逢坂冬馬のレビュー一覧
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ネタバレ戦争に女性が参加している国があるということは知らなかった
しかも軍人として狙撃手として
でも世の中は女性に対する差別も性暴力もある時代なのは変わらず、しかし彼女らは男性から受ける心ない言葉や扱いにも負けなかった
人類史上最悪の戦争を、自分の信念のために生き続けて生き残った
並大抵の覚悟ではない
もちろんその覚悟が凄惨な出来事から生まれている訳ではあるが
復讐のために生きる
だが、これは何かを成し遂げるために必要な膨大なエネルギーを生むものであり、彼女が真の敵を撃つためにきっかけとなったことである
何かを成し遂げるためには自分にとって大なり小なりきっかけが必要となる
それはある日突然やってくるかもしれないし、つかみに行くべきことかもしれないし、本来は望まれるものではないかもしれない
主人公の境遇は本来は望まれるべきものではないが、とりあえずそれは置いておいて、
いい意味では、自分が何かを成し遂げて変わっていくきっかけは、何かを体験してみる、新たな人との出会いをするなど、自分でつかみに行くことが大事なことなのように思えた
PS.
何かを極めその丘を登りきった先に見えるのは何なのか、地平線が見えるのか
リュドミラ・パヴリチェンコは残ったものは何もないと語った
戦争が終わったら愛する者か熱中する趣味を見つけよと言った
自分が納得する大きなものは愛する者がいることだったので、それを失った彼女は狙撃の腕を極めても何も残っていないと語ったことが印象的であった
何かを成し遂げた先にあるのは地平線か無か、それは成し遂げる前に見極める必要もありそうだ -
Posted by ブクログ
明治から令和までの人と犬の歴史をテーマとした短編集です。戦争を犬という切り口で描かれています。戦争の中で人々が大きな流れに呑み込まれ、自らの正しさを上書きしていく過程が痛々しい。自分の意見を失い、諦めとともに理性が壊れていく…その様子は強いリアリティをもって私に迫ってきます。
野犬、日本犬、洋犬、ハチ公、供出される愛犬たち、警察犬。人の傍にはいつも犬がいます。しかしその時代ごとに人に都合よく定義され利用されて…。そんな自然体の存在を人と共に描くことで、人間の思考や意識が変遷していく恐ろしさが、より一層際立っています。
犬にまつわる知らない歴史がたくさんあり、新たな気づきをくれるとても印象に残る作品。またぜひ読み直したいです。
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Posted by ブクログ
敵味方どちらから見ても同じことをしている。敵とみなせば略奪し殺す。50人殺した、80人殺した、故に自分は英雄なのだ、と。戦場においては殺害もただの数なのだ。そのひとつひとつは命であり無数の物語がある何者かだったはずなのに。しかし戦争はやがて終わる。誰も殺さず何の殺害計画も立てない日常に戻った時に思い知るのだ、自分は確かに80名もの命をただ奪ったのだと。そして個人の意思ではなく戦争という状況がそれをさせた、殺すか殺されるかどちらかを選択せねば生き延びられない現実こそが残酷なのだ。それぞれがその時正しいと信じたことをする。戦火を生き延びた彼女たちの晩年とその年月もまた胸に染み入るものがある。
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Posted by ブクログ
今年読んだ本でナンバーワン!
池井戸潤、
塩田武士、
朝井リョウ、
が好きな人なら、ハマります。
現代社会を緻密に分析した上で展開されるストーリー展開。読む者を惹きつけて離さない登場人物達。
すごい作家さんに出会ってしまった!
不動産営業のこととか、
マネーセミナーのこととか、
よくぞここまで調べ上げたものだ。
裏の裏まで。
そして、人の心の機微を、とても丁寧に描いているし、本当に大切なこと、大切な気持ち、大切な態度ってなんだろう?真に善良であることって、どんなことなんだろう?というのを、登場人物達が必死で伝えてくれる。
理不尽なことも、思うようにならないことも
突然の事故も、悪い誘惑も、生きている限り誰にもあるわけで。
ラストシーンも好きだ。
オーバーザレインボウ。
好きな曲。レインボウに込められた意味。
あー!余韻に浸る!
表現しきれない
自分の語彙力のなさと
感情と経験と優しさの欠如が嘆かわしい。
身悶えするくらい、素晴らしい本だった!
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Posted by ブクログ
「分かった気になってんじゃねえぞ」
全編通じて、そう言われている気がした。
まとめるとしたらこの一言になるけれど、他人を完璧に理解できる人間など1人もいないように、本作をまとめようとすること自体が既に謙虚さを失っている証左なのだろう。
それを前提としながら、本作の凄みの一端を記したい。
自己、他者との関係における自己、社会の中の一員としての自己、他者理解、文化…現代に通ずるあらゆる要素が深く描かれた物語である。全ての大人に読んでもらいたい。
「殴り方を教えてやる」の真意とは。
「自分を完璧に理解する他人が一人でもいるか」。相手にとっての自分も同じだろう。
かと言って、他者に無関心であることを本作は提示しない。社会に生きる一員としてのありようも描かれる。完全なる他者理解はできない。だが、私とあなたはつながっている。がゆえに、できることもあるのだと。