逢坂冬馬のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
初めて戦争小説を読み、この本を読んでからリアルタイムで起こっている戦争や世界情勢に興味を持つことができるようになった。
細かい戦争の話は難しかったが、それでも読み進めると、話の内容や登場人物の心情は自然と理解することができ、どんどん引き込まれた。
戦争における、真の敵が何かを考える。
戦争での自分の在り方や信念と向き合う狙撃兵の少女と、全ての登場人物の行動や気持ちを考える。
どれも正しいとも間違いとも、言い切れないような。だが、戦争のなかでも自分を失ってしまうこと、信念を簡単に捨ててしまうこと、そんな自分の在り方に向き合えず考えることをやめた時、敵が存在するのかなと、自分は感じた。 -
Posted by ブクログ
『同志少女よ敵を撃て』、『歌われなかった海賊へ』。第一作が独ソ戦をテーマにしたもので素晴らし過ぎた(直木賞でもおかしくはなかったのでは)。第二作も舞台がドイツだったこともあり、今度はどこの国だと思っていたら、自動車期間工の話だと聞いて、全く興味が湧かなかった。本を読む気にはならないけれどaudible で聞いてみようかと思い聞いてみたら、引き込まれた。最初は部分部分で話が異なり、中央アフリカの話になって頭は乱れたが、それぞれ短編として面白く、先が楽しみに。そしてどんどん話がつながって、全体で一つなんだと実感出来た。出世物語と破綻。サッカーのユースチームの描写の細かさ。貧富の差と本当の幸せとは?
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Posted by ブクログ
厚みのある本を手にして、読み切れるだろうかと思った。しかし、冒頭の数ページ読んでいくと、スッと物語の世界に入り込んでいた。面白いと純粋に感じた。初めての逢坂冬馬さんの作品を手に取った喜びを感じつつ、読み進めていった。
『プロローグ』。本田昴は25歳、自動車メーカーの期間工。2年11ヶ月の期間、寮に入って自動車の組み立てを行う仕事。そこで、一定の給料を得る。肉体労働で同じ作業の繰り返し、そして、間違えが許されない緊張、過酷な状況を想像する。そんな仕事の状況など、140字のTwitterにあげていた。それが、喜びになっていた。労働の辛さを忘れるものを持てている感じ。
次の勤務期間が始まる狭間に -
Posted by ブクログ
久しぶりに、心が揺さぶられました。
単純に、すごい物語でもあるのですけど、そこから想起させられることがあまりにも重くて深くて、歴史って何だろうか? と考えざるを得なくなります。
特殊な時代、特殊な思想の下、普通の人々の多くは漠然と何が起きており、何がおかしいのか分かっていながらも、体制に迎合し、「喜んで騙される」ことを選択するのです。
その結果、事実は歪曲され、本質は封印され、歴史にはファンタジーも含まれていくのでしょう。
歌われなかった歌、語り継がれなかった言葉、その中にこそ、本当の歴史は埋もれているのかもしれません。
決してミステリ小説ではありませんが、お見事な伏線と回収もあり、思わ -
Posted by ブクログ
なんとなく、タイトルが気になり、内容を知らずに借りたので、どんな話なのかな〜?と試しに読み始めてみたら、そのまま引き込まれて一気に読んでしまった❗️
私が懸念している事のひとつに、有事の際の自分の行動がある。我が身可愛さの行動に走るかも、と。
生き延びるためにはという理由で迎合するとか、マジ最悪。
でも、やるかも、と。
だから、そんな場面に出会う事ない様にと祈るんだけど、それも身勝手なのかもなぁ…。
とはいえ、もうそこそこ長く生きてきたので、自分のことはともかく、10代のまだいかような未来をも生きられる子供達が、生まれた時代に翻弄されるのはやりきれないな。 -
Posted by ブクログ
本作は、異国の戦時下の情景が圧倒的な解像度で描き出されており、日本人作家の手によるものとは思えないほどの没入感がある。
舞台となる地域こそ限定的だが、そこで繰り広げられる人間ドラマのスケールは極めて大きい。
動乱の時代、名もなき場所で確かに起きていたであろう「小さな革命」の息吹を、まざまざと感じさせてくれる。
特に印象的なのは、タイトルの真意が明かされる瞬間だ。
物語の地平では、彼らは歴史に埋もれた「歌われなかった」存在かもしれない。
しかし、その生き様を読み終えた我々の世界においては、彼らは決して忘れ得ぬ、光の当たった存在へと昇華される。
忘却と記憶の境界線について、深い気づきを与えてく -
Posted by ブクログ
戦争ものだからハッピーエンドにならないとわかっていたけど、やっぱり苦しかった。
言葉に出さないことで無いことにするってのは、昔も今も誰にでもあるような気がした。そう思って結構はっとした。『うすうす気づいている』とか『なんとなく思っていた』っていう気持ちを殺して日常を生き続けてしまうと後悔の多い人生になってしまうんじゃないかと思った。
あとは、家族であろうと親しい仲であろうと他人を理解しきることはできないものなんだろうと覚えておきたいなと思った。その人に、自分から見たもの以上の人物像を作り上げると結局それはただの虚像でしかないというか。
とにかく、ただの戦争小説、反戦ものとかじゃなくて読ん -
Posted by ブクログ
物語って凄いなと、そう思わせる作品だった。緻密な歴史考証、ハラハラさせるストーリー、複雑な人物像、そして最後の着地点…どれを取っても見事な作品である。
エーデルヴァイス海賊団の存在を、私は知らなかった。恥ずかしながら、てっきり作者の創作かと思ってしまった。機会があれば巻末の参考文献から追いかけてみたい。
物語は現在のドイツから始まり、「物語」に移ってからは、戦時下、ナチス体制のドイツが舞台となる。ナチスが、ユダヤ人だけでなく、障害者、同性愛者、ロマの人々なども迫害の対象としていたことが、最近広く知られるようになってきた。直接的にせよ間接的にせよ、加害者となった人たちのことを、何のためらいも