佐原ひかりのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ他者を自分の中に取り込むのが気持ち悪くて
「食べる」とこが出来ない女の子が唯一心を落ち着かせる場所が町の外れにある「吸血鬼の館」と呼ばれる場所だった、、、
あらすじだけ読むとファンタジーかなと思って読み進めたのですが、読んでいく内に
ああそういう事なのか、、と。
周りと同じように生きられないことに対するジレンマや何とかそれでも「輪」から外れないように合わせようと葛藤しながらも孤独という生きづらさもすごくリアルに描かれていて、苦しくなりました。
それでも他者との交流の中で、互いの弱さや想いに気付いていく中で
徐々に自分自身とも向き合い、生きる希望に向かっていくラストは
本当に感動しました。 -
Posted by ブクログ
文化センターで働く30歳の実日子は、実家で何不自由なく暮らしていたが、両親を交通事故で亡くす。
合理主義の叔母が勝手に引っ越してきて同居することになるのだが、実日子の何も出来なさ加減に呆れる叔母に居心地悪くなる。
叔母に無理矢理お見合いをさせられた相手の椎名さんとの交流で、ひとり暮らしをすることになる。
住民たちとの触れ合いで気づきもあり、少しずつ成長していく。
最後に「おばさん知らないの?悪い子はどこにでもいけるんだよ」言い返した実日子に変わっていく姿を見れた気がした。
30歳でやっとそれらしい年齢に近づいていくのか…というじれったさを感じながらも、ひとり暮らしをすることで多少は -
Posted by ブクログ
ネタバレ急に新しい母親ができ、その上、年の近い弟もでき、しかもその弟がブラジャー好きで身につけている始末。まだ性同一障害であるなら受け入れる余地があろうが、そこはノンケ。
んー、自分だったらこの状況受け入れられるかな?と思うところ、そこは優しい主人公であるちぐさは、理解しようと努める。
なのにちょっと友達にブラジャー好きの弟を正確に伝えられずに妹と紹介し、怒られる始末。自分(弟)の前ではブラジャー好きを理解したように言ってたくせに、他人の前ではやっぱり隠そうとする的な感じで言われるが、そらそうやろと思うわけです。
そら嫌やろ隠すやろ、何でも受け入れてやらなきゃいけない世の中についていけなくなって -
Posted by ブクログ
入社九か月で耐えきれず会社を辞めた文系大学院卒の二十五歳の女の子が、偶然出会ったある人と「文通屋」のお仕事を始めるお話。
働くことに関する苦しさが積もって、もうこのままでは自分もしくは自分の大事な人が壊れてしまう、という極限までいってしまいそうなとき、自分なら何ができるか。…という問いへの、数多ある答えのうちの、ひとつ。そんな小説だと思った。
この小説で描かれた答えで、誰もが救われるとは思わない。理想主義的すぎるとか、どうせ恵まれた人だからできることだとか、批判しようと思えばいくらでもできる。だけど、この人が苦しかったということは誰にも否定できない。本人も、そこは否定してはいけない。苦し -
Posted by ブクログ
「ふつう」でないことに寛容的であることが求められがちだけれど、本当は相手の「好き」を受け入れることが大切なのではないか。
自分の本当に「好き」なものはなかなか他人には話しにくい。
受け入れてもらえないと傷ついてしまうだろうから。
再婚をきっかけに姉弟となったちぐさと晴彦は、家族になりきれていなくどこかぎくしゃくとしていたが、晴彦の「ふつう」でない秘密を共有したことで親密になっていく。
他人というには近すぎて、家族というには遠すぎる曖昧な関係だからこそ、自分の本当の思いを打ち明けやすいのかもしれない。
中高生特有の精神の不安定を抱えながらも、2人の向き合う誠意と真っ直ぐな気持ちが青春の青々しさ