チョ・ナムジュのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
K-POPアイドルが好きだ。男女問わずかっこいい。
発祥国の韓国への憧れがある。未だ訪れたことはない。
文化的で華やかな一面を第三者として享受している。
でも、本書のような暗い影を知ることは韓国という国の本質的な理解には必要だろう。
主人公のキム・ジヨンは私より少し上の世代。ほぼ同じ時代を過ごしてきた彼女が受けている社会からのネバっとした抑圧・無自覚な蔑み。10代-30代の中でそれぞれの年代に起こる確かな違和感。男性優遇、私生活と仕事、出産と育児。あからさまな表層的な差別があるのではなく、受け入れるしかないだろうという雰囲気によってなし崩し的に選択肢を失う。
昔話ではなく現在進行形の問題。 -
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白かった。ていうか男たちはこれまで何を見て生きてきたんだろうって思い知らされた。全男は読むべき本だと思う。これ読んで「韓国の女性ってめちゃくちゃ差別されてるじゃん」って憤るのももちろんいいでしょう。でも、これって確実に日本とも地続きの話だなと思った。
きれいごとを言う気はなくて、俺たちはこうして社会を支えてきた女性たちに甘えて生きてきてると思ってるし、申し訳なくも感じる。でもだからこそちゃんと自覚的でいたいし、どうすれば少しでもマシにできるかは考え続けたい。
読んでて驚いたのは、昔韓国で女の子の中絶が流行って、男の人口が女性比116%になってたって話。賃金格差も日本よりずっと -
Posted by ブクログ
韓国の架空の都市、ソヨン洞(ドン)にあるマンションを巡る住人たちにまつわる連作短篇集。
その人の住む地域やマンションの階、職業、ママ友関係、子供のお稽古など日本のタワマンや受験を巡るあれこれと似ていて、とても親近感があり、また興味深くておもしろかったです。
そこに住んでいる人たちは、そこの価値観で競い合い、一喜一憂したりしているけれど、関係ない外から見ると滑稽なくらいどうでもいいことだったりして。
自分も、もし何か今いる世界で息苦しくなったら、こうして客観的に外から自分をみて、こんなことにとらわれるなんてばかばかしい!って思えたら気持ちが楽になりそう。
それにしても東京も同じくものすごい -
Posted by ブクログ
ネタバレ韓国の小説にはいつも出会ったことがない言葉が書いてあって驚かされる
本文より
「〜子供をを産む母親には、痛みもしんどさも死ぬほどの恐怖も喜んで受け入れて勝ち抜けというのである。それが母性愛であるかのように。母性愛は宗教なんだろうか。天国は母性愛を信じる者のそばにあるのか。」
あとがきより
「キム・ジヨンさんは今も、ましにもならず悪くなりもせず、何かを選択することもそこを去ることもせず、問いかけもしないし答えもしません。答えを探すのは、小説の外を生きていく私たちの役目であるようです。」
これ、どの小説に対しても同じこと言えるじゃんって、慄いた -
Posted by ブクログ
私はまさにジヨンと同世代だ。国は違えど、日本もほぼ同じである。私たちの世代は男性優位の環境から男女平等の環境への変化の中を生きてきた。
だからどちらのメリット、デメリット、生きづらさがわかる世代なのである。
今の若い人たちは昔の男尊女卑の強い世界を知ってほしい。私たちの世代が生きづらさに気づいて立ち上がり、今の比較的男女平等の世界を作り上げたことを知ってほしい。
60代以上のかたには、男性優位の世界での女性の生きづらさを共有したいし、あなたがたが安定に暮らすために私たちの世代が犠牲になったことも知ってほしい。
本当は世の男性に読んでもらいたいけど、果たして共感を得られるのだろうか。 -
Posted by ブクログ
女性が、職場や家庭や社会全般から求められている立ち位置や役割。自分が時に窮屈で、理不尽にも感じていたさまざまな事柄がこの小説のあちこちに出てきて、時空を超えて同志を得た気分になったー「ああ、私はひとりではなかった」と。自分の頑張りや堪え性が足りないからなのではないか。悪いのは自分なのではないかと思い悩んでいたあの頃を、腕いっぱいに受け止めてもらえた気分。
特にこの文庫本は、巻末の解説や訳者あとがきがすばらしい。併せて読むことで、この作品の魅力と反響の理解が倍増する。ゼッタイに読んだ方がいい。
本書を読んだ男性から、「(妻や家族に)謝りたい」「男性こそ読むべき本」との感想も寄せられていると、あと -
Posted by ブクログ
ここのところの姑の体調不良を見ているせいか、どうも年を取ることに対して臆病になっている自分がいる。60を越えた自分の顔を鏡で見るたびがっかりするし、鏡よりひどいのは写真に写った自分の姿。がっかりなんてもんじゃないので、なるべく撮らないようにしている。
息子はもう自立しているし、細々やりたいことはあれど、やらなきゃならないこともない。もうこの辺でいいかなあなんて思ってみたりする。こんなことを書くと怒られるかもしれないが、私は、自分の命の最後は自分で決めていいと思っているので。病院でたくさんの管に繋がれて生き延びるなんて絶対やだ。
と思っていたら、この本に出てくる卒寿に近いおばあさんが、
「長~