あらすじ
激化する独ソ戦のさなか、赤軍の女性狙撃兵セラフィマが目にした真の敵とは──デビュー作で本屋大賞受賞のベストセラーを文庫化
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Posted by ブクログ
戦争と平和な日常の境目は曖昧であることを知った。いつの間にか歪んだ戦地にいる人間は、善悪の境を無くして行動してしまうことを知った。相手が自国の言葉を理解出来なければ、尊厳ない表現をし、簡単に痛め付ける。敵と味方は状況次第ですぐ変わる。実際に味方の人望の厚い幼馴染の隊長は、戦闘勝利後に女性への尊厳ない行為をし、主人公の敵となった。自国の男性の子を身籠りながら、敵国兵士を主体的に愛する女性もいた。圧倒的に傷付けられないことが保証され、カフェで呑気にサンドイッチ食べながらこの本を読める今の状況をありがたいと思った。
Posted by ブクログ
すごいものを読んでしまったと思った。読み進めるうちどんどん引き込まれていって、敵を撃った瞬間の衝撃に圧倒された。
戦争や銃の描写はもちろん、人間の描き方がすごい。ほとんどの登場人物に驚かされたけれど、アヤとオリガの最期、ヤーナが敵(しかもセラフィマが撃った)を助けに撃たれたところ、サンドラとイェーガーの間にあった愛とその行動、セラフィマの敵陣特攻と拷問描写など全部がメインになりそうなほど強いのに、セラフィマが「敵」を撃った瞬間に収束していったのが衝撃だった。平和ならセラフィマは人を撃たなかったし、ミハイルは優しいままだったし、お互い変わってしまったといえばそれまでなんだけれど、死んだほうがましと言った行為に自分から染まっていったミハイルを殺すことでミハイルと自分を守るのはあまりに辛くて、でもそんな辛いことをすぐに選択できるほど強くもなってしまっていて、読んでしばらく呆然とするしかなかった。仲間が女を襲っていても自分は参加しない、だから優しく誠実な男だと男側が信じ切っている醜悪さをここまで切実に描くことができるのかと思った。イェーガーも同じことをしているうえに彼はサンドラを守ろうともしていて、犠牲になっている女たちもサンドラと同じく人格も生活もあることには無関心なのが苦しい。
引き込まれ続けた。読んでよかった。
Posted by ブクログ
絶望から狙撃手として生きる道を選んだ少女の凄惨な成長劇。戦場で出会う仲間との絆や「何のために戦うのか」という葛藤が圧倒的な熱量で描かれ、長い小説ではあるが最後まで楽しめた。
単なるアクションにとどまらず、敵とは誰かを戦争とは何かを考えさせられ、読み終えた後は深い余韻が残った。非常に読み応えがあった。
Posted by ブクログ
自分も戦場似いるかのように没入して読める。戦争はいつまで続くの?と思いながら読み進めていたのに、少女たちの戦いはもう終わり?と思える疾走感もある。少女たちの思いが上手く描かれていて感情移入できる。
Posted by ブクログ
冒頭から引きつける衝撃的なストーリー、緻密な戦闘描写、緻密で緊張感溢れる狙撃シーン、女性戦士たちの友情、あのラストの展開、一気読み必至です。戦争の罪深さとその中で苦しむ女性たち、深く考えさせられる、心に残る作品でした。
Posted by ブクログ
傑作。
戦争小説を面白いなんて言いたかないが、主人公ら女性狙撃兵たちがこの後どうなっていくのか気になってぐいぐい引き込まれた。仇への憎しみ、戦いの最中の緊張感、仲間の呆気ない死、勝利の興奮と虚しさ、引き金を引く前の無我の境地。心地良い感情ばかりでないのにこの本はどうしてこれほど心を掴むのか。
それはたぶん登場人物たちに血が通っているからだろう。特に女性狙撃兵らが自身に対して卑怯でないのが良い。彼女らは教官の前で何のために戦うのかという動機を宣言する。ドイツ兵への憎しみ、殺される前に殺さねばならないという冷酷さ、戦場を生き抜き場数を踏むほど上達する殺しの技術、殺した数がスコアとして評価される戦争という異常状態に置かれ多くの人が狂っていく。主人公フィーマもかなり変わってしまった。だが過去に宣言した動機=信念に立ち返りそれを守るのが本当にかっこいい。終盤でのタイトル回収の場面ではカタルシスを感じた。
キャラクターの中ではオルガが好き。というか最後の活躍で好きになってしまった。裏切り者だしいろんなところでしゃしゃり出てきて腹が立つことも言うし何やこいつって思ってたのにさ〜〜〜あんなのかっこよすぎるよ
Posted by ブクログ
各キャラクターと主人公のツエ〜展開でどうしてもラノベ感が否めないが、それを補って余りある時代考証の深さと、(あまり誰も言及してないのが謎すぎるが)痛烈なフェミニズムがとても良かった ソ連もドイツも、第二次世界大戦時も現在も関係なく、少女の敵はいつも同じ
フェミニズムを「男性批判」だと捉えている人には確かにこの本はフェミニズムではないと感じるかもしれません ただフェミニズムは本来「男尊女卑」の社会構造により招かれる歪さから男性も女性も解き放つという思想です 例えばミハエルも、通常の社会規範の中では善良な市民であり、本人が言うような同調圧力の空気に屈して最後は虚しい終わりを遂げましたが、もしソ連軍が「性暴力」を軽んじない気質であれば、厳しい罰則を恐れてあのような悲劇は生まれていなかったと思います 「男尊女卑」の世界は男性にも過剰な責任と「男らしさ」を求め、「戦争は男の姿しかしていない」という作中の言葉の通り、どんなに温厚な人間にも男であるというだけで暴力の当事者であることが要求されます ミハエルの敵も、少女の敵も、等しく同じです
Posted by ブクログ
戦争をここまでリアルに描いた本を初めて読んだ。戦争を知ることは悲惨な過去とその愚かさを知ることができるので大事なことだと思う。でも心の消費カロリーが高く、疲れる内容でもある。共に過ごした犬を自分の手で殺さなければ自分が死ぬ状況、友が撃たれ死んでいく、それでも銃を構えなければいけない戦場がとても異常で、でもその立場になれば正常な行動であると考えると頭が混乱する。敵を狙い撃つ描写は迫力があり、圧巻だと思った。でもそのような素晴らしい文章も戦争のこと、見知らぬ人を殺すことを書いていると思うとその感想もうまく飲み込めない。セラフィマの最後の突撃からのラストはものすごい展開だった。
Posted by ブクログ
独ソ戦下、村と家族を奪われた少女セラフィマは、赤軍の女性狙撃兵として戦場へ向かう。
復讐を胸に銃を取った彼女が、過酷な戦場で「敵」とは何かを突きつけられていく物語。
ずっと読みたかった一冊。
読み始めると止まらず、一気に読んでしまった。
まず驚かされたのは、ソ連軍には実際に女性兵士が存在し、女性狙撃兵として戦場に立った人たちがいたという事実だった。
史実とフィクションの間を行き来する本作は、当時の文献や手紙も相まって、ドキュメンタリーを観ているかのようなリアリティがある。
そのリアリティがあるからこそ、物語の中で何度も描かれる受け止めきれない現実が、こちらの心に重く残った。
狙撃描写の細かさも、緊迫感をさらに高めている。
スコープを覗き、自分と相手の命が一点でつながるような時間。
仕留めた瞬間の高揚と、その危うさ。
相手を遠い敵兵ではなく、そこにいる一人の人間として捉えてしまうからこそ、狙撃という行為の重さが際立っていた。
強烈に心に残ったのは、戦争によって人が変わってしまう恐ろしさだった。
憎しみや復讐心は、いつしか狂気へと姿を変えていく。
敵を撃つことが実績となり、その実績を上げることが、己の生きる理由になっていく。
戦争は人を壊す。
けれど、それ以上に恐ろしいのは、壊れないために自分自身を作り替えてしまうことなのかもしれない。
タイトルにある「敵」の意味が、読み進めるほど単純ではなくなっていく。
敵は決して相手国だけではない。
自国の中にも敵は存在し、己の中にも葛藤する敵がいる。
戦場に立たされた兵士に、勝者も敗者もない。
生き残ったとしても、残るのは苦しみなのだと思う。
重い。けれど、目を逸らせない。
史実の重みと物語の力が、人間の内側までえぐってくる一冊だった。
Posted by ブクログ
600ページもあると思えないくらいのスピードで読めた。すごく面白かった。
戦争の悲惨さと、主人公の目的を貫く姿になんとも言えない気持ちになった。
戦争がない世界にならなきゃいけない。
Posted by ブクログ
1940年代前半のロシア(ソ連)の女性狙撃手の物語
改めて感じる戦争の残酷さや愚かさ異常さは戦争を繰り返す人類自体の問題であるわけで、怒りも悲しみも通り越して諦めしか残らない
本作では現実的な終わり方が描かれているけど問題の解決は”ハーモニーシステム”(ex.伊藤計劃氏)しかないまである
その世界観にどっぷりはまり「777」とも「世界99」とも違った濃密な読書体験でした
キャラ立ちが光る
登場人物の繊細な描写が素晴らしく、キャラクターの魅力を最大限に引き出しています。
キャラクターの顔を想像しながら読むことが容易く、長編ながらさくさくと読むことが出来ます。
本屋大賞受賞してて話題になっていたので購入しました。
リアリティがありドキュメンタリーのようでした。序盤から手が止まらなくてあっという間に読み終わりました。読後感も悪くなくとても面白かったです。
Posted by ブクログ
初めは戦争の話で難しい印象だった
昔授業で習ったな〜的な
読み進めていくうちに、そんなことは考えず物語に引き込まれていった
特に狙撃の描写は緊張感がジリジリと伝わってきた
特に第6章は圧巻だった
Posted by ブクログ
主人公はロシアの少女兵。スナイパーとして訓練を受け、戦地へ出る。前線へ、市街戦へ。
人間関係に揉まれ、様々な感情を味わい、過酷な戦況の渦の中で生き延びようとする少女たちの姿がとても鮮やか。
ストーリーにもキャラクターにもどんどんページを繰らせる勢いがある。表紙も魅力的。ものすごく質が高く、よくできている本。
あまりによくできているがゆえに、そして現実の戦争がどんどん醜悪に泥沼化しているがゆえに、読み終わった瞬間、「戦時を青春小説のネタとして消費している自分」に気づいてスン⋯となってしまった。
けっこう前に読み終わったけれど、それ以来、このジャンルに手が出せずにいます。
Posted by ブクログ
テーマが戦争かつ馴染みの少ないロシアが題材ということで、読みづらいかと思ったが、いい意味で裏切られた。
史実が織り交ぜられたストーリーは、壮絶な戦争を描写していて、ずっしりと重い。一方で、ストーリーとしての軽快さが残されていて、話に引き込まれるかつ、ページを進む手が止まらなくなる面白さがあった。
言い訳ばかりで信念を曲げる男性兵たちと、味方とはなにか?自分が引き金を引く理由は?と考え続ける主人公たちとの差が印象的であった。
末尾に書いてあった、作者の「この小説を書かなければよかった」という言葉を今でも覚えている。
Posted by ブクログ
一回本で買ったけど忙しくて読みきれずオーディオブルで再読。
すごい話だった、、、
これが戦争のリアルなのか、辛いなぁ
セラフィマの圧倒的主人公メンタルめっちゃ好きだし、イリーナ教官の表に出さない優しさもめっちゃ好き。あの始まりからあの穏やかな終わり方をするとは思わなんだ。
最後の船のシーン普通に泣いた。
シャルロッタが故郷で工場勤務するんだ、とか言い出した時絶対死亡フラグだと思った。マジでママもシャルロッタも死ななくてよかった。
Posted by ブクログ
ロシアのウクライナ事変の前に読みたかったかな。
狙撃シーンの細やかな描写の細かさに引き込まれる。
対して人間関係の深さが有りがちな関係性の羅列でもう少し深みや意外性が欲しかった。
美少女やシスターフッドや戦時下の性暴力、作者の描きたかった風景は分かるもののもう少し。
Posted by ブクログ
モスクワ近郊のイワノフスカヤ村で母親と半農半猟の生活を行っていた少女セラフィマ。ある日、村にやってきたドイツ軍にたった一人の家族である母親も家族同然に思っていた村人たちも殺されてしまう。自身の身にも危険が迫った時、冬季反攻に出ていた女性兵士イリーナが率いる赤軍の隊に救われる。「戦いたいか、死にたいか」と問われた彼女はイリーナが教官を務める訓練学校に入り、母の仇であるドイツ兵と焦土作戦のために母の遺体もろとも思い出が詰まった家を燃やしてしまったイリーナを殺すため、一流の狙撃兵になることを決める、というあらすじ。
舞台ががっつり第二次世界大戦で、独ソ戦争の地獄で戦う少女の物語をこんなに楽しんで良いのだろうかと自分で自分にちょっと引きながら、見事なタイトル回収を見せるクライマックスには思わず拍手でした。ドラマとして起承転結の筋道がカッチリしてて、歴史フィクション・戦争ドラマとしては破格の読みやすさ。冒頭のシーンから辛い展開なのだけれど「ガラスの仮面」や「鬼滅の刃」の冒頭のようなテンポの良さがあってあっという間にストーリーの山場に連れていかれてしまう。戦争ものなので悲惨な場面は当然多くなってくるけれど、おぞましさを強調するような書き方をしていないので、割とドライな感触で読めるし、間に挟み込まれる人間ドラマも湿っぽすぎなくて緊迫感を削がない。
リアルな戦争というよりは映画っぽさを強く感じました。ワルキューレをかけながらヘリコプター部隊が飛んでくる「地獄の黙示録」や「フルメタル・ジャケット」ほど露骨に叙事詩的映画ってわけじゃないんだけれど、「ハート・ロッカー」よりは饒舌という感じ。
個人的に、戦争を扱ったフィクション作品は「フィクション」感がちゃんと出ている方が、作者の書きたかったテーマと素直に向き合いやすいです。作り物が作り物の顔をしていることに一種の誠実さを感じるというか。「同志少女よ、敵を撃て」は私にとってその塩梅がかなり丁度良かったです。物語に出てくる女性たちの関係性が良かった。
ちなみに私が入り込めなかったフィクション戦争は「シビル・ウォー」です。あれは「もしも」の話だからある程度仕方の無いことなのかもしれないのですが、全体的に殺伐としてドライな雰囲気なのに、かっこいい画角で爆走する車のシーンとかが入っているのがどうにもこうにも飲み下せなかった。抑え気味にしたいならがっつり「ハート・ロッカー」ぐらい抑えてないと、かなり白ける演出だし、グッとくる映像を撮りたかったというならば「地獄の黙示録」くらい作り込んでないと中途半端な感じがして……こんな個人的な話はあまりにも蛇足……!
ストーリーがするすると飲み込めると逆にあんまり書く事がないんだなぁという感想の感想。(貧弱)
2021年、第11回アガサ・クリスティー賞の大賞を受賞した逢坂冬馬のデビュー作。史上初の全選考委員が5点満点をつけたというのも納得の作品でした。
Posted by ブクログ
面白かった。
一番印象に残ったのは、最後にあったオリガの願いであったウクライナの独立が果たされたこと。しかし、本書の単行本が発行されてから、程なくしてロシアのウクライナ侵攻が始まったことで、注目を集めて、重版が決まるという作者の苦悩があったこと。
物語としては、ハッピーエンドで終わってくれてホッとした。
Posted by ブクログ
ドイツ兵に家族はもちろん村ごと目の前で惨殺されたセラフィマ。
助けに来たロシア兵の中にいたのが、
狙撃兵のイリーナ。
「戦うか、死ぬか」を聞く。
「死にたい」と答えるセラフィマの前で村人や母親の遺体を燃やしはじめるイリーナ。
そしてもう一度尋ねる。
「戦うか、死ぬか」
「ドイツ軍とお前を殺す」と答えるセラフィマ。
ここらセラフィマを含む家族を失った少女たちはイリーナに狙撃兵として育てられていく。
設定がアニメっぽいにも関わらず、
戦闘シーン、戦闘後の強姦などの戦争犯罪、狙撃訓練内容がやたらリアルだから現実感があった。
女の戦争
初めて読んだ戦争小説がこの作品だった。戦争を深く知ることが怖く、また戦時中の女性を取り巻く環境などに疑問と嫌悪感があったからだ。この作品を読んでいて、もちろんそれがなかったわけではないが、私の中のこれまで抱いてきた感情が少し軽くなった気がした。女だって戦っていた。子どもだって戦っていた。その時代を生きていないから遠いようにも感じていたけれど、主人公セラフィマが照準を合わせたことで、敵を撃ったことで私の中の視界が少し開けたように感じた。もう少し戦争について知ってみようと勇気が出た。少し前に話題になっていて、この本の中でも参考資料としてあった『戦争は女の顔をしていない』岩波現代文庫も気になったので読んでみたいと思った。
Posted by ブクログ
こちらまで神経がすり減りそうな、心理的攻防と研ぎ澄まされた射撃。
残酷な戦争の中に一人一人の物語があって、誰も憎めない。歴史を知っていたらなお面白いかもれない。
Posted by ブクログ
少女たちの生き様の部分は良かったが、
時代背景等の知識がなく、用語が上手く頭に入らないのか
読んでても楽しいと思ってもすぐにいまいち没入できなくなりの繰り返しだった。
生い立ちとか含めプロット?は良いとは思う。
Posted by ブクログ
★★★★★ 感動した
強く心を動かされた。読後も印象が残る。
例:「登場人物の生き様に胸を打たれ、読後もしばらく余韻が続いた。」
★★★★☆ 面白かった
満足度が高く、読んで良かったと思えた。
例:「物語に引き込まれ、最後まで楽しく読めた。」
★★★☆☆ 普通
一定の面白さはあったが、特別な印象は残らなかった。
例:「退屈はしなかったが、心に残る場面は少なかった。」
★★☆☆☆ つまらなかった
良い部分もあったが、全体としては楽しめなかった。
例:「設定は面白かったが、展開にあまり惹かれなかった。」
★☆☆☆☆ 時間がもったいなかった
読後の満足感がほとんど得られなかった。
例:「最後まで読んだが、得るものや面白さを感じられなかった。」
本書を読んで、人間の醜さや美しさを感じた。
周りから仲間外れにされるのが怖いから、人としてやってはいけないことをやってしまう、
兵士が逃げられないように、逃げたり投降したら処刑する、
敵を誘き出すために味方を囮に使う、
やられるのが怖いから先にやる、
といった人の心理の醜さが、戦争を激化させてしまう。
そんな戦争の中でも、芯を持ってる人は一定いて、
敵であろうが自分の信念に沿って助ける人がいるといった人の美しさもあった。
セラフィマは、最初は普通の女の子だったのに、村や両親が殺されたことで兵士になり、戦場で戦ううちにドイツ兵を殺すことに誇りを持つようになってしまう。だが戦場で様々な人と出会う中で必ずしも同士=ソ連兵ではないことに気づき、最後には同士=女性となり味方の兵士、それも幼馴染を撃つ。
その人の立場、考え方、経験が、その人の同士を形成するのだなと思った。
本書を通じて、自分の信念を持つことはとても大事であると感じた。
自分はなにを大事にするのかをしっかり明確に持つことで、自分に誇りを持って生きることができるのだろうなと思った。
Posted by ブクログ
面白かった。こんなに長い、しかも戦争小説を読むのは初めてだった。
他の方のレビューにもある通り、登場人物のキャラが立ちすぎて現実味がないというか、没入できない部分は多々あった。
文章も難しくて、スラスラと頭に入っていきにくく、なんとか食らいつく感じで読み終えた。
案外、目を背けたくなるような残酷な描写は少なかったのでそこは読みやすくてよかった。
終盤のセラフィマの行動が意外性があって面白かった。
それにしても作者も巻末で述べてたけど、装画が素晴らしいなと思う。あれは誰でも手に取ってみたくなると思う。
実際勉強にもなったし読んでよかった。
Posted by ブクログ
あっさり死んでいく仲間や、変わってしまった幼馴染を通して、戦争の悲惨さや愚かさを書いた作品。
骨太な戦争小説。スターリングラード市街戦はページをめくる手が止まらなかった。
大円団じゃないけど、最後は綺麗に終わってよかった。600ページ近くあって胸糞エンドは立ち上がれない。
Posted by ブクログ
恐ろしいほどの傑作。なぜ戦うのか、何を撃っているのか。
読み終わってからもしばらく頭がぼーっとしてしまい、本を閉じたあとも現実に戻ってくるのに時間がかかりました。
独ソ戦という極限の戦場の中で、少女たちが「狙撃兵」として育てられ、過酷な現実に身を投じていく物語。
単なるミリタリーアクションや、少女の成長譚という言葉では到底片付けられません。
敵を倒すごとに、彼女たちの内面から何が失われ、代わりに何が積み重なっていくのか。
その心理描写があまりに容赦なくて、先が気になって一気に読んでしまいました。
戦争という巨大な狂気の中で、「敵とは誰なのか」「自分が本当に守りたかったものは何なのか」を問い続けるセラフィマの姿に、胸が締め付けられます。
きれい事だけでは進まないストーリー展開だからこそ、ラストに辿り着いたときの余韻が凄まじいです。
寝食を忘れるほど物語に没頭したい人、そして、一度読んだら一生忘れられないような強烈な読書体験を求めている人に、ぜひ手にとってほしい一冊です。
Posted by ブクログ
従来の、「守られる側」「男性との関係で存在を定義される側」という″女性の前提″を取り払って描くことで、女性像が更新されている。
また、女と戦場という見慣れない対比で注目を集めるが、読み手の関心は次第に女らしさでなく人としてのあり方や人間らしさそのものへと向かう仕立てになっている。
ソビエト・ロシアの狙撃兵の少女の話。
直木賞の候補になったというだけあって、読み進めるほどに引き込まれる。
しかしいくらか気になる点もある。
途中で数度、ソビエト期の代表的な歌が出てくるのだが、原曲を知っていた私としては、歌詞を見ても全くその歌であることが分からなかった。なにせ日本語版を使用していたからだ。
原曲とは大きくかけ離れたその内容、どうにかならなかったのだろうかと思わずにはいられない。
また、ところどころ出てくるロシア語の固有・一般名詞もなかなか怪しいものばかり。