佐原ひかりのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2024年出版。318ページ。
大企業の風土や習慣に馴染めず退職した、院卒の女性主人公。廃棄されていたポストを介して知り合った、色々と訳ありの高校生と共に「文通」をお仕事にしていく...。
文体が自然でリズムもバランスも良くて好み。変に「文学作品」していない。気持ちのゆらぎや気付きを大切に、過分なく拾っていく文章も好き。心象や風景・雰囲気等の表現も、過剰だったり難読漢字を使ったりも無く美しい。紡がれる物語が、複雑過ぎない範囲で上手く渦巻くところも素敵。変に恋バナに持ち込まなかった所も良いと思う。
良い読後感でした。この著者の別の作品を、是非読みたいと思えた。 -
Posted by ブクログ
生きたくないんじゃない。
食べなくても、生きられる体がほしい。
この帯に惹かれて手に取ってました。
食べるという行為に酷く嫌悪感を感じ、それを誰にも打ち明けられず苦しむ高校生のお話なんですが、
この頃のあるある、学生の世界での輪から外れないように過ごす、色んなしがらみにがんじがらめになって優等生としている子が、食べるという事が苦手と初めて打ち明けられた人と出会い、その人も食べることでの病気を抱えてて、そこから落ち着ける2人の空気感、でも変わって行こうと前に進む主人公。
食に関して(それ以外もですけど)、人それぞれ抱えてるものがあったりするから、自分の普通を押し付けるのってよくないですよね。
今、食に対して悩んでる時期でもあり、食べたくても食べれないのに、親の普通を押し付けてきて酷く辛い事もありました。
心配とも分かるけど、それをできない自分が不良品に感じてしまったり…
その中で
無理に前に進むのではなく、身体が流れる方にゆくことをゆるすこと。ずるさもよわさも取り入れていいのだと。すべてを、弾き返さなくてもいいのだと…
という言葉が出てきますが、本当にそうですよね。 -
Posted by ブクログ
7つの短編集
新進気鋭の作家たちによる現代のリアルを切り取る7つの物語。
わかってるようでちゃんと理解していなかった
「推し活」「VTuber」についての理解が深まりました
どの作品も味わい深くオススメできるものばかりですが個人的には
『あなたに見合う神さまを(佐原ひかり)』が一番心に刺さりました
人を支配するもの、人の幸福を妨げるものはおしなべて暴力よ
と語る権藤さんのカッコよさと、少しづつ勇気をもって言葉の暴力に立ち向かう主人公。。
初めて著者・佐原ひかりさんを本作品で知りましたが他作品も追いかけてみます
あと石田夏穂さん作品はほぼ全部読んでいますが短編向きなのかも、とも感じました
=======本の概要======
『世界でいちばん透きとおった物語』の杉井光、『六人の噓つきな大学生』の浅倉秋成、『#真相をお話しします』の結城真一郎など、最注目の作家が集結!“今を生きる私たち”をリアルに切り取る7つの物語!
彼らのその後が読める。本書のための書きおろし! 『世界でいちばん透きとおった物語』スピンオフ「君がため春の野に」収録!
これが当たり前になった時代で、あなたならどう生きる?
信者に人生を壊されたVTuber、バズって神格化された女子高生、呪いのアプリの謎に迫る調査員、娘に似た女性をマッチングアプリで探す男、学校の机に「推し」の祭壇を作る彼女、上司を騙して残業代を増すOL、未だに動く亡き夫のアカウント。それぞれの物語に隠された、生きていくための秘密と噓。ベストセラー『世界でいちばん透きとおった物語』のスピンオフも収録した、新進気鋭の作家たちによる現代のリアルを切り取る7つの物語。
かわうそをかぶる(浅倉秋成)
人気音楽クリエイターが殺された。犯行動機は『VTuberを守るため』。彼と交際の噂があったVTuber雨露ゆゆは失意の中、事務所に言われて釈明配信の準備を進める。身も蓋もない噂だけで人生を壊されたゆゆは、これまでの人生が走馬灯のようにフラッシュバックしてくる。
まぶしさと悪意(大前粟生)
信じられないだろうが、ショート動画を撮りたくてうちに入学してくる子はいる。理由は赤羽海荷がいるから。動画がバズり、カリスマ女子高生として崇められた彼女は、ある日を境に動画を投稿しなくなった。かつて副担任だった私は彼女の様子が気になり、動画を撮らなくなった理由を探ろうとする。
霊感インテグレーション(新名智)
訳あり社員が集まる会社に入社した私は、「幽霊からプッシュ通知が届くらしい」といった報告が多発している通称“呪いのアプリ”の調査に乗り出す。どこにも不具合が見つからない中、ひょんなことから解決の糸口を見つけ出すのだが……。
ヤリモク(結城真一郎)
三十二歳。独身。そう彼女は信じているが、実際は四十二歳。妻子持ち。我ながら罰当たりな男。マッチングアプリでお持ち帰りを企んでいる男は、今回も小柄でショートカットの女性と出会い、いつものテクニックで目的を果たそうとする。
あなたに見合う神さまを(佐原ひかり)
権藤さんの机には、ダンス系ユーチューバーWataruさんのグッズを奉っている祭壇がある。クラスでは浮いた存在の権藤さんだが、ある日、日課の早朝ランニングをしていた私は、推しのダンスを練習している権藤さんを見つける。
タイムシートを吹かせ(石田夏穂)
月末。上司のアカウントにログインをして、今月の食費分だけ残業代をかさましする。それは私と会社を繫ぐためのもの。パソコン音痴でパワハラは当たり前、前時代的な上司、通称“レジェンド”の介護をしている私は、どうにかこうして会社を辞めずに生きている。
君がため春の野に(杉井光)
前作『世界でいちばん透きとおった物語』を書きあげた僕は、「SNSがテーマ」のアンソロジーに短編を依頼される。無事書き上げた僕は打ち上げで、亡き夫のSNSアカウントが未だに動いているという相談を受ける。そこに隠された秘密と噓とは。