行動する。そんなお二人の著作をこれからも楽しみにしていきたい。そして考えを深めていきたい。 -
Posted by ブクログ
軍事関連の用語などが多く、なかなか入り込めなかったが、「専門用語関連はすっ飛ばせばいい」と思ったら読み進めることができた。第二次世界大戦で最大の死者数を出した独ソ戦に少女セラフィマが狙撃兵として従軍する様子を描く。戦争の悲惨さ、占領下の女性の苦しみなどだけではなく、狙撃に成功したときの高揚感なども描いている。「狙撃兵は戦争が終わったら何をすればいいのか?」という問いは、そのままあまたの帰還兵たちにも当てはまる。主人公や所属の部隊は架空のものだが、歴史上の人物や出来事も盛り込まれている。
40年近く前に台湾からの留学生から自分の妹が学校で銃の訓練をしているという話を聞いて驚愕したが、今も世界の -
Posted by ブクログ
ネタバレ『同志少女よ敵を撃て』は、独ソ戦というある程度限定されたテーマについて書かれたのに対し、本作は若干テーマがぼやけてたように感じる。
ブレイクショットという車が多くの人の手に渡っていく中で、関わる人々の物語や考え方に触れていくという構成である。日本からアフリカまで、犯罪者から富裕層まで、不動産屋から期間工まで、幅広い層の人物が登場し、かつ、経済系YouTuberのエセから Twitterにおける誹謗中傷・インサイダー取引・LGBTQなど題材もこれまた幅広い。幅広過ぎる。
読後感が浮ついたものになるのは必然と言える。個々の物語の濃度を上げるため、どうしても登場人物の主張が強くなる。つまり、非現 -
Posted by ブクログ
【ブックカバー装着不可だよ!】
Battlefieldを始めたから、というろくでもない理由で選んだ本。
いや、FPSきっかけで読む小説じゃない笑
でも、読んでみたら想像以上にすごかった。
「魔女」と呼ばれた女性だけの狙撃小隊って本当にいたの?って思って調べたら、実際の女性狙撃兵の証言をもとにしてるらしい。
『戦争は女の顔をしていない』に影響を受けて書かれたと知って納得。
戦争小説って難しそうな印象あったけど、これは読みやすくて引き込まれた。
あとがきや推薦のことばまでしっかり読んだ。
出版後にウクライナ戦争が始まり、作者が苦しんで、それでも「書いてよかった」と思えるようになった過程が印象的だ -
Posted by ブクログ
あの逢坂冬馬さんに3つ上の姉がいた。しかも同じ時期に作家デビューしているとか。
名倉有里さんについては知りませんでしたが彼女の作品も読んでみたくなりました。
対談形式で語られる姉弟の家庭環境とか興味深く、貧乏インテリの家庭に育ったとか謙遜してましたが清貧な学者の家系のようで、好きなことをとことん続けることに手間暇惜しまない精神があればこそなんだなって感じました。
凡庸な者は生活に追われお金を追い求める暮らしを強いられるわけですが、抜け出した者はお金のほうが自然と集まるような仕組みで生きられるんだって感じました。
冒頭にカラフトが島なのか半島なのか知るために一人は東、もう一人は西に歩いて再び出 -
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ソビエト・ロシアの狙撃兵の少女の話。
直木賞の候補になったというだけあって、読み進めるほどに引き込まれる。
しかしいくらか気になる点もある。
途中で数度、ソビエト期の代表的な歌が出てくるのだが、原曲を知っていた私としては、歌詞を見ても全くその歌であることが分からなかった。なにせ日本語版を使用していたからだ。
原曲とは大きくかけ離れたその内容、どうにかならなかったのだろうかと思わずにはいられない。
また、ところどころ出てくるロシア語の固有・一般名詞もなかなか怪しいものばかり。