森瑤子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
森瑤子の作品の中でこれが私は一番好きな作品だ。
彼女の描くストーリーにはどれもオトナの男と女が登場する。
とてもウイットに富んだセンスのいい会話。男と女の心理などを見事に描写している場面。森瑤子の生きた世界がそこには広がっていて、とにかく“オシャレ”なのだ。
この作品の主人公は大手広告代理店勤務、テレビ企画制作部所属の大西俊介。独身で趣味は手料理を作ってもてなすこと。その腕はかなり本格的なのだ。しかもかなりの金持ちという設定。
以前、日曜日の夜の時間帯だったと思うが、岩城滉一が大西俊介役でドラマ化されていた。大西俊介のイメージと岩城滉一のイメージがまさにぴったりで、毎週楽しく見ていたのを覚えて -
購入済み
懐かしい
30代に森瑶子に夢中になった。新刊が出るのを待って貪るように読んだ。この本はデビュー作だから絶対読んだと思いながら読み進み「うんうん、この男と女のやりきれないばかりの心理描写」に懐かしさが込み上げてくるのを感じる。続けて何冊か読んでみよう。逆に今の若者がこれを読んでどんな感想を持つか聞いてみたい。
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Posted by ブクログ
著者自身を思わせる女性の主人公が、南の島で夫との口論をおこなうシーンと、著者が心理療法家のもとを訪れ、幼いころからのトラウマに向きあうシーンが織りあわされながら、物語は進んでいきます。
女性である著者が、家庭を顧みず小説を執筆することに不満をいだいている夫との口論は、二人のあいだのセックスの問題にもその影を落としていることが明らかになります。一方、心理療法を通じて著者はけっして彼女を愛することのなかった母親によって心のなかに埋め込まれた問題に直面することになり、激しい葛藤をくり返しながらも、すこしずつ内面の闇に光がもたらされていきます。
会話文に引用符は用いられず、地の文のなかにそのまま取