佐原ひかりのレビュー一覧

  • 鳥と港
    著者の作品は4作目ですが、個人的に本作が一番好きでした!

    新卒入社の会社を退職し、なかなか次の一歩を踏み出せないみなとと不登校の飛鳥。
    息苦しい日々の中でたまたま出会い、見つけた安らぎと新しい居場所。そこから始まる新たな試み。

    これからの働き方について描かれていますが、穏やかで優しくて読んでいて...続きを読む
  • 鳥と港
    佐原ひかりさんの書く文章、やっぱり好きだなあと改めて。

    じめじめした6月に読んでいるとは思えないほど、読んでいると気持ちの良い海風を感じるような小説でした。

    みなとの経歴や職場や仕事に対する考えに自分が重なるところがとても多くて、ものすごく身近で現実的な話に感じる一方、
    あすかくんのようなまぶし...続きを読む
  • 鳥と港
    こういう関係性って素敵。
    温かくて誠実な、「文通」をテーマにした物語。

    優しいからこそ、不器用な2人を応援しながら
    共感したり、グッときたり。

    佐原さんの作品は毎回「読ませてくれてありがとう……!」とじんわり幸福になるので、大好きです。
  • 鳥と港
    現時点で今年読んだ中で一番好きな小説です。

    自分の場合読んでいて面白い小説は面白いから小分けにして何日かかけて読もうというのとページを捲る手が止まらず一気に読んでしまうのと2種類あるのだけど、本作は最初は小分けにして4日位かけて読もうと思っていたのに結局2日で読み終えてしまいました。

    みなとも飛...続きを読む
  • 鳥と港
    2024年上半期に読んだ本の中で、一番好きかもしれない。

    「会社が燃えないかなぁ」と思うくらいに嫌だった会社を辞めて、毎日実家で焦りと共に休職しているみなと。
    散歩中に、公園の茂みの中に古い郵便ポストを見つける。中をのぞいてみると、なんと手紙が!差出人は「あすか」さん。
    そこから二人の往復書簡が始...続きを読む
  • ブラザーズ・ブラジャー
    父の再婚で家族になった弟はブラジャーをつけていた。
    LGBTとか性癖ではなく、純粋に好きなファッションとして。
    姉のちぐさは受け入れたが、ふつうじゃないと思われたくない、でも弟の好きを大事にしたい、と揺れる繊細な気持ちに共感できる。
    まっすぐな思いをぶつけ合う、ちぐさと晴彦のやりとりに、グッときた。...続きを読む
  • 人間みたいに生きている
    声の調子や何気ない動作で注目を集め、空気の色や温度を変えるような存在。……指揮者が振るタクトを追うように、目が自然と彼女の行動や表情を追い、意に沿うような音楽を奏でてしまう。(P.7)
    そんな時、私はどう応えればいいのかわからず、途方に暮れてしまう。何か言おうと思っても、でてこない。月並みな言葉すら...続きを読む
  • ペーパー・リリイ
    結婚詐欺師の娘(姪)と、その結婚詐欺師に騙された女が一緒に旅する話。

    その展開自体面白いのに、最後の数ページでさらにとんでん返しというか、前提が変わる展開もあって最後まで目が離せない。
  • ブラザーズ・ブラジャー
    程よいページ数、かわいい装丁、中身、全部が良かった!ちぐさの黙りがちな性格に対して絵美が言ったことは的を得ているなと思った。おとなしい人が全員千草のような考えを持っていると思わないが、わたしもあまり口数が多い方ではなく、喧嘩した際も言っても伝わらないからと決めつけて黙ることが多い。相手にはそれが伝わ...続きを読む
  • ブラザーズ・ブラジャー
    主人公の父が再婚し、弟になった母の連れ子はブラジャーを着けていた…。LGBTや多様性の話かと思ったら少し違った。でも他人に理解されにくい個性を認めてあげるという点では同じ主題なのかも。
  • 人間みたいに生きている
    読後感が良かった。

    「食べること」に関する拒絶が話の中心ではあるが、家族や友人との関係性のもどかしさ、見えるもの見えないものの気付きなど、とても自然と飲み込める筆致で描かれていて、ほほうとなった。

    読みやすいけど軽薄ではないです。
  • ペーパー・リリイ
    こんな楽しい小説読めるなら人生もそう悪くない、と思ったりした。結婚詐欺師の子供とそいつが騙した女が谷間の百合を見に旅をする話。
  • 人間みたいに生きている
    食べることに拒否感を感じてる女の子の話。
    誰もが当たり前にしていることができない、人に理解されづらい悩みを抱えて生きるという辛さ。拒否されることの恐怖や立ち向かおうとするまでの葛藤。一人取り残されたかのような孤独感。色々な感情が豊かに表現されていて実に人間らしい物語だと思った。自分の当たり前を人に押...続きを読む
  • ブラザーズ・ブラジャー
    タヨウセイの考え方が広がっていく中で、それを受け入れる人間が“良い人”だという認識がどこかにあって、だからこそマイノリティの人を守らなきゃいけない傷つけてはいけない否定してはいけないというレールがひかれている
    ちぐさが智くんと口論をする場面で「晴彦は智くんとは違う!あんたと違って、そんなことばっかり...続きを読む
  • ブラザーズ・ブラジャー
    『多様性』を上辺だけで知った気になると、返って周りを傷つけると思った。
    義理だからこそ、互いの距離を測りながら歩み寄る姉弟の関係性が愛おしい。もっと二人の物語が読みたかった。
  • ブラザーズ・ブラジャー
    (2023/03/24)

    「小説新潮 2023年3月号」
    特集読切「あなたに見合う神様を」で
    佐原ひかりさんを知る。

    透明感のある文章を書く人だと思った。
    涙を目から海があふれるって書くのとても清らかで素敵。
    美しいんだけど、衝突の描き方巧すぎてヒリヒリ。読んでるだけなのに、現場に居合わせたみた...続きを読む
  • ブラザーズ・ブラジャー
    豊かな個性を持つ義弟晴彦と義姉ちぐさの青春物語。
    晴彦に差別や非難の目を向ける人々に対して立ち向かっていくちぐさと晴彦の勇気と行動力。ちぐさの晴彦を思いやる気持ちに感動した。
  • ブラザーズ・ブラジャー
    ブラジャーを着けた弟を見て咄嗟に「これはLGBTQというやつで、否定しちゃダメだ」(意訳)と思うちぐさ
    ちぐさとしては理解して歩み寄ろうとしてるけど、目の前の事象に対して自分の知ってる言葉を当てはめて解決しようとするのはエゴだと思った。
    「何が好き」とか「自分を何者と感じるか」とかは人それぞれで、そ...続きを読む
  • 人間みたいに生きている
    自分の当たり前は人の当たり前ではない。吸血鬼と少女で【食べられない】という最終地点は同じでも食べたくても体が受け付けない吸血鬼と食べれる体があり食べれるけど食べたくない少女。最終地点が同じでも過程が違うとすれ違いが起こるよね。衣食住できることが幸せという考え方あって食べることが生きがいの人寝ることが...続きを読む
  • 人間みたいに生きている
    佐原さん、初めて読んだけど、個人的には好きだなぁと思った。そして読みやすい。
    食べること=幸せ、って意識したことなかったけど確かにそれが世間の常識みたいなところあるよなと考えさせられた。食事を題材にした小説が多いのもめちゃめちゃわかる。
    周りと違うことはおかしいこととされる世の中で、どれほど生きにく...続きを読む