チョ・ナムジュのレビュー一覧

  • サハマンション

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    架空の都市、超格差社会の「タウン」の中でもさらに最下層の人々が住む「サハマンション」。
    職業選択の自由もなく、お金もなく、健康的な暮らしもなく、救いもなく。
    そんな状況が、どこか本当にありそうで、いつかこんなことになる日が来るかもしれなそうで、心がひやっとします。
    架空の国のストーリーだけど、韓国社会の生きづらさや日本での貧困や格差の問題、どこかつながってリアルに感じます。
    それでも、暗くなりすぎないチョ・ナムジュさんの文章に救われつつ、こんな未来がこないことを願います。

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    2024年06月08日
  • 耳をすませば

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    みんなからバカにされている不思議な能力のある少年とその両親、衰退していく市場を盛り上げようと画策する店主、テレビ業界で生き残るために必死なディレクター。
    この3人が関わりながら、いろいろな人たちの利己的な欲望があふれかえり、絡みあっていくストーリー。
    人間の嫌なところを淡々とクールに、おもしろく描いていくところが、チョ・ナムジュさんらしくて好きです。

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    2024年04月29日
  • サハマンション

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    韓国文学に不慣れで登場人物の氏名だけではなかなか性別が見当付けられず、読むのに少し手間取ったが扱っているテーマには共感。欲を言えば、トギョンの描写がもう少し掘り下げられていたらと感じた。高齢者やハンディキャップを持つ人などの連帯の描写が全体的にディストピア小説と思えないほど良かった。

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    2024年02月27日
  • 私たちが記したもの

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    「82年生まれキムジヨン」を数年前に読み、同じ作者の本を手に取った。
    キムジヨンの話よりもより多くの世代・異なる時代を生きる女性がフォーカスされていて、それぞれの女性の生きづらさや時代による感覚の差などがありありと描かれている。
    自身に置き換えて捉えてみても、学生時代女性の生きづらさや親との感覚の相違を感じ、声を大にしていたにも関らず、社会人として生きていくうちに少しずつ諦めが生じていくのを感じるとともに、その諦めがまた未来の女性を苦しめてしまうのではないかと奮い立たされる感覚がした。
    また、同時にフェミニスト的考えを大切にしながらも、周りが見えなくなってしまわないように(男性として生きる生き

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    2023年09月25日
  • サハマンション

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    この作品、韓国史についてきちんとした知識があればより面白く読めるのだろうなと思う。やや上級者向け韓国文学のように感じたがそういう本こそ読むべきだし、訳者あとがきを読むとわかるように、隅々まで配慮され尽くした素晴らしい一冊なので、星4。

    登場人物の機微の表現にはやはり感服させられるというか瑞々しい。これは訳者である齊藤真理子さんの力でもあるとは思うのですが、もはや二人のプロによる共同作業のパワーが強すぎて、どの作品を読んでも自分の心が今まで見たことのないような感情の動きをするのでいつも驚きます。

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    2022年05月08日
  • サハマンション

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    37.

    すごい。
    自分の中に虚無感と力強い心をどちらも感じる。
    現実世界の問題が物語に詰め込まれてる。
    7年かけて書かれたという事実にも圧倒される。

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    2021年10月07日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    ネタバレ

    本作も数年前に話題になっていたし、私がお邪魔するブログでも結構取り沙汰されていたと思います。

    読みたいなー、読みたいなー、と思っていましたが、今般やっと許容範囲のお値段で手に入れることができました。

    で、読んでみてびっくり。というか想定しておらず。
    これはいわゆるフェミニズムの本であります。そして、とにかく暗い。

    女性という性に対し、後天的に付与された窮屈な立場、逃げ場のない袋小路が淡々と描かれます。こういうのはきっと男性こそ読むべきものだと思いました。

    ・・・
    1982年生まれのキム・ジヨンは、結婚・出産を機に退職し、育児と家事に追われる日々を送る33歳の主婦。ある日突然、他人が乗り

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    2025年11月12日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    意外な終わり方をしていて声もでなかった
    ページをめくったら終わっていた⋯
    日本にもあるけどそれ以上かもしれないテーマの深遠さ⋯

    キム・ジヨン
    三十三歳 三年前に結婚し、昨年、女の子を出産。三歳年上の夫とともに暮らしているが、自分に向かって吐きかけた他人の言葉をきっかけに異常行動が表れる。夫に連れられて精神科を受診 その担当医が書いたカウンセリングの記録という形の小説

    韓国社会における、過去から現在に繋がる女性差別の実態が表現されていて、キム・ジヨンの人生を振り返る形で話が進むフェミニズム小説

    訳者あとがきにもあるように、文芸とジャーナリズムの両方の側面があり、キム・ジヨンが体験してきた悩

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    2025年10月24日
  • コマネチのために

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    十年勤めていた会社を今日クビになった。それを私は家族に言えなかった。その時分、父の店がうまく行っていなかったからだ。これ以上母を心配させてたくなかった。毎日仕事に行くように家を出て時間をなんとかつぶして家に帰ってくる。そんなことが続けられる訳がないのに…。

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    2025年10月22日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    少し前に話題になっていた、韓国が舞台のフェミニズム小説。韓国の男性はこんなに酷い人たちばっかりなの?というのが率直な感想である。いい人も多いのよと小説の中でも言われているが、いやいや、それにしてもこんなこと言うかなと思うような想像力のない無神経な男たちが多く登場する。これは小説であり、フィクションだが、韓国人を中心に多くの女性が涙するほどの共感をすると言うのだから、このような状況はまったくのフィクションではないことがわかる。

    時代と共に少しずつ意識が変わってきているだろうが、依然として日本にもある男女間の格差や差別。差別は偏見がもたらすものであり、偏見は無意識のうちに持ってしまうものである。

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    2025年09月21日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    キム・ジヨンという女性の人生を通して、女性が出会う差別を描いた作品。

    女性に生まれたことで権利を踏みにじられたり、不当に責められたり搾取される。
    自身も身に覚えがある出来事に、自分自身がすり減る感覚を読んでいて何度も感じた。

    男女平等と言って何十年も経っている日本も、韓国とほぼ変わらず、特に育児にまつわる差別は残り続けている。

    出産・母乳以外は男性も女性もできることは変わらないのに、子育や仕事の制限は圧倒的に女性の方が高い。

    子育ての負担を自分で担える分も妻に背負わせているのに、「妻に絶対やりたくてやるという仕事をして欲しい」と宣った精神科の医者には、怒りすら覚えた。

    同じように男性

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    2025年09月15日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    日本も男女格差が先進国の中で大きい国として認識していたが、お隣の国、韓国の社会も同じか日本以下の社会なのだと知った。
    ついこの間まで性別によって中絶していた歴史があるなんて驚いた。
    今や世界中で楽しまれているKポップやドラマなど華やかな世界があるで陰で苦しむ女性たちがいるなんてにわかに信じがたいけれど、出生率の低さからも韓国社会が住みにくい国なのだろうなと改めて思った。

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    2025年08月31日
  • コマネチのために

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    2016年に出版されたチョ・ナムジュさんの2冊目の長篇小説。著者による要約は「失敗のあとを生き続ける人々の物語」だそうだ。タイトルにあるコマネチは、1970年代に活躍したルーマニアの体操選手。
    主人公のコ・マニ(名前がコマネチに似ている)は、36歳で10年勤めた会社をクビになり、親元に寄生している。実家はソウルでも5本の指に入る貧民街にあり、現在何度目かの再開発話が持ち上がっていた。
    フラッシュバックの手法で現在と過去が交互に描かれ、なかなかにつらい人生を歩んできたマニが痛い。この両親もどうなんだろうと思う。

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    2025年08月01日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    韓国の女性差別の話。女性がキャリアをあきらめなければならなくなることが書かれている。日本は平等だろうか?
    色々考える。

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    2025年07月22日
  • サハマンション

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    これは面白くなかった〜。これもチョ・ナムジュの作品なんだけど、近未来の架空の都市国家舞台にした連作短編なんだけど、設定も展開もやたら意味深で思わせぶりで、最後までほとんど何も語られない。そもそも物語として喜びを感じられるシーンが皆無だった。読んでて苦痛だったな。めちゃくちゃ時間かけてしまった。ボストンに持って行ったのにほとんど読み進められなかった。つまらなかった。

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    2025年05月30日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    これは叙事詩だな。と言うのが読んでる間の感想。韓国の女性は大変だ。なんて軽々しく口にしたら「日本も…」とカミさんから怒られそうだから黙っておく。女性は読んだ方がいいと思う。
    文体はかなり変わっていて最後まで違和感は抜けなかった。読んでいる内に気にならなくはなったけれどね。

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    2025年05月07日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    小説としては、どなたかのレビューにも書かれていましたが「キム・ジヨンのカルテ」のように淡々と彼女が生きた時代の女性差別について書かれているので、読み進めていくとどんどん気持ちが落ち込んでしまうけれど、この作品を多くの人に読んで頂き、女性差別(また他の「差別」だけでなく)人と人が尊重しあい、想像力を豊かにして、すべての人が相手にやさしくできる世界になったらいいな、と切実に感じました。

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    2025年04月09日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    生物学的な男女の違いを理解し
    調和のために何が必要か
    という観点で社会を見たほうがいいな
    という気付きを得た。
    そもそも男女平等という考え方自体も
    個人によって解釈が違ってくるし、
    エゴが入ってくるものだと思う。
    難しかった。

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    2025年07月25日
  • ソヨンドン物語

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    読んでいて何やら胸がチクチクするものの、言語化できない感じがあり、しかし最後まで読んでも結局言語化できないのでは、と思いつつ読み進めた。
    本書の感想になるのかならないのかよくわからないが、私自身は自分があまりメンタルが強くないと感じており、しかし長年の人生経験から(?)自分のメンタルを平穏に保つための、適度な人間との距離感を維持できているように感じる。
    感じてはいるのだが。しかし一方で他人を(自分勝手な)枠組みの中に閉じ込めていないか。他人を閉じ込めることで自分の平穏を保っているという面が、絶対に無いとは言い切れない気がする。本書には様々な関係性の枠組みが出てくるが、その中であっち側とかこっち

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    2025年03月16日
  • 耳をすませば

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    分かりやすく言えば小説版イカゲームとのこと。(私はイカゲーム見てないのでこのたとえが正しいかはわからない)『82年生まれ、キム・ジヨン』の著者のデビュー作。タイトルは主人公の少年がめちゃくちゃ耳がいいということに起因するのかな?

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    2025年02月21日