フランクハーバートのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
デューン初期三部作の第二部。
第一部の広大な世界観や英雄譚は鳴りをひそめ、権謀術数の渦巻く淡々とした展開が続くばかり。冒頭の著者ご子息による前書きのせいもあり(正直、あの前書きはいらなかったなぁ。。)、なんだか読むモチベーションが上がらず、上巻は割りと読むのがキツかったです。ただ、下巻に入ってからは、鬱々とした雰囲気こそ変わりませんが、話がトントンと進んでいき、終盤の手に汗握る展開には、流石!と感嘆するばかり。
予知とは運命のようなもの。望まない予知、逃れられない運命に悩むポールの苦悩や計り知れず。しかし、最後にみた予知と異なる出来事は、ある意味ではポールの役割に終止符を打ちましたが、彼を運 -
Posted by ブクログ
映画化もされている「デューン 砂の惑星」最初のシリーズが展開があり、世界観に惹き込まれる要素がたくさんあって面白かった分、その続編である「砂漠の救世主」上巻は、帝座についた主人公ポールの葛藤、ポールに対し謀をめぐらす関係者たちの会話や心情など展開はゆっくりでそれぞれの心情や状況にフォーカスをあてている。
ポール側にとっての行く末が明るくないことへの描写も多く少し暗い。前作のほうが変な高揚感があって読む手が止まらない感覚があった。
しかし前作でまだ生まれていなかったアリア(ポールの妹)が出てくること、そして思い出のダンカンが偶人(クローンという理解でいいのだろうか)として出てくること、前作で -
Posted by ブクログ
DUNE 砂の惑星の続編上巻。冒頭にいきなり作者の息子さんの言い訳的な解説文が入っていて面食らった。発表当初(1969年!)、この続編は英雄譚を望むファンの期待を裏切って大批判を浴びたそうだ。が、ちゃんと読んだらそんなに悪いもんではないんですよ、と息子が言っているわけだ。
実際読んでみると、息子の序文は全くの蛇足であるとわかるのだけど、確かにポール・ムアディップの帝位継承から12年後の物語は、帝位をめぐる権謀術数が主な場面であり、ほぼほぼ密室で会話する人々の裏の読み合いでページが埋められていて、映画で言えば5分くらいではないかと思われるシーンに、上巻の1/5くらいが使われる心の中の声のしつこい -
Posted by ブクログ
シリーズはまだまだ続くが、「砂の惑星」としては最終巻。
デヴィッド・リンチ版、ヴィルヌーヴ版の映画で散々観ているので、プロットに関してはすでに知っている。
この巻でハルコンネン男爵の甥であるフェイド=ラウサが登場する。
一方ポールは、フレメンの宗教的指導者となっていく。その過程で以前の部下であったガーニーと再会する。
力をつけたポールは、皇帝との最終決戦へと突き進む。
有名な作品なのですでに知っている部分が多い。
ただ、絶大な人気を誇る古典なので、読んでおいてよかった。
1960年代はレイチェル・カーソンなどの影響で環境問題が盛り上がっていた時期であり、本書もその影響を受けているという。 -
Posted by ブクログ
パート2の映画公開を控えて、気になっていた「デューン 砂の惑星」。アマプラで映画パート1(デビッドリンチ監督じゃない新しいほう)を観て、このダークさは原作でこそ味合わねばと思い手に取ってみました。
シリーズ化されているデューンですが、第一弾の「砂の惑星」の小説の発行が1965年と知って、こんな作品が自分が産まれる前に世に出ていたのかと、びっくりさせられました。
出てくるキャラクターは、救世主として覚醒していく(のであろう)主人公ポールと、「魔女」と呼ばれる母親、わかりやすい敵ハルコンネン男爵など、どいつもこいつもキャラが濃く、それぞれの事情と野望と愛憎を絡め合いながら、裏で“静かな”丁々発止の -
Posted by ブクログ
映画『DUNE 砂の惑星』Part1を先に観ていたことが、原作のSF独特の世界観をイメージする手助けになって、思っていた以上に読みやすかった。映画を観たときにも感じたけれど、SFというよりもファンタジー的な要素も強くて、それがこの作品の魅力だと思える。
映画ではこの上巻よりももう少し先の話が描かれていたが、ポールの未来が視える存在としての覚醒は、映像ではわかりにくかった。ハルコンネンによる陰謀に巻き込まれたアトレイデス家の嫡男という感じで、まだその能力が、目に見える形では現れていない印象だったけれど、原作では明らかな覚醒が描かれていて、今後の展開に期待が高まる。
3/15にPart2公開予定な -
Posted by ブクログ
フランク・ハーバートによるSF大河、『デューン 砂の惑星』の続編・下巻。
予知した悲劇的な未来に抗おうとするも、その"運命"から逃れる術が見出せず苦悩するポールに、旧勢力の策謀が迫り来る。その行き着く先は―――。
「悲劇の第二部」と呼ばれるに相応しい悲しく辛い物語。前作のようなスペクタクルな要素は無いに等しく、ひたすら為政者ポールの苦悩を描いた内容となる為、前作のような展開を期待するのはNG。
予知した悲劇的な未来に抗えず、次々と現実のものとなっていく中で現れる、予知には無かったいくつかの出来事。これらが未来を変える"希望"となるのか・・・。次作も -
Posted by ブクログ
フランク・ハーバートによるSF大河、『デューン 砂の惑星』の続編。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督による映画化作品の前編が公開され、後編が待ち遠しい今、「もしかしたら続編の新訳(or旧訳重版)が出るかも?」と期待していたら、やってくれました我らがハヤカワさん。ということで、読んでみることに。
前作で、精強な砂漠の民<フレメン>を率いてハルコンネン軍と皇帝直属の親衛軍<サーダカー>を打ち破り、皇帝の娘(プリンセス・イルーラン)を妃にして皇位の座に就いたポール・ムアッディブ。彼を伝承にある救世主<リサーン・アル=ガイブ>と妄信するフレメンは、聖職省から教導団を宇宙各地に派遣して聖戦を敢行、ポール帝の下に -
Posted by ブクログ
2022/01/08〜4/10
ゆっくり読み進めてたら3カ月もかかっていた……笑
劇場版を観て読み始めた。
映画の持つ空気感はドゥニ・ヴェルヌーヴ監督の作家性に拠る所も大きいが原作の持つ空気感を割と忠実に再現していたのだなと言う気付きがあった。
機械の有用性が人々に理解されはじめ、機械が生活を豊かにする時代の曙に作られたSF作品。そんな時代感を宿す作品だからこそ、本作では人の持つ可能性を描いている。
STAR WARSが本作をイメージソースにしているというのは読めば納得。
また、海を感じさせる砂漠の描写の数々は『サイボーグクロちゃん』第五巻「異世界サバイバル編」を想起させてならない。