逢坂冬馬のレビュー一覧
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二年十一ヶ月という決められた期間、自動車期間工として働く本田昴は、契約の満了日に同僚がSUVブレイクショットのボルトを車体内に落とすのを目撃するもののーーー移り変わる所有者たちによって作られる壮大な物語
「台の上のすべてを把握しようとするのは傲慢だし、自分の打つボールが波及するという意識を持たない人間には、ゲームに参加する資格はない」
最高の一冊の中の大好きな台詞。
ブレイクショットとはビリヤードにおいてゲーム開始時に行われる最初のショットを指し、この一打によってビリヤード台の中央奥に集められた球が様々な方向に動き出す。
作中にて、ある人物がブレイクショットを放つ前に言った台詞で、自分が -
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ネタバレいままで読んだ中で1番面白かった社会派小説。
特殊詐欺(ト〇リュウ)、偽装修理(ビッ〇モーター)、LGBTQ、戦争、雇用問題などニュースになっている問題が小説になっていて、すべての話に登場する1台の車がこれらの話を繋ぎ、軌跡となって1つの物語になっているところがすごい。
どの話も自分の身近におきてるかもしれない話で、考えさせられることが多かった。
あの善良な後藤父が壊れてしまったところは辛かったけど、よく戻ってきてくれて涙。
全然内容に関係ないところだけど登場人物の名前が気になった。
作者はもしかしてファイアーエムブレム好きではないか。
フェリックスとか、ジェイクとか、「同士少女よ、敵 -
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「ブレイクショット」ビリヤード用語ですが、
この作品の中ではその元々の意味と、
架空のSUV車・ブレイクショット の二つの意味合いで用いられています。
ある期間工として働く青年のお話から始まり、
ある一台のブレイクショットに関わる人々の、とにかくとにかく壮絶な…言わば地獄の人生を描いたお話でした。
読んでいて辛くて泣きすぎて寝れなくなって、
でも止まらなくて気持ちとしては身を削る思いで読み進めていました、、、
どこか遠いような話かもと思ったら
身近な、生活の一部のような話もあって、
かなり自分ごととして読めるところが、この作品の魅力だなと私は思いました。
目まぐるしい……。ちょっと混沌としてい -
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辞書のようにぶ厚くて重い本…読み始めるのが億劫だったが、いざ読み出すと止まらなくなり、寝不足になりながら2日で読み切った。(私にしては速い!)
ブレイクショット。それは「程よい性能と価格」を持つ架空のSUVの名前であり、ビリヤードでゲーム開始時の始めのショットを指す言葉でもある。ブレイクショットの名を持つ車が人から人へ渡っていき、ビリヤードの球のようにさまざまな出来事も波及していく。
8つの物語で登場人物たちはみな頭を抱えたくなるような地獄を見ていた。どの道を選んでも八方塞がりで、「頑張れば」「信じていれば」で簡単に好転するようなものでもない。それでも生きていく方法を見つけなければならない -
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これ、めちゃくちゃ面白かった!結構なボリュームがあって、読み応え十分なのに、物語がきっちり繋がっていって壮大な読後感を与えてくれる。ああ、読んだー、読み終えたー、良かったー。って感想になる(語彙力どこいった)。大満足。
「同志少女よ、敵を撃て」の作者さんの作品。海外歴史的物ばかり書く方なのかなと思っていたけど、今回は日本国内の現代劇。それも抜群に面白い。
章立てで物語が進んでいくんだけど、主人公がどんどん変わっていく。それぞれの立場でそれぞれの考え方や行動の理由がわかる。大手投資会社の副社長からその息子へ、その息子のサッカー友達の父親から不動産屋の営業担当へ、果てはアフリカの武装勢力の少年ま -
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ネタバレ『同志少女よ、敵を撃て』は、「戦争は人間を悪魔にする」という主題を、第二次世界大戦の独ソ戦を舞台に真正面から描いた物語である。
主人公セラフィマは、16歳のときに戦争によってすべてを失う。地元の村はドイツ軍に襲撃され、母親を含む村人は皆殺しにされ、女性たちは凌辱された。セラフィマ自身も殺されかけたその瞬間、赤軍兵士イリーナに救われる。その体験の中で、母を撃ち殺したドイツ軍狙撃兵イェーガーの存在が、彼女の中に強烈な「生きる理由」として刻み込まれる。復讐のためだけに生きる少女は、やがてイリーナに導かれ、女性狙撃兵専門の訓練学校へと身を投じていく。
本作が鋭いのは、戦争を単なる「悲劇」や「狂気」 -
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ネタバレ村を焼かれ、家族や仲間を惨殺され、復讐を目的にすることで狙撃手として生きていく、復讐を完遂する物語だと思っていた。
だんだん主人公や友人、他の兵士たちや敵の兵士たちがおかしいと思うようになる。
敵兵を殺した数を誇る主人公。
復讐すべき仇と直面した時、母を殺したことを忘れていたちぐはぐさ。
敵国の女性を戦利品のように扱い、周囲との仲間意識を強くするために強姦する両国の兵士。
心優しく、結婚しようと思っていたミーシカさえも。
ドイツは敵で、自分の仇は非人道的な人間。自分は正当で、ソ連の女性を守るために戦っているんだと、主人公が信じていたものが戦いの中で揺らいでいくその過程を読みながら共に感じた