越尾圭のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレこれまでにも数多くあった登場人物の入れ替わりストーリー。元々はあまり好きな展開ではなかったが、仕事に疲弊したサラリーマン航平と末期癌に冒され、最愛の家族を残して死ななければならい主婦:美羽との入れ替わりといった設定に惹かれて読んでみた。
結論としては、読んでみて良かった。
この作品はどうにでも展開する事ができるが、航平と美羽の両者が生き続けることはないことは分かっていた。
入れ替わった両者の1年間が書かれており、ミステリー作品のような大きなエピソードはないものの航平と美羽がそれぞれ入れ替わった立場でお互いのために一生懸命生きていく姿が心に響くストーリーであった。
他のレビューにもある通り、若干ご都合主義な面はあったものの「生」と「死」をあまり重くなり過ぎず、しかし主人公達を通して伝わってきたのが良かったと思う
美羽が航平のために残していった日記や最後のメッセージは彼女の優しさが詰まっており、読んだ時に涙が止まらなかった -
Posted by ブクログ
生きたい、死にたい、両者が入れ替わったら…
すごくいい話でした。
入れ替わり系の話は好きではなかったのですがこんなにも入れ替わったことが大事に思えるなんて驚きました。
このまま入れ替わったまま生きた方がいいとすら思える場面や、周りのためにも戻らなきゃと思える葛藤がそれぞれにあって、人の人生は1人だけじゃないしこんなにも周りに支えられるんだなと感じました。
しかも、戻りたいと思った時に、本当に戻れるのか、このまま命を落とすんじゃないかとラストまでハラハラするところもあり…
最後の最後が良すぎました。小説を書きたい航平が手に取ったタイトルがこの本で、原稿用紙の描写もあって最後の最後までやってくれたな!と拍手でした。
先生に直接お会いしたことがありますがこんなにも素晴らしい話を書いていらっしゃる感動をもっと伝えたいです。 -
Posted by ブクログ
越尾圭『誰がためにその手は』ハーパーBOOKS+。
最近、珍しくハーパーBOOKSから日本人作家の作品が刊行されているなと思ったら、新レーベルのハーパーBOOKS+が出来たようで、その新レーベルからの刊行のようだ。
越尾圭と言えば、『協力者ルーシー』『シスター・ムーン 協力者ルーシー 2』『なりすまし』と立て続けに面白い作品を刊行している作家で、個人的に注目していた。
本作はこれまでの作品とは全く違う路線の安楽死を巡る社会派医療ミステリーであった。単なる医療ミステリーだけに留まらず、安楽死の是非、安楽死を巡る関係者たちの人間模様と安楽死を実行した医師の死亡というミステリーが複雑に絡み合うストーリーである。
安楽死や延命治療については度々議論になる重い課題である。もしも自分が回復不能の病気や怪我で人事不省の状態に陥ったらば、安楽死を選択したいと思う。それが不可能であれば、延命治療の中止でも良い。昨年末に老衰で亡くなった父親も延命治療は不要と書いた手紙を家族と主治医宛てに残していた。立派な覚悟だと思う。
世界的な脳神経外科の権威で、国立東京脳神経外科病院の総部長を巡る務める大道寺輝彦が3ヶ月前から立て続けに6件の安楽死を行ったという内部告白により、殺人罪で逮捕される。
フリーライターの速水哲平は大道寺の手により安楽死した6人のうちの1人が妹の彩音であったことを知り、愕然とする。速水の妹の彩音は国立東京脳神経外科病院の看護師であったが、夜中に轢き逃げ事故に巻き込まれ、脳に深刻なダメージを受けたことから勤務先の病院で大道寺の手術を受けることになったのだ。
大道寺逮捕により、国立東京脳神経外科病院の院内は大騒ぎとなるが、そんな中、第一外科医長の星名達也の元に『大道寺輝彦医師の無実を訴える会』の代表を名乗る露木僚子という女性が現れ、星名に入会を勧めに来る。
一方、速水の元には安楽死に反対の立場を取るノンフィクション作家の田丸という男が接近して来る。また、国立東京脳神経外科病院の医療秘書で彩音の友人だったという北村志保が速水の元を訪ね、彩音が交通事故に遭う前に一緒に食事をしていたことを打ち明ける。何故、彩音は食事の後、馴染みのない千駄ヶ谷で交通事故に遭遇したのか、速水の頭の中で様々な疑念が渦巻く。
数日後、大道寺が東京拘置所内で突然倒れ、悪性脳腫瘍を患っていたことが判明し、国立東京脳神経外科病院で星名の執刀により緊急手術を受ける。手術は無事終わったのだが、その11日後に大道寺は死亡し、血液から一連の安楽死に使われた短時間作用型のバルビツールが検出される。
定価902円
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Posted by ブクログ
ネタバレ最初は「よくある“入れ替わり”ものかな?」と思って読み始めましたが、この物語はこれまで見てきた入れ替わり作品とはまったく違いました
多くの入れ替わり作品がコメディや青春を描く中、この作品は「生」と「死」という重いテーマを扱っています
生きることが辛く死を望んでいた航平と、末期ガンで小さな娘を残して死にたくない生きたいと願っていた美羽
二人の思いが満開の桜の下で交差し、入れ替わるという設定はとても印象的でした
入れ替わった後、二人は最初こそ戸惑いますが、お互いの人生を演じるうちに、相手の想いや苦しみに触れ、本当の意味で「戻りたい」と願うようになります
特に「桜が満開になるまで、癌の身体は耐えられるのか」という問いかけが、時間の残酷さをひしひしと感じさせました
航平が美羽として、美羽の両親と話すシーンはとても泣けました。娘のふりをしながらも、彼自身の言葉で気持ちを伝えようとする姿に、航平の優しさと覚悟が強く伝わってきました
家族の愛情や絆の深さを感じる、忘れられない場面でした
ラストはとても切なく、読み終わった後もしばらく心に余韻が残りました
入れ替わりという“奇跡”が、ただの奇跡ではなく、互いの人生を深く理解するための“試練”だったように思います
物語の中で、航平に「夢を諦めないで」と伝える美羽が、小説を書いていた航平のノートを見つけ、タブレットをプレゼントする場面がとても素敵でした
そんな美羽は本当にかっこよかったです
そして航平も、美羽として生きる中で、慣れない化粧を動画を見ながら一生懸命にしている姿に、彼の優しさと真剣さがにじみ出ていて心を打たれました -
Posted by ブクログ
「死にたい」:ブラック企業で精神的に疲労困憊な青年・・・
「生きたい」:末期がんで余命宣告される一児の母・・・
その二人が入れ替わることに、そして衝撃的なラスト・・・
涙なしでは読めない心をなんとも切なくなる小説でした。
あまりにも二人の状況やガンの進行具合にページを捲るたびに辛かったです。
でも、一日一日を大切に生きる素晴らしさを教えてくれる小説だと思います。
また、一人寄り添う素晴らしさもこの小説にはありました。
毎年桜の季節になるとこの小説を思い出す気がします。
朝からなかなか悲しい気持ちなってしまいました。
でも、読む価値のある良い小説です。 -
Posted by ブクログ
感動★5 まさしく人生を変えてしまう威力がある物語 #ぼくが生きるということはきみが死ぬということ
■あらすじ
仕事も人間関係もうまくいかず厭世的な思考になっていた十和田航平は、桜の下で「死にたい」と願っていた。一方、末期がんで余命宣告を受けている一児の母、椿美羽は、同じく桜の下で「生きたい」と願っていた。
なんと二人の願いは叶い、体が入れ替わってしまう。それぞれが他人の人生を歩むことになるのだが…
■きっと読みたくなるレビュー
感動★5 この本は人生を変えてしまう力がありますね。もし人生に行き詰って悩んでいるんだったら、ぜひ読んでみてほしい。何かを感じ取ること間違いない。
まず言いたいのは、これはチャレンジングな作品だということ。入れ替わりの物語は、既に名作がいくつもあるし、ラノベでもWeb小説でもさんざん書かれているネタだと思うんですよ。なので誤魔化しはきかないし、小説としての完成度が必須。さらに他の作品との差別化、強みが明確でないと厳しいかもなーって思ってました。
――そんな心配は全くありませんでした、バッチシ面白いです。当たり前ですよね、大変失礼しました。
いつものとおり越尾圭先生の文章は丁寧で読みやすく、今回はさらに洗練された美しさも加わってます。構成も複雑でなく、会話も優しく、温かみのある世界観に包まれますね。
さて物語としては「死にたい」と思っている航平と「生きたい」と思っている美羽の入れ替わり。どちらも世の中でありそうな悩みで、ひとつ間違えば、少し先には自分自身でもなりうる立場。私も仕事が辛いと思うことも増えてきたし、病気が気になってくる年齢だし、身につまされるなー
そんな二人の意識と身体が交代することで、それぞれがそれぞれの人生を体験していくことになる。だけど「自分から見た他人」と「他人から見た自分」って、やっぱり一致はしないんですよね。ずれや歪みが出てきて、投げやりになることも多いと思うんですよ。
でも本作は、どちらに辛い体験をしているのに、お互いが前向きに歩んでいくところが素晴らしいんです。自分が同じ立場だったら、こんなポジティブになれるかしら。
また登場人物たちが生き生きしてるんですよ、主人公の二人はもちろん、特に褒めたいのは脇役の面々ですよ。航平の会社の上司や同僚たち、これぞ会社員の日常なんか良い所を切り取ってる。仕事って辛いことも多いけど、周りのみんなは敵じゃなくて戦友なんですよね。人間として力強さを感じました。
美羽の夫と娘なんかは、ほんとに血が通っているような書きっぷりですよ。最愛の家族を亡くしてしまう現実、耐えられない悲しさを見事に描いてました、普通に二回くらい泣いた。
そして物語は佳境に入ると、いよいよ胸が苦しくも、どうなるか気になっちゃう。航平と美羽はどうなるのよーーっ、はうぅ。ぜひ読んでみて下さい。
最終章はカッコ良すぎて痺れた、こんなんを残せる高尚な人に私はなりたい。
■私と物語の対話
自分は何のために生きているのか、わからなくなる時ってありませんか?
仕事に忙殺されたり、経済的に苦しかったり、病気に悩まされたり、家事に育児に困窮してたり… 人生に悩んでいるときに、ふとこんなことを考えたりするんすよね。
実は私も同じようなことで悩んでいたので、数年前から社会貢献の業務も手伝うようになったのです。これまでの業務経験をもとに、学生たちに働くとはどういうことか講義するといったお仕事。これから未来を作り上げていく子どもたちが、少しでも前向きになれるきっかけになればと思って頑張ってます。
そして本書を読んで改めて思いましたね、まだまだ何かできることはないだろうかと。良い学びを与えてくれました、ありがとうございました。