チョ・ナムジュのレビュー一覧

  • 彼女の名前は

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    日本より酷い女性の人権のなさに、暗い気持ちになりながら読んだ。
    多少前向きな流れでそれぞれの物語を締めてはいるが、もちろん何の解決もしていない。

    そんな思いで読み終えようとしていたが、最後に爆弾があった。
    桜庭一樹氏による解説、この中のエピソードが一番おぞましく、吐き気がした。
    都会で育った私ですら、祖父母や父による母の処遇は今思えば許し難いものがあるのだから、田舎という閉鎖的な世界に住む人の考え方は推して知るべし、なのだろうか。

    0
    2025年02月08日
  • ソヨンドン物語

    Posted by ブクログ

    チョ・ナムジュさんといえば、著書「82年生まれ、キム・ジヨン」がベストセラーとなり、多くの国で翻訳、映画化にもなったのでご存じの方も多いと思います。

    私も韓国ドラマから韓国の文化に興味を持ち始め、音楽とともに文学作品として読んだのも彼女のこの作品が初でした。

    今回は不動産ブーム、過熱化した教育熱、所得格差を、連作短編集という形で書かれています。

    登場人物もソヨン洞のマンションを介してつながっており、意外な場面で意外な人物が再登場する。
    「訳者あとがき」抜粋

    このつながりと登場場面により、登場人物の人物像が変化するあたりも秀逸です。

    そしてこの作品以降、彼女の作品の翻訳本が出るたび、読

    0
    2025年01月01日
  • ソヨンドン物語

    Posted by ブクログ

    “答えられなかった。言ったところで、あなたに理解できるだろうか。大学を卒業もしないうちから、ソウルの超高層複合型マンションの一室を所有することになったあなたに、叔父さんのレストランから伯父さんの会社に転職したあなたに、家族のグループトークに親が載せる海外旅行の写真に、何も考えずスタンプを押せるあなたに、そのすべてがごく当たり前で自然なことだと思っているあなたに理解できるだろうか。”(p.64)


    「理解できるだろうか」は絶対に理解されないことを深く思い知っている人の反語表現だ。だから親近感をおぼえた。あなたの孤独や諦念に似たものをわたしも知ってるよ、と。読んでいて悲しくなったがこの部分がいち

    0
    2024年12月21日
  • 耳をすませば

    Posted by ブクログ

    キム・イルは、知能が少し下回るためクラスメイトや
    両親からも「ばか」と言われている。
    ただ、聴く力だけは誰にも負けなかった。
    〈見ないでいることはできるし話さないでいることもできるが、
    聞かないでいることはできない〉
    P146

    周りの大人たちがキム・イルを追い詰めていく。

    「スリーカップゲーム」大会を開催し
    ・客足が途絶えがちな市場を盛り上げよう。
    ・スリーカップ大会を放送し視聴率を稼ぐ。
    ・聴力がずば抜けている息子を大会に出場させ
    賞金を手にしようと目論む両親。

    無言で孤独なキム・イル。
    反対に、大いに盛り上がり、そして堕ちていく大人たち。

    違う世界で生きられたら、救われていただろう

    0
    2024年09月28日
  • ソヨンドン物語

    Posted by ブクログ

    ソヨンドン(架空の街)にあるマンションに関わる人たちの物語。韓国の不動産の高騰の時に、欲に駆られた人たちが出てくるが、いつもは普通の善良な人たちだ。自分たちの小さな幸せを願っていただけなのに…。読むのが少し辛くなる。特に「不思議の国のエリー」に出てくるアヨンの境遇などは…。

    0
    2024年09月22日
  • 耳をすませば

    Posted by ブクログ

    韓国の貧困と教育
    ネット社会と職の安定(金もうけ)
    うらぶれて行く市場
    これらが三つどもえで展開する

    抜群の聴力を持つ少年は
    バカと言って育てられ
    他者から
    ピアノを勧められたが
    貧困と無知のため
    機会を得られず
    途中でその力に気づいた両親は
    衰退する市場とテレビデュレクターが
    主催するスリーカップに
    出場し快進撃するが
    事件が起こり問題が社会に
    広がっていく

    韓国の一側面を切り取ったような作品

    0
    2024年07月30日
  • サハマンション

    Posted by ブクログ

    再読。
    以前読んだときには、救いがなくただ苦しくて、どう受け止めればよいのかわからなかったが、この作品をもう一度読んでみて感じたのは、何かちょっとしたきっかけでこれが現実になりうるのではないかという恐怖だった。
    現実になりうるというより、すでに私たちの現実としてのリアリティがあった。
    自分が全く同じ経験をしたわけでなくとも、共感できずとも、なぜか理解できる。理解できてしまった。

    0
    2024年06月24日
  • 耳をすませば

    Posted by ブクログ

    結局キム・イルはどうなったんだろう〜健やかに生きて欲しい。大人たちが汚い!
    著者インタビューでは、作家になった経緯や元々放送作家をしていたことを知れて面白かった。

    0
    2024年06月07日
  • 私たちが記したもの

    Posted by ブクログ

     『82年生まれ、キム・ジヨン』の著者の短編集。「家出」「オーロラの夜」「初恋2020」が特に印象深かった。そして充実のあとがきと解説。
     安易に爽やかな気持ちになったり勇気をもらったりはできない。
     『〜キム・ジヨン』もいつか読んでおきたいとは思ってはいる。

    0
    2023年09月14日
  • サハマンション

    Posted by ブクログ


    ディストピアというにはリアルすぎて。

    超格差社会「タウン」の中でも最低層に位置し、差別される「サハマンション」の住民たち。
    抵抗とケアの共同体。

    トギョンの話は、ロマンスで、スキャンダルで、残忍な犯罪だった。

    0
    2022年06月11日
  • サハマンション

    Posted by ブクログ

    あらゆる世界には影があり、それはユートピアでも同じ。
    管理企業国家「タウン」の底辺に存在する「サハマンション」の人々の物語。

    途中からビッグブラザーに対抗する感がでてきて、正直タウンの謎解きなんかない前半のが好み。

    0
    2021年10月03日
  • サハマンション

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    抑圧されたタウンの、階級の底辺でもがきながら生きる人々の話。
    ひとつの国家が誕生し、それに立ち会った人々の苦悩と、国の外から逃れサハに行き着いた人たち。
    そこで生まれた二世、三世にとっては当たり前の世界が、大人になるにつれ、寛容できなくなっていく様子。
    サハの住民それぞれの視点で描かれる。
    差別、偏見、抑圧の中で生きるサハマンションの人々のリアルが辛い。とてもフィクションとは思えない。どこの世界でも起こり得ることだ。
    韓国での社会問題を多数組み込まれて作られた話という事で、作者の現代社会への問題提起を感じた。


    全ての人々の話がラストに向けて繋がる訳ではなく、その世界のマンションの住人のエピ

    0
    2021年08月31日
  • サハマンション

    Posted by ブクログ

    難しかった……超格差社会の底辺の人々の物語。視点と時間があっちこっち行くので、ちゃんと読まないと話のつながりがわからなくなる!
    ただ階級が全てではないし、権威は見せかけで1人1人は心のある人ばかりだなとも思います。
    貧困とかまで話を広げるならば、見た目や階級だけで評価してはいけないと思わされます。

    0
    2021年07月28日
  • サハマンション

    Posted by ブクログ

    “「私たち、悪いことなんかしてないのにどうしてお互いすまながるのかな? 私に本当にすまないことしてるのは誰? 誰も私に謝らないよ。それが誰なのかもわからないし。だから私、このごろ悔しくてしょっちゅう涙が出る」”(p.88)

    0
    2021年07月04日