逢坂冬馬のレビュー一覧

  • 歌われなかった海賊へ

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    舞台は第二次世界大戦、終戦間際のドイツ。

    とある町に鉄道のレールを敷いている主人公たちだが、何か違和感を覚えて、そのレールの行先に何があるのか探る。そこで見つけたものは何だったのか。

    前作「同志少女よ、敵を撃て」では独ソ戦における女性兵士という、あまり一般的には知られていなかった存在を主人公にしていたが、今作もそのような知られざるグループが主人公となっている。

    エーデルヴァイス海賊団。

    ナチス政権下における、青少年による反ナチグループである。この本を読んで初めてこのグループの存在を知った。

    あの時代に流されずに自分で物事の本質を考えられるのはどれほどいただろうか。考えられたとしても、

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    2025年11月23日
  • ブレイクショットの軌跡

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    ネタバレ

    該当作がなかった直木賞候補の中でイチバン面白い作品だった。
    (「乱歩と千畝 RAMPOとSEMPO」と「嘘と隣人」は途中で挫折してるので、「Nの逸脱」「逃亡者は北へ向かう」「踊りつかれて」の3作品と比べてだが)

    先入観無しに読み始めたが、プロローグの時点で、馳星周さんの直木賞受賞作「少年と犬」を思い出した。
    今作では、車(ブレイクショット)を狂言回しにして、所有者が困難に見舞われることで現代社会の様々な共同体ーサッカー、町工場、IT企業、不動産業界、投資系Youtuberとセミナービジネス、アフリカの少年兵での闇の部分や絶望が描かれている。

    「取り柄は善良さ」の章で描かれていた家族のエピソ

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    2025年11月22日
  • 同志少女よ、敵を撃て

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    ダークな内容かと思ってなかなか手に取らなかったが、読んでみると臨場感溢れ、スリルに満ちた面白い本だった。スナイパーという特殊な仕事をする上での必要な能力、性格特性などを初めて知った。能力かあれば女性にも務まる仕事ながら、非常に過酷な仕事でもあった。
    平和や家庭の対極にある世界で生きる兵士たちに思いを馳せる機会になった。
    興味深くはあるが、このような経験を子どもたち世代がしなくて済むことを心底願う。

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    2025年11月21日
  • 同志少女よ、敵を撃て

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    第二次世界大戦の独ソ戦のソ連が舞台。村を奪われた少女が狙撃隊となり戦争を戦い抜くストーリー。実際にあった戦争だし、作中でも当たり前にどんどん死んでいくので、あまりこの表現はふさわしくないのだけれど、面白かった。
    私は世界史には明るくないのだけれど、実際に活躍されたり殺されたりした女性兵はいたそうで、でも「戦果」と言うと男性ありきのもんだなとエピローグを読みながら感じた。
    600ページくらいでボリュームはあるけれど、読みやすかったので一気に読めた。本屋大賞も納得。

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    2025年11月19日
  • ブレイクショットの軌跡

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    受賞作なしになった2025年上期、173回直木賞の候補作。この人の作品を読むのは3作目だが、前2作に比べると、各話の繋がりが難しく、またいろんな問題を盛り込み過ぎで満点は付けられないな。しかし、ストリーテイラーではるわな、この人は。次作も期待したい

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    2025年11月17日
  • ブレイクショットの軌跡

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    プレイクショットという架空の国産SUV車。自動車工場で生産されて新車に。持ち主の事情で手放されて中古車に。さらに営業車になり、やがて紛争地で改造されて想定外の役割を担っていく。
    この1台の車に関わった人たちの膨大な物語。
    経済や紛争地の問題あたりはニュースでは取っ付きにくく、作者の書いてくれた『物語の力』によってどうにか読み通すことが出来た。今後はこの分野にもう少し関心を持てそう。
    特殊詐欺のあたりはさらにわかりやすくて、頭のいい人が悪いことに能力を使ったら恐ろしくてかなわないなと思う。
    最後に一連のストーリーが繋がり読後感が良かった。
    これだけ長大な一冊を読んだので、やっぱりこのように物語を

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    2025年11月16日
  • 同志少女よ、敵を撃て

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    4.1
    登場人物が皆、魅力的に作られており、すんなり名前も覚えられた。アニメや漫画に出てきそうなキャラクターイメージがある

    物語の導入から締めまで、流れもとても良かった。
    細かい展開で読める部分もあるが、全く予想外の展開もあり最後まで楽しく読むことができた。

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    2025年11月16日
  • 歌われなかった海賊へ

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    ある日、ドイツの中学校で、生徒の1人が提出した課題の中に町では偏狭で有名な老人のことが書いてあった。
    興味を持った教師はその老人に会いに行く。


    エーデルヴァイス海賊団。
    ナチス政権下のドイツで実在した若者グループ。


    第二次世界大戦下でのドイツでは(でも)
    ざっくり言ってしまえは

    ヒトラー万歳
    偉大なるナチス


    のような洗脳と言っていい教育を、ヒトラーユーゲントという組織の中で14歳以上の子どもに(当初、参加は自由だった)大戦末期ではほぼ強制的に行なっていた。

    そこに反発をしていたのがエーデルヴァイス海賊団。
    しっかりした政治的思想や目標がある訳ではなく、ただただ強制されることがな

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    2025年10月21日
  • 歌われなかった海賊へ

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    戦時下における、善良であるはずの市民の罪を訴追する物語。極限の状況下では、大勢に倣って行動してしまうのは仕方のないことと思っているから、そこで本来の善悪に立ち返ることができるのか。自分には難しそう。
    ドイツでは2010年になっても、強制収容所の看守への裁判が行われて有罪になったということに驚いた。戦時下であっても、犯した罪は残る…。国民性の違いもあるのかな。

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    2025年10月09日
  • 歌われなかった海賊へ

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    なにか変だと薄々感づいていても、見て見ぬふりをしてしまう
    現代でも往々にしてあることですね
    当時声高に主張したとても即座に収容所送りで、それを知っている大人たちは何もできないでしょうけれども

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    2025年10月03日
  • 歌われなかった海賊へ

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    【同士少女】程のエンタメ感は無い!読み終わった後でPCで色々と調べたくなる作品です。実話と物語としてのバランスが凄くよくて最後の方は一気読みでした。
    しかし...戦争なんかするもんじゃ無いって事だけは確実に言えるわ。

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    2025年10月01日
  • 歌われなかった海賊へ

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    悲しいお話。
    戦争は、終わってもなお
    体験者の中で続いていくものなのかもな、と思った。
    小説なので、実際の時代考証などは厳密でなくてもいいだろうに
    執筆にあたり取材したり調べたり、大変だったのでは?と感じた。

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    2025年09月15日
  • ブレイクショットの軌跡

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    一台の車にまつわる群像劇 オーディブルにて

    これまでの逢坂作品とはガラリと変わって、複数の登場人物が少しずつ絡む群像劇

    色々な角度から社会問題を描いて考えさせられる
    非正規雇用、偽装修理、LGBTQ、前頭葉障害、格差、貧困、少年兵、特殊詐欺など、、

    前頭葉障害の症状やAsexualなど知らない事柄も沢山出てきた。

    明るさと暗さの交錯具合が面白かった。

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    2025年12月12日
  • 文学キョーダイ!!

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    青木理さんとの対談本で奈倉さんを知って興味出て、読んではないけど逢坂さんの事も知ってて、へぇ姉弟なんだぁーと思ったから読んでみた。
    姉弟なんだから家族の話は出るだろうと予想して、本を読む家族はどんな家族なのかと興味があり読んだ。本を読むことは考え力に繋がると思ってたから、子育てをしていて、そういうのも知りたかった。

    同世代だし、生きてきた時代も共感できた。戦争を反対していく立場をはっきり示していて、最後は反戦本にもなってると思った。

    肝心のお二人の小説も翻訳本読んだ事ないのでこれから読んでいきたいと思います。

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    2025年08月29日
  • 歌われなかった海賊へ

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    ネタバレ

    本当にナチスの支持者でない人たちが反体制的な活動をしていたかはわかりませんが、今もある複数企業が間接的にナチスを支援していたってことは覚えておくべきだし、多くの人が見てみぬふりをしていたってのは自分も振り返るべき話だなと思いました。戦時下で、勇気ある行動をとった主役3人はもちろんですが、ドクトルもフランツもカッコよかったです。
    フランツについて、ずいぶん自分を卑下するような書き方をするなと思っていたら、フランツが書いたという設定だったからなんですね。しかし、フランツが死んで、役所の人にこれまでの活躍が評価されてて、あれから並々ならない努力があったんだろうと思うと、人は変われるんだなをいう希望を

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    2025年08月19日
  • 歌われなかった海賊へ

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    ドイツの歴史に、ヒトラーの時代に詳しくはない自分には少し難しいのではないかと思いながらも読みはじめたら、そんなことはなくサクサク読み進める事ができました。
    わかりやすい悪がいて、少年達がそれに立ち向かう。単純な物語ですが、戦時中のドイツという緊迫する世界の中で自分達の信じる道を突き進む少年達、死をも厭わぬその姿、信念には驚かされました。
    戦争の悲惨さと生への執着が生々しく描かれている傑作、だと感じました。

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    2025年08月06日
  • 歌われなかった海賊へ

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    ナチ政権下のドイツにおいて、大勢に流されず自分たちの矜持を守り抜いた若者たちの話。とはいえ単なる青春小説に留まらず、人はなぜ人を自分の都合の良いように区別し分類するのか、という難しいテーマが横たわっている。
    前作「同志少女よ、敵を撃て」に比べると物語の緩急やスピード感は落ちるものの、この若者たちや、彼らを取り巻く人々の内面を細かく描いていて飽きることはなかった。個人的にはドクトルが一番好き。ああいうオタク系が活躍する話はたまらないです。

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    2025年08月03日
  • 歌われなかった海賊へ

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    父親が殺され1人で暮らすケンカの強い労働者の息子、ヴェルナー。ナチス親衛隊将校の娘、エルフリーデ。町の名士良い育ちの、レオンハルト。爆弾好きの、ドクトル。

    4人のエーデルヴァイス海賊団が、周りを巻き込みつつ、収容所への鉄道を止めるため、トンネルを爆破することをひとつの目的とする。

    連合軍がドイツを破るまでのストーリーと、その数十年後孫の世代のストーリーが繋がる。

    初めから息をつかせぬ展開の速さと、主要登場人物の魅力。民族、歴史、家族、愛、戦争、全てが絡み合う。

    レオンハルトのヴェルナーへ宛てた手紙では涙が止まらない。

    いつの時代にも、国や体制に正直に戦い反抗する青年達が存在する。

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    2025年08月01日
  • 歌われなかった海賊へ

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    歴史を紡ぎ語り手が次の世代にバトンを渡していく。ナチスドイツの時代を生きた青年達の物語。若さ故の行動が、終盤にかけて怒涛の展開へと繋がっていく。友情を強く感じられる場面が多かった。良本でした。

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    2025年07月31日
  • 文学キョーダイ!!

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    逢坂冬馬さんの「同志少女よ敵を撃て」を読みたいと思いつつ、こっちに先に手がのびました。姉弟の幼少期の過ごし方や、読んできた本、お二人の戦争や平和への思いなど、背景のようなものが見えて、お二人の著作をますます読みたくなりました!

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    2025年07月30日