あらすじ
韓国で130万部、映画化された『82年生まれ、キム・ジヨン』著者の次作短編集。「次の人」のために立ち上がる女性たち。
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Posted by ブクログ
『82年生まれ、キム·ジヨン』の作者による短編集
様々な女性たちへ実際にインタビューした話が基になっているからか、一話ずつ心にせまる切実さがあった
不当な出来事に流されず声をあげ続ける韓国の女性たち
道筋は厳しく、険しいものも多い
自分がまだ十代や二十代前半だったころに“若い女”というだけで軽んじられた経験を思い出した
この本に勇気をもらい、何だか励まされた
日本もまだまだ変わっていかなければいけない、と思う
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60名余りの女性の話。どの話もわたしの話か?とおもった。グループカウンセリングみたい。わたしたちの世代が、もやもやや違和感を言葉にして心の中から外に取り出して、共有する作業が、次の世代の勇気になると信じて。
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もともとは2017年の1年間、京郷新聞に連載された記事だったが、ノンフィクションの色合いの強いそれらの掌編を小説に再構成したそうだ。
実際に訳者あとがきで、元の記事と小説の同じ部分が比較されているが、小説の方がグッと言葉や情景が読者に迫ってくる。
一番最初の短編が、セクシャルハラスメントを訴えた女性の話でとても重い内容だが、それは作者がこの本が直視するのが辛いほどの現実が目の前に広がる本なのだ、ということを伝えたかったからだという。
しかし、韓国でこの本が出版された2018年を境に、当地ではMe,too運動が盛んになり、女性の地位向上が促進された。だから、現在の韓国の状況とこの本に出てくる状況は少しタイムラグを感じさせるものかもしれない。
「82年生まれキムジヨン」がベストセラーとなった日本でも、同じような苛立ちや不条理を抱えている女性は多いだろうが、Me,too運動は国民に広がることはなく、部分的なもので終わった。
それはこの本を読むと感じることだが、家長制度や、世代間の価値観の違い、ソウル周辺の驚くほどの地価高騰…などのようなことが日本では、あからさまな社会問題となっていないこと…多くの人にとってなんとなくやり過ごせてしまう程度のものであるか、若しくは、被害者となっている人は声を上げることもできないほど疲弊しているか、孤独であるかなのだと思う。
お隣の国のジェンダーギャップに激する声たちに、私たちは声なく肯首するだけなのだろうか…と思っていたが、最近はコロナの影響でネット署名などが盛んになり、少しずつ動いているのかな…と感じられる。
2021.5.15
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成川彩さんの解説にあるとおり、日本では#Me Tooは無風だった。
世界で、日本以外で#Me Too運動が巻き起こっていたことは知っていたけれど、どうして日本の女性は素通りしたのだろうと考えた。
満たされているわけではない。
多くの人が声を上げることもできずに苦しんで、そして諦めている。諦め、期待もしていなかったのではないだろうか。
ここにある物語に心が動かされて、無いものにしてきた物事に形を、影を与えて意識することは、次の人たちに少しの希望をもたらすだろうか。
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世代も立場も違う女性たちの、ごく短く綴られた物語たち。彼女たちの日常を、つぶやきを、思いをそっと掬い上げるような。一人一人の物語なのに、読み進むうち、韓国に限らない、女性の置かれている場所を俯瞰してみているような思いになる。そして、うねるような、韓国の姿が見える気がする。
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韓国の女性一人当たりの出産数が0.8人でOECD諸国で最低値だと報道されていた。新聞では主な要因は教育熱の高まりから子育てにお金がかかることだと書いていたけれど、最近立て続けに韓国の本を読んだせいか、背景にはフェミニズム運動の高まりがあるのではないかと私には感じられた。そういう数値出るよなあと、小説の世界と実際の韓国がピッタリ一致したニュースだった。
この本は「82年生まれキムジオン」の作者が、その後に出した本。同作でジオン氏は声を上げず内に内にとストレスを溜め込んでしまうが、こちらに出てくる女性はもっと強くてたくましい。
正直、ボロボロになりながら戦い続ける女性たちの姿は痛々しくて、面白いのだけど気が重くなる本でもある。戦う相手も、男尊女卑を強いる親世代や配偶者だけではない。セクハラを隠蔽しようとする会社や、掃除人や給食のおばさん、鉄道の乗務員といった非正規の女性社員の立場を軽視する会社であったり、さらには当時の朴政権であったりする。その中で、高校生、大学生から社会人までそれぞれがそれぞれの想いを抱いてデモやストライキに参加する姿に、韓国社会の中のうねりの波を感じる。
2016年に出された「キムジオン」を読んだ時は、男尊女卑文化、儒教文化がなんだか凄まじく、「日本も、ここまで口や態度に出さないけどこういう文化残ってるなあ」という感じだったのだが、それから少し進んだこの本の中の韓国社会は、社会運動のうねりという点であっという間に日本を追い越している。そして日本よりも出生数が少ないことが韓国人女性たちの強い抵抗と主張に感じられ、納得するのである。
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しんどい。すごく辛い話しなのに、前書きにある通り本当に「よくあること」だよな、と思ってしまうのが余計辛い。
4年も前の本(韓国語の原作は6年前)なのに、今と全然変わらないのも悲しい。あとがきにも書かれてることだけど、現実が一進三退くらいで、本当にやるせない。
Posted by ブクログ
9歳〜69歳までの女性に聞いた話を元にした掌編小説集。虐げられる女性たちのエピソードが辛くて、もやもやして、一気には読めなかった。
今麻薬戦争をモチーフにした本を同時並行で読んでいて、そっちはざくざく読み進めているので、近い世界のことにしか共感できないんだな、と我ながら情けない。だけど自分に近い世界のことくらい、良くできるよう何かしなきゃという気持ちになった。
日本より更に過酷なジェンダー環境で闘う韓国の女性たち、心から尊敬する。
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最後の解説「82年生まれ、A」を読んでから本文を読めばよかった。不条理の中にありながらも逞しく生きる女性に共感したり、びっくりしながら読んでいたが、韓国の社会的な背景がイマイチピンとこなかった。解説ではそう言ったことが書かれていたので、予備知識としてあったら、本文の味わい方も違っていたと思う。
Posted by ブクログ
全て、全てが良かった。
2018年に出版された本ということで、2023年に読んでも違和感なく読めたということはまだこの社会は何も変わっていないということを感じた。
何度も何度も読み返したい。チョナムジュ作家の本はやはり良い。
自分の語彙力じゃ表現できない良さがある。
Posted by ブクログ
「82年生まれ、キム・ジヨン」を読んでいたから興味を持ち、この本を読んだ。韓国と日本の違いが大きくて驚いた。ストライキなど自分の権利のために動くことができる人達という一面は日本と違うが、日々のささやかな幸せを感じながら暮らすという面は日本と同じだと思った。離婚の話は衝撃だった。
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たくさんの女性のエピソード、何かしら共感できるものがあるのでは?
解説の成川さんに同意。韓国はデモやストライキが多いことも知らなかった。
日本は無関心、うやむやにして我慢することが多い。私もそう。
未来のために、果たしてそれでいいのか?
自分の中のモヤモヤに気づいたら、自分が我慢すればいいんじゃない。同じような思いをする人が出ないように、まずは自分の行動を変えよう。
もっとモヤモヤに気づく感度を高めよう。
でも声をあげる勇気がもてない。伝え方が難しいと思ってしまう。
最近のモヤモヤ
負けず嫌いな娘3歳が、友人に頑固と笑われた。←悪気はない
他人の子どもを自分の尺度で評価し伝えるのはやめよう。個性をポジティブに認めよう。
Posted by ブクログ
"82年生まれ、キム・ジヨン"の作者が書いた本ということで興味をもって読んだ本。それぞれの年代や人に応じて生きずらさや苦しさがあるなかで、何かを変えようとする人たちの話。
日本とは異なる韓国独自の部分と日本でもあり得る部分の両方があって、ストや抗議活動は日本ではなかなかないので社会の問題を個人レベルで捉えるかに差があるように感じた。
今何を変えられるのか、次の世代に向けてできることは何か、本当は嫌だけど目を逸らしてしまってたことに向き合うことから始まるのかもしれない
Posted by ブクログ
何かしっくりこないな、と見ないふりしてやり過ごしてきたものに直面させられて、ゾワッとする。
まずは自分をからめ取りゆるく縛り付けてくるものを払い除けられるようになりたい。
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「82年生まれ、キムジヨン」のような韓国の女性の話。この本は2020年に日本で発売された本で、あとがきに、この本に書かれている状況とあまり変わっていない気がするというふうにあって驚いた。たしかに82年生まれって、私と13年しか違わないんだから、私が韓国で生まれていたら、この状況を生きていたかもしれないんだなと思った。一気に自分ごととしてもとらえられた。
3年くらい前に、香港のデモがすごかった時があって、その時はデモ?!なにそれ?!学生までなんでそんなことするの?!全然理解してなかったけど、この本を読んで、学生でも社会を変えて欲しい!と自ら訴えていることがすごいなと思ったし、デモを起こさないといけない状況にあるんだなと思った。
この本は、私に大事な知識を増やしてくれて、外国や日本の状況を考えることや、世界の社会を見ることの大事さ、みんなが平等に幸せに生きていける世界を作っていきたいっていう気持ちを与えてくれた。
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「82年生まれ、キム・ジヨン」の著者の短編集。九歳の子から六十九歳の女性まで、六十人余りの女性を取材した話をもとに短編小説集として構成。女性蔑視の問題、非正規社員問題、嫁と姑の問題、夫と妻の育児負担の問題、教育制度の問題、等々様々な社会の不条理を等身大の女性の物語として描いている。日本と違って、韓国の人々は抗議の声を上げることができるのだなと感じた。過去の民主主義への闘争の経験が違っているのだろうか。
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短編集28編
母、娘、妻としてあるいは職場での理不尽、学生など様々な視点で本音を提示する手腕は見事。あちこちで立場を変えながら登場人物にも親しみが湧く。それにしても女性であるためのたくさんの生きにくさに目眩がしそうだ。
韓国の話ではない。日本でも全く同じことなのだ。
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心の中で小さくガッツポーズをとった。毎日どこかで起きている濃厚でリアルな物語の数々。歴史も文化もぜーんぶ背負って、たんに女性問題というだけでは済まない話だらけ。中では「母の日記」がとくに好き。
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短編集で様々なエピソードが繰り広げられるが、これほどフィクションであってほしいと思うものも少ないですね。
もちろんノワールやクライムノベルとかは別ですけど。
一部連作になっているものもあります。それぞれの登場人物のそれぞれの目線が面白い。
どれも短編で終わらせるのはもったいないと思いますね。でも今はまだ短編として様々なケースがあることを広く知らしめる必要がある時代だってことですね。
いつか安心してしっかりとした長編を読める時代が来ることを望み、かつできることをしていきたいです。
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21.
同じ出来事についての異なる人物からの視点や
実際のインタビューを書き起こしたような話
役柄でしか呼ばれない女性たちの話
何人もの人生を見ているよう気持ちになり
一気に読めず毎晩少しずつ読んだ
作者/訳者のあとがきや解説まで丁寧で
泣いたり驚いたり共感しながら読んだ
-なんで#metooは盛り上がらない日本で、キムジヨンは売れるの?
の問いに対する答えにぐっときた
Posted by ブクログ
“私だってそうだったんだよ。あたしたちの頃はもっとひどかったんだから。そんなことを言う先輩にはなるまいと、心に誓った。でもそれだけでは足りない。言ってはいけないことを言わない人で終わらず、言うべきことを言える人にならなければ。”(p.25)
“娘であることが一体なんの関係があるのかと訊きたかった。でも訊かなかった。思いを晴らすべくとうとうと語り、切々と事情を打ち明け、私の許しを乞うチャンスを母に与えたくなかった。私は娘だ。だから、なんなのか。”(p.54)
“「私は家事してないとでも思ってるの? あんたのすることになんか文句言った? 私がするのが当たり前で、あんたがすると何かすごい思いやりになるわけ?」”(p.67)
“「空気を読まないでいられるのだって権力だよ」”(p.75)
“もともと少ないおこづかいなのに、節約して節約してナプキンを買うたんびに、子宮なんか引っこ抜いてしまいたくなります。”(p.200)
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後輩に同じ思いをさせないと闘うエンパワメントな面もあり、美談では終わらない面もあり、深かった…韓国でもナプキン問題あるのね…おすすめは「十一歳の出馬宣言」
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「82年生まれ、キム・ジヨン」と違って、ノンフィクションの作品集だったので、よりリアルで、読むのが本当に辛く、今の私は1人目の女性のお話で本を閉じてしまった。
今の私はまだまだ未熟なのか、この作品を「自分への教訓」として客観的に読むことができる日が来るのだろうか…。
本の冒頭でも書いてあったが、この本に出てくる物語の数々のように、「女性であれば誰しもが感じたことのある、やるせない、けれども、ひとまず心の奥底に閉まっておいてしまう思い」を、もう一度引っ張り出してきて、言葉にして発することは、非常に辛く悲しい作業だったと思う。
だが一方で、人間には「忘れる力」もあるんだということも、私は覚えておきたい。
特に女性は、結婚や出産で生じる身の変化にも、柔軟に順応していける、しなやかさが備わっていると思う。
そんな女性に生まれたことを私は誇りに思うし、「女性だからこそできること」を存分に楽しんでいこうと思った。
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韓国人作家を知ったきっかけは姉だ。
姉は中学生の頃からK-POPにハマってから、きっと最近の若い頃の先駆者みたいな人生を送っている。
独学で韓国語を勉強して、大学でその頃まだあんまりなかった韓国研究の学科に入って留学も二回した。
付き合った恋人2人とも韓国人だった。
取り憑かれたように韓国が好きだ。
そんな姉がチョナムジュさんの本を探していて本好きな私にこれを探して欲しいと言い、最初に読んだのは「80年代生まれ、キムジヨン」だった。
読んで最初に出てきた気持ちは、
「ごめんなさい」と意味不明な不快感だった。
韓国の女性だけじゃない。
日本でも遠回しにある女性軽視。
付き合ってもないのに「俺のもの」とか言ってくる男とか、酔っ払って絡んでくるおじさんとか、女の子だから何もしなくていいという上司とか。
そーゆう異性を不快に思いながらも、
「短いスカート履いてるなら、見られても仕方ないと思えよ」って心の中で思ってる私。
そんなに胸が出る服を着てるくせに。
それが自分の承認欲求を満たしてるくせに。
同じ女。同じ女なのに、ナムジュさんの本に出てくる女の人たちを傷つけた人たちと同じことを思う時もある。
でも不快感を味わってる自分もいる。
後ろから数人の男の集団が大きい声で至近距離で歩いてるだけで怖い。
強い口調で話してる男にびくびくしてしまう。
「彼女の名前は」は、年齢に関係なくあらゆる岐路に立ち、苦しんだり悲しんだりしている女性たちの叫び声だ。
大きく世界は変わった。
誰でも自由に自分のことを話せる。
でも、細かく見れば個人の発言や行動に傷つく女性はまだまだいる。
私は、どちらの立場でものを考えれるだろうか。
自分の罪悪感が打ち消せはないうちは、きっと、
この人たちには寄り添えないんだろうと思った。
Posted by ブクログ
「キムジヨン」はまだ読んで無いけど同じ著書の作品。
自分のために、誰かのために闘う女性たちがたくさん出てくる。
1番心に残ったのは「調理師のお弁当」
わたしにも娘がいるし、その娘が毎日学校給食を食べているからかな…
そのまま日本にもあるエピソードが多いが半面、韓国ではこんなにストライキが行われているのか、とか地下3階まで住居があるのか、とか、違いに驚く事もあった。
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「82年生まれ、キム・ジヨン」の作者による実話に基づく(女性の実体験に基づく)短編集。
自分に続く後輩や下の世代のためにも声を上げ、少しでも生きやすいように変革しようと戦う女性たちが強くて格好いいのだが、彼女たちの生活には不安も苦しみも悩みも葛藤もあって、そのリアルな姿が重くて辛い。それでもなんとか立ち向おうとする彼女たちのことを、本書を読みながら共感を伴って想う女性たちがいることを、彼女たちにも知ってもらえたらいいのにと思った。
ちょうど今朝の新聞に、コロナ禍で非正規雇用の仕事を失って貧困に陥り生活に行き詰ってしまった女性たちについての記事が掲載されていた。本書でも生理用ナプキンが買えないほど困窮した家庭に育つ女子中学生の物語があったが、日本でも同様のことが起きていると聞く。理不尽なことには声を上げて是正を望む権利は日本の女性にもある。