逢坂冬馬のレビュー一覧

  • 同志少女よ、敵を撃て
    独ソ戦におけるソ連側の女性スナイパーを主軸に、戦時中、顕在化する人間の暴力性を描いた作品。

    誰が敵で誰が味方なのか、一体誰を撃つべきなのか、女性兵士として敵の境界線が曖昧になる。
    憎むべきは何なのか、ウクライナ紛争の現状を踏まえると「戦争の善悪」について一層考えさせられる。

    総括すると「戦争にお...続きを読む
  • 同志少女よ、敵を撃て
    主人公はソ連軍の狙撃兵という設定で、結果、この独ソ戦に勝利するわけでもあり、華々しい戦歴からして勇ましく優れた軍隊、という描写となっているが、2022年のいま、同じ東欧の舞台で戦っている士気の低下したロシア軍、的な報道との対比が興味深い。

    なんといっても473頁のテキストに刮目。

    “ロシア、ウク...続きを読む
  • 同志少女よ、敵を撃て
    第二次世界大戦中、ドイツ対ソ連のソ連軍に実在していた、女性狙撃部隊をモデルにしたお話。

    「戦うか、死ぬか」の二択しかない状況に背筋が伸びる。映像よりも想像してしまう方がグロテスクなんだ、って思わされるほどの描写。

    訓練所のシーンが好きだった。

    戦争の悲惨さや「人間が生きるのに必要なものは?」「...続きを読む
  • 同志少女よ、敵を撃て
    普段なら手に取らないタイトルなのですが、
    本屋大賞受賞作品と言うことで読み始めました。
    いつもならハイスピードで読むのですが、なかなか読み進められませんでした。
    やはり戦争ものはキツイ。しかも少女。
    戦争のない国で今を生きられることに感謝。
    そして地球上での殺りくがなくなる事を祈ります。
  • 同志少女よ、敵を撃て
    第二次世界大戦の独ソ戦に出征したソ連軍の、女性狙撃兵を描いた物語。

    同志少女よ、敵を撃ての敵とは…

    戦争とは人を人として無くしてしまう。

    早く世界平和が訪れますように。

  • 歌われなかった海賊へ
    生き残る為の嘘と真実。人間は死に追い込まれた時の選択が、嘘をついて生き残る選択を取るか、真実を押し通し死を覚悟する選択を取るか。時は連合軍により侵攻でナチス体制が崩壊始めた時期、強制収容所近くに住むナチ、青少年ヒトラー・ユーゲントに忠実な住民における選択が迫られ、実際に連合軍はそんな住民に対してどん...続きを読む
  • 同志少女よ、敵を撃て
    『歌われなかった海賊へ』を先に読んだので、同じジャンルとして読んだが、こちらを先に読んだ人は私が『海賊』を読んだ時ぐらいの衝撃を受けただろうと思った。

    正直、ソ連やナチスドイツは残酷過ぎて目に入れないようにしていたが、この2作で自分とは違う世界というわけではないと考えたことを思い出した。
    戦争とな...続きを読む
  • 同志少女よ、敵を撃て
    長いから読みながらたるんでしまった。戦況説明のところははしょっちゃった。

    主人公が女性なので、戦地の女性の状況について、今まであまり考えたこともないが、驚かされたこともあった。

    現地女性は乱暴されるが、性の対象ではなく、仲間意識の醸成の手段である。
    これって、もし女性と男性が入れ替わっていた場合...続きを読む
  • 歌われなかった海賊へ
    「第11回アガサ・クリスティー賞 大賞」を受賞したデビュー作『同志少女よ、敵を撃て』の逢坂冬馬、長編二作目。『同志少女~』が良かったので、著者追っかけで今作も手に取ることに。

    舞台は1944年、終戦間近のナチス体制下のドイツ。主人公である少年・ヴェルナーは、父を密告して処刑に追いやった街区指導者の...続きを読む
  • 同志少女よ、敵を撃て
    歴史的背景をよくわからないまま読み始めたので、説明が頭に入ってこず、途中で断念してしまいそうになったけど、残り3分の1あたりから、グッとつかまれて、びっくりして納得して、じっと考えた。
  • 同志少女よ、敵を撃て
    女性狙撃兵の話。戦争の描写がリアル。
    過酷な毎日を戦いながらも主人公が信念を貫く。まわりにいる人たちの行動や考え方に影響をうけながら何度も自分に問いかける。戦いに私情をもちこんでいいのか。なぜ狙撃兵になったのか。
    主人公のまっすぐな強さがすごい。
  • 歌われなかった海賊へ
    ナチス政権下において、その統制に反発して生まれた14〜18歳程度の若者達のグループの1つ、エーデルヴァイス海賊団のメンバー、ヴェルナー、レオンハルト、エルフリーデ、ドクトル、フランツによる、強制収容所に繋がる鉄道のトンネル、橋の爆破に至る物語。
    政治的、思想的信条を持たない彼等が何故命懸けでその様な...続きを読む
  • 同志少女よ、敵を撃て
    中盤からスピード感が増し(違う言い方をすれば内容が軽く感じた)最後まで一気に読ませるくらいには面白かった。

    主題が戦争(の一言で片付けられるほど戦争という状態は単純なものではないことは重々承知の上)、舞台は外国(ロシア、旧ソ連)。

    特に予備知識が無い状態で読んでも引き込まれる、エンターテイメント...続きを読む
  • 歌われなかった海賊へ
    同志少女〜からこの作品を知った。ナチス政権下のドイツで3人の少年少女が手を組み、外の街に続く線路の向こう側で何が起こっているかを探る。3人はそのつながりを冷めたものだと認識しているが、実際はその友情は固く、どんなときもお互いを信じて見捨てない姿が美しい。また、この小説はユダヤ人差別だけでなく同性愛者...続きを読む
  • 歌われなかった海賊へ
    2024年 21冊目
    ナチスの強制収容所をテーマとした戦争小説。当時の緊張した空気感を再現した細かな描写は流石だと思いつつ、なかなか読みにくかった。名前が覚えられなかったのが一つの要因か。
  • 歌われなかった海賊へ
    戦時下のナチス支配を描いているけれど、戦場ではなく日常を生きる若者を描いているため、青春冒険譚という印象を受けた。線路の上を歩くのもあり、スタンド・バイ・ミーを思い起こさせる。

    エーデルヴァイス海賊団が実在したことは知らなかったので、あの時代にこんな若者たちがいたのかというのには驚いた。前作でもそ...続きを読む
  • 歌われなかった海賊へ
    ドイツの戦中、戦後史をよく知らなかったので少しだけ勉強になった。
    ただあまりに遠い内容なので没入感は得られなかった。
  • 歌われなかった海賊へ
    終戦間際のドイツ、エーデルヴァイス海賊団の物語。

    自分の正義を貫く少年少女。
    見習うべき姿があるが、自分にはそんな度胸はない…
  • 歌われなかった海賊へ
    ナチス体制下のドイツ。「エーデルヴァイス海賊団(なんで「海賊」なのかなとは思う。)」という集まり。同志というよりそれぞれが実の親を探してたり性的少数者だったりの背景がある。そんじょそこらのニュースより考えさせられる。私なんか主人公の祖母だろうと思うけど、そういう人物への許容的な視点があるのもすごいな...続きを読む
  • 同志少女よ、敵を撃て
     戦争モノなので、明るい展開を期待していたわけではないが、やはり鬱展開が続き、つらいものがあった。

     人が簡単に死んでいき、直面する出来事にヒトは変化、対応する。いや、適応しないと死んでいくだけと言った方がいいか。

     戦時中では当たり前のことなのだろうけど、目を背けたくなる。

     私は平和ぼけし...続きを読む