あらすじ
激化する独ソ戦のさなか、赤軍の女性狙撃兵セラフィマが目にした真の敵とは──デビュー作で本屋大賞受賞のベストセラーを文庫化
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Posted by ブクログ
なんで私はこんな面白い本を今まで読んでなかったんだろう。話題書を斜に構えて敬遠しがちな天の邪鬼の自分を責めたい。(たぶん日本人の男性著者が描いた外国の戦争を舞台にした少女兵士の話なんて…と舐めていたんだろう…本当にすみませんでした!)
でもこの年末年始没頭するようにこの長編を読み進めて2026年一発目にこれを読み終えたことは本当に幸せだと思う。素晴らしかった。登場する女性狙撃兵達がこの地獄のような独ソ戦をどう生き抜くのか、最後どこに辿り着くのか、ハラハラしてページをめくる手が止まらなかった。憎悪、怒り、反発、信頼、信念、友情、裏切り、愛、、緊迫する極限の戦火の中で描かれる人間性。幼馴染、師弟、同僚、対敵、、信頼できる者は、憎むべき敵は誰なのか。戦場の描写はこれでもかというぐらい生々しく、登場人物もみな魅力的で人物描写も本当に素晴らしかった。明日をも知れぬ張り詰めた日々の中で心を通わせる登場人物達の姿に、銃弾に倒れた名も残らぬ多くの人々の最期に、何とか戦争を生き抜いたものの心身に深い傷を負った人々の苦しみに何度も涙した。こんなにも悲惨な戦争を経験したのにあの地域の人は何故また戦争をするのか、そしてこんなにも読む人を夢中にさせて心を震わせる素晴らしい小説を書いた著者が最近出した本はなぜあんまり響かないのか…この大きな2つの謎が悩ましい。あと数学が苦手な私は絶対に狙撃手にはなれない。難しすぎる。
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戦争を舞台にした小説だと、読むのを躊躇っていたが、手に取って正解だった。
人の性質を変えてしまう戦争という恐ろしい場で狙撃兵として戦う少女セラフィマたちを描いた物語。
戦友たちの死、ドイツ・ソ連軍兵士の女性に対する仕打ち、共に郷里の復興を誓った幼馴染の変貌を目の当たりにして、単に大勢の人が死ぬというのではない戦争の恐ろしさが突きつけられた。昨今報道されるロシアとウクライナの関係も、無知のまま見過ごしてきた自分にも危機感を覚えた。
Posted by ブクログ
良かった。
戦後80年という今年、この作品を通じて戦争に従事した人間の視点から改めて戦争について考えることができた。
この日本にもあらゆる戦争に関する書物がある。
戦争を経験した生の声をまとめた本であったり、果ては『はだしのゲン』のような漫画であったり。
しかし、それらのようなものに触れる機会が月日を経る度に失われていっているような気がする。
そんな時代に、この小説を読めて良かったと思うし、もっと多くの人に読んでもらいたいと思った。
もちろんこれが全てだと思わないが、考える入り口となる一冊であると思う。
Posted by ブクログ
本屋大賞受賞作ということで気になっていましたが、戦争、外国という設定からなかなか手が本にに伸びませんでした。ですが、思い切って読んで良かったと思える1冊でした。
セラフィマ、イリーナや仲間たちの魅力に引き込まれ、イェーガーとのシーンも臨場感があり、時間も忘れて読んでしまいました。
ここまで戦争の悲惨さを感じさせる戦争小説は、私の中では初めて、なんか勉強にもなったように思います。
本の裏表紙に書かれていたセラフィマの「真の敵」は…
Posted by ブクログ
戦争小説は苦しくなるから、ゆっくり、心の調子が良いときに読もうと思っていたけど、読み始めたらすごい勢いで読んでしまった。女性を守るために戦うセラフィマ。敵とは誰なのか。今この瞬間の平和に心から感謝するとともに、自分の目の前で母親が、家族が、友人が、同僚が殺されたら、自分はどうするのか。銃弾や迫撃砲が飛び交う中で生活すると自分はどうなるのか。戦争に行くのは男だけじゃない。しかと心に留めておきたい。
最後に、この本では犬が死にます。
Posted by ブクログ
おそらく初めての戦争小説。
本屋に行くとよくみるので気になり読み始める。
これが読書大賞、直木賞候補作品かと衝撃を受けた大作であった。 先入観からか最初は海外小説かと思っていたが、
日本人作家と知り二度の衝撃。
しっかりと裏付けされた正史に女性スナイパーの物語がしっかりと織り込まれた作品であった。
既に終戦しているが、実際に今おこっているかのような臨場感があり、
主人公の葛藤に感情移入することができた。
表題についてもしっかりと伏線回収され600ページを
1日で読破させる物語であった。
Posted by ブクログ
今年読んだ作品の中で一番かもしれない。
それぐらいの余韻と印象を残した作品。
2022年本屋大賞1位を獲得した作品でもある。
1942年、モスクワ近郊の村に暮らす少女セラフィマの日常は
急襲したドイツ軍によって突如として奪われた。
母や村人は惨殺され、自らも射殺される寸前、
赤軍兵士イリーナに救われたセラフィマは、
復讐のため狙撃兵になることを決意する。
同じ境遇で戦うことを決めた少女たち、
セラフィマ、シャルロッタ、アヤ、ヤーナ、オリガは共に訓練を重ね、
やがて独ソ戦の決定的な転換点となるスターリングラードの前線へ。
おびただしい死の果てに目にした、真の敵とは?
第二次世界大戦を題材とした作品は数多くあるが、
殊更ソ連を描いた、しかも日本人作家の描いたものというのは珍しい。
主人公が男の軍人ではなく、少女の狙撃兵という点も。
伝説の女性狙撃兵リュドミラ・パヴリチェンコやフルシチョフなど、
実在の人物も織り交ぜて登場してくる。
なので世界の近代史の知識があれば、なお深く楽しめる作品であろう。
とは言え、内容は楽しいものではない。
悲惨という陳腐な言葉しか浮かばない地獄そのものである。
戦争という最も愚かな人間の行為。
それは描く側で全く違った視点をもたらす。
連合国側、枢軸国側、どちらから見てもそれぞれの正義があり、
それぞれの悍ましい悪があり、そして悲劇がある。
そのどれをとっても物語となり、我々は知る。
正しい歴史だろうと、改竄された歴史であろうとである。
簡単なことは言えない。
もはや何が悪で何が正義なのか。
何を持って正しいと言えるのかわからない。
それがわかるなら、戦争なんて起きていないのだろう。
とにかくわかるのは痛みだけ。凄惨な、地獄だけ。
そんな負の歴史を、きちんと描き、エンターテイメントとして
ある一点だけでも投じる物語として昇華させた作者の手腕は
陳腐な言葉ではあるが、凄いとしか言いようがない。
物語終盤でポツリと語られる、それぞれが元々描いていた将来の夢。
それがとても辛く苦しかった。涙が溢れ出た。
戦争がなかったら。その一言に全てが集約していた。
そのifが無意味なことも、現実は違うということも、
全てわかった上で、それでも涙が止まらなかった。
Posted by ブクログ
同志少女よ、敵を撃て
というタイトルの意味が明かされた時の感動...!
自分の敵はなんなのか、成し遂げたいことはなんなのか、見失いそうになった時思い出したい小説
Posted by ブクログ
独ソ戦中、平穏に暮らしていた村をドイツ軍に襲撃され、母と村人を殺された敵を討つ為に銃を取った少女セラフィマ。ソ連軍の狙撃兵となり最前線で目にする景色が敵兵の死が仲間の死が、彼女を徐々に変えていく。
刻々と変わる戦況、積み重ねられる死と数字、叫びや劇的な表現よりも淡々と記録されたような文章に静かな恐怖があとを引く。
残酷で辛い、目を背けたくなる…でも目を逸らせない。そんな風に葛藤しながらも最後まで読み切ったのはこの物語が生きた人間の記録として迫ってきたから。
終盤セラフィマにとっての本当の敵を理解した瞬間、色んな感情が溢れた。女性兵士達が戦った意味、守りたかったもの。敵の姿は戦争そのものの醜さを体現していた。
悲惨な戦争史を下敷に書かれた作品故に面白いと表現することを躊躇うけど、ここまで心を動かし考えさせられる力を持つ作品に他に適切な言葉が見つからない。多分これから先も何度も手に取ることになると思う。間違いなく面白く、重みのある一冊だった。
Posted by ブクログ
初めて戦争をテーマにした小説を読みましたが、、、最高でした。
主人公と周りの人間関係性や戦争に対する信念には常に考えさせられ、戦いになると迫力や展開スピードの速さに一気読みさせれました!!
第二次世界大戦のソ連歴史背景を知ってるともっと深く読める作品だと思います。
Posted by ブクログ
読まなきゃいけないから読むという本ではなく、引き込んで読ませる。
ファンタジーでは戦う意義を見出せるが、実際のところは、この世界に、悪人は誰なのか、という答えすらない。戦場では死ぬとただの無であるし、理不尽しか存在しない。
文字なのに、めちゃくちゃ怖いものが迫ってくる。
しかし、読者だからで、実際は怖いとすら思う前に、死んでいく。1回の狙撃にしかならず、特に撃ってごめんとか、辛いとかもない。撃たれる意味も撃つ意味もない。
やってることは同じになのに、平和な世の中に人を殺すのと、戦争している時に人を殺すのは、全く意味が違うと感じる。ファンタジーのように終わりもなく、戦友が1ミリの油断でいなくなり、敵国からしたら恨みの対象である側面からは罪を背負い、輝かしい英雄にはなれない。
この作品をしんどいな、と第三者目線で思える世界に生まれたことに感謝しながら、この世界にはまだ存在していることに苦しみながらも、この世界の平和を望む。
Posted by ブクログ
私の勉強不足で戦争の話は理解できない部分があった…
ただセラフィマの成長を描いた物語と割り切って楽しく読むことができた!
セラフィマにとって敵とは?
狙撃兵として育ったセラフィマには戦争が終わった後はなにが残るのか?
色々と考えさせられる物語だった!
Posted by ブクログ
人は何の為に戦うのだろう?
多くは、何かを守る為だと思う。
その何かは、大切な家族だったり、自分の住む故郷、
、あるいは誇りといった所だろう。
第二次世界大戦の独ソ戦が舞台。
主人公である少女セラフィマは愛する家族と仲良くなっての良い村人と平和に暮らしていた。セラフィマは将来は外交官を夢み、今は戦闘状態でもあるドイツとも仲良くなれる。そんな、希望を描いていたのだが、
その希望はナチスドイツの突然の侵略に打ち壊される。両親も殺され自身の命も危うい中、自国ソ連の軍隊の登場により、急死に一生を得る。
そして、その舞台を指揮するイリーナ。
彼女は唯一生き残ったセラフィマに対し、優しい言葉をかける、、、という事は決してなかった。
彼女は、傷心という言葉では、とても足りない心中のセラフィマに対して、「戦いたいか?死にたいか?」と問いかける。そして、呆然とするセラフィマの前で、
イリーナは今しがた、亡骸になった母親や思い出の品を燃やし、セラフィマはひどく動揺させる。
自身の大切な全てを踏み躙られたセラフィマは、目の前のイリーナ、そして、全てを奪ったナチスドイツに復讐を近い、スナイパーへの道を歩む事となる。
といったあらすじ。
600ページにも及ぶ作品だったが、途中退屈する暇もなく、一気に読む事ができた。登場人物も非常に魅力的であり、セラフィマと同じ部隊であるアヤに、シャルロッタ、オリガ、ヤーナにターニャ。そして、イリーナ。全員が全員個性的であり魅力的。
そして、登場人物達の戦争という極限状態での葛藤が非常に考えさせられる。
こういった戦争を題材にした作品では、いつも民間兵、本作ではパルチザンだが、民間人のふりもしくは、民間人そのものが襲ってくるという極限状態は、兵士としても保護する対象を敵とみなさないといけなくなり、保護対象とすべき人物が危ぶまれてしまう。
本作では、その様な描写自体はそこまで、強烈には描かれていないのだが、そこはいつも考えさせられる。
そして、本作の主人公達は女性のみで編成された部隊故なのか、誰かを助けるための犠牲になるケースが非常に多い。そこはやはり、女性は男性より愛情深いと考えられているなか、リアリティを感じしてしまう。
冒頭でも書いた、何かを守る為に人は戦うと思う。セラフィマは復讐はもちろんだが、女性を守るという大義をもっている。守るものをおびやかす物を敵と呼ぶなら、「同志少女よ、敵を撃て」の敵とは、一体誰の事を指しているのだろう。
Posted by ブクログ
長いけどそこまで長く感じない。
戦争の惨さを、セラフィマを通して感じられる。
戦争は人を醜くしてしまう。
読んでいてつらくなるけども、こういうことが実際にあったのだろうという衝撃が勝つ。
戦争において敵とは何なのだろうか。
Posted by ブクログ
日本に住んでいるとどうしてもヨーロッパ諸国やアメリカ側から見た戦争の話などが多い印象にある。特にアメリカ。
その中でこの作品は、ソ連を主に、戦争ではあまり出てくることのない女性という目線から見る、戦地、生と死、世間、友達、家族、戦績、犯罪、罪、正義、悪、、、色んなものが詰め込まれていてどう捉えるのか、そして自分にも投げかけられる問いがとても感銘を受ける作品。
戦争の話だが色々と考えさせられることが多かった。
Posted by ブクログ
今はロシアがウクライナに侵攻しているが、第二次世界大戦のロシアはまさに今のウクライナと同じ状況だった。侵攻された国がどんな景色を見るのか。一人の女狙撃兵の物語を読みながら戦場を回る感覚。恐ろしく辛い思いをしたからこそ、復讐心のために相手にも同じことをしてしまう。正義とは敵とは何か。単純なの結論に収まらず考えさせられる。社会主義国の中から見た自由主義、資本主義というのも興味深かった。
本屋大賞受賞してて話題になっていたので購入しました。
リアリティがありドキュメンタリーのようでした。序盤から手が止まらなくてあっという間に読み終わりました。読後感も悪くなくとても面白かったです。
Posted by ブクログ
戦争のリアルな恐ろしさを感じさせる作品。
少女狙撃手目線で戦争が語られており、他の戦争を描いた作品とは異なる目線で描かれる。主人公セラフィマの成長と戦争の歪さを感じた。
Posted by ブクログ
戦争は国のトップの暴走によって起こり、軍の末端にいる兵士たちは上からの命令に従って敵を殺す。多くの兵士は、個人的な憎しみではなく、自分が生き延びるために敵を殺している場合が多いと思う。しかし、本作の主人公であるセラフィマは、それとは異なる。
彼女は故郷の村を焼かれ、母を殺され、「死ぬか生きるか」を迫られた末に狙撃手になる道を選ぶ。それは、母を殺したドイツ兵狙撃手に復讐するためであった。
戦争は巧みなプロパガンダによって、人々の復讐心や愛国心をあおり、人を変えてしまう。これは、昨今の戦争でも同じことが起こっているのではないかと考えさせられた。
本書は戦場の地獄を丁寧な情景描写で描いており、セラフィマの見ている世界が手に取るように伝わってくる。戦争の恐ろしさ、命の尊さを深く考えさせられる一冊。
Posted by ブクログ
戦争を描いた作品の多くは男性を中心に描かれているが、本作は若い女性が主人公である。
自分が持っていた戦争の女性の役割としては、日本ではひめゆりの塔で有名である看護や兵士を補助する立場であって、本作のように狙撃兵が実際のソ連にいたということに驚いた。
戦争が人間を悪魔にするという一文が本作にあるが、果たしてそうなのか?
戦争中において、生きるとは何か?目的とは?
この狙撃兵の少女の物語を読んで、今一度考えなければならないと思いました。
Posted by ブクログ
展開のハラハラ感だけでなく、残酷さ、復讐心、戦い中の心境、戦況まで手に取るように詳細に描写されており、読むのにカロリーがかかるものの、感じることが多い本だった。
Posted by ブクログ
あー、やるせない。実際起こっていることだからなのか考えさせられるなんて簡単に言えないし、答えが矛盾だらけの形容し難い感情にしかならない。ただ一つ、ミハイルを殺して自分は処刑を免れようとしたことがずるいと思ってしまった。もちろん悪いことなんだけど、そもそも戦争中にまともであれというほうが無理でしょう?あー、やるせない。
Posted by ブクログ
この本は、セラフィマたちの学生時代の描写を丁寧に描いたことによってその後の展開が辛くなったもうに思った。特にみんなに優しく、誰とでも仲が良かったオリガを私は好きになった。そのオリガがスパイであるとわかってすぐに戦闘シーンが始まり、アヤが初陣で亡くなったため、絶望感があった。自由を得るために初陣で死んだアヤを見て、私は虚しくなった。スパイだったオリガは最後にはセラフィマを守るために亡くなった。オリガにはよく陰湿なという形容詞がついていて、スパイだとバレた途端に雰囲気が別人のように変わってしまった(それが本性)。しかし、心の中のどこかではセラフィマやシャルロッタ、ママを仲間だと思いたかったのだと思う。セラフィマは最後にそれを汲み取り、同志オリガと呼んだのだと思った。この本には自分の中に確固たる芯を作らなければならなかったキャラクターが多いように思う。敵味方関係なく子供を助けようとするヤーナや敵味方関係なく怪我人を直そうとするターニャなどがそうである。ターニャは最後の方で「もし世界に私のような人間しかいなかったら戦争は起こらなかっただろう」と言った。私はその台詞を読んで納得した。また、終始明るかったシャルロッタには暗い場面でも癒された。彼女のおかげで戦闘の中にも少女たちの日常があるのだと実感した部分がある。セラフィマはよくいる主人公のように、他に比べて共感しやすかったが、立場や階級を気にせず突っ込んでいく癖はあったし、たぶん女子校でモテるタイプだと思う。女の子たちの友情と戦争の残酷さを描いた作品であったように思う。
Posted by ブクログ
序盤で見慣れないカタカナの名前が次々出てきたときはダメかもしれない…と思ったが、めげずに読み進めるとどんどん引き込まれていった。戦争小説は今まで読んだことがなく、知識もないので理解できていないところもあるけれど、女狙撃兵たちの成長や変化の物語として十分楽しめた。
Posted by ブクログ
戦争小説は沢山読んできたけど、本作は文体もキャラクター造形もよい意味でライトな感じ。ぶ厚さを気にする間もなくスラスラ読めるし、とてもおもしろかった。タイトルが秀逸!
Posted by ブクログ
久々に小説を読んだがこんなに面白いとは。
旅のお供として、なんとなく本屋大賞もとってるし評判のいいこの本を選んだが、もう一つの長い旅を一緒にしているようだった。
なぜか自分もそこにいた気がする、存在しないはずのない記憶がありありと蘇ってくる、そんな感覚になった。
どんな小説もこんなに描写に優れているのか、それとも著者の作品だけなのかは、少なすぎる小説経験のためわからないがもっと小説を読みたいと思った。
Posted by ブクログ
大作!!
ドイツとの戦争のロシアの狙撃手女性のお話。
緊迫感があり、スラスラと読めました。
戦争においての女性の立ち位置や、戦争の恐ろしさ、命のもろさを感じながらも、仲間との関係等人間ドラマがあり、映画化したら見たいと思える作品でした。
Posted by ブクログ
まず、日本人が独ソ戦をテーマにこれ程まで詳細に書き、なおかつ知識の薄い読者も楽しめるエンターテイメントに昇華させていることが素晴らしい。
狙撃兵の仲間たちの、戦う意味、主義•信条•価値観。
女性のため、自由のため、子供達のため。
それらが十人十色で、個性に富んでいる。
だからこそセラフィマだけではなく、イリーナ含む他の仲間、全員への感情移入が可能であり面白い。
またセラフィマの「人を撃つこと」に対する感情の移り変わり、葛藤の描写が興味深かった。
最初は、自分が殺した敵が送るはずだった人生を想像して震え、次に殺した敵の数の『スコア』が増えることに高揚し執着する。かと思えば、すぐに殺しを楽しむ自分に気が付いて自己嫌悪に陥る。
これは戦争に行った当時の兵士が体験した心情を、秀逸に描写しているのでなかろうか。
戦争において、何が正しくて何が間違っているかなど、私達が簡単に判断できるものではないが、最後に私情に惑わされず、自分の正義を突き通したセラフィマや他の仲間達はかっこいい生き方であったと思う。
Posted by ブクログ
従来の、「守られる側」「男性との関係で存在を定義される側」という″女性の前提″を取り払って描くことで、女性像が更新されている。
また、女と戦場という見慣れない対比で注目を集めるが、読み手の関心は次第に女らしさでなく人としてのあり方や人間らしさそのものへと向かう仕立てになっている。
女の戦争
初めて読んだ戦争小説がこの作品だった。戦争を深く知ることが怖く、また戦時中の女性を取り巻く環境などに疑問と嫌悪感があったからだ。この作品を読んでいて、もちろんそれがなかったわけではないが、私の中のこれまで抱いてきた感情が少し軽くなった気がした。女だって戦っていた。子どもだって戦っていた。その時代を生きていないから遠いようにも感じていたけれど、主人公セラフィマが照準を合わせたことで、敵を撃ったことで私の中の視界が少し開けたように感じた。もう少し戦争について知ってみようと勇気が出た。少し前に話題になっていて、この本の中でも参考資料としてあった『戦争は女の顔をしていない』岩波現代文庫も気になったので読んでみたいと思った。
Posted by ブクログ
軍事関連の用語などが多く、なかなか入り込めなかったが、「専門用語関連はすっ飛ばせばいい」と思ったら読み進めることができた。第二次世界大戦で最大の死者数を出した独ソ戦に少女セラフィマが狙撃兵として従軍する様子を描く。戦争の悲惨さ、占領下の女性の苦しみなどだけではなく、狙撃に成功したときの高揚感なども描いている。「狙撃兵は戦争が終わったら何をすればいいのか?」という問いは、そのままあまたの帰還兵たちにも当てはまる。主人公や所属の部隊は架空のものだが、歴史上の人物や出来事も盛り込まれている。
40年近く前に台湾からの留学生から自分の妹が学校で銃の訓練をしているという話を聞いて驚愕したが、今も世界の各地で「有事」に備えて訓練をしている若者たちは大勢いることだろう。この本を読みながら、ウクライナのこと、パレスチナのこと、台湾のことなどに思いを馳せた。
ソビエト・ロシアの狙撃兵の少女の話。
直木賞の候補になったというだけあって、読み進めるほどに引き込まれる。
しかしいくらか気になる点もある。
途中で数度、ソビエト期の代表的な歌が出てくるのだが、原曲を知っていた私としては、歌詞を見ても全くその歌であることが分からなかった。なにせ日本語版を使用していたからだ。
原曲とは大きくかけ離れたその内容、どうにかならなかったのだろうかと思わずにはいられない。
また、ところどころ出てくるロシア語の固有・一般名詞もなかなか怪しいものばかり。