南綾子のレビュー一覧
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南綾子の作品に出てくる登場人物はどうしてこんなにも痛々しく、それでいて愛おしいのだろうと思う。 彼女の作品はおそらく3作目(のはず)だが、出てくる登場人物はいずれもかなり難ありである。
今作もタイトルからわかるように、それぞれうまく行かない問題を抱えていて「死にたい」と思っているような人間が出てくる。
それぞれの「生きづらさ」はあるのだが、作中でシスターフッド足切り問題ついて展開されているところが好きだ。 「シスターフッド」は今やフィクションでは定番となっているし、現実にある女性差別に対抗する連帯として好意的に受け止められている。
たしかに今までの歴史のなかで女性差別に対抗してきた女性たちはシスターフッドと称される連帯があっただろうし、現在もシスターフッドというこの社会をともに生き抜く仲間や共闘する仲間の存在はある。
ただシスターフッドは女性なら誰しも発生しうるものだろうか、とも思う。
私はシスターフッドが扱われるフィクションは大好きだし、現実の社会でも女性差別の撤廃を目標に活動している女性たちが対談したり、共同でイベントを開催したりとシスターフッドが煌々と輝く場面は勇気をもらえるし、女性として心強さもある。
でもその「シスターフッド」は本当に女性なら誰しもが開かれているものなのか、と言われると首をひねる。
作中で奈月が発したように女性同士の相手を労ったり、変化に気づいたりするケア的な要素を多く含んだ会話が苦手な女性はシスターフッドに入れてもらえるのだろうか。
私の考えるシスターフッドというものは、そういったなめらかなコミュニケーションやケアをしあうだけのものではなく、女性差別の呪縛から女性を解放したい、されたいという思いを抱えているのであれば、そのあいだにコミュニケーションは必ずしも発生する必要はないと思っている。
しかし、女性ならこういうコミュニケーションができるはず、ケアができるはず、という言説は女性間でも、特にシスターフッドを熱く支持している人のなかでも、かなり根強いものに感じるし、それらが苦手な女性は存在しない、ゆえにできない人を排除しているということに思い至ってないのではないだろうかとも思う。 そこに切り込みを入れた展開はこのシスターフッド称揚激しい時勢ではかなり稀有なものだと思われるし、どんなコミュニティにもなじめない人の存在をとらえていることが南綾子の強みだ。
すごくきらきらしていて、まぶしくて魅力的だけれど、私の物語ではないと消沈してしまう作品も多いなかで、人間がもちうる痛々しさをとらえ、それでも必死で懸命に生きているのだと描くことで、どうにか報われてほしいと願えてしまうような魅力ある人物たちにこれからも魅了されていくのだと思う。 -
Posted by ブクログ
おもしろかった!
4人の友情が羨ましかった。
この方々と自分も同世代であるが、知人たちは、若い頃も知ってはいたけど、年をとると、また違う人になっていたりして、頻繁に会うことと疎遠を繰り返して、なお友達同士っていいなと思った。
みんな頑張り屋さん
夏枝さん、本当努力して仕事も繋げて、尊敬しました。
とても辛い時期もあっただろうけど、持ち前の明るさと自分が叶えたいものを掴み取る力がすごいなと思う。
自分のことをよく考えてるんだろうな。
過去があっての今なんだろうな。
過去から学んでるんだろうな。
一緒に歩いてくれる、仲間に入れてくれてる感じの小説で、励まされました。
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感動したー!あったかい気持ちで本を閉じた!
リズミカルな文体とユーモアで、
笑い系かと思いきや、いやいやどうして、とても深い!
主人公であり作者の南綾子さんが
婚活と失敗を繰り返す。見守るのは、
南さんをヤリ逃げし、他の女に刺されて死んだ山田。
この山田のセリフが
ズバリ確信をつき、南さんも自分を知ることになり、
幸せとは?結婚とは?自分のなりたい姿は?
パートナーとは?答えを見つけていく。
この、南さん。とにかく口が悪い。ニックネームの付け方が絶妙で笑ってしまう。あれ?なんか私と似てるかも?親近感。
ドラマは見ていないけど、小説の方は、
軽いだけじゃない、全婚活者に読んでほしい。
いや、むしろ、全人類に読んでほしい。
アメリカでコメディ映画にして「全米が泣いた」
にして欲しいくらいだ。 -
Posted by ブクログ
タイトルを見たときからずーっと気になってた本をついに読む。
なんて元気をもらえる本なんだろう…!わたしも響と同世代だし境遇も近いところがありかなり共感しながら読みました。友人や会社の同期はどんどんライフステージを昇っているのに自分は同じところに居続けてる気がする、下手したら後退してさえいるんじゃないかと不安になることがよくあるんですが、それでもべつにいいんだなと。同じところに居続けるのも人生。安泰で平穏な生活のために働くわけであって、仕事にやり甲斐とか自己実現みたいなのは求めてない。こんなふうに生きてもいいんだって勇気づけられました。わたしも桜子さんみたいに自分のために生きたい。現代っぽいなと思ったけど、別段そういうわけではなく、昔からこういう人はいたんでしょうね。いまはこういう人が増えたのと可視化されやすくなったというだけで。わたしのバイブルにしたい一冊でした。 -
Posted by ブクログ
ただ楽しく生きていたいって思ってたらここに辿り着いてただけという桜子さんの生き方に憧れた。人生のスタンプラリーを押すように彼氏を作って結婚して出産して…という価値観に縛られることは、本当に自分のしたい生き方ができないことにもなり得るから、自分がどうしたいのか、自分にとって一番の幸せとは何かをよく考えないといけないなと思った。心に響く言葉がたくさんあった。
「金、健康、友達、この三つがないといろいろ半減だから。この三つの確保だけは、今のうちからがんばるべし。」
「生涯独身女性の先輩として、お金に関していくつかアドバイスをあげましょう。まず、働き続けなさい。早期リタイアなんていう悪魔の言葉に惑わされないように。そして、誰かの口車に乗せられて不動産を手に入れようとしないこと。本当にその家に住みたいならいいけど、損得で判断はしないように。三つ目は、自分へのご褒美という名のつまらない消費をやめること。一見有意義なお金の使い方に思えるけど、結局はただの消費行動でしかないんだから。自分にとって本当に必要なものだけお金を使いなさい。」
自分が生活できるだけのお金を稼いで、自分のためだけに時間とお金を自由に使うことがこの上ない幸せだっていうのはすごく共感した。自分の心を守るために人に対して無関心なところはいいかもなぁと思った。私にとって人生の指南書になった。
タイトルからして共感だったから、南綾子さん私好みかも! -
Posted by ブクログ
「これからわたしが書こうとしているのは、わたしが創作した話ではなく、わたしの身に実際におこった出来事であり、登場する全ての人物、団体はマジで実在する」
40代を目前にした著者、南綾子氏のほぼ実録婚活小説。笑っちゃうぐらいおもしろくて、涙が出るほどつらくてしんどい話だった。
世の中にある”だいたいこういうもん”という規範とそこから外れる人たちへ向けられる嘲笑。かつて自分が嘲笑ってきた立場に自分が迫ると、どうにかして、時には自分をすり減らしてでもそこから逃れようともがいてしまう。
本当に結婚という制度が人にかける呪いはしぶとい。結婚が、誰かからの唯一の承認みたいなものだと思っている人が多く、誰かから欲された、認められたということがこれほど人に揺るぎない何かを与えるのだろうか、と首をかしげるけれど、きっとそういう人が多いのだろうと思う。
特につらいのはこの小説に書かれた呪いに絡め取られて、自尊心をずたずたにしながら、どうあがいても向かっていく”死”というものに孤独がつきまとってくることを恐れながら、こんなんじゃダメだと脅しをかけられながら生きている人がいまだ多いということと、隙あらばその呪いをかけてくる世間という名の社会の空気、職場、友人、はては家族がいるということ。
そんな四方八方から呪詛を浴びせ続けられて、その呪いを受けないほうが難しい。
なぜこれほどまでに呪いが強いのかというと、この国の制度設計が個人をもとにしていないから。一人で生きていくには自然と心許ないようなそんな制度設計になっているからだ。身も蓋もない話だけれど、生きているうちの不安のほとんどは経済的な不安が大きいと思う。
そこがクリアできれば、もう少し肩の力を抜いて、規範に自己を沿わせなくても楽になれる人が増えるのではないか。
もうずっとその呪いにぐるぐる巻きになっている主人公の姿がつらい。だからこそ最後の最後に主人公が母とともにたどり着く場所は風通しも、見晴らしもいいものだった。読んでよかった。 -
Posted by ブクログ
好みの作家さんと出会ったとき、この幸福に転がりまわりたくなってしまう。
中身がまずもってすごいよかった。中年男性の仕事もうまくいかず、恋愛経験もほとんどなく、結婚も見えてこなくて不安と孤独に身をすくませる。ずっとこういう中年男性の話が読みたいと思っていた。
こういう人を恋愛や結婚の存在がさも当たり前のような社会の空気に飲まれているだけだとか、自分で自分を満たせるようにとかいうアドバイスは正しい。実際そうだし。でもやさしくない。
だからここに向き合う作品を欲していた。
ごまかしてきたことや。見過ごしてきたことはいつか腹を据えて向き合わなければならないときがくる。それは自発的にそうできるときもあれば、否応なしに肩をぐいっと掴まれて身体の向きを変えられるようなときもある。
登場人物のその瞬間が拙くて美しくて読んでいて泣きそうになった。
みんながそれぞれダメなところも素敵なところもあって、読み終わったら登場人物たちがすごく愛おしくなってしまった。こういう小説書かれたら、好きになっちゃうよ~!そしてまたもや『女による女のためのR-18文学賞』出身作家であった……。 -
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私も今すぐおばさんになりたい.........!!
人生のことじゃなくて雑談をしていたい。次の日何を話していたかも忘れてしまうようなどうでもいい話をずーーっと。お金と健康と友達を大切にすること。肝に銘じます!!
今はいろんな選択肢があるし、周りと比べると苦しくなることもあるけれど、心に残る文章がいくつも出てきた。「自分の行き先は自分で決めたいでしょ。誰だって」て、1人を選んだり子供を産む産まないとか色々あるけど、自分で決めたことを正解とするのが1番だね。
桜子みたいな生き方もかっこいい。野望なんてなくて、でも人生は楽しそうな人生の先輩!速水の頑張りすぎていろいろなものを犠牲にしてきたものを考えたら少し悲しく、もんちゃんみたいなキャリアウーマンは少し憧れたり、自分がどうなりたいかは分からないけど、50歳になってからが女性は本番らしいので、とにかくどんなおばさんになりたいか考えておこう。。自虐じゃなくて自慢ね!あと、私はリカちゃんみたいに主語述語なくなるし、すいちゃんみたいに話飛んだりしちゃうし、おばさんの卵てきな素質?いや、その人の問題?みたいなことを度々本を読んで思っていました。笑
面白くって一気読みしちゃった〜! -
Posted by ブクログ
おばちゃんたちも、一見すると自由気ままに見えるけれど、それぞれに過去があり、悩みや選択を重ねて今がある。その過程で自分の選んだ人生を受け入れ、自分らしく前向きに生きている姿がとても素敵でした。
主人公・響の気持ちにも共感できる部分が多く、自分と重ねながら読みました。
30代ならではの焦りや周りと比べてしまう気持ちは誰にでもあるけれど、大切なのは誰かの幸せを追いかけることではなく、自分にとって心地よい生き方を選ぶことなのだと改めて感じました。
そして、この本を読んで改めて思ったのは、お金と健康と友達は大事だということ。
仕事帰りに行きつけのお店で他愛ない話をしながら過ごす時間も、とても豊かな時間なんだろうなと感じました。私はお酒が苦手なのでできないけれど、そんな居場所があることに少し憧れます。
自分らしい幸せについて考えたくなる作品でした。 -
Posted by ブクログ
タイトルに惹かれて手に取ったらやっぱり私好みだった。誰かに自分の話や思いを否定せずにただ聞いてもらうってすごく大事で、心の安定をもたらすんだなぁと感じた。奈月の兄が引きこもりになってしまったきっかけ、施設からボロボロの身体で帰ってきた描写、夜中に窓の外を見て泣いている場面で泣きそうになった。結局、育ってきた家庭環境が人格形成に一番関わるような気がする。生きづら会のメンバー4人ともそれぞれに暗い過去があって、今も社会や自分の悩みとうまくやっていくだけで精一杯なのに、会のメンバーといる時は何ともいえない関係性で気楽に過ごせているところが理想的だった。
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