佐原ひかりのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
新卒で入社した会社が合わず九ヶ月で辞めてしまった春指みなと。次の仕事を探せないまま、ある日 立ち寄った公園の草むらに埋もれた郵便箱を見つける。その中には一通の手紙が入っていた。
その手紙の返事を書いたことで “あすか” との文通がはじまる。
数週間後、二人は例の郵便箱の前で偶然会ってしまう。
仕事のことを愚痴ってしまった みなとに あすかは 「ないなら、つくっちゃえばいいんですよ、仕事」 と囁いた。
そして無職のみなとと不登校の高校二年生の森本飛鳥は二人で『文通屋』を始めることになった──。
文通とはまたなんとも懐かしい響き…。
私は経験がないけれど、相手のことを考えながら気持ちや感情を書き綴る。そして相手もまた自分のことを考えながら書いてくれる。
そんな手紙のやりとりはとても特別で素敵なことのように思える。
でも、それがビジネスになった段階で途端に色あせてくるように思えるのは私だけだろうか? 私だったらやらないと思う。
とはいえ、みなとと飛鳥が真摯に『文通屋』という仕事に取り組んでいるのは読んでいて理解できる。好きなことを仕事にしたい気持ちもわかる。でも……
彼らの『文通屋』ビジネスは まだまだこれからなのだろう。
仕事に何を求めるかは人それぞれだし、
仕事の仕方も ありようも時代とともに変わってきている。きっとこれからも変わっていく。
「仕事とは……」 みたいな定型なお説教を聞くよりは この本を読んだほうがいいかもね。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ自分の命を危険に晒してまで人を救えるだろうか。
親や夫の存在、何より恐怖で体が動かないと思う。
けれども身を挺して人を助けることは紛れもなく善で、議論の余地なく立派な行いである。
遺された人は色々な物語を編み出すけれど、その一瞬の当事者の判断は普遍的で人間くさい、見栄だったり保身だったりするのだ。
しかし行動したこと自体に価値があるし善が宿ると思うので、動機からみて偽善だなどというは良くない。
松下さんがめっちゃ好きだった。
善を貫き通す人より「あなたの元に帰ってくる」と言い切ってくれる人と一緒にいた方が幸せになれる。
松下さんとくっついて欲しい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ私が好きな作家さんばっかり…!
個人的にかなーり豪華なアンソロジーだったので、とても楽しく読むことができた。
「かわうそをかぶる」「あなたに見合う神さまを」が特に好きだったかなぁ。
「かわうそをかぶる」 浅倉秋成
ゆゆはイサナだったってことだよね?
犯人を仕掛けたのはゆゆだったってことだよね?
きゅーきゅー言っててこわ。
「まぶしさと悪意」 大前粟生
悪口コメントのミームってすごい発想。
「霊感インテグレーション」 新名智
ややムズ。シンプルにシステム理解が追いつかないだけっていう。
デマに踊らされた人間が、嘘を信じて人を殺しちゃうの、現代でもありそうで怖いね。
「ヤリモク」 結城真一郎
殺害目的がやばい。
そして最後の1文もやばい。
真意がわかったときに、そういうことかーーーとなる。どんでん返し系。おもしろい。
「あなたに見合う神さまを」 佐原ひかり
一番好きだったお話。
権藤さん、とてもいいキャラ!!!大好きだ。
途中で出てきたるりちゃんと若尾の話とか、父親の話はなんなんだろうと思ったけど、人を支配したり幸福を妨げるという暴力を、いろいろな形でとってくる奴らだったんだろうか。
それに対して自分の好きなものを好きという、自分が信じるもの・拠り所にするものを自由に決める権藤さんはかっこよく映っただろうなぁ。
嘘がちらばる世界のなかで、対照的に真実が光る。
「タイムシートを吹かせ」 石田夏穂
やっちゃダメだけどレジェンドがうざすぎてもはや良いと思う。
最後のオチが気持ちよくて好き。
「君がため春の野に」 杉井光
『世界でいちばん透きとおった物語』のスピンオフ!
ほろりとする結末がステキ。