佐原ひかりのレビュー一覧
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「ふつう」に我慢して働くことに限界を感じ、入社1年を迎える前に仕事を辞めた主人公みなと。
散歩中に見つけた箱の中に手紙を見つけ、箱を通じて飛鳥との文通が始まる。
ある日箱がある場所で鉢合わせた飛鳥は、みなとの予想に反して男子高校生だった。
高校に通わない選択をしている飛鳥と交流するなかで、みなとと飛鳥の2人で文通屋を仕事として始める案が動き出す。
仕事や働き方がテーマの本作だけれど自分には、人間関係で傷ついてしまったときの痛みや傷つけてしまったときの痛みがリアルに描かれていることが一番印象的だった。
みなとと飛鳥が互いに傷つくことも傷つけることもありながら、自分のなかで消化したり謝ったり、許 -
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アイドルデビューを目指す主に10代6人の成長ストーリー。
正直全く興味のない世界であり、自分から最も遠い世界だと思いつつも気になり読んでみた。
栄光と挫折が入り混じった青春物、ありがちなものだけど、芸能界のドロドロしたものもそれほど感じさせず瑞々しく各々の物語が個性にのって展開する。
愛は不可逆
戻せるものなんてたいした価値はないんだと思うんだよね
一番成長したように思えた遙歌、覚悟を示すピアッサーは戻せない価値を感じた。
スターゲイザー
時間、環境としがらみ、制限のある中、タイムリミットの迫る若さま。本当に時間は有限だと思い知らされる。
全く馬鹿親には腹が立ちぱなし。精神の弱さで若者の足 -
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「やってみようか。文通屋さん」
「ないなら、つくっちゃえばいいんですよ、仕事」
無職のみなとと不登校の飛鳥。
タイパ重視の時代、ふたりが始めたのは
スローで温かなコミュニケーション
“これから”の働き方の物語
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温かくて優しい本を読みたくて手に取りました。
佐原さんはアンソロジーで短編を読んでいて、
気になっていた作家さんです。
映画になりそうな一冊だなと思いました。
みなとの苦しさや悩みも理解できるし、
飛鳥の学校に対する違和感も。
そこから文通屋 -
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ネタバレ初めての作家さん、非常によかった。
再婚でできた姉弟。なんとなくで仲直りなんて無理な脆い繋がりの家族。
思春期同士の姉弟がこんなにも心を開けるのだろうか。
多感で繊細な時期の友情や恋人関係、
こんなにもお互いが自分を出して、相手を受け入れられるのだろうか。
と、若干現実離れは否めないものの。
でも、こんなにも人と人とがぶつかり合って
認め合えたら、いい関係を築けるだろうなとも思った。
普通よりも、好きを大切にする。
そりゃそーでしょ!と、思いながらも
人目や建前を気にして、なかなか実行できない世の中だから
晴彦の真剣さや、素直さがかっこいい。
好きだって気持ちを大事にしたい。
正 -
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ネタバレデビュー前の男性アイドルたちの話がそれぞれの視点から語られていく。
本人が語り部の時には無気力系アイドルに感じた透が、他の語り部の時にはかなりの努力家で、かつ効率の良い練習ができてるメンバーだって分かる。
最後の若さまの話が一番感情揺さぶられた。
これから体と心がついていけるペースや方向でやっていける事務所になってほしいな。
緩やかに推してるグループと重なる部分があったし、色んなことを推しがちなオタクとしては推される対象が「できるだけ長く、自分の意思で活動できるようにするために」って考えてくれるのが凄く嬉しい。
若さまがアイドルの活動が好きだって気づいて、ずっと続けたいと漸く自分のやりた -
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高校生の飛鳥君と、9ヶ月で仕事をやめたみなとがクラファンを使って文通を仕事にするお話。起業?をしたとき、ちょっと大丈夫なの~って心配しちゃいました。でも、飛鳥君とみなとの親は反対せずに見守ってて。ただただ凄いなっと…
登場人物達のキャラが本当に良かったです。中でも飛鳥君の父親が一番好きかな。あと、みなとと派遣の下野さんとの会話が印象に残った。下野さん大人だわと思ったし、みなとみたいに最初から社員で入ったら失礼なこと言っちゃうのも普通だと思う。会社には派遣さんも契約社員も社員も時短社員も色々な人が色々な背景を持っていること入社前に知っとくのも大事だと思う。
やっぱりお手紙良いですね。みなとと飛鳥 -
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ネタバレ「人と話す時、薄い膜を張っていて、本心はいつも隠している。もしかすると、あなたに対しても多分そういうときがある」と親友に話したことがある。当時、心から親友だと思える人をあえてつくらない選択をしていたように思う。
その子に誕生日プレゼントとして貰ったのがこの本。もしかしたらそんなつもりはなかったかもしれないけど、この本を通して、メッセージをもらった気がした。優しさをそばに感じて、いますぐ親友のもとへ走っていきたくなった。みなとさんも、あすかくんも、自分の発した言葉に誠実に向き合う姿が本当に素敵だった。
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・自分もそうです。ヤギの話だって、いつもなら父親にむかついて終わるだけなんですが、今日は -
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ネタバレこれは本当にネタバレ厳禁なので、これから読む方は感想の続きを読まないで!(笑)
主人公の杏視点で読んでいたから、ラストを読んだら、キヨエの行動の全て、見え方が変わる。
杏の、結婚詐欺師のこどもというアイデンティティ、そこでしか自分の人生を考えられなかったり、自分を語れなかったりすることの虚しさ。
大人は杏が思うほど、善良じゃない。キヨエもえなっちゃんも。そのことが、ある意味この少女にとっては希望になるんじゃないか、と考えたりした。
少なくとも、今後、杏は「返さなきゃ」と考え続けることはしないだろう。
キヨエの「与えて、返されなかった感覚が新鮮で」「逃げちゃうのもあり」と語り、それを実行