逢坂冬馬のレビュー一覧

  • 歌われなかった海賊へ

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    ネタバレ

    一気読みでした。途中で投げ出すなんて考えられず家事をしながら早くこの世界に戻りたいと時には苦しくなりながら、終わりが見えないで欲しいと思いながら読んだ。人は断片的にしか見えないのにどうして決めつけられるであろうか、自分を守ろうとするあまりにここまで人は滑稽になれるのだろうか。ハッとすることが度々あった。
    歌わなかった市民たちが憎いと思ったが完全に責められる訳でもなく、私も同時代にいれば共犯者なのでは無いかと考えさせられた。
    決して昔の話ではなく、現在も形を変えて問いが存在しているのだろう。
    大きな問題に圧倒されながらも未来志向の姿勢に自分も鼓舞されているようだった。

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    2025年08月03日
  • 同志少女よ、敵を撃て

    本屋大賞受賞してて話題になっていたので購入しました。
    リアリティがありドキュメンタリーのようでした。序盤から手が止まらなくてあっという間に読み終わりました。読後感も悪くなくとても面白かったです。

    #切ない #深い #ドキドキハラハラ

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    2025年07月27日
  • 歌われなかった海賊へ

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    結局、戦争において犠牲になるのは女性と子供ということを再認識する作品でした。
    当時のナチ党の支持率は95%を越えていたそうですが、それはあくまで一党独裁の恐怖政治下での数字、ということで実は本作でも描かれているようなレジスタントもいた、というのが事実なんでしょうね。
    でも、レジスタントは一般にはあまり知られていない存在のように思います。
    そういう点で、本作は斬新な視点で描かれていたと思います。
    ヨーロッパにおいてはナチスの悪名があまりにも轟き過ぎているせいか、イタリアのファシストを題材にした小説を見たことがないのですが、そういう小説はないんでしょうか?

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    2025年07月06日
  • 歌われなかった海賊へ

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    いい小説だ。手放しでそう言いたくなる小説に出会うと頭の中で文字が溶けてしまってそれしか出てこなくなる。
    今、世界では現在の価値観で過去を断罪し、一方的に漂白する行為が進んでいる。結局、「今の価値観」とやらからすると過ちだらけの過去には蓋をした方がいいから、なのだろう。
    その結果が何を招くか。歌われなかった海賊たちは何と戦い、何に唾を吐きかけ、何を殴ろうとしたのか。
    本書はあくまで史実を基にしたフィクションだ。それでも尚、今、世界のどこかで、あるいはこの国で起きている事に真正面から向き合え、そして知るのだと訴えかけてくる。あの暗い時代に人々を飲み込んだ「悪」は現在進行形なのだと。

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    2025年06月21日
  • ブレイクショットの軌跡

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    ネタバレ

    経済格差、非正規雇用、LGBTQ、少年兵、特殊詐欺と、様々なテーマについて魅力的なキャラクターたちが悩み苦しみながらも前に進んでいく様子が気になって、読み進めるページが止まらなかった。身近なことから遠い国の想像も及ばない出来事まで全部繋がっていて、これだけ幅広いテーマを扱いながら、一つ一つが非常に濃く語られているのがすごい。

    同作者の『同志少女よ、敵を撃て』でも思った通り、魅力的なキャラクターを描くのが圧倒的に上手だと思った。

    インターネットやSNSで世界が繋がるということはどういうことなのか。世界中が繋がりすぎた現代社会のメタファーとしての車やビリヤードの描かれ方が素晴らしい。
    「台の上

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    2025年11月13日
  • 文学キョーダイ!!

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    ネタバレ

    よかった!この2人が姉弟という事への興味で読み始めたが、成人してだいぶ経ってからこんなに深い話をする機会はふつうの家ではあまりないのではないか。長い時間をかけて何回も対談をしたものを編集の人がまとめたとの事。
    3つのパートに分かれていて、特にパート3ではまさに今、ロシアやウクライナの人々がどんな状況に置かれているのか、他人事ではない、関心を持ち続けて、考えることを手放してはいけないと、2人ともが話している。国民が賢くなるのを嫌がるのはどこの国でも同じなんだと。翻訳家としてロシアの学者の言葉を伝えたいとか、作家が政治的な発言をしてもいいんだ。自分の作品を誤読されたくない、など切実な話も出てきて、

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    2025年04月25日
  • 文学キョーダイ!!

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     たいへん面白かったです。注目のロシア文学者の姉と「同志少女よ、敵を撃て」の作家の弟。まさかの姉弟ですが、この本の対談で必然的な関係性も分かります。普段からこんな知的な会話をしているのでしょうか。
     翻訳するときに「これを読むことが平和につながるかどうか」と考える姉。読書するときに「自分はこれを好きでもいいんだって思えるのはすごく大事」と考える弟。その2人を育てた放任主義のジブリ映画「耳をすませば」のような家庭。
     今、話題の三宅香帆さんの新書「なぜ働いていると〜」の元ネタもありました。映画「花束みたいな恋をした」のくだり。三宅さんも奈倉有里さん大好きと言っていたので、ここから大ヒットのヒント

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    2025年04月24日
  • 同志少女よ、敵を撃て

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    ネタバレ

    2022年に本屋大賞を受賞した一冊。この本を読破したとき私は興奮が治まらなかった。とんでもない超大作を読んでしまったと思った。

    舞台は第二次世界大戦中のソ連。猟師の娘だったセラフィマは牧歌的な村で母と狩りを平和な暮らしを営んでいた。
    しかし突如その平和は奪われ、彼女は狙撃手となる―

    戦争ものの小説はその場面での戦況、武器や銃の解説、自分の知らない土地の攻防が事細かに描かれているため、多少は読みづらさがある。その上あまり戦争の知識が無い私は戦術の読みあいや説明のシーンでもしっかり理解することができず、そこを読み飛ばしてしまうが故に途中から状況が分からなくなり、何度も同じページ間を読み直す..

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    2025年11月22日
  • 文学キョーダイ!!

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    逢坂冬馬は「同志少女よ…」と「歌われなかった…」
    の2つの小説を、姉さんの奈倉有里のはエッセー「夕暮れに…」と「世界」臨時増刊のシュリマンの講演を翻訳したものの2つしか読んでない。が、注目しているキョーダイである。
    二人が縦横に語る本作は読めば読むほど素晴らしいと思えた。期待の1000倍以上の内容だった。なるほど育てたこの親にして育ったこの子。そうそうありそうな家族ではない。それにしても二人それぞれに見事な自立ぶりである。
    高校生や大学生にぜひ読んでほしい。自分が何者かになろうとすることをきっと支えてくれるぞと思った。
    子どもを育てる親にも必読だ。
    窮屈な世の中に倦んでいる大人にも今一度元気を

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    2025年01月05日
  • 同志少女よ、敵を撃て

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    ネタバレ

    2024/12/21 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。
    2025/11/17〜11/24

    逢坂さんのデビュー作で本屋大賞受賞作。
    自分の村や母をナチスドイツに殺されたセラフィマは、狙撃兵として訓練されることに。戦争を経てセラフィマに残ったものとは。
    非常に考えさせられる内容。ちょうどウクライナ侵攻が始まった頃に発表されたこともあり、話題になった。内容は全く関係ないが、ロシア人と戦争を扱った内容なので、逢坂さんも後書に書かれていたが、大変な苦悩であったろう。そういったこともあるが、大変な名作だと思う。

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    2025年11月25日
  • 歌われなかった海賊へ

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    ネタバレ

    印象に残っているのは、レオンハルトとヴェルナーの別れのシーン。1つしかない爆弾をヴェルナーに譲った時の、レオンハルトの気持ちを考えると切なすぎる。真実が書かれた手紙は涙なしには読めなかった。

    エルフリーデの両親の描写も辛かった。実の両親が生きれるよう手助けしていたことからも、育ての親も善良だったことが伝わる。せめて生きてるうちにその話をエルフリーデが知ることができたら、もっと親子の仲は良くなっていたかもと思うと切ない。

    辛い経験をしたヴェルナーとエルフリーデには、せめて戦争後遠い街で幸せに暮らしていてほしい。


    エーデルヴァイス海賊団が実在していたことに驚いた。団員は14歳から18歳だそ

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    2025年06月23日
  • 文学キョーダイ!!

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    本を読むことを全力で全肯定してくれて、胸がいっぱいになった。

    饒舌な逢坂さんと、穏やかな語り口で本質を突く奈倉さん。姉弟だけに、共通の価値観(素晴らしいご両親と祖父!)が根底にあり、難しい話もかなーりわかりやすく話してくれてる。
    知識量や解像度がすごいし、難しい本ばかり読んでるんだろうな、と思いきや、角田光代を絶賛したり(サイン会に並んだそうだ)、りぼんやジブリやショッカー(⁉︎)などなど、わかりやすい比喩をあげて説明してくれて親近感をもった。
    私は同志少女の戦争のゲーム性みたいな書き方が少し嫌だったのだが、そのあたりの作者の意図もわかってよかった。

    2人ともニュートラルで、自分の軸がしっ

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    2024年09月21日
  • 文学キョーダイ!!

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    逢坂冬馬と奈倉有里の姉弟対談本。いや、これ対談ってレベルの内容じゃないから。知的探究心超強めでベクトルもロシアに向いているっていうのが揃っているからなのか、ロシア・文学(本)・戦争に関する知識の濁流に揉まれました。面白かったです。
    本が好きで人に本を勧めることのある職業の人は読むべき一冊。同士少女~が面白かった人にはオススメ。あと、トルストイとかゲーテ好きな人にも。
    逢坂さんの、大塩平八郎本、楽しみにしてます。
    あと、さとうまきこさんは私も大好き。色々読みたい本が溜まる本でした。

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    2024年07月15日
  • 文学キョーダイ!!

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    奈倉有里と逢坂冬馬による対談集、『文学キョーダイ』。
    逢坂冬馬は『同士少女よ敵を撃て』で鮮烈なデビューを果たし、アガサクリスティー賞、本屋大賞を受賞。迫力ある、フェミニズム小説とも言えるとても力のある作品。今年3月には、2作となる『歌われなかった海賊へ』を出版している。
    一方、奈倉有里はラジオに出演しているのを聞いて初めて知り、その際紹介されていた著書『夕暮れに夜明けの歌を』を読んでみると、文学への愛と情熱があふれており、感動したのと同時に同い年ということもあり刺激を受けた。
    その二人が姉弟であることは、それぞれが文壇に登場後に発覚したことらしく、ずいぶん驚かれたとか。もちろん私もびっくりした

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    2024年07月13日
  • 文学キョーダイ!!

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    きょうだいがいるっていいな、と思いました。
    幼い頃、共通のあたたかな経験と記憶があって。成長とともに違う道を歩み、今、重なり合うところにきている。けれど、少し違っている。

    文学、生き方、政治との付き合い方など、深く、骨太で、興味深い対談でした。

    本とともにある生き方。本によるつながり。
    時代や地域を越えて感じる、普遍的なものの存在。

    本好きの私にとってはたまらない内容でした。

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    2024年03月19日
  • 文学キョーダイ!!

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    『ことばの白地図を歩く』。若者向けにゲーム仕立てでおもしろく読みやすいけれど、内容は驚くほど専門的。書いたのはどんな人なんだろう?と気になって経歴をみると紫式部文学賞を受賞した『夕暮れに夜明けの歌を』の著者であり、あの『同志少女』『歌われなかった海賊へ』の逢坂冬馬さんと姉弟だと知り驚いたり納得したり。
    「有里先生」と「逢坂さん」。3歳ちがいのおふたりは対談の中でお互いをこのように呼び合い、「文学」「作家という職業」、「戦争や武器」について、専門家同士としてリスペクトしつつ、存分に語り合う。ご両親のエピソードも紹介されるがこれがまた
    言葉かけと言い距離感といい、「親の背を見て子は育つ」の諺どおり

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    2024年03月06日
  • 文学キョーダイ!!

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    姉の奈倉有里さんと弟の逢坂冬馬さんの対談で構成されていて、お2人の育った家庭や仕事、戦争についてなど読み応えたっぷり。

    特に「小説」について話されている箇所が、よかった。私が映画について深い感想をもてないのは、ビジュアルからすぐにその状況や意味を察知するのが得意じゃなく、察知しよう考えようとするともう次のシーンにいってたりして、自分のペースではみれず、想像の余地もあまりなくて、っていうのが原因なのかも!
    それに対して小説は読み手がどう受け止めても、想像してもいい、読者にゆだねられてるみたいな、だから好きなのかもしれない。

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    2023年10月29日
  • 文学キョーダイ!!

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    10月8日(日)に高田馬場芳林堂であった2人でのトーク参加の条件である書籍購入。2人のサインを頂き、帰宅して、速攻で読みました。キョーダイが普段は余り話をしないことと、お互いが何をやっているのか気にもしておらず、成果物のみでお互いを理解しているとか、育った環境やそれぞれ別の道を歩くことになったこととか、興味深く書かれています。
    逢坂冬馬さんの前著『同志少女よ、敵を撃て』の内容とギャップのある平和主義を、思想面からも書かれています。とても興味深かったです。買う価値ありですね。

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    2023年10月19日
  • 文学キョーダイ!!

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    ネタバレ


    「同志少女よ、敵を撃て」の作者が男性と聞いて、逢坂先生に興味が湧いた。お姉さんとの対談本。2人がどのような環境で育ち、どのような考えを持っているのか。非常に考えさせられる本だった。

    ※ ネタバレがあるので、先に「同志少女よ、敵を撃て」を読んでからこの本を読んでください。

    ◎「ゆっくり見守ってくれる」「さかなクンになればいい」10-13ページ「受け取りかたをサポート」58ページ「大絶賛と大酷評の両極しかないわけじゃなくて、いい作品の
    中にも変なところはあるし、評価が低い作品にも思わぬ良さがあるよね」62ページ

    親はそれぞれ熱中しているものがあり、出世を促さない。自分の子供が社会に馴染めず

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    2023年10月14日
  • 文学キョーダイ!!

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    自身のロシアの大学で文学を勉強した経験を書いた『夕暮れに夜明けの歌を』著者の名倉有里さんと、『同志少女よ、敵を撃て』の逢坂冬馬さんの姉弟対談。

    彼らが姉弟だと知らずにそれぞれの著作に触れて感銘を受けた身としては、この2人の対談が読めるのはとても楽しみであったし、実際付箋を貼りながら夢中で読んだ。

    2人の幼少期や家族の話、そして文学について、戦争や平和について語られる言葉はどれも深く、考えさせられた。

    「本を読むことが、風を吹かせることにつながる」
    「(本を読むことは)必ず世界が拡張する」
    「どんな言葉を拾っていったら平和につながるんだろう」


    言葉と文学と平和について、言語化している2

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    2023年10月14日