フランクハーバートのレビュー一覧
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ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が映像化した『DUNE』を観て、
ティモシー・シャラメの貴公子感、
レベッカ・ファーガソンの神秘性、
ゼンデイヤの生命力といった、
主要キャラクターの力強さに魅了されました。
元々映画から原作に入ることが多く、
映像では描ききれない細やかな設定や世界観を
小説で補い「そうだったのか」と楽しむのが好きな流れなので、
今回の小説3部作には本当に魅了された。
SFの傑作という肩書きを持つこの「DUNE」は、
手に取った段階でその重量に圧倒される。
そして読み始めたらもう止まることの出来ない物語の流れに
一気に引き込まれてしまった。
なるほど、これが傑作たる存在なのか、と
ぐーの音も出ないほどその世界観に圧倒された。
とくに気に入ったはの、本編後に収録されている附録の数作。
本編後の歴史的考察や語録に収録される言葉たちから、
まるでその世界が実際に存在するかのような、
学校で歴史の教科書を読んでいた頃のような体験をした。
おもしろかった。 -
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DUNE砂の惑星、完結。
ラスト、チェイニーの一途な言葉に胸打たれる。
義母のジェシカもこれまでのような、チェイニーに対するやや意地悪?な見方も無くなって。
結果的にチェイニーは正妻にはなれなかったけれど。
父のレト公爵の時もそうだったし、ずっとそうだったんだろけど、どうせならフレメンを正妻にしてあげるだけの改革しても良かったんちゃう?と思ってしまった。
ジハードをとことん避けてきたポールが、自らジハードを拠り所にしてのし上がっていく様子は、なんだか頼もしいけれどもそれ以上に切なく辛い。
最後は続編が楽しみになる終わり方で、しゃーないな続きも買うかー。 -
Posted by ブクログ
いよいよ反撃開始!おもしろい~!惑星アラキスの周りの宇宙空間には大艦隊が集結!地上では決着をつける戦いがはじまります。よッ!元祖スターウォーズ!
そんななかで予知能力をもつポールは、帝国宇宙全体を巻き込む破滅的な「聖戦」を避ける道を探ります。
物語は、今から約8000年先の未来が舞台ですが、そこから更にちょっと未来の歴史家が振り返る、という構図です。だから未来のお話でありながら、歴史ものになっています。
その、歴史の振り返りが、上中下通して各場面の冒頭に書かれている歴史書からの引用です。そして、その歴史書を書いたのがプリンセス・イルーランなのです。
プリンセス・イルーラン、どんだけ歴史書や本書くねんと思っていました。下巻になってようやく本人登場し、本を書きまくった真相があきらかに・・・涙です。
わたしがこの本を選んだ理由のひとつである「演算能力者(メンタート)」(別名人間コンピューター)もでてきてがんばりました。
上中下通して、演算能力者はわたしが思ってたのとはちょっと違ってました。
読む前、わたしは5人くらいの集団で(マルチCPU)、アニメの一休さんみたいに考え(ポクポク)、電話でFAX受けたときみたいな「ピ~、じぇ~ピーガが~」みたいな音声でデータをやり取りすると思ってました。
しかし、文章で読むかんじでは、ホントに考えてるんだかよくわからず、普通の諸葛孔明的存在でちょっと残念。演算結果の文字が、ひたいに浮かび上がるくらいやってほしかったです。
最後になりますけど、物語の重要設定にもふれておきたいです。
それは、思考機械(AI)の支配に対する人類の大反逆(バトラーの聖戦、約100年間続いた)です。人類はかろうじて勝利しました。「考える」とは何かは置いといて、以後AI禁止の宇宙世界になります。その流れから演算能力者など、人間能力を拡張したひとたちが登場するようです。
用語集にバトラーの聖戦は、BG201年からBG108年、と書いてあります。この「G」が何か、何時なのかわかりません。わたしは、おそらく帝国の始まりに関わるものだと思います。
また、下巻P310「附録Ⅱ デューンの宗教」の「航宙!」はじめの「深宇宙をゆく人類の行動は、〈バトラーの聖戦〉に先立つこと110世紀間というもの、・・・」とありますが、「110世紀間」は長すぎでは?
一方、「魔女」と呼ばれる女性集団ベネ・ゲセリットは、2000年間くらい極秘計画を進めているようです。ベネ・ゲセリットもバトラーの聖戦後にできた組織のようです。これで考えると、わたしは大変大雑把ですけど、2025年から5000年後の7000年前後にバトラーの聖戦が起きたと推察しました。
かようにいろいろ楽しめる本でしたよ。 -
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「神はアラキスを創りたもうた―――信仰厚き者どもを鍛えるために。―――プリンセス・イルーラン『ムアッディブの英知』より(中巻P253から引用)
上巻で、わたしはアトレイデス家の家臣として鍛えられ、中巻ではポールやジェシカとともに、砂漠の民フレメンに鍛えられました。とってもおもしろいです。
上巻では不可解な言葉・人名に困りました。助けとなったのは下巻の附録と用語集、映画などのネタバレサイトでした。
特に下巻の「附録Ⅳ アルマナーク・エン=アシュラーフ(王侯貴族名鑑より抜粋)」は、物語の全体像を把握するのに役立ちました。
最初に引用させていただいた文のなかにある人名「プリンセス・イルーラン」「ムアッディブ」が誰なのか、これを読むことでようやく知ることができました。
惑星アラキスに慣れてきたら、なぜ「香料」なのかわかりました。
「香料」は麻薬的でり、抗老化作用があり、超常的能力が得られるものでありながら、料理に使うんです。コーヒー入れたりします。その香りはシナモンの香りに似たニオイがするそうです。そして惑星全体にほのかに漂うのです。
この情報から、わたしがイメージしたのは「カレー」です。だから「香料(スパイス)」かと納得できました。
中巻では惑星アラキスの砂漠の民フレメンを中心に動いていきます。砂漠の惑星アラキスは「水」が大変貴重です。フレメンの「水」に対する徹底ぶりがおもしろいです。
宇宙空間にひろがる帝国内は希少な「香料」利権がポイントですが、惑星アラキスでは「水」に関わる生態系が注目ポイントなのでした。 -
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非常~におもしろかったです!とびっきりのSF&ファンタジーで楽しかったです。
kuma0504さんの下巻レビューを読ませていただいて、選びました。ありがとうございます。kumaさんレビューで、上中下の下巻に用語集があると知り、3冊を用意して年末年始に読みました。
kumaさんレビューで興味を持ったのは「香料」と「演算能力者」です。kumaさんによれば香料は「麻薬みたい」で「摂取すると超人的な能力が持てる」ようです。原著では「スパイス」と書かれています。なぜ「ドラッグ」ではないのか不思議におもいました。
とても読みやすい翻訳本でした。でも読みやすいのと、内容を理解できるかどうかは別ものですね。
物語のストーリーは追えるのですが、特殊設定ワードや抽象的な言葉で、何言ってるかわからないことが多かったです。
『OC聖典』やら『預言者講話』から引用される会話は苦しいです。隠喩?暗喩?例えすぎでしょ。教養ないわたしは「う~ん?」でした。
しかし、それこそが単純な英雄伝説で終わらずに、物語に深みを与えてくれるのです。苦痛と快楽でクセになるおもしろさでした。
上巻を読んでみて、見知らぬ外国に放り出されたみたいだったので、とりあえず自分の中でこの物語をどうとらえるべきか、料理に例えてまとめました。
「約8000年後の未来宇宙世界をえがいた「SF」であり、人類の精神活動に重きをおいた「ファンタジー」。そんなSFとファンタジーでできた「鍋」に、キリスト教とイスラムの「スープ」を入れ、古今東西の歴史・文化・科学を「具」としてぶち込んでどろどろにして、「中世の型」に流し入れ、冷まして固めたもの」かな。
とにかく壮大で精緻なワクワク物語でした。 -
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やっと読み終えた。新作映画鑑賞から約半年、当初の予定からは遅れたが、とっても満足した。映画を見た人は原作も読んだ方がいい。マイオールタイムベストファンタジーである「指輪物語」に匹敵するSF小説になった。
(中)で延々と描かれるハルコンネン家の権力争いは、単なる前振りに過ぎなかった。映画のクライマックスで描かれる戦いの場面はほとんど無視される。重要な人物の死も活躍も、尺の関係か映画では描かれていない。映画は素晴らしかったが、なんかもう、もう一度映画化してもらいたいとさえ思う程、原作には未だ映像では描かれていない多くの要素がある。全然詳しく描かれてはないけれども、この9800年間に及ぶ(地球発祥の)人類の歴史を垣間見たことは、ドキドキする体験だった。
そして(下)の圧巻は、(知らなかったので歓喜したが)3篇の「この時代」に関する「後世」の論文と、「指輪物語」に匹敵する「用語解説」である。
レディ・ジェシカの生年没年を明らかにしたり、アリアの没年を明らかにしていなかったり、もう、それだけで想像が掻き立てられた。当然未だ物語は続くので、ポールの人物紹介などは出てこない。
期待していた「平和とは何か」とか「運命とは何か」とかいう、(ファンタジー或いはSFだから開陳可能な)究極の答は、けれども(下)には展開されない。まだ物語は続くからである。
(下)は、本の半分近くで物語は終結するが、安心してください。3冊の中でもっとも起伏に富み、かつ哲学的だった。世界三大SF雑誌「ローカス」の、12年ごとに行われるオールタイムベストで、4回とも本書が常に一位に輝いたという。おそらく今年の発表でも、「三体」はこの牙城を崩すことは叶わないだろう(←あとで調べると前回からベストを20世紀と21世紀とに分けていた。これなら今回も問題なく本書が一位になる)。
以下マイメモ。(スルーしてください)
息子は〈クウィサッツ・ハデラック〉──いちどきに多数の場所に遍在できる存在にほかならない、ということだ。ポールはまさに、ベネ・ゲセリットの夢を体現する存在だったのである。(略)「ひとりひとりの人間の中には、太古からふたつの力が存在する。奪う力と、与える力だ。男の場合、奪う力が宿る場所を認識するのはそうむずかしいことじゃない。が、与える力が宿る場所を認識するのは、男ではないものに変わらないかぎり、ほぼ不可能事だといえる。女の場合、この状況は逆になる」
ジェシカは顔をあげた。チェイニーがポールのことばを聞きながら、自分を見つめていた。「いまいった意味、わかりますね、母上?」ポールがたずねた。 ジェシカにはうなずくことしかできなかった。(略)「そして、あなたは、息子よ──」ジェシカは問いかけた。「──あなたはどちらなの? 〈与える者〉なの、〈奪う者〉なの?」「その中間に位置する者です。奪わずに与えることはできず、与えずに奪うことはできない……」
←当時は男性は奪う者、女性は与える者という概念が一般的である、ということを前提に会話が成立している。半世紀経って、この概念そのものが崩れつつあるということを作者も予想していなかったのだろう。そして究極の預言者(?)になったポールは、その中間に位置するという。
「香料がなくなったら、ギルドの航宙士はもう、なにも見えなくなってしまうんですよ!」 チェイニーはようやく声を出せるようになった。
←(下)に至って、ようやく大宇宙航海時代における、コンピュータを介在しない時代の航海の方法が明らかになる。砂の惑星の香料に、そういう決定的な役割があるとすれば、確かにこの大宇宙を統べる決定的な契機になるはずである。(下)になって初めて、惑星地上での戦いのみでなく、既にギルドの戦隊が惑星周りに集結していることも明らかになる。なかなかドキドキする展開である。
「なにが使用の禁だ!」ポールは怒鳴った。「領家の連中がたがいに核兵器を使わないのは、禁止されてるからじゃない、怖いからだ。だいたい、〈大協約〉にはっきりと書いてある。〝人類に核兵器を使用する者は、惑星ごと消去されてもやむをえない〟、とな。おれたちがこれからやろうとしているのは、〈防嵐壁〉に穴をあけることで、人類に使うわけじゃないだろうが」
←執筆当時、核兵器が究極の兵器だった。9800年の間に、おそらく惑星ひとつ(地球?)が消滅する様な悲劇を経ての〈大協約〉なのだろう。それが数千年間守られていることに、どういう悲劇があったんだろ?と想像は広がる。でもね、〈防嵐壁〉を破壊した時、大砂嵐で放射能はハッキリ皇帝側に吹きつのったのだから、あのとき「全員」が被爆しているんですよ。
(左腰だったのか! 欺瞞の中の欺瞞の中の欺瞞ということか) ベネ・ゲセリットの修業がものをいい、反射的に筋肉が動いて難を逃れはした
←物語は、戦争ではなく、この個人的決闘をクライマックスに置く。小説と映画の違いではある。面白いのは「◯◯の中の◯◯の中の◯◯」という描写が数回使われていること。裏の裏の裏をかく、という「戦闘技術」が、「コンピュータが否定された」とき洗練される時代になるだろう、という世界認識は、それはそれで教訓的だ。
やがて〈バトラーの聖戦〉が勃発し──二世代にわたる混沌がつづいた。その結果として、機械と機械論理の神は大量のガラクタの山に投げ捨てられ、ここに新たな概念が興隆した。すなわち──。〝人類がなにものかに取って代わられることを看過してはならない〟 (論文「デューンの宗教」より)
←遂に「バトラーの聖戦」が、どの時代に起きたのか、見つけることはできなかった。その詳しい内容もわからない。けれども、この物々しい書き方そのものが、私的にはツボ。
ベネ・ゲセリットの人類血統改良計画は、選択的な婚姻を通じて、彼らが〈クウィサッツ・ハデラック〉なる名称で呼ぶ人間を生みだすことを目標とするものである。この名称は、〝同時に多数の場所に存在できる者〟を意味している。もっとわかりやすく表現するならば、彼らの目的は、〝より高次の次元を理解し、利用しうる、強大な精神パワーを持った人間を生みだすこと〟にあったといえる。(論文「ベネ・ゲセリットの動機と目的に関する報告書」より)
←ポールが〈クウィサッツ・ハデラック〉になるというのが、「砂の惑星」の簡単な粗筋ではあるのだが、結局〈クウィサッツ・ハデラック〉とは何者なのか、はとうとうハッキリしない。その辺りが本書の"面白さ”でもある。
【用語集より】
〈産砂〉──〈小産砂〉 Little Maker 半植物半動物の深砂棲息性媒介生物。アラキスの砂蟲はその最終形態。〈小産砂〉の排泄物が前香料塊となる。
←ここにやっと、「風の谷のナウシカ」における王蟲登場に多大な影響を与えた「砂蟲」の正体が明かされる。「王蟲」は死んで、環境を浄化するものたちだったが、「砂蟲」はその排泄物が「香料」をつくる。正反対である。
保水スーツ Stillsuit アラキスで開発された、全身をすっぽり包みこむスーツ。スーツの生地はマイクロ・サンドウィッチ構造になっており、体熱を外に放散するいっぽう、排泄物から水分を濾過・蒸留する機能を持つ。回収された水分は、蓄水ポケットに蓄えられ、チューブで飲むことができる。
←「砂の惑星」の秀逸なオリジナル機械。マイクロ・サンドウィッチ構造って。
ムアッディブ Muad' Dib アラキスに適応した小型のトビネズミのこと(地球が原産)。フレメンの〝大地の精霊〟神話は、アラキス第二の月の月面にあるトビネズミ様の模様と結びついた。大砂原における生存能力の高さから、トビネズミはフレメンが敬意を捧げる対象となっている。
←ポールの別称。「トビネズミ」は実際、地球上に存在するらしい。こういう「設定」大好き。
バトラーの聖戦、Jihad, Butlerian (「大反乱」の項も参照)コンピュータ、思考機械、自意識あるロボットに対する聖戦。 BG二〇一年に勃発し、 BG一〇八年に終結を迎えた。当時の戒めは、つぎの形で『オレンジ・カトリック聖典』に残っている。「汝、人心を持つがごとき機械を造るなかれ」」
←「BG」って何?約100年間続いた、大きな「戦争」だったわけだ。誰かこれを小説化してくれないかな。
演算能力者 Mentat (メンタート) 帝国の市民階級のひとつ。きわめて高度な論理演算ができるように訓練された者たち。別名〝人間コンピュータ〟。
←私の好きな「設定」の一つ。
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今出ているデューンシリーズの中で新訳の日本語翻訳版はこれが最後。読み切ってしまうことに切なさを覚えながらも展開が早くて面白いので一気に読めた。
伝道者の大衆に訴える力や、レトが”黄金の道”に進んでいく勇気には少し怖さをも覚えるけれど、その分魅力的に思えて、支配するもの、統治する者のそういった側面で大衆は惹かれがち、信じてしまいがちなのでは?と思ったり、物語自体は面白いが、一国の統治といった現実問題に照らしてみるとすこし恐怖を感じたりと、考えさせられたりもする。
あとはダンカンやガーニーなどお馴染みのアトレイデス家の臣下たちが活躍するのもとっても感動するし、ファラッディーンや双子(レトとガニーマ)のような今作から出てきた主要キャラクターたちも本当に個性的で魅力的。
世界観とともに、それぞれの個性がデューンという作品に色をつけているし、読者も誰かしらに愛着を持てるから楽しめるのでは?
また、色々なSF作品の元にもなる金字塔と言われるデューンの魅力を感じられる。特に本作”砂丘の子供たち”については、スターウォーズが後からこれを参考にしたのではないかと思うほど。
旧訳版は1984年出版なので、読みづらいかもと思うと手を出しにくい。新訳版が出されるのを首を長くして待っていたいと思う。 -
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ついにデューンシリーズの第3部まで来てしまった。前作に比べるとまたファンタジーの世界に戻って展開するストーリーに没入できる感じで面白かった。しかし用語や難しい描写?の部分もあった。
登場人物の会話が多いこと、スティルガーやダンカンなどのキャラクターと皇帝ポールの血を引くアリアや双子などそれぞれが帝国を統治する上で担う役割や、価値観の違いなどによって、結局帝国は誰の手に収まることになるのか気になりながら読める。
”上”ではジェシカやアリアが関わるシーンが特に見どころ。
初めて読んだデューンを読んだ時のワクワクをもう一度味わえるような感じ。 -
Posted by ブクログ
最後まで読みやすかった新訳版。
旧訳版を読んだときに、終盤の「そんなことはいうものか」のくだりが今ひとつ理解しがたかったのですが、新訳では「そんなことば、いってたまるか」になっており、前後の文脈も分かりやすくなっており、すっきり理解できました。
解説では「指輪物語」が挙げられていましたが、異世界の構築という意味では、本書はファンタジーに近いものなのかもしれません。
そう考えると、ベネ・ゲセリットのやっていることは魔術的だし、砂蟲という巨大怪獣や、ヨーロッパ中世風の封建制度も、剣と魔法の世界の方がフィットしそうではあります。
ただ、そうした舞台装置に科学的な(あるいは科学っぽい)裏付けを与えるべく、緻密に設定を考えているところが、ファンタジーとの差なのでしょう。
そういえば、映画版デューンを撮ったヴィルヌーヴ監督が、「スフィル・ハワトの出番は泣く泣く全カットした」(意訳)と言っていましたが、たしかに本巻終盤のスフィル・ハワトに関するエピソードは、ほろりとするもので、カットするのは惜しいように思いました。
ただ、タイトルは忘れましたがある映画のDVDのオーディオコメンタリーで、某監督が「気に入ったシーンをカットできるようになったら監督として一人前」というようなことを言ってましたので、スフィル・ハワトが出てこない方が、映画としての完成度が上がったということなのでしょう。 -
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クイサッツ・ハデラックとして覚醒したポール・アトレイデイスがハルコンネンと、黒幕の皇帝への復讐を果たす下巻。
これまで映画と比べながら読んできた。
核となる太い幹部分は同じだが、個々の部分は結構違っていると下巻を読んで改めて思った。
映画は現代的なアップデートがされている。特に小説版は専制君主制でもあるのでポール・アトレイデイスの後ろに女性たちが隠れがち、というか従うしかない部分がちらほらある。それが大きなノイズとなることはないが、1965年に書かれた小説という時代性が顔を出す瞬間もある。
映画でも専制君主制は変わりはないのだが、現代的なアップデートがされている。何なら映画版は男性よりも各陣営の女性たちが魅力的だったりするのが面白い。
特にチェイニーやジェシカなんかは映画版では、芯がある女性であり、自分を持っている女性として描かれている。なので小説版ではその物わかりの良さに、あれ? と思ってしまった。
それと映画版のフェイド=ラウサのヤバい奴感は小説では結構抑えられている。こっちはこっちで魅力的なのだが、ポール・アトレイデイスの写し鏡としてのキャラ機能を感じたのは小説だった。
映画は映画の、小説には小説の、それぞれの面白さがある。楽しめる部分も全然違ったので、見比べてみて良かった。
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は次作の『砂漠の救世主』を一番やりたいらしいので、そっちも手に取ってみよう。 -
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ネタバレかれこれ30年以上前、映画館でリンチ版の映画「砂の惑星」を観た後に旧訳版を読みましたが、今ひとつ訳がこなれていない感じがあり、その頃から新訳版が出ないかと、漠然と思っていました。
という割には、新訳が出てからの積ん読期間が長く、読むのがヴィルヌーヴ版「砂の惑星Part2」を観た後にになってしまいました。
酒井さんの訳は一読して明瞭というべき分かり易さであり、登場するキャラクタと情景が頭の中に生き生きと立ち上がってきます。
もしかすると旧訳の分かりにくさの中に哲学的な奥深さを感じていた人もいたかもしれませんが、個人的には新訳を断然支持します。
さて、上巻は、新たな統治領アラキスに到着したばかりのアトレイデス公爵が、ハルコンネン男爵の襲撃を受け、ジェシカとポールの母子が辛くも砂漠へと逃亡するところで終わります。
覚えていなかったのですが、この時点で既にポールはほとんど覚醒していたようで、後に命の水(砂蟲の”死に水”)を飲むのは儀式にすぎなかったのでは、と今にして思います。
また、ポールが覚醒した時に見たヴィジョンは、量子論でいう多世界解釈に影響されているように思われることも興味深かったです。
そういえば、ゲーム「STEINS;GATE」は、主人公がヒロインを救うために、何度もやり直して何とかその世界線を探り当てる話でしたが、本書の主人公ポールは、未来を視る力(万能ではないようですが)を使い、犠牲を最小限にしつつアトレイデス家再興・ハルコンネン家殲滅を達成できる世界線を探り、進んで行くことになります。 -
Posted by ブクログ
面白かった〜!!!映像が先行してインプットされていたおかげで、鮮明なイメージを持ちながら読み進めることができました。
それにしても情報量の多いこと!映画化にあたってビジュアルを重視したのは英断だった、と言わざるを得ないけれど、私はこの情報たちを知ることが出来て良かった。作品への愛が増します。
ポールもジェシカも、普通の人間らしからぬ思考を隠し持っているんだよ。そしてそれがかっこいい。SFって、堪らなくかっこいい。
圧倒的な“能力”を持ってしまったポールの恐怖や葛藤の描かれ方も最高です。幸薄貴公子すぎる主人公、、。
上巻を読んでから映画館でPart1を鑑賞し、直後に購入したものの2年半も積読していた中巻でした。いざ読み始めたらあっという間だった(面白いけど堅いので、スピードがつくまでに時間を要するの、、)。
下巻こそ、映画公開前に読み終わっていたいな〜〜 -
Posted by ブクログ
盛り上がってまいりましたの三部作下巻完結編。正直独白ばかりであまり物事が動かない上中巻に、面白いながらも飽いてきた感否めない状態からの読書開始だったものの、下巻は一気に物事が動き始め、あれよあれよと主人公ポール・ムアディップが救世主に上り詰める過程を、飽くことなく堪能できる(基本線は同じものの映画DUNE2はかなり内容を精査して、時系列や設定を変えてでも映画用に再構成して成功をおさめていると思える)。巻末には惑星アラキスの歴史やデューン世界の宗教史、用語集など、歴史書さながらの付録が付いていて、世界観の徹底ぶりに笑ってしまった。そして忘れてはならないのが、これが55年以上前に刊行された作品ということ。すごすぎる。
続編も読んでみよう。