チョ・ナムジュのレビュー一覧
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韓国のフェミニズム小説と称される本作品
私は1982年生まれの主人公より少し年上だけど、フェミニズムもミソジニーも意識することなくやってきた
あまり積極的に生きてこなかったし、真ん中あたりでふわふわと生きてきたからかもしれない
まったくないわけではないけれど男尊女卑って昔の概念、という感覚だった
そりゃ「弟はいいなあ、なんで男子っていうだけで許されるんやろ」と思うことはあった
でもこの小説のように、“男子は食べるのが先”“形がちゃんとしているものを食べられる”“箸や靴下、下着の上下は男子はちゃんと組になっているが女子はバラバラなのがふつう”といった差別は受けたことはなかった
女の子の出生 -
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ずっと読みたい本として意識していたもの。
1982年から2016年までの韓国社会。
主人公は弟と差がつけられながら育てられ、就職活動も苦戦し、入社後はセクハラや性別による給与差があり、子供を持つようにプレッシャーを受け、子育てしていると、自立しないママ虫と言われる。そうした中で精神疾患を発症。
他人の人格になって、言えなかったことを言うようになって、周囲はその遠慮のない発言に困惑する。
物語はその治療にあたる医師の視点で病歴、生育歴として語られる。
少し前の話という感じもあるものの、現実にはまだまだこんなことはある。女性の給与は男性と同じにはならず、職種による違いというが、女性はその職種に -
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斎藤真理子氏の翻訳が非常に良いと感じた。日本語の作品であるかのように全く違和感が無く作品に没入できた。訳文の日本語が濃密である。訳者注が本文の語の後に〔 〕で簡潔明瞭に説明されており、韓国固有の慣習や制度などの理解を助けてくれた。読書中の私はすっかり韓国社会の一員なったかのように、小説世界に没入した。
韓国文学は今まで読んだことが無い。最初の数ページで登場人物の名前が混乱する。しかし、それを把握した数ページのちには物語の内容に背筋がゾッと凍った。さらに読み進むと、今度は胸がえぐられるような心の痛みを感じるようになった。そしてやがて、日本も本質的に同じなのではないか、と深刻に考え始めた。ペ -
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知らなかった。私より一回り若い1982年生まれのキム・ジョンが生まれた頃の韓国では、女の子が生まれるとお姑さんに「申し訳ありません」と涙をこぼしてあやまり、二人めも女の子だと「この次には男の子が生まれるから」と「優しく」慰めてもらい、三人めも女の子だと分かると母親は自らその子を無きものにし(中絶し)ていたなんて。実際、90年代の初めには男女の出生比は、男児が女児の二倍以上だったそうだ。このような事情で、次女として1982年に生まれたキム・ジョンの妹になるはずだった子は抹殺され、その下の弟は無事に歓迎されて生まれた。そして、家族の中では、炊きあがった温かいご飯が父、弟、姑の順にいつも配膳され、
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読書記録8.(再読)
『82年生まれキム・ジヨン』
主宰している読書会にて
1月の課題本とした
『82年生まれキム・ジヨン』
随分と前に読んだので読書会の為に再読しました
コン・ユさん&チョン・ユミちゃんの映画は韓国での公開初日に現地で見た記憶
本の内容と映画は少しだけ違う展開で終わりますが、姉弟との少女時代、ジヨンの母親、家父長制、仕事、結婚、出産、育児から仕事への復帰といった中での社会の不寛容、女性の生きづらさが描かれます
読書会では
同じアジアの家父長制が残る日本でも
同じような時代を経て来ていることや
「そこまで気にすること?」と思う意見がありつつも
「当たり前のこと -
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中学の映画部で仲良くなったソラン、ダユン、ヘイン、ウンジは、「いつも一緒にいる四人」。中学3年生のときに、旅先の済州島で衝動的にある約束をする。
さまざまな感情と計算が隠されたこの約束をめぐって、次々と事件は起こる。
(カバー袖より)
ソランは、ふつうの子。ふつうであることが悩み。
ダユンは、優等生。病気の重い妹がいるため、親にかまってもらえず寂しい。彼氏をとっかえひっかえしている。
ヘインは、ひねくれ者。ウンジに依存している。父親の事業が失敗して没落。
ウンジは、優しい子。いじめ?がきっかけで引っ越してきた。バリキャリのお母さんと祖母と暮らす。
自分の学生時代を回顧しながら読んだ。
そう -
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もともとは2017年の1年間、京郷新聞に連載された記事だったが、ノンフィクションの色合いの強いそれらの掌編を小説に再構成したそうだ。
実際に訳者あとがきで、元の記事と小説の同じ部分が比較されているが、小説の方がグッと言葉や情景が読者に迫ってくる。
一番最初の短編が、セクシャルハラスメントを訴えた女性の話でとても重い内容だが、それは作者がこの本が直視するのが辛いほどの現実が目の前に広がる本なのだ、ということを伝えたかったからだという。
しかし、韓国でこの本が出版された2018年を境に、当地ではMe,too運動が盛んになり、女性の地位向上が促進された。だから、現在の韓国の状況とこの本に出てく