キムチョヨプのレビュー一覧

  • わたしたちが光の速さで進めないなら

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    SF短編集。
    重厚な内容というわけで無く、どの短編も人に寄り添うような人情味のある物語でした。
    SFらしさを期待すると肩透かしを食らいますが、これはこれで好き。
    韓国語からの翻訳ですが、文章にクセがなく待ち時間などでサラサラ読めます。

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    2026年06月09日
  • この世界からは出ていくけれど

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    ネタバレ

    読書ノート

    作品:『キャビン方程式』

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    P116

    「ローラ。あなたがいなくなったら、私はとても悲しいと思う。あなたを愛することは、私にとって幸せなことだから。でも、だからといって、自分らしくなることを諦めるわけにはいかないの。自分らしくあることは、人生をかけた冒険だから。」

    感じたこと

    この言葉が心に残ったのは、誰かを愛することと、自分自身でいることは両立できると感じたから。

    大切な人がいると、相手のために自分を変えたり、我慢したりすることもある。でも本当の意味で相手を大切にするには、自分自身の人生も大切にする必要があるのかもしれない。

    「自分らしくあることは、人生をかけた冒険」という言葉から、自分を探し続けることの難しさと、それでも進んでいく強さを感じた。

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    『プレスシャドー』P147

    「どうして私を蘇生したの?」

    感じたこと

    生き返ったことへの喜びではなく、最初に出た疑問が「なぜ?」だったことが印象に残った。

    出来事そのものよりも、その裏側にある「なぜそうなったのか」「自分はどう存在するのか」という葛藤が感じられた。

    人の心の奥にある迷いや切実さに心を動かされた場面。

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    『キャビン方程式』P283

    「また、同じ時間を記録はできなくても。一緒に生きていくことはできそうだった。」

    感じたこと

    主人公の切実な思いを感じた。

    過去と同じものを取り戻すことはできなくても、それでも一緒に生きていく道を選ぼうとする気持ちが伝わってきた。

    「同じ時間」ではなく「一緒に生きる」という言葉に、失ったものを受け入れながら、それでも相手を大切にする覚悟を感じた。

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    『キャビン方程式』P306

    「そうだった。姉さんはこの方程式を見たかったんだよね。私たちが今、全く違う風景を見ているんだということも。姉さんを解き放ってあげるべき時が来たのだった。私たちの世界はある時別々に別れてしまったのだと認める時が。」

    感じたこと

    大切な人との関係が変わってしまうことを、受け入れる瞬間が描かれているように感じた。

    嫌いになったから離れるのではなく、相手を大切に思ったまま、別々の道を認める。

    「解き放つ」という言葉から、愛情とはそばに置いておくことだけではなく、相手の人生を尊重することでもあるのだと思った。

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    全体を通して感じたテーマ

    この本で心に残ったのは、

    「大切な人を愛しながら、自分自身の人生も生きること」

    というテーマ。

    人との関係や時間は変化する。
    ずっと同じ形で続くものばかりではない。

    それでも、過去の大切さを否定する必要はなく、変化した関係を受け入れながら前に進むことができる。

    この本は、愛すること・失うこと・自分らしく生きることについて考えさせられた。

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    2026年06月28日
  • この世界からは出ていくけれど

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    去る人と、それを見送る、見届ける人との物語
    また他者との感覚の違いについて深く考えさせられる話が多かった

    SFなので、認知感覚を補い、発展させる器官やデバイスが数多く出てくる
    けれどそうした事物を通じて主人公たちが物思う悩みの根底には、現代の我々にも充分通じるさびしさや愛情、希望がある
    キム・チョヨプの作品には、そうした「繋がりを求める人間への祈り」のようなものを感じる

    マリのダンス、認知空間が特に好きだった

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    2026年05月07日
  • わたしたちが光の速さで進めないなら

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    私は宇宙が怖い。もし放り出されたらどうしていいか分からない(当たり前)。上も下もない無重力空間で地球を見失ってしまったら、もう二度と戻れない。ただただ広い空間にひとり…怖すぎる。
    地球外生命体がいる星に放り出されるのはもっと怖い。知識も経験も通用しない場所で赤ちゃんからやり直すようなものだ。その星の「当たり前」に順応できなければ即死……怖すぎる。

    けれど得体のしれない怖さを感じる宇宙に、本作では温かさやノスタルジー、言葉にできない美しさを感じた。どれだけ願っても触れられないほど遠い場所に大切な人がいる。だからこそ生まれる物語があるんだなぁ。

    なかでも私が好きなのは「スペクトラム」。
    ヒジンが出会った景色や地球外生命体たちは、読んでいる私の頭のなかで静かに、けれど確かに存在していた。文字で読むからこそ広がっていく想像の世界はとても魅力的だった。映像化したら感じ方が変わりそうでそれはそれで楽しみでもある。

    SF作品も海外文学もほとんど読んだことがなかったけれど、本作が良かったから他の作品も少し親しみを持って手に取れそう。

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    2026年04月29日
  • 惑星語書店

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    ネタバレ

    SF掌編集。掌編ならではの突飛さが良かったです。いきなり始まっていきなり終わる。「サボテンを抱く」「惑星語書店」「願いコレクター」「とらえられない風景」が好きでした。とくに惑星語書店がお気に入りかも、知らない言語を会得してまで本を読みたいと思うのはすばらしい異文化コミュニケーション。心が躍った。
    後半パート「ほかの生き方もあることを」は、同じ設定なんですね。宇宙からやってきた外来種に侵されつつある地球。いっそ異生物に侵食された方が生きられるんじゃないかと思っても、決断するのは簡単じゃないだろうな。

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    2026年04月26日
  • 本と偶然

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    キム・チョヨプさんの読書エッセイ。
    気軽に読み始めたら難解で哲学的。
    キム・チョヨプさんの創作のルーツや、試行錯誤にも触れられていてSF世界の拡がりになるほどなるほどと思いながら読んでみたい本がどんどん増える。
    ある分野で科学的で論理的な立場にある人も別分野においては差別的だったり非科学的な主張をしている、という指摘に、何故この人はこの分野ではこうなんだろうと疑問に思っていたことが腑に落ちた
    キム・チョヨプさんのSF小説には切なさやノスタルジーを感じるけれど、彼女自身がテクノロジーの中での存在や普遍的な人間性を見続けていたい人なのかなと感じた

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    2026年04月18日
  • 惑星語書店

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    ネタバレ

    『サボテンを抱く』『惑星語書店』『外から来た居住者たち』が特に好き。

    『サボテンを抱く』
    胸が痛んだ。パピラの「もういない」という言葉がとても苦しいし寂しい。

    『惑星語書店』惑星語って文字は、音韻はどんなのだろう。異国の地にて母国語で話しかけられたために心を開く人というのを動画でよく見かけるが、その時のまるで友人に再会した時のような嬉しそうな顔が頭をよぎった。

    『外から来た居住者たち』おいしいと感じられない、という感覚の理由が地球外星人だからという設定が面白い。ダヒョンと店長が美味しさを分かち合えた瞬間をこうやって見せてもらえて嬉しい。

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    2026年04月12日
  • 惑星語書店

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    「私たちが光の速さで進めないなら」で話題のキムチョヨプの短編集。不思議な話。SFと呼ばれる類いの本を読んだのは久しぶりだなぁ。やっぱり翻訳文学特有の読みにくさはあった。でも薄いから1日で読み終えた。「派遣者たち」も楽しみ!

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    2026年04月12日
  • 惑星語書店

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    よくわからない話も多かったけど、
    「メロン売りとバイオリン弾き」
    「惑星語書店」
    「切ないラブソングはそれぐらいに」
    「みんなのココ」
    「外から来た居住者たち」
    がよかった。

    装丁がとてもオシャレ。

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    2026年03月28日
  • この世界からは出ていくけれど

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    ネタバレ

    韓国SFの新星、というよりも代表格と言って差し支えないぐらいの貫禄が出てきたキム・チョヨプ氏の本邦第二短編集。
    一読しての印象は、第一短編集「わたしたちが光の速さで歩めないなら」と同様の、淡々としながらもしっかりとそこにある切なさ、それを乗り越えようとするほんの少しの勇気です。本短編集は、タイトルでも端的に表現されている通り、”この世界”に対するちょっとした疎外感と、そこから抜け出そうとする女性たちの姿を描いている作品が収められています。

    この、「女性性と社会との関係性」というテーマに触れて、鴨がふと想起したのは、ジェイムズ・ティプトリー・Jr。本名アリス・シェルドンという、聡明で社会的にも恵まれた立場にあった彼女が、敢えて男性名のペンネームで綴った数々のSF作品は、21世紀の今読んでも相当に衝撃的な、性と社会との軋轢/衝突を強い筆致で描写しています。特に、女性が社会に感じる強烈なまでの違和感を描き出す筆致は、悲壮感すら漂わせています。
    他方、キム・チョヨプ作品での女性キャラは、そこまでの「強さ」は感じません。むしろ、社会に対する爽やかなまでの「諦観」「疎外感」を感じさせます。アメリカ社会と韓国社会の土台の違いが大きな要素なのだろうとは思いますが、この差異に注目すると、SFというフォーマットを通して提議しうる課題とその表現方法の多様性に興味を惹かれますね。

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    2026年03月25日
  • 惑星語書店

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    2026 03/06
    掌編小説。初めての韓国文学。『沼地の少年』『汚染区域』『最果ての向こうに』が好み。地球外植物に汚染されていく地球。人類なんて儚くて頼りない存在だな、としみじみ思う。植物の逞しさにはとうてい敵わない。なすすべもなく滅んでしまうのだろうか。
    『みんなのココ』は一見無害そうに見える地球外植物ココに人類が魅了される。全人類が愛してやまない伴侶種ココ。静かな侵略って感じで恐い。

    物悲しさと切なさに彩られた世界観に入り込みました。ノスタルジックな気持ちが湧き上がってくる話もあり、軽やかな文章とSFがとても相性が良いと思いました。
    この著者の他の作品も読んでみたくなりました。

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    2026年03月06日
  • 惑星語書店

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    地球外生物に侵されつつある地球が舞台。切なさもありながら、ふんわりと優しいSFショートショート。
    1話ずつが短いから最初のあたりはあまり入り込めなかったけど、終盤には世界観に没入できた。

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    2026年03月04日
  • 本と偶然

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    チョヨプさんのSFが好きなので、いつもどんなふうに物語を書いているのか、どういう過程で書くことになったのか、などを知れて面白かった。
    ただ難しい言葉が続いたりして読むのが大変な部分もあった。

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    2026年02月10日
  • この世界からは出ていくけれど

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    続いて韓国SFを。カバーがかわいい。どれも読みやすく、心の機微が繊細に描かれていたのが良かった!色んなテイストのSFがあるんですね。

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    2026年02月04日
  • 本と偶然

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    彼女が、どうして小説家になったのか。そしてどのように小説を書きつづけているか。色んな本との出会いにより自分自身に気づき、書くことを選ぶ姿が眩しい。SFというジャンルの中でも新鮮な手触りの彼女の作品の所以が垣間見えた。

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    2026年01月14日
  • 派遣者たち

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    なんだろな、面白いとはそんな思わなかったんだけど後半になるにつれて現在の世界を一緒に想像して考えちゃうあたりが著者らしい作品だったなあと。もうちょい狂気、いや違うな、歪な愛情かな、それを早く感じとってられたらもっとあの辺楽しめただろうなあっていう。まあこれは睡魔と何度も闘いながら私が読んでしまったせいなんだが。

    私だったら理解してる風を上辺だけ装ったり言い聞かせて本心は好きにすればって冷めた目で送り出すかもしれないなって思っちゃった・・自分には出来ない選択をした人たちを羨んで嫉妬して・・

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    2026年01月06日
  • 惑星語書店

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    色んなテイストのお話がたくさんで楽しかった!!

    後味・・ってなるのとかクレーム処理どうなったんって気になるのとか二度三度読み直しても何が言いたいのかよくわからないのもあったけど٩( 'ω' )و
    表題作、メロンとバイオリン、シモンを〜が好きかな。シモンの仮面はニアレプの仮面の街を思い浮かべながら読んじゃったw

    『派遣者たち』の元になった話も興味深かったのでもっかいこれと『地球の果ての温室で』を読みたい気にもなったねえ。

    はーーーしかしこの後ろ髪引かれる読後感、やっぱり佳い( *´艸`)

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    2026年01月06日
  • この世界からは出ていくけれど

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    ネタバレ

    視覚の認知体系に異常をもつ人がなぜダンスに興味を示したのか?を描いた「マリのダンス」、空気中の「粒子」から意味を見出す人種と、それらを香りとしてしか認識できない人種の断絶と交流を描いた「ブレスシャドー」、短い寿命しか保てない星に生きる人たちの宗教観を描いた「古の協約」が特に印象的だった。キム・チョヨプの「障害」と「認知」「断絶」というものへの視線を強く感じる短編集。

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    2025年12月30日
  • 惑星語書店

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    本格SFとは一線を画し、未来や異世界の中でも日常的な時間が流れている点が特徴。
    惑星間戦争、政治、遺伝子操作、AI社会など、いわゆるザ・ SF的な設定は存在しない。
    その代わり、人とロボットの関わりや希少な出会いなど、心が温まる交流が描かれる。

    まるで14の世界を巡る短期滞在型の未来旅行のようだと感じる。
    全体を通せば、時空を飛び越えた永遠の旅をしているようで、どれもが新しい発見に満ちていた。

    また、言葉を削ぎ落とし洗練された美しい表現を用いて、読み手の想像力を膨らませる魅力もある。
    SF初心者におすすめの一冊。

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    2025年12月27日
  • 惑星語書店

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    タイトルに惹かれて手に取ったSFショートショート14篇
    限られた紙幅で世界観をしっかり掴ませつつも、決して語りすぎない絶妙な文量と端正な筆致が良い

    総じて、他者との繋がり方、関わり方についてのお話が多い気がした
    たとえ深宇宙にまで進出したとしても、誰かと触れ合いたい、誰かと語りたい、誰かを分かりたいという人間の願いは、ちっぽけな地球に押し込められていた頃からまるで変わっちゃいない
    ラストの『最果ての向こうに』を読みながら、そんなことを考えていた

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    2025年09月25日