逢坂冬馬のレビュー一覧

  • 同志少女よ、敵を撃て

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    読まなきゃいけないから読むという本ではなく、引き込んで読ませる。

    ファンタジーでは戦う意義を見出せるが、実際のところは、この世界に、悪人は誰なのか、という答えすらない。戦場では死ぬとただの無であるし、理不尽しか存在しない。

    文字なのに、めちゃくちゃ怖いものが迫ってくる。
    しかし、読者だからで、実際は怖いとすら思う前に、死んでいく。1回の狙撃にしかならず、特に撃ってごめんとか、辛いとかもない。撃たれる意味も撃つ意味もない。

    やってることは同じになのに、平和な世の中に人を殺すのと、戦争している時に人を殺すのは、全く意味が違うと感じる。ファンタジーのように終わりもなく、戦友が1ミリの油断でいな

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    2025年12月07日
  • ブレイクショットの軌跡

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    おもしろい!間違いなく今年のベストテンに入る。逢坂冬馬さんの小説はスケールがでかくて、想像の斜め上をいくつながり方をして、そして学びがある。投資、特殊詐欺、SNSなど、他分野の知識をもちそれを惜しみなく、共有してくれる。またいつか再読したい。

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    2025年12月07日
  • ブレイクショットの軌跡

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    国産SUV車「ブレイクショット」を軸に話が展開されていく現代版の青い壺のような小説。伏線の張り方と回収が見事で、ナインボールのようにブレイクショットが手球となって個々の話を繋げひとつの物語となっていく。 

    それぞれの話はSNSの炎上やそれによる私刑ともいえる断罪、集団詐欺、グレーなマルチ商法的サロン、過剰なノルマ主義など世相を反映した話題が取り上げられる。そしていずれも天国か地獄かを決めるのは紙一重で、善良さを保つか忘れるかによることが描かれる。匿名性が高いときやグレーゾーンなときは言動や行動が過激になりがちで自分を見失ってしまう。

    善良な人たちがすべてハッピーエンドを迎えるエピローグは圧

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    2025年12月06日
  • ブレイクショットの軌跡

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    いやー、もう最高!騙されるのって気持ち良い!
    でもまぁ、騙されるって表現は語弊があるかも。
    勝手に物語に熱中しすぎて、勘違いしてただけだから。

    架空の車、ブレイクショットの因縁が多方位にわたり、人生を繋げて行くストーリー。
    いやー、エピローグは本当、微笑みながら、これもあれも?という感じだった。

    ページ数も多く、途中暗い話だし、しんどいなぁと思うところもあったかもしれないが、読後の爽快感が半端ない。伏線とかって、不自然だったり、見え見えだったりすると冷めるけど、これは全くなかったなぁ。

    作中にでてきた、門崎と後藤のやりとり。
    「ダチ公」、、、
    これを目指すべきだったんだよなぁ。

    鈴木世

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    2025年12月05日
  • ブレイクショットの軌跡

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    車には疎く、タイトルのブレイクショットというのはナインボールのことだけだと思ってました。

    弾けた球が捉えられない動きで互いに関与していくように、様々な出来事と場面、人物が関わっていく様は見事でした。登場人物も魅力的でよかったです。

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    2025年12月04日
  • 同志少女よ、敵を撃て

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    私の勉強不足で戦争の話は理解できない部分があった…
    ただセラフィマの成長を描いた物語と割り切って楽しく読むことができた!
    セラフィマにとって敵とは?
    狙撃兵として育ったセラフィマには戦争が終わった後はなにが残るのか?
    色々と考えさせられる物語だった!

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    2025年12月04日
  • 同志少女よ、敵を撃て

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    人は何の為に戦うのだろう?
    多くは、何かを守る為だと思う。
    その何かは、大切な家族だったり、自分の住む故郷、
    、あるいは誇りといった所だろう。

    第二次世界大戦の独ソ戦が舞台。
    主人公である少女セラフィマは愛する家族と仲良くなっての良い村人と平和に暮らしていた。セラフィマは将来は外交官を夢み、今は戦闘状態でもあるドイツとも仲良くなれる。そんな、希望を描いていたのだが、
    その希望はナチスドイツの突然の侵略に打ち壊される。両親も殺され自身の命も危うい中、自国ソ連の軍隊の登場により、急死に一生を得る。
    そして、その舞台を指揮するイリーナ。
    彼女は唯一生き残ったセラフィマに対し、優しい言葉をかける、、

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    2025年12月04日
  • 同志少女よ、敵を撃て

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    フィクションとして手に取った作品であったが、実在の女性狙撃兵や史実に基づく描写が随所に折り込まれており、物語の背景に広がる現実の重みを強く感じさせる作品であった。
    戦中の出来事を善悪や正誤といった単純な枠組みでは扱いきれず、価値観が揺れ動き、時に歪められていく様子が印象に残った。極限状況下で人間が変質していく過程や、そこで生まれる複雑な感情の連なりが丁寧に描かれ、その異常さが胸に迫る。

    本作を通じて、これまで十分に光が当てられてこなかった女性兵士の存在や、戦時下における女性の置かれた境遇が改めて可視化されたように思う。単に“女性が戦った”という表層ではなく、その背後にある歴史的背景や社会のま

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    2025年12月03日
  • ブレイクショットの軌跡

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    【短評】
    二冊目となる逢坂冬馬は、早川書房創立80周年記念作品にして山本周五郎賞及び直木賞候補作に選出された意欲作だ。先日読んだ『同志少女よ、敵を撃て』の印象が強く、戦記物を主戦場とする作家という先入観を抱いていたが、現代物もイケることを証明してくれた。相応のボリュームのある作品だが、かなり早めに読み終わったのが、その証左であろう。

    架空のSUV車「ブレイクショット」を巡る8つの物語。
    それは「ブレイクショット」の生産工場に勤める期間工の物語であり、マネーゲームに興じるヘッジファンド役員の物語であり、地球の裏側で銃把を握る少年兵の物語である。物語は複雑に交差し、混迷を深め、思いも寄らない形で

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    2025年12月01日
  • 同志少女よ、敵を撃て

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    歴史の知識が無さすぎて調べながらだったのと、戦争小説なので人の死もたくさんでてきて、読破するまでに時間がかかった。それでも読んでよかったと思えた小説。「読んでよかった」というのは「面白かった」というより「読まなくてはならない本だった」という感覚。

    ・戦争という逼迫した状況がどのように人を変え戦闘に向かわせるのか
    ・多くの国で女性は戦闘そのものには参加しなかったのにロシアでは多くの女性戦闘員がいたこととその背景
    ・戦争下の女性に対する暴行

    このへんがこの本を読むことで解像度が深まって、知らなくてはならないことをまた一つ知れた感覚。

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    2025年12月01日
  • ブレイクショットの軌跡

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    ネタバレ

    魂が震える作品。皆読んでほしい。
    ブレイクショットの軌跡というタイトルも深い。
    長編だからこそ、没入してそれぞれの人物の立場で深く考えることができ、最初から最後まで味わえた。
    社会の一員である自分は、すでに世の中の出来事に関係していること。
    人間ひとりひとり、問題のひとつひとつ、とても複雑なはずなのに、「まとめ」で知った気になってしまう現代社会のこと。


    最後の彼女の言葉がとても良かった。
    自分の打つボールが波及するという意識を持たない人間にはゲームに参加する資格はない。
    だが、誰かがそれを打たなければならない。

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    2025年11月29日
  • 同志少女よ、敵を撃て

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    ネタバレ

    初読。話題からだいぶ遅れたが本屋に行くたびに気になっていたのでついに購入。これでデビュー作とはおそろし。淡々と語られる戦場の苛烈さ、悲惨さ、歪んでいく人間性。膨大な死者が数として処理されるやりきれなさ。戦場での女性に焦点をあてることで、今までの戦争小説とは違った気づきを得られる。この本を読んだからには精一杯の想像力を駆使して現実の戦争について強い気持ちで考えなくてはならない。

    「もう戦争は終わる。そうしたら、平和の時代は終わらないさ。世界中が戦争の恐ろしさをいやってほど知ったんだもの。きっと世界は、今よりよくなるよ。」

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    2025年11月26日
  • 同志少女よ、敵を撃て

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    こりゃおもしろい!! 文末コメントにもありますがこの装丁が物語にいい味付けをしてますね。
    ハラハラドキドキで一瞬にして読み終わりました。読後感もとても良く、評価が高い理由も納得です。

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    2025年11月26日
  • 同志少女よ、敵を撃て

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    ネタバレ

    タイトルだけは聞いたことがあって、てっきりファンタジー系か比喩表現としての「撃て」だと思っていたら、ガチなやつでびっくりした。
    独ソ戦(第二次世界大戦)のロシアの女性狙撃手の話。
    かつ、戦争系でよくある人格が壊れてしまったという話ではなく、(いや、そうなんだけど、視点が違う?)女性の社会での立場や扱いについてを考えさせられる話だった。
    本書にでてきた「戦争は女の顔をしていない」も読みたくなってしまった。
    この作者は女性なんだろうか、男性なんだろうか。
    この題材でそこに視点を持っていくとは…と若干驚いた。
    ただ、セラフィマが自分が戦う目的を「女性を守るため」とした理由が希薄にも感じて、ちょっと唐

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    2025年11月25日
  • 同志少女よ、敵を撃て

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    とても面白い
    戦争をテーマにした小説はあまり読んだことがなかったが、兵士が女性さらには狙撃兵ということで、通常の戦争物語とは別の角度での見え方が多々あった

    また、現実世界でも同じことが起こっていることを加味すると、色んな感情を掻き立てながら読むことになる

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    2025年11月24日
  • 同志少女よ、敵を撃て

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    ネタバレ

    家族を殺されたお下げ髪の少女がスナイパーとして育てられ、戦場に赴き駆け抜ける。
    そのような物語ではあるが、その道のりはあまりに過酷。
    スナイパー同期生や戦友の死、またかつての故郷の友人を自ら…。
    最後に少し救いはあるが、戦場を舞台とした物語はやはり重いと感じました。
    しかし小説としてはとても優れている、本屋大賞にふさわしい名作と思います。

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    2025年11月23日
  • 同志少女よ、敵を撃て

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    前評判通りとても面白く興奮させられた作品だった。
    ソ連兵の主人公がナチスドイツを討ち取る単純な物語ではなく、何のために戦争に参加するのか、戦争の果てに何があるのか、そして戦争における敵とは何か、物語を通じてそれらが著者から問いかけられ、考えさせられる作品だ。
    これらの問いに対する回答は主人公達の思想を通じて読者へ提示されるが、その回答は三者三様であり、それらに明確な正解があるわけではなく、多様な思想がある事に気付かされる。
    そして、物語の終盤でのタイトルの回収、主人公にとっての敵は何かの回答、この展開には痺れました。

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    2025年11月23日
  • ブレイクショットの軌跡

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    伏線回収が超気持ちいい終わり方。
    期間工の話とサッカー選手たちの話とアフリカの武装勢力の話が最後にうまくつながる。

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    2025年11月23日
  • 同志少女よ、敵を撃て

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    エピローグで泣いた。後書き読んで参考文献読んでリュドミラって本当にいたの??ってなった。

    最後の要塞の戦いで泣いた。ユリアンとマクシム隊長でグッときた。セラフィマとの旅。イリーナの愛。戦争の虚しさ。ミハイル。。。

    個人的にはオリガがマジで好き。カッコいい。そして悲しい。優しい。

    イェーガーとの戦い。ユリアンの芸がいきるあたりの演出からオリガまで、エンターテイメントとしてのフィナーレ。そこからミハイル、エピローグまでの、私たちが本当に心と頭に刻まなければならぬ真実のこと。

    とにかく進むにつれてめくる指が止まらなくなった。


    英雄が英雄であるのは世の中がそれを求めるときだけ。英雄もまた1

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    2025年11月21日
  • 同志少女よ、敵を撃て

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    最初から最後までずっと面白かった。
    何が面白かったのか。全部。
    どこが面白かったのか。全部。
    正義はどちらか一方にあるのではなく両方にある。
    命は重いし、軽い。
    狙撃の境地とは瞑想の境地と等しいのか?

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    2025年11月18日