ホリー・ジャクソンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ誰かにとっての正義が、誰かにとっての悪になるかもしれない。それを定義付けるのは社会的には刑事司法制度なのかもしれない。でもそれだって人が定めたものだから常に誰にとっても平等でいることは不可能。そんな中でピップはピップの正義を貫いただけなのかもしれない。
私が「人を殺すのはだめ」と思っているのは自分や周りが誰かに人生を狂わされたことがないからなだけで、自分や大切な誰かの人生が1人の人間に狂わされたら、ピップと同じような考えになるのかもしれない。物語の主人公が常に社会に対して公平であるとは限らないし、実際悪事を働いた人物は最終的には悪だと見なされて、無実の人間は釈放された。これからピップの周りは平 -
匿名
謝辞まで読んで
3「卒業生」は、1「自由研究」2「優等生」に続く3部作のため、
興味を持った方は必ず、必ずですよ、
1作目の自由研究から順に読み始めることをオススメします。
1作目の時点では物語として成立していたのに、見事に続編へと、
切っても切り離せないほど強く結びついた物語を書けたものだなあと感心しきりです。
1作目は割と普通の青春ミステリ。
2作目もその域を出なかったけれど、
3作目は衝撃。
予想出来ない展開、手に汗握る心理戦、もし失敗したら…
とんでもない緊迫感でした。
ピップがここまでする動機が1巻2巻、3巻まで及んで丁寧に描かれているため、
どっぷりハマり込みました。
賛“否“両論あった? -
購入済み
自由研究には向かない殺人シリーズの三作目で完結編です。今までの作品よりも不安に満ちていてダークな作品でした。
ピップ視点で臨場感を持って語られ、彼女の焦燥感や苦しみに共感させられるため、途中読むのが辛くなりしばらく寝かせてから読了しました。
一作品目から突出していた彼女の正義感が強くなりすぎた結果がこの結末を導きました。最後に読後爽やかな気持ちになれる要素が描かれましたが、行き過ぎた正義感は彼女自身や周囲の人を強く苦しめたことを思うと、決してハッピーエンドではありませんでした。
ティーン向けのミステリから社会問題を提起する作者の意図を感じ素晴らしい作品でした。 -
Posted by ブクログ
この本は2つの点において特筆すべきだと思う。
1つが現代をよく表していること。現代を舞台にした小説は多々あるが、ここまで意図的に現代らしさを取り込んでいるのも珍しい。パワポでスライドの切り替えアニメーションをつけていたら頑張ってるという表現、そして今私も現実で見ているようなNetflixドラマの名前など、やりすぎなくらい現代らしさが盛り込まれている。イギリスと日本でその辺は変わらないんだなって言うのも面白い。
2つ目はミステリと青年期の成長を扱った青春小説を掛け合わせているところ。個人的にこの点は一作目より強く感じて、ピップが一作目を受けてどのように自分を感じているか、自分に向き合うことが掘り -
購入済み
自由研究には向かない殺人の続編です。
前作から時をおかず、ピップは新たな謎に挑むことになります。様々な悲劇や恐怖を経験したピップは、躊躇いながらも自分の中の強い感情に導かれるようにして依頼を引き受けます。
Tinderやpodcastなど現代らしいアイテムを使って描かれる現代的なミステリーで共感できます。
本国では三作目が刊行されているようなので、翻訳されるのが楽しみです。
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購入済み
とても、面白かった!
イギリスの小さな町の秘密を明かす物語。
寝る間を惜しんで読みたくなるようなミステリでした。
5年前の事件をSNSやデジタルデバイスを駆使して調べるのが、現代のミステリという感じで面白かったです。 -
Posted by ブクログ
街の、何年も前の殺人事件の真犯人を解決したピップのその後の物語。
よくある推理ものだと、ヒーロー扱いや軽い嫉妬くらいだけど、この作品はその辺の描写が良いなと感じた。
「自由研究」で逮捕された真犯人である、昔から知る親友の父親への葛藤。自分の捜索のせいで失われた愛犬への悲しみと申し訳なさ。単なる「被害者家族」ではなく、歪さを指摘された遺族からの疎ましげな眼差し。小さな街をかき乱されたと恨んげに見つめる人々の視線。マックス・へスティングの裁判。
イギリスの小さなまちの片隅で、ピップの人生は「自由研究」のあとも続いているんだと感じられた。
もう探偵ごっこは二度としないと違うピップだったけど、友人