森瑤子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
最初に読んだのは20年位前。その頃氏のエッセイを含め殆どの作品を読んでいた。その中で時々読み返したいと思う本は1〜2冊しかない。なぜなら、小説でもエッセイでも同じネタを繰り返し使い回している事がすぐにわかり興ざめしてしまったからだ。特にエッセイなどはかなりの本数をあちらこちらで執筆していたためか、完全に”数の勝負”となっていたように思う。
この本はところどころにその”使い回し”のかけらが見られるがそれでも全体に雰囲気があり、何となく手元に置いて時々読み返している。主人公のどこか投げやりながらあきらめきれない部分、潔くもあり、そうなりきれないところなどが好きなのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
ねっとりと甘い。
心にささった棘からじわじわ膿がでてくるような
大人のけだるい甘さが漂っている。まだ腐りきってない濃厚で
でも鼻をそらすことのできない芳香。
ふと主人公の年代が自分とばっちりとかぶっているのに
気づいて愕然とする。こう展開のは、「大人」な空間故だと
思っていたのに、気がつけば自分もその領域にいる。
こういうシナリオが非日常に感じない
自分にちくんとする痛みを感じるのは、
この小説の主人公の気持ちがわかるというのは、
もうがむしゃらで青かった青春時代が終焉してしまったということだから。
でもね、会ったばかりの男がいくらスマートでも
美しくてもやんちゃでも、それを「愛」と言ってし -
Posted by ブクログ
経済的にも美貌にも恵まれている、一児の母「阿里子」の生活をつづった物語。10章からなるが、それぞれの章は比較的独立しており、単独で取り出してもほとんど物語になっているような感じ。
夫との生活、娘との生活などが描かれている。自分も夫も不倫しているが、そこいらのそういう小説よりも、よっぽど真実みがあると思う反面、こんな夫婦、こんな親子って、かなり現実離れしているかも、と思う。
初出は1987年であり、多少古い感じもするが、でも洒落た文体の小説だと思う。軽く読めます。
でも、阿里子の友達(和子)が、夫と別れて不倫相手と暮らし、すぐに別れてしまうことについて、お互いに文句も言わないでずっと