逢坂冬馬のレビュー一覧
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なんとなく、タイトルが気になり、内容を知らずに借りたので、どんな話なのかな〜?と試しに読み始めてみたら、そのまま引き込まれて一気に読んでしまった❗️
私が懸念している事のひとつに、有事の際の自分の行動がある。我が身可愛さの行動に走るかも、と。
生き延びるためにはという理由で迎合するとか、マジ最悪。
でも、やるかも、と。
だから、そんな場面に出会う事ない様にと祈るんだけど、それも身勝手なのかもなぁ…。
とはいえ、もうそこそこ長く生きてきたので、自分のことはともかく、10代のまだいかような未来をも生きられる子供達が、生まれた時代に翻弄されるのはやりきれないな。 -
Posted by ブクログ
本作は、異国の戦時下の情景が圧倒的な解像度で描き出されており、日本人作家の手によるものとは思えないほどの没入感がある。
舞台となる地域こそ限定的だが、そこで繰り広げられる人間ドラマのスケールは極めて大きい。
動乱の時代、名もなき場所で確かに起きていたであろう「小さな革命」の息吹を、まざまざと感じさせてくれる。
特に印象的なのは、タイトルの真意が明かされる瞬間だ。
物語の地平では、彼らは歴史に埋もれた「歌われなかった」存在かもしれない。
しかし、その生き様を読み終えた我々の世界においては、彼らは決して忘れ得ぬ、光の当たった存在へと昇華される。
忘却と記憶の境界線について、深い気づきを与えてく -
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読む前は「何で少女が銃を撃つのか」が純粋に気になって読み始めた。
読んだ後は、独ソ戦の内容について思っていたよりも詳しく書かれていて、歴史の勉強になった。中高生向けの内容なのかと思いきや、割と刺激的な内容も描かれていて驚いた。初めはイリーナに対して、主人公セラフィマが感じた怒りを自分も感じていた。だが、中盤あたりから、イリーナの人としての温かさが描かれて、「あれ、意外といい人なんじゃないか」と彼女に対するイメージが変わっていった。
戦地での無法地帯ぶりや、残酷さ、少女たちの人間ドラマが描かれていて、ただの戦争小説にはない要素が数多く含まれていた。読者の年齢を問わず読む人を引き込む魅力があると感 -
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戦争ものだからハッピーエンドにならないとわかっていたけど、やっぱり苦しかった。
言葉に出さないことで無いことにするってのは、昔も今も誰にでもあるような気がした。そう思って結構はっとした。『うすうす気づいている』とか『なんとなく思っていた』っていう気持ちを殺して日常を生き続けてしまうと後悔の多い人生になってしまうんじゃないかと思った。
あとは、家族であろうと親しい仲であろうと他人を理解しきることはできないものなんだろうと覚えておきたいなと思った。その人に、自分から見たもの以上の人物像を作り上げると結局それはただの虚像でしかないというか。
とにかく、ただの戦争小説、反戦ものとかじゃなくて読ん -
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物語って凄いなと、そう思わせる作品だった。緻密な歴史考証、ハラハラさせるストーリー、複雑な人物像、そして最後の着地点…どれを取っても見事な作品である。
エーデルヴァイス海賊団の存在を、私は知らなかった。恥ずかしながら、てっきり作者の創作かと思ってしまった。機会があれば巻末の参考文献から追いかけてみたい。
物語は現在のドイツから始まり、「物語」に移ってからは、戦時下、ナチス体制のドイツが舞台となる。ナチスが、ユダヤ人だけでなく、障害者、同性愛者、ロマの人々なども迫害の対象としていたことが、最近広く知られるようになってきた。直接的にせよ間接的にせよ、加害者となった人たちのことを、何のためらいも -
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2022年本屋大賞作品「同士少女よ、敵を撃て」の著者による次の作品です。
今回は第二次世界大戦最中のドイツが舞台です。
その頃のドイツと言えばヒトラー率いるナチスが国全体を統治していた時代です。
しかし時は戦争末期でもあり、ナチスに反旗を
翻し、密かに抵抗を試みる若者たちもいたよう
です。
自分たちの街に敷設されている鉄道レールの
行き先には何か秘密があるらしい、と
その正体を突き止めるために旅に出た若者たちに待ち受ける「真実」とは。
日本もそうだと思いますが、敗戦によって目覚めて
民主化へ舵を切ったかのように思われがちですが、
ドイツは戦争中からすでに「このままでいいはずが
ない」 -
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ネタバレ自らの誇りを胸に罪のない人々の命を守ったエーデルヴァイス海賊団の活躍に胸を打たれたし、反対にそういったものから目を背け続けた大人たちの振る舞いには憤りを覚えましたが、果たして自分が同じ立場に立った時どちらの行動を取るのか考えたらやはり自らが生き延びることを最優先にしてしまうと思いました。そういった意味でもこのような悲劇は繰り返されるべきではないし、クリスティアンとムスタファのように次の世代まで引き継いでいくことが大切だと思いました。
あとレオンハルトからの手紙であり得ないほど泣いた。
ドクトルも疑ってごめん、1人だけ本名明かされないしなんかどんでん返しあるのかと思って読み進めてたけど結局めち -
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ネタバレ物語の至る所に伏線が散りばめられていたり、動きのある場面には迫力があったり、まずエンタメ小説として面白かった。
それだけでなく、深く考えさせられる小説だった。人種や信条で人々を恣意的に区画し、差別を行なったナチだけでなく、自分の知る枠組みの中で勝手に相手を理解した気でいる人々の傲慢さも、当時のマイノリティを苦しめていたのだと感じた。後者は特に現代を生きる私たちにも通ずるものがあり、理解しないでそっとしておく優しさを見習いたいと思えた。
また、大人たちが自己防衛の為に口をつぐんで目を背けた事実が語られず、歴史から消えていく様が鮮明に描かれていた。しかし、それでもフランツはヴェルナーたちがナ -
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素晴らしかった。ナチスドイツの支配下にあり、強制収容所が近くにあった街に生きた少年少女の抵抗と、その記録。主題は、ナチスへの抵抗ではなく、人としての誇り、そして見て見ぬふりをする大人の態度についての話。見事に現代と繋げていて、ラストははらはらと泣いてしまった。
日本の植民地支配もしかり、原発や沖縄の米軍基地問題もしかり、そしてウクライナとロシア、イスラエルとガザ地区の戦争も、環境問題も、うっすら気がついていて、でもできることはなくて、何となく受け入れてしまう態度が加害なのだと突きつけらる。平和な日常が何より大事だが、それが何かの犠牲の上に成り立っていないのか、せめて見て見ぬ振りをしている自分