あらすじ
犯人と探偵役である市公安局所長との二視点で描く倒叙物の中国ミステリ。
中国を舞台にしていながら「官僚連続殺人」という設定にやられた!
何よりもリーダビリティに優れており、犯人VS探偵の決着の付け方も上手い!
――作家 三津田信三さん推薦!
◎累計20億PV、中国で社会現象となった大ヒットサスペンスドラマ「推理之王」三部作(『バーニング・アイス 無証之罪』『バッド・キッズ 隠秘之罪』『ロング・ナイト 沈黙的真相』)の原作者・紫金陳の原点!
◎人気作家が東野圭吾『容疑者Xの献身』に挑んだ意欲作!
・本格×社会派 両立する傑作!
・全てを欺く犯人の罠!! 真の狙いとは?!
・生き生きと描かれた警察官僚の行動や思考から、中国独特の犯罪捜査や解決方法が見えてくる。
中国ミステリ作家・紫金陳『官僚謀殺』シリーズ 邦訳第一弾『知能犯之罠』
「十五人の局長を殺し、足りなければ課長も殺す」――殺された公安局副局長の死体の傍らには、そんな“予告状”が残されていた。警察幹部が殺害され、拳銃が奪われる大事件。しかし、当初は誇大妄想的な衝動犯の犯行とみなされ、解決は容易と思われていた。だが、捜査が進むにつれ犯人は、警察の人海戦術の弱点や科学捜査の限界、そして防犯カメラネットワーク「天網」の盲点すら熟知して周到な計画を練り上げていたことが明らかになる。そして予告通り起こる、第二、第三の殺人。
暗礁に乗り上げた捜査を立て直すべく、指揮官の高棟は学生時代の旧友・徐策に協力を乞う。徐は数理論理学の天才と称され、アメリカに渡って心理学に転身、論理的思考のエキスパートとして成功したバンカーだ。
「友達のためだと思って、事件を分析してみてくれないか?」
だが、高棟は知らなかった。徐策こそが、一連の事件の真犯人であることを。
そして高棟は、現代中国の社会システムそのものを嘲笑うかのような、恐るべき徐策の「殺人トリック」に直面することとなる……。
実際の事件に着想を得た、官僚連続殺人事件をリアルかつスリリングに描く、「官僚謀殺」シリーズ第一弾!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
この人の本は本当に面白い。
中国の事が分からなくても全然大丈夫。
めっちゃ読みやすいし、わかりやすいです。
事件が起きて高刑事が調べ始めると、事件現場の野次馬の中に旧友がいて久しぶりーって話したその人が犯人だったと読者は分かっている状態で話が進む。
犯人が次はどうやって殺そうかなとか高刑事と仲良く話したりするスリリングな状態がずっと続く。
そして続けて2人目、3人目と殺されていってこのあとやっぱり犯人は捕まるのかな?と思ってたらこの終わり方ですよ、最高です。
奇しくも高が言った台詞をそのまま引用して下さいと丁寧にオチまでつけられるんだから、納得するしかない。
中国といえばの特権を使った嫌がらせもふんだんに盛り込まれてるのも楽しい。
殺される対象が政府高官なのがまた良いです。
こいつらに一方的にやられては、仕返しも出来ず、一般人同士で弱いものいじめするだけの社会で、やり返してくれる頭のいい犯人ものは読んでて気持ちいいです。
今の日本を舞台にして誰かやってくれないかな。
Posted by ブクログ
たまたま録画して見たドラマの「ロングナイト」が面白かったので、その小説が翻訳されると聞き、そしたら、この本があると知って、読んでみた。
面白かった。
倒叙モノだとは知らずに読んだら、なんかこれ犯人か?と思ったら犯人だった。背表紙のあらすじをそれからチェックした。
中国のお国柄を感じられる。やばい。モラルが無い。ごますりはわかるが横領とか談合とかやばい。日本だってあるだろうけど、もうちょっとそこらへんの意識が薄い気がする。うへえ、中国好きじゃないなあ。だからこそ、高棟が友人の徐策のために偉い人に掛け合ったりするのが光るのかも。出世に関係しないけど、優秀で気の合う友人のためなら頑張る。なるほどな。
最後らへんは徐策逃げ切ってくれと思ったが、意外とハラハラすることなく逃げ切ったし、説明もちゃんとされて終わって面白かった。
みんな死んだ。良かった。めでたし、めでたし。
作者は中国の東野圭吾と言われてるらしいと知ってたが、この二人の関係まさに容疑者Xの献身じゃん!と思ったら、中国で流行ったらしく、これもそれを意識してるらしく、なるほどな。母親のための復讐。良かった。
監視カメラ怖い。怖すぎ。それで市民階級付けもしてるもんな。怖い。
出てくるキャラみんな嫌い、主人公の高棟だって優秀で、みんなこんなキャラ良いでしょ?と言わんばかりの描写がされてるけど、好きになれない。無理だ。徐策のほうが良い。
Posted by ブクログ
作者の紫金陳さんは中国の東野圭吾と呼ばれているようで、期待して読みましたが、期待通りでした。中国社会の一端も見れたのも新たな発見となり良かったところ。
翻訳が良かったのもあると思いますが、紫金陳さんの他の作品も読んでみたいなと思わせる作品でした。
Posted by ブクログ
中国の警察ミステリ。官僚たちが次々と狙われる連続殺人。防犯カメラの死角を掻い潜り、目撃者も決定的な証拠も残さない恐るべき知的な犯人。事件を追う高棟と、彼の友人でありながら実は事件の犯人である徐策との攻防を描くサスペンス感溢れる倒叙ミステリでもあります。
まあ中国に限らずなんだろうけれど……官僚の勢力争いがえぐい(苦笑)。事件の解決を目指すのも、メンツのためだけなんですねそうなんですね。だからこそこの結末での各所の動きにものすごく納得ができたし、理不尽だともあまり感じないんだよなあ。終章で、それまでに緻密に打たれた布石が一気に繋がってくるのが爽快だし、彼の最終的な目的がこれだったのか! ってのが。徐策、あまりに見事な手口です。
「逮捕さえしてしまえば、喋りたいことを何でも喋らせられます」って何。怖すぎるんですけど。だけどそういうのって日本でもないとは限らないよね……?