逢坂冬馬のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
読み終わるのが惜しいくらい久々の大ヒット。
「夕暮れに夜明けの歌を」のな奈倉有里と「同志少女よ、敵を撃て」の逢坂冬馬の姉弟が、忌憚のない意見をバンバン吐露してる貴重な対談本。互いに敬語を使うのに、(笑)、内容は忖度なしの言いたい放題で溜飲が下がること下がること!楽しい読書だった。
どうやったらこんな姉弟が育つのか、「夕暮れ〜」でも登場した両親がやはりキーパーソンのようだ。丁寧に愛情込めて育てられたのですね。理3の4人の子供を育てた佐藤亮子さんもかなり子どもの教育に関わってたけれど、彼女と違って、子どもに学歴よりも教養を身につけさせることにシフトしている姿勢が潔くて清々しい!価値観が真っ当で柔 -
Posted by ブクログ
さまざまな状況の人物が出てきて
最初はなかなか入り込めなかった。
サッカー少年2人の目標が尊い。
その1人の父親のつらい事故あたりから
夢中になって読んだ。
貧困、ブラック企業、特殊詐欺、投資YouTuber
インサイダー取引、LGBT、アセクシャル
現代の様々な問題点がわかりやすく
勉強にもなりました。
最後、全てがつながって
その手腕はお見事!
落ちた車のネジを見過ごすのか、
見過ごさないか、
いずれの登場人物も
最後に綻びを見過ごさず
自分の意思で決めて
自分の人生を、大切なものを掴んでいく。
だから読後感がスッキリ!良い本でした。
-
Posted by ブクログ
まず、日本人が独ソ戦をテーマにこれ程まで詳細に書き、なおかつ知識の薄い読者も楽しめるエンターテイメントに昇華させていることが素晴らしい。
狙撃兵の仲間たちの、戦う意味、主義•信条•価値観。
女性のため、自由のため、子供達のため。
それらが十人十色で、個性に富んでいる。
だからこそセラフィマだけではなく、イリーナ含む他の仲間、全員への感情移入が可能であり面白い。
またセラフィマの「人を撃つこと」に対する感情の移り変わり、葛藤の描写が興味深かった。
最初は、自分が殺した敵が送るはずだった人生を想像して震え、次に殺した敵の数の『スコア』が増えることに高揚し執着する。かと思えば、すぐに殺しを楽しむ -
Posted by ブクログ
ネタバレ変なビジネス書を読むぐらいならこれを読んだ方が楽しめて、勉強になるぐらい面白いし、為になる。
著者の知識とそれを伝える力が凄い。
ブレイクショットがそれぞれの物語を繋ぎ、色んな人生を描いていく。
章の1つ1つが濃く、ここまで濃厚に書きながら、しかもテーマもそれぞれ違い、大事なことを語っていく。
家族、お金、時間など、生きる上で必要なものはここに書いてる気がした。
伏線も回収も見事。
読んでて最後まで楽しめたし、特に突っ込みどころもないのだが、必要以上に長く感じてしまったのが唯一の欠点だろうか。
読みやすさはあるがミステリーとは違い、膨大な量を読んだ後に得られるビックリ感がやはりミステリ -
Posted by ブクログ
車生産工場の期間工員 本田昴の話から始まる
昴はブレイクショットとゆう車種の製造ラインで
ボルトをひたすらはめていく作業をしている
期間最終日に同僚がブレイクショットの車体内に、
ボルトを一つ落としてしまうのを見た
落とした本人も周りも気づいていない
ミスを報告しなくては・・・
シーンが変わり中央アフリカの戦闘地帯の
少年兵たち
更にシーンが変わり、
サッカーのユースチームで
年齢は3つ違うが親友の霧山修吾と後藤晴斗、
その両親達
と、大きく3つのエピソードが
展開していく
そのどれにもブレイクショットが出てくる
そして、どの話も不穏な出来事が起こる
修吾と晴斗、この2人には幸 -
Posted by ブクログ
舞台は第二次世界大戦、終戦間際のドイツ。
とある町に鉄道のレールを敷いている主人公たちだが、何か違和感を覚えて、そのレールの行先に何があるのか探る。そこで見つけたものは何だったのか。
前作「同志少女よ、敵を撃て」では独ソ戦における女性兵士という、あまり一般的には知られていなかった存在を主人公にしていたが、今作もそのような知られざるグループが主人公となっている。
エーデルヴァイス海賊団。
ナチス政権下における、青少年による反ナチグループである。この本を読んで初めてこのグループの存在を知った。
あの時代に流されずに自分で物事の本質を考えられるのはどれほどいただろうか。考えられたとしても、 -
Posted by ブクログ
ネタバレ該当作がなかった直木賞候補の中でイチバン面白い作品だった。
(「乱歩と千畝 RAMPOとSEMPO」と「嘘と隣人」は途中で挫折してるので、「Nの逸脱」「逃亡者は北へ向かう」「踊りつかれて」の3作品と比べてだが)
先入観無しに読み始めたが、プロローグの時点で、馳星周さんの直木賞受賞作「少年と犬」を思い出した。
今作では、車(ブレイクショット)を狂言回しにして、所有者が困難に見舞われることで現代社会の様々な共同体ーサッカー、町工場、IT企業、不動産業界、投資系Youtuberとセミナービジネス、アフリカの少年兵での闇の部分や絶望が描かれている。
「取り柄は善良さ」の章で描かれていた家族のエピソ -
Posted by ブクログ
プレイクショットという架空の国産SUV車。自動車工場で生産されて新車に。持ち主の事情で手放されて中古車に。さらに営業車になり、やがて紛争地で改造されて想定外の役割を担っていく。
この1台の車に関わった人たちの膨大な物語。
経済や紛争地の問題あたりはニュースでは取っ付きにくく、作者の書いてくれた『物語の力』によってどうにか読み通すことが出来た。今後はこの分野にもう少し関心を持てそう。
特殊詐欺のあたりはさらにわかりやすくて、頭のいい人が悪いことに能力を使ったら恐ろしくてかなわないなと思う。
最後に一連のストーリーが繋がり読後感が良かった。
これだけ長大な一冊を読んだので、やっぱりこのように物語を