チョ・ナムジュのレビュー一覧

  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    大きな棘がグサグサと心臓に刺さるような作品でした。
    対岸の火事では全くなく、解説に書かれているようにまさに日本で起こっていることそのものです。

    第三者視点でキムジヨンをドライに描くことは
    女性を取り巻く環境がいかに歪なものかを客観的に示し、
    歪さに引っかかりを覚えた自分自身がその歪さに加担したことはなかったのかと自問する効果があると思いました。

    そしてあのラスト……。
    あのラストはまさに韓国や日本を取り巻く無関心そのものかと思います。

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    2025年11月05日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    一冊に詰められたメッセージと情報量が多すぎて一回じゃ受け取りきれない。
    今置かれている環境が過去の女性たちが闘い続けてくれた結果だということが身につまされた。
    私も次の世代がより生きやすくなるように何か残せたらいいな。

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    2025年09月27日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    K-POPアイドルが好きだ。男女問わずかっこいい。
    発祥国の韓国への憧れがある。未だ訪れたことはない。
    文化的で華やかな一面を第三者として享受している。
    でも、本書のような暗い影を知ることは韓国という国の本質的な理解には必要だろう。

    主人公のキム・ジヨンは私より少し上の世代。ほぼ同じ時代を過ごしてきた彼女が受けている社会からのネバっとした抑圧・無自覚な蔑み。10代-30代の中でそれぞれの年代に起こる確かな違和感。男性優遇、私生活と仕事、出産と育児。あからさまな表層的な差別があるのではなく、受け入れるしかないだろうという雰囲気によってなし崩し的に選択肢を失う。

    昔話ではなく現在進行形の問題。

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    2025年08月30日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    ずっと読まなければと宿題のように考えていた作品。もっと物語性の強いものだと思っていたが、後半に載せられている著者あとがき、日本読者へのメッセージ、解説に評論、訳者あとがきでも説明されているように物語とドキュメンタリーの間のような文体が、リアルに自分にも響いた。そして、私自身、個人事業主の専従者になる事で、フルタイムの専門職を諦め、経理や労務を担う事で、物語最後にある精神科医のつぶやき「いくら良い人でも、育児の問題を抱えた女性スタッフはいろいろと難しい。後任には未婚の人を探さなくては...」も理解させられる...

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    2025年08月03日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    男の子だから、女の子だから、という生まれる前からの刷り込みで苦しむ女性たちのジレンマがすごくリアルに描かれていた。苦しんできた女性がさらに、平気で女性を下に見る息子、我慢する娘を育ててしまうというのもまた。
    身に覚えのある理不尽な言葉や出来事に憤りを感じるシーンもたくさんあったが、一方で女性たちの連帯も描かれていて、ジヨンとともに鼓舞されている気持ちになった。
    特に、「大人しくなるな、騒げ、元気出せ!」という母親の言葉が心に突き刺さって、すごく勇気をもらった。

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    2025年07月23日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    (キム・ジヨン)という一人の患者のカルテという形で展開された、一冊まるごと問題提起の書である。女性であることの生きづらさがひしひしと伝わってきます。韓国も日本以上に男尊女卑が激しいのだなと感じました。続きが気になる終わり方でしたが、それも本書の良さだと思いました。

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    2025年06月01日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    めちゃくちゃ面白かった。ていうか男たちはこれまで何を見て生きてきたんだろうって思い知らされた。全男は読むべき本だと思う。これ読んで「韓国の女性ってめちゃくちゃ差別されてるじゃん」って憤るのももちろんいいでしょう。でも、これって確実に日本とも地続きの話だなと思った。

    きれいごとを言う気はなくて、俺たちはこうして社会を支えてきた女性たちに甘えて生きてきてると思ってるし、申し訳なくも感じる。でもだからこそちゃんと自覚的でいたいし、どうすれば少しでもマシにできるかは考え続けたい。

    読んでて驚いたのは、昔韓国で女の子の中絶が流行って、男の人口が女性比116%になってたって話。賃金格差も日本よりずっと

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    2025年05月01日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    2025年3冊目 『82年生まれ、キム・ジヨン』

    韓国旅行の前に

    恋愛、結婚、出産、就職——女性が直面する悩みや理不尽さがリアルに描かれていた。これまで「差別」とは思っていなかった違和感も、実は立派な差別だったのだと気づかされた。特に男性にこそ読んでほしい一冊。

    少しずつ女性が生きやすい世界になってきているけれど、それでもまだ差別は至るところにある。その現実を忘れずに、悩む人たちの心に寄り添える人でありたい。

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    2025年04月28日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    衝撃を受けた。何故もっと早く読まなかったのか、アイリーンが叩かれた時にちゃんと読んで声を上げればよかった。沈黙は加担なのに、これは自分の話でもあるのに。フェミニズムについて学ぶにはもちろんだが、小説としても構成が本当に素晴らしい。最後の数行はおぞましくて鳥肌がたった。きっとこうやって反フェミニズムは無意識に日常にあるんだと思った。女性だけでなく男性もこの本を手に取って何かを感じてもらいたい。

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    2025年04月28日
  • ソヨンドン物語

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    韓国の架空の都市、ソヨン洞(ドン)にあるマンションを巡る住人たちにまつわる連作短篇集。

    その人の住む地域やマンションの階、職業、ママ友関係、子供のお稽古など日本のタワマンや受験を巡るあれこれと似ていて、とても親近感があり、また興味深くておもしろかったです。

    そこに住んでいる人たちは、そこの価値観で競い合い、一喜一憂したりしているけれど、関係ない外から見ると滑稽なくらいどうでもいいことだったりして。
    自分も、もし何か今いる世界で息苦しくなったら、こうして客観的に外から自分をみて、こんなことにとらわれるなんてばかばかしい!って思えたら気持ちが楽になりそう。

    それにしても東京も同じくものすごい

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    2025年04月26日
  • 私たちが記したもの

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    "人にはどうにもできない領域が確かにある。そんなときにできることは、待つこと、備えること、すっかり絶望してしまわないこと、かすかな運がめぐってきたときに受け入れ、感謝し、そのすべてが自分の努力の結果であるかのように装わないこと。涙が止まった。"(p.169『オーロラの夜』)

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    2023年03月14日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    ネタバレ

    韓国の小説にはいつも出会ったことがない言葉が書いてあって驚かされる

    本文より
    「〜子供をを産む母親には、痛みもしんどさも死ぬほどの恐怖も喜んで受け入れて勝ち抜けというのである。それが母性愛であるかのように。母性愛は宗教なんだろうか。天国は母性愛を信じる者のそばにあるのか。」

    あとがきより
    「キム・ジヨンさんは今も、ましにもならず悪くなりもせず、何かを選択することもそこを去ることもせず、問いかけもしないし答えもしません。答えを探すのは、小説の外を生きていく私たちの役目であるようです。」
    これ、どの小説に対しても同じこと言えるじゃんって、慄いた

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    2025年11月25日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    キム・ジヨンさんの半生を通して、韓国における女性への差別が表現されています。共感してしまえるのが、悲しかったです。そして、終わり方のあっけなさ、無関心さといったら。。

    出産前に退職する時のキム・ジヨンさんは、身近すぎて読んでいて苦しかったです。自分は、命を落とす可能性すらある出産で体がぼろぼろになり、慣れ親しんだ仕事も失う。男であるあなたは、と私も問い詰めてしまいそうです。

    相手は、そんな事を言うなら産まなければいい、と思うかもしれません。他人事なら私もそう思います。だから、そうは考えないパートナーと人生を歩みたいです。

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    2025年11月19日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    私はまさにジヨンと同世代だ。国は違えど、日本もほぼ同じである。私たちの世代は男性優位の環境から男女平等の環境への変化の中を生きてきた。
    だからどちらのメリット、デメリット、生きづらさがわかる世代なのである。
    今の若い人たちは昔の男尊女卑の強い世界を知ってほしい。私たちの世代が生きづらさに気づいて立ち上がり、今の比較的男女平等の世界を作り上げたことを知ってほしい。
    60代以上のかたには、男性優位の世界での女性の生きづらさを共有したいし、あなたがたが安定に暮らすために私たちの世代が犠牲になったことも知ってほしい。
    本当は世の男性に読んでもらいたいけど、果たして共感を得られるのだろうか。

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    2025年11月07日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    女性が、職場や家庭や社会全般から求められている立ち位置や役割。自分が時に窮屈で、理不尽にも感じていたさまざまな事柄がこの小説のあちこちに出てきて、時空を超えて同志を得た気分になったー「ああ、私はひとりではなかった」と。自分の頑張りや堪え性が足りないからなのではないか。悪いのは自分なのではないかと思い悩んでいたあの頃を、腕いっぱいに受け止めてもらえた気分。
    特にこの文庫本は、巻末の解説や訳者あとがきがすばらしい。併せて読むことで、この作品の魅力と反響の理解が倍増する。ゼッタイに読んだ方がいい。
    本書を読んだ男性から、「(妻や家族に)謝りたい」「男性こそ読むべき本」との感想も寄せられていると、あと

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    2025年09月28日
  • コマネチのために

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    切ない話だった。韓国と日本の社会には、もちろん違うところもあるが、1964年の東京オリンピック後の日本社会と、1988年のソウルオリンピックの後の韓国社会の雰囲気は本当によく似ているのだなと思った

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    2025年09月19日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    この先、未来の私が辿るかも知れない話で、読んでいて辛かった
    でもこういうテーマについて勉強するのは大事だと思う。
    この本にかかれた絶望の先に希望を見つけるのは今の私にとってはかなり難しい。
    次はバリバリ働き続けていたり、自分の幸せを実現させた女性たちのノンフィクションを読んで、前向きになりたい。

    自分の未来に対しもう少し楽観的でありたい。けど、いずれぶち当たる壁なんだろうか…

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    2025年08月27日
  • コマネチのために

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    通勤電車で眠い目を擦りながら、朝ごはんの吉牛をかき込みながら読んだ。
    人生の先が見えてるような気がしていたところだったので、嘘くさくない、物語の平坦さがありがたかった。

    平均台からは一度落ちたのかも知れないけど、
    続いていく日々があるわけで。
    転がしながら前に進むしかないのよね。

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    2025年08月03日
  • コマネチのために

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    ネタバレ

    貧困が付きまといながらもコ・マニがエアロビ教室や体操部で一生懸命取り組んでいた場面が良かった。頑張って取り組んだり、大変だった時の事は振り返ると将来糧になったり案外いい思い出だったりする。お母さんもしっかりしてるのか危なかっしいのか分からないけど、コ・マニの為に動いてくれるところが良い。お父さんのラブラブな返事も良き。3人共、新天地で幸せに暮らして欲しい。

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    2025年08月02日
  • 私たちが記したもの

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    ここのところの姑の体調不良を見ているせいか、どうも年を取ることに対して臆病になっている自分がいる。60を越えた自分の顔を鏡で見るたびがっかりするし、鏡よりひどいのは写真に写った自分の姿。がっかりなんてもんじゃないので、なるべく撮らないようにしている。
    息子はもう自立しているし、細々やりたいことはあれど、やらなきゃならないこともない。もうこの辺でいいかなあなんて思ってみたりする。こんなことを書くと怒られるかもしれないが、私は、自分の命の最後は自分で決めていいと思っているので。病院でたくさんの管に繋がれて生き延びるなんて絶対やだ。
    と思っていたら、この本に出てくる卒寿に近いおばあさんが、

    「長~

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    2025年07月29日