阿井幸作のレビュー一覧

  • 7人殺される

    Posted by ブクログ

    龍州市で続けざまに不審死が起こった。直前に宅配便が届いてその差出人が次の犠牲者になるという連続殺人。羅飛は事件を防ごうと奔走するが…
    作中に登場する、犬を積んだトラックが愛犬家グループに走行阻止されるというのは実際の事件らしい。
    前作『邪悪催眠師』ですっかり催眠に詳しくなった羅飛と、催眠を駆使する犯人との攻防がスピーディーに描かれる。殺人方法がかなりグロいのと、真犯人はうーんと思わないでもないが、全体としては一気読みの面白さだった。

    0
    2025年08月01日
  • 厳冬之棺

    Posted by ブクログ

    舞台設定が現実的な分トリックについてはいささか現実味に欠けるような気はしたもののアイデアとしては素晴らしく、本格ミステリーとして面白い作品だった。犯人に関しても巧妙に伏線が張られていて驚いた。

    続編が気になる終わり方だった。

    0
    2025年02月24日
  • 7人殺される

    Posted by ブクログ

    華文ミステリー。邪悪催眠師シリーズの2番目。龍州市公安局の刑事隊長の羅が主人公で、凄惨な連続殺人事件を追っていく。実務一辺倒の羅が兎に角カッコいいし、部下の劉とのコンビも最高でついつい肩に力を入れて応援してしまう。催眠術での犯行も4千年の歴史の中国ならあり得ると感じてしまう。ラストの意外な犯人に驚いたが、心情的には犯人に同情してしまった。

    0
    2025年02月01日
  • 7人殺される

    Posted by ブクログ

    2024年の41冊目、今年のラストを飾るのは、周浩暉の「7人殺される」です。華文ミステリーです。周浩暉の本を読むのは、「死亡通知書 暗黒者」以来です。主人公は、共に龍州市公安局刑事隊長の羅飛(ルオ・フェイ)です。
    全体を通して催眠が大きな鍵となっています。が、決して、荒唐無稽なオカルト話で終わっていないのは、本格派の刑事小説という土台が、しっかりと出来ているからだと思います。7に引っ掛けた構図も面白く、細かな伏線も作者の技量を感じます。
    事件の真相は、中国社会の冷たさと欺瞞を炙り出します。主人公の羅飛が、自らの信念を曲げてまで、導き出したラストが何とも言えません。
    ☆4.5

    0
    2025年01月12日
  • 知能犯の時空トリック

    Posted by ブクログ

    前作に続き面白かったです。
    紫金陳さんの官僚謀殺シリーズに出る容疑者は絶対悪ではないので読者に同情を誘います。
    とはいえ、犯罪は犯罪なので容疑者を追う側の刑事には捕まえてほしいと思ってしまう。

    しかし、、権力とコネがモノをいう世界を渡るのは難しいと紫金陳さんの著書を読む度に思います。

    0
    2024年10月22日
  • 邪悪催眠師

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    最初にテンポよく陰惨な事件が起こる。

    バイオハザードファンがゾンビのように人の顔面を噛みちぎる、自分が鳩になったと思い込んで無防備に空に身を投げる…それが催眠術のせい?という引きの部分がめちゃくちゃ面白くて、ぐんぐん引き込まれた。

    ところが。
    過去の話、催眠術とはという話、催眠術合戦…と長々続き、なかなか進まない。
    あれもこれも実は催眠ね、という感じで話が進み、催眠でした〜はい3歩下がる〜という感じなのだよね。全てが怪しくてスリリングに進むというよりは、話が進んだかと思うと催眠が挟まれて元に戻っちゃうので、テンポが殺されてる感じなのだ。読みづらい。前提がひっくり返るワクワク感よりも、え、またそこから?みたいな疲労感がきちゃうんだよね。なんでかな。

    話自体は面白いんだけどとにかく3歩進んで2歩下げられるのがストレスだった。うーん、ちょっともったいなかった。

    0
    2024年07月13日
  • 時間の王

    Posted by ブクログ

    劉慈欣が認めた二次創作「三体X」の作者、宝樹の短編集。全7篇。
    ユーモアの強い「三国献麵記」すれ違いメロドラマ系の「成都往時」など、どの話も読みやすい。
    私は一話目の「穴居するものたち」が好き。おうちだいじ。→

    「三国献麵記」は三国時代に詳しければ100倍楽しめたなぁ、と思う内容。吉川三国志を3巻までしか読んでない私、曹操と赤兎馬の関羽しかわからん(笑)
    「成都往時」は恩田さんの「ライオンハート」が好きな人にはたまらないのではないかと。私は好き。
    「最初のタイムトラベラー」は→

    読み返すとじわじわくる怖さと面白さ。まさにショートショート。

    全体的に恋愛風味な印象はありつつ、楽しめた一冊。

    0
    2024年05月24日
  • 厳冬之棺

    Posted by ブクログ

    めちゃめちゃめちゃ読みやすい文章!
    トリックは複雑で100%理解はしていないけど、ふーんそんなことが可能なんだな〜って感じで終えられる笑
    最後の一文気になる。そっちの事件も面白そう!!

    0
    2024年05月22日
  • ガーンズバック変換

    Posted by ブクログ

    表題作「ガーンズバック変換」は香川県の「ネット・スマホ依存症対策条例」がモチーフ。現実よりは一歩踏みこんだ世界を描いているのだけど、現実と地続きのディストピアで、いかにも実現しちゃいそうでぞくぞくする。主人公が、液晶画面を遮断するメガネに形だけ似せた伊達メガネを作るのは、あくまでも自分のサバイバルを旨とした小さな抵抗。けっして地下組織に加わったり、表立って反対運動をしたりという大きな抵抗ではない。でも、もしかしたらそういう心持ちのほうが長続きするかもしれないし、それが広がっていけば大きな抵抗網になるのかもしれない……ってそれがこの短編の眼目ではたぶんなくて、最後は百合的な友情に着地するんだけど。

    「色のない緑」は、『ベストSF2020』で読んだのが最初だけど、今はその当時に比べてAIの状況がずっと進化しているから、はるかにリアルに感じられてちょっとこわいような。自動翻訳をめぐるエピソードも、また、AIが人間が知り得ないブラックボックス化するという状況もよくわかる。

    ほかの短編は、中世っぽい舞台のものがあったり、ゲーム開発をネタにしたオタクっぽい作品があったりと振れ幅がすごくて、読んでいてとまどいもあるっちゃあるけど、百味ビーンズみたいな楽しさもあってよかった。

    0
    2024年02月20日
  • 厳冬之棺

    Posted by ブクログ

    著者は中国の「密室の王」らしい。
    上海郊外の湖畔の邸宅に住むいわくありげな一族、怪しい呪い、密室殺人など、日本の新本格初期の雰囲気が漂う。密室の謎解きがぶっ飛んでいるところもそれっぽいし。あと日本のエンタメや食文化が作中の生活に取り入れられていたのも面白かった。
    探偵役は漫画家の安縝で、この作品が初登場。死のクロッキー画家事件が気になるので早く続編を出してほしい。

    なお中国の名前は覚えづらいが、漢字+中国語読みのふりがなの表記はありがたかった。

    0
    2024年02月11日
  • ガーンズバック変換

    Posted by ブクログ

    香川県ネット・ゲーム依存症対策条例をテーマに書かれた表題作『ガーンズバック変換』が前から気になっていて読んだ。SF作品集とされているが、SFしていたのは『開かれた世界から有限宇宙へ』『ガーンズバック変換』『色のない緑』くらいかなあと思う。

    1番面白かったのは『色のない緑』。「色のない緑は猛烈に眠る」という文章がどうやったら成立するかを物語を通して伝える作品。
    「色のない〜」はチョムスキーの例示した意味は成立しないが文法的にはあっている文。

    0
    2024年02月08日
  • 厳冬之棺

    Posted by ブクログ

    上海郊外の湖畔に建つ陸家の館で殺人事件が起こる。第一の事件現場は大雨で水没した地下室で完全な密室だった! そして第二、第三の事件が起きて…。
    どれもトリックが実現可能かどうかは?ですが、なかなかどうして楽しめました。次作も読んでみようと思います。

    0
    2024年01月08日
  • 厳冬之棺

    Posted by ブクログ

    初めての華文ミステリーでしたが大満足でした!

    密室トリックのオンパレードでしたが、バカミスギリギリな設定でしたが・・・。

    翻訳が優れていたのですんなり読めました!
    是非とも初めて華文ミステリー読み方こそ読んで頂きたいです!

    0
    2023年11月23日
  • ガーンズバック変換

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    短篇集。8篇収録。
    理論とかすっとばしてただひたすらに読んでいく(難しくて理解できないところもあるので…)こういう作品が作られていることが嬉しい。

    物語の歌い手
    上質な童話というか、こういった中世の世界観大好き。

    三つの演奏会用練習曲
    こちらはインド。不思議な読み心地。


    開かれた世界から有限宇宙へ
    ゲーム世界の理論の作り込みってこんなに大変なんですね(汗

    インディアン・ロープ・トリックとヴァジュラナーガ
    読み終えて、ごめんなさい分かりません(笑)と思ったら
    『異常論文』掲載の作品なんですね。私にはハードル高すぎました。

    ガーンズバック変換
    香川県にだけ存在するガーンズバック変換。面白かったです。

    色のない緑
    人間を超えていくAI。こちらも面白かった。

    0
    2023年11月12日
  • 厳冬之棺

    Posted by ブクログ

    湖畔に建つ洋館で密室殺人… 華文ミステリ界「密室の王」が書記す、ど真ん中の本格ミステリ #厳冬之棺

    ■あらすじ
    中国上海の郊外、湖畔のほとりに建つ洋館には、陸家の一家が住んでいた。ある大雨が続いた翌日、半地下のため水没していた小屋の中から、主人が死体となって発見される。警察が捜査するも犯人捜しは難航し、さらなる事件が発生してしまい…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    中国の人気ミステリー作家先生のデビュー作とのことで、いやー力作ですね。作品を見れば、明らかに本格ミステリーをこよなく愛しているのがわかります。人に読んで欲しいというより、むしろ自分が楽しんで書いてるのが伝わってきますね。

    また日本の文化にも影響を受けているのも嬉しくなります。中国とは政治体制も文化も経済も生活環境も、我が国とは違うところも多いですが、本格ミステリーを愛する共通点があることは、とても喜ばしいことですね。

    本作、まず驚かされるのは、ジャンル本格ミステリーとして、しっかり形を成している点。館、密室殺人、見立て殺人、家督争い、探偵役、衝撃的な犯人、信じられない動機、バラエティに富んだキャラクターたち。これらが全て揃っていて、しかもバランスもとれている。読者を惹きつける構成も上手で、もう序盤から読むのをやめさせてくれないんです。

    なによりメインの密室トリックの問題提示と、その解法が素敵でいいですね。これぞ本格ミステリーです。発想の角度としては一般的かもしれませんが、読んでると素直に作られた密室トリックが愛おしてしょうがないんですよ。

    またキャラクターもポップで愛着があってイイ!本格ミステリーでは登場人物が古臭くなりがちですが、しっかり魅力付けができてる。職業や文化や価値観など、今風にしっかりアレンジができて、親しみをもって作品に没頭できました。

    本格ミステリーを素直に楽しめる良作だと思います、続編も期待しちゃう!

    ■ぜっさん推しポイント
    本作の魅力は、絶妙な古臭さと陰湿さの中に、軽快さが光っているところ。動機なんて鬼のようにエグイですし、最序盤の導入とラストの世界観の違いは、なかなか他の作品では見られない。作家先生のミステリーへの情熱を感じてほしい作品です。

    0
    2023年10月25日
  • 厳冬之棺

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    華文ミステリ界で「密室の王」と呼ばれる作家さんの長編デビュー作とか。稚気溢れるというか、何のてらいもない感じで、ミステリファンが好きそうなネタ(人里離れた不気味な館に住む、おぞましき伝承に彩られた、奇矯な富豪一族を襲う、呪いとしか思えない連続不可能殺人! に挑む天才探偵)がてんこ盛りである。メインはやっぱり三つの見立て密室殺人。そのどれもが長編を一本支えられそうな重量級のトリックで、作者さんの力の入れようが分かる。トリックの実現可能性とか、そもそもの密室にしなければならない必然性が弱いとか、いろいろ突っ込みどころはありますが、読んでるとまあいいかって気がしてくる。こういう作に対してしかめっ面で、ケチ付けて回るようなミステリファンにはなりたくねーなって感じでしょうか。

    0
    2023年09月24日
  • 邪悪催眠師

    Posted by ブクログ

    『死亡通知書』の前日譚で、刑事羅飛が登場。
    ゾンビのように人の顔を食いちぎる男、鳩の群れを追ってビルから飛び降りた男…怪事件を裏で操るのは催眠師だった。ネット上で犯人を名乗る人物が数日後に開かれる催眠師大会に参加すると表明したことで、羅飛は大会主催者の協力を仰いで捜査を進めるが…
    催眠の力がチートすぎる気はするが、息をつかせぬ展開で面白かった。犯人の壮大な計画とぶっ飛んだ動機がすばらしい。

    0
    2023年05月31日
  • 知能犯の時空トリック

    Posted by ブクログ

    官僚体質が甚だしい中国警察VS謀殺を企てる犯人! 一風変わった倒叙ミステリ #知能犯の時空トリック

    ■きっと読みたくなるレビュー
    中国の人気ミステリー作家先生の新作とのことで、気になって読んでみました。
    いや~、確かにこれは面白いです。

    本作、独特のプロットで物語が進行します。
    いわゆる倒叙ミステリーなんですが、古畑任三郎やコロンボシリーズのように、名探偵が少しの手がかりから犯人やトリックを見抜いていく…という面白さではないんですよね。

    どういう面白さなのか詳しくは読んでみてほしいのですが、「痛快」であることは間違いないです。

    また本作は中国独特の官僚体質の社会性が切り取られています。
    強い者の無理強いが通ってしまう世界で、弱き者が精神力と知恵、そして自らの人生を犠牲にしながら戦っていく。登場人物たちの熱い魂と、直視できないような悲しい背景…
    我が国日本も不公平な世の中ですが、中国ではもっと露骨ですね。そりゃ超学歴社会にもなってしまいますよ。

    警察と犯人がメインの登場人物なんですが、これが一見クールなんですが実は心根が熱い奴らなんですよ。
    特に警察官の高棟の狡猾ぶりがエグイ。彼が権力や人脈を駆使したり、公安内部の筋を通す腕力は、まさに官僚の生き様でしたね。
    そして人と人との絆も丁寧に描かれており、東野圭吾先生の作品のような重厚感です。あなたも目頭が熱くなる瞬間がきっとあるでしょう。

    そしてミステリーとしての謎解きですが、これもニヤニヤしちゃうようなトリックでGOOD! ただ若干、仕掛けのテイストが一昔前の感じはするかなぁ~。ここは好みだと思います。

    総じてエンタメ感が抜群で、激しい人間ドラマが熱いミステリーです。日本人の感覚にもバッチシ合いますし、気になる方はぜひ読んでみましょう!

    ■ぜっさん推しポイント
    本作、何人かの高校生たちが出てきます。
    未来がある若者の可能性というのは、とても美しく、誰しも応援したくなりますね。

    特に推したいのは、女子高生のフィフィ。
    大好きな人に対するまっすぐで気持ちは、あまりにも純粋で鮮明すぎるよ… 彼女のこれからの未来に、幸せがくるように願いました。

    0
    2023年05月30日
  • ガーンズバック変換

    Posted by ブクログ

    SF短編小説集、というよりは、著者の膨大な知識や興味から編纂された空想小説集といった趣きで、その知識量にまず驚かされました。

    少女と吟遊詩人の巡り合いの旅路を描くファンタジックな「物語の歌い手」に、まさに頷かされてしまいそうになる『異常論文』たる「インディアン・ロープ・トリックとヴァジュラナーガ」から、結論の鮮やかさがミステリの謎解きめいた脳科学SF「サンクチュアリ」、スマホゲームの開発をめぐり小気味いい会話で空想世界の構築を楽しむ「開かれた世界(オープンワールド)から有限宇宙へ」など、かなり高度でディープな仮想世界がぎっしりとどの短編にも形作られていて、凄い密度だなと思いました。

    その中で表題作「ガーンズバック変換」は香川県のゲーム禁止条例を題材に取って少女同士の交流を瑞々しく描いた青春SFで、比較的ライトに楽しめます。この日本の少女らしさの描きかたも巧い。

    そして「色のない緑」。親友の死の謎を追うミステリであり、近未来の人工知能の行く末を描いたSFであり、なにより彼女らの絆のつよさと切なさが胸を打つ、鮮やかな百合小説でした。彼女が研究を志した動機、絶望した理由、そして取った手段。すべてがひとつの存在がために帰結する、無駄のない硬質の美しさ。この短編、ものすごくただただ好みです。

    また素敵な書き手さんと出会えた…という嬉しさを抱けた短編集でした。

    0
    2023年05月20日
  • 時間の王

    Posted by ブクログ

    『穴居するものたち』と『成都往事』がお気に入り。タイムトラベルと恋物語が相性抜群なのは言うまでもないけど、この2本は設定やスケールの壮大さ、SFとしての辻褄も合っていて読んだ後にため息が出るほど良かったです

    0
    2022年12月25日