ホリー・ジャクソンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
長らく積読にしていたうちの一冊。
なんとも言い難い翻訳書籍独特の言い回しがあるものの、読みやすかったです。
『自由研究に向かない殺人』だなんて、そもそも殺人事件事態、自由研究には不向きだろうと、読む前に思っていました。しかも自分の住んでいる街での殺人事件、被害者であるアンディの遺体は未発見、犯人とされるサルは自殺しており、サルの家族は街で白い目で見られて、家には投石までされている始末……。街の絶対的タブーを題材にするだなんて、確かに学校の自由研究には向いていない。
でも本当に向いていない理由は、それだけではありませんでした。
独自の捜索を進めるうちに、次々と容疑者として浮上する近しい人々。 -
Posted by ブクログ
関わったであろう人々へのインタビューに、それと調査内容をベースとしたPodcast。さらにはSNSの活用としっかりと現代が舞台になっていて、やっぱり斬新というか新鮮さがある。けど王道パターンを崩しているわけでもなくて、本当によく出来ているなと。
前作からほぼ地続きになった続編で、舞台は当然リトルキルトンだし、登場する人もほぼ同じ。物語冒頭ではマックスの件がまだ続いている。これってちょっと不思議な感覚というか、あんまり経験がない展開かもしれない。人間関係の移り変わりが物語上かなり重要だったりもするし、そこが面白さの一つでもある。逆の作用として、アントみたいな人は出てくるたびにより一層嫌いになっ -
Posted by ブクログ
ネタバレイギリスの作家、ホリー・ジャクソンのノンシリーズ作品。中編(だけど一冊)を含めると邦訳5作目。
高校生4人と大学生2人の6人がキャピングカーで旅をする。迷い込んだ先で狙撃され、車の中に閉じ込められることに。どうやらある一人が秘密を持っており、朝が明けるまでその秘密を打ち明けなければ、全員の命が危なくて…
後半の加速度と意外な展開、真相は非常に良かった。今年の作品で言うと「ハウスメイド」や「デスチェアの殺人」並みにリーダビリティが高く、読みやすさと相まって一気読み必須。
なのだけど、何故星4かというと、狙撃されていることがわかるまでもが結構長いし、誰の秘密がキーなのかを調べ始めるまでも長い -
Posted by ブクログ
「自由研究には向かない殺人」シリーズのホリー・ジャクソンの新作ということで飛びついた。
キャンピングカーという密室の中で姿なき犯人を巡る息詰まる攻防と、隠された「秘密」とは何か、という二重のサスペンスにのめり込んだ。さすがにこの作者は物語の構成がうまい。
ラストの伏線改修も爽快。この作者には今後も引き続き期待。
物語がほぼキャンピングカーの中とその周囲だけで展開するので、映画化にはうってつけの題材。
「自由研究・・・」と同様、一見良好な人間関係の裏のドロドロしたものを描くのはこの作者の特徴ですね。
またやはり前作と同じく、女の子同士の友情の絆が強調されているのは女性作家らしいなという感じ -
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イギリスの高校生の少女が、学校の自由研究課題として自分の街で5年前に起きた殺人事件を調査する話。
いや殺人事件が高校生の自由研究に向いてるわけないだろって。
今まで海外のミステリーはアガサクリスティみたいな古典を多く読んでいたけど、それらに比べてこれはめっちゃ読みやすい。
高校生の主人公視点のため砕けた文章も多く、自由研究という体裁のため必要な情報を適宜まとめてくれる。
ユーモアというか、ジョークもたくさん。
あと海外の小説は登場人物の名前覚えるのが個人的には大変なんだけど、本作は高校の友達やらその家族やら事件関係者やらで登場人物がめっちゃ多い。
しかもニックネームとか使うから混乱する。
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前作からの作者のファンですが、この作者、ストーリーを引っ掻き回し読者をイライラさせる嫌なやつを描くのが上手すぎる!!このキャラクターのせいで何回も今日はもう読むのやめようかなに何回もなって中々読み進まなかった!
それでもストーリーが進むば続きが気になって、ブツブツ某登場人物に文句を言いながら読み終えました。
秘密と罪悪感を抱えても、せめても大切な人や周りの人を守りたい、良き人でありたいと密かに願って行動しようとする人達が結果的には辛い思いをする展開がズーンと来てしまった(某登場人物との対比でますます)
子供にとっての親の存在って良い意味でも悪い意味でも強すぎて、、、10代なんて特にだよね。
レ -
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ネタバレ2作目までで、ピップに感情移入し過ぎて読むの辛かった
良かった点
・これまで事実と思われたことの真実
(アンディの日記HH、ジェイソンから逃げる本当の理由、サルへの気持ち)
・ピップが警察への不信感を募らせていく描写の丁寧さ
嫌な点
・チャーリー・グリーンあっさり過ぎる
・ピップの件だけ鋭いホーキンス
・ピップが人を殺してしまった
『カーテン』『名探偵の掟』とか既にあるから、名探偵の主人公が犯人になるのはまあ、、、って感じやけど、別の奴に罪をなすりつけるのは、、、。いくらマックスとはいえ結構ショックやった。ただ作者の源流に司法制度への警鐘、怒り、失望があったようなので、ピップにその代弁 -
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キャンピングカーで目的地に向かう六人の若者たちは、その途中で何者かに狙撃される。車は動かず周りには人家も何もなく携帯の電波は圏外。そんな中で正体不明の狙撃者は、若者たちのなかの誰かが抱える秘密を明かせと要求する。息もつかせぬ展開のサスペンスです。
母を悲惨な事件で亡くしたことに未だ囚われている女子高生のレッドが主人公で、彼女の目線で物語が進みます。最初からレッドが秘密を抱えていることは明らかなのだけれど、しかしそれは狙撃犯の目的とは思えないらしく、また他のメンバーにも秘密はありそうな気配が。なんとかして狙撃犯の裏をかこうとする彼らの奮闘、そしてやがては彼らの間に巻き起こる疑心暗鬼と軋轢。どこを -
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一緒にキャンプに向かう6人が、車中で進路を絶たれ、しかも誰かが秘密を言わないと命はないという状況。
スリリングで終始はらはらした。6人の人物描写がしっかり描かれているため、レッドは気弱で自分に自信がない性格だとか、オリヴァーは皆のリーダー的人物だけど自己中で鼻持ちならない奴だとかが徐々に分かってくる。
犯人側の要求は、秘密を言うことなのだが、誰が言うのかまでは教えてくれない。だからこそお互い疑心暗鬼に陥ったりするところが上手いなと思う。
本当は、誰が秘密を言うか犯人が指名してくれれば、もっと早く解決への道を辿っていたのではとも思うが…。
いやでもやっぱり、最後までいろいろあったからこそ、オリ -
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自由研究と聞いて日本人がイメージするものとは若干の隔たりがあるEPQ。それもそのはずで、文化や仕組みが違うとなかなかパッと認識できないんだけど、ピップたちはかなり優秀な若者らしい。
インタビューや調査結果を文章にまとめるスタイルは自分の中ではかなり新鮮で、追いかけている事件が5年前に起きたもの、というのもあまり体験したことのないタイプで面白かった。挿絵(?)があるのも入り込みやすいポイント。
徐々に判明していく哀しく、残酷な事実と襲いくる不安や恐怖にドキドキしながら読んでいた。ピップとその同級生たちの会話がまさしくティーンエイジャーといった印象でそことのギャップ、というよりそれがあるからこそ -
Posted by ブクログ
ネタバレ物語の導入に、前作の流れを説明してくれるのは親切
警察がめちゃくちゃ無能なだけで、正直警察が本格的に取りかかっていればもっと早く解決していた事件ではある
それを何の権限もない現役高校生が調査するから調査に様々な困難が生じる。本作の謎解きにおける関門はほぼそういう類のもので、凝ったトリックなどはない。他人のなりすましくらいである
面白いのは、現役高校生が小さな街で、このような事件を解決しようとするそれに付随する事件外のトラブル、主に人間関係のトラブルである。
1人の若き才能が本気を出すことによる、周囲からの妬みやっかみ嫉妬。今作ではpodcastもやってしまっているので全英、全世界から気分の