河野哲也のレビュー一覧

  • 道徳を問いなおす ――リベラリズムと教育のゆくえ

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    現在、紙の書籍が絶版のところをみると、あまり読まれていないようだが、これは名著だと思う。道徳教育は従来のような徳育ではなく、民主主義社会を維持し発展させる主権者の教育であるべきだというのが筆者の主張であり、それはとても説得力がある。民主主義社会の担い手を育てるための教育論はこれまで「シティズンシップ教育」の名の下に展開されてきたが、筆者はその意義を認めつつも、従来のシティズンシップ教育論の問題点をも鋭く指摘しており、学ぶところが多かった。また、ほんらい筆者の専門領域とはいえない政治哲学の議論の整理がじつに見事で、「善」と「正義」の区別など、現代リベラリズムの基本スタンスの理解に役立った。

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    2025年03月04日
  • 暴走する脳科学~哲学・倫理学からの批判的検討~

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    「脳トレは本当に効くのか?」という帯の文であまり期待せず買ったけど、脳科学の発展してきた歴史や、哲学・倫理学も絡めた問題提起などがあり非常に良い本。
    「ニートは個人の問題じゃなくて社会問題。」
    「テクノロジーを使ってまで障害を克服しないといけないのか?それは何のため?」
    沢山の引用元の本の紹介もあってそれらの本も読みたくなった。

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    2025年02月11日
  • まんがで哲学 哲学のメガネで世界を見ると

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    掘り下げて、しっかりと考える。今までちゃんと考える事を意識してなかったと感じる。
    自分の意見、考えを様々な視点から。また人の意見を聞いてから。再び考える。
    とても大事な事だと思う。考えさせられた1冊。
    是非息子にも読ませたい。

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    2023年12月28日
  • 暴走する脳科学~哲学・倫理学からの批判的検討~

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    人間らしさとは何か。近年流行し始めた生成AIを見ていると、自然言語であたかも誰か人が質問に回答してくれる様に勘違いするレベルまで来ているのに驚き以上に恐怖も感じる。いつか人間は要らなくなってしまうのではないか、仕事は全て無くなるのではないか、人という存在の価値や意味がよくわからなくなってくる。とは言え、スマホ片手にchatGPTと話しているおり、さらに前もってAIと話している認識があるから、どんなに人に近くてもやはり無機質的な機械と遊んでいる感覚は残る。もしそうとは知らずに生成AIと会話していたら、果たして私程度の思い込みの激しい人間なら、まず気づかない気がする。
    脳科学は近年メディアにも取り

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    2023年10月07日
  • 問う方法・考える方法 ――「探究型の学習」のために

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    探索学習の教室を想定した本であると思うが、「探索的に学ぶとはどういうことか」、探索的かつ論理的思考のプロセスをとことん丁寧にかみ砕いて書かれており、実務家としても学ぶことが多かった。数多く出ている研究や論文の入門書より優れて分かりやすく、たとえば社会人でこれから大学院入学を検討している人にも「研究とは」の初歩を知るに十分な内容であると思う。

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    2023年04月08日
  • じぶんで考えじぶんで話せるこどもを育てる哲学レッスン 増補版

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    ネタバレ

    哲学対話がいかに大切で必要不可欠か、明らかに腹落ちした。
    いまの学校が学校として存続していくためには哲学対話的な学習を多く取り入れていかなくてはならない。一方的なチョークアンドトークはもやはオワコン。本当にオワコン。そして教師も昔からの教師では誰もついてこない。親の次に1番子供に近いということは大きな財産でそこにこそ教育の可能性が含まれている。
    国語も算数も社会も理科も体育も音楽も図工も全てにおいてより哲学対話的な学習が求められる。
    自分にそれができるか?やらなければならない。
    今できる範囲でやれることをやろう。
    そしてやった後に効果をしっかりと評価して見極めて少しずつでもひろめていく。
    批判

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    2022年10月22日
  • 問う方法・考える方法 ――「探究型の学習」のために

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    高校の総合的な探究の時間向けの教科書となる本であるが、大学生でも通用し、かえって大学1年生向けの教科書として優れているのかもしれない。
     議論の仕方だけでなく、論文の書き方まで懇切丁寧に書かれているので、卒論執筆にも役立つのかもしれない。

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    2022年08月17日
  • 善悪は実在するか アフォーダンスの倫理学

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    ギブソンのアフォーダンス理論と道徳、自然主義など。
    価値、意味、実存などを「自然」に捉えると道徳はどこに存在するのか?というあたりが読み応えがあっておもしろい。

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    2021年08月01日
  • 問う方法・考える方法 ――「探究型の学習」のために

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    VUCAの時代を生きていく私たちは、生涯、知的に探究を続けていくことが大事になってきている。だからこそ、何をどのような価値や方向性に基づいて学び、それを何に活かそうとしていくかという「学びの履歴」が「学歴」として問われていく時代になるのだ。そんな中、学校教育で大事にすべきことは何なのか、どうしたら著者の考えを実践におとしこめるのかをぐるぐる考えながら読んだ。

    少なくとも、「学校」という狭い世界に閉じないこと、そして、「対話」によって、集団(共同体)を作ることを通して、さまざまな他者とつながっていけるようにすること、その中で、どうよい関係を築いていけるか、その価値や意義を学べる場所としてあるこ

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    2021年05月03日
  • 道徳を問いなおす ――リベラリズムと教育のゆくえ

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    中学・高校校時代の道徳や生活指導について、「心に響かなかったなぁ」「息苦しかった!」などの印象を持つ人であれば、かなり共感・納得できる内容だと思う。道徳教育という言葉にちょっと不信感を持ったまま大人になってしまった人(※自分もまたその一人です)に、まず読んでもらいたい。

    中学2年の我が子にも、「今の学校での道徳教育では何が過剰で、何が過小かを書いているページ(15~31ページ辺り)と、海外の教科書が紹介されているページ(p207~211、p226~228、p234~235など)があるから、そこだけ読んでごらん」と勧めてみた。
    中学生くらいだと、リベラリズムとかシチズンシップといった用語にぶつ

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    2021年01月07日
  • 「こども哲学」で対話力と思考力を育てる

    購入済み

    これからの時代に必要!

    おそらく対話というのは、大人もあまりしないのではないだろうか。これからの時代、対話が日常化され、知識で結ばれる人間関係が広がる社会となれば、日本はもう一度、大きな発展を遂げる国へと成長するでしょう。その具体的な方法が書かれた素晴らしい本でした。

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    2020年11月01日
  • 「こども哲学」で対話力と思考力を育てる

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    哲学的対話によって考えるとはどういうことかを学ぶ意義、方法、実践が手にとるように理解できた。
    批判的思考は判断力を 創造的思考は問を深め新たな段階に進め ケア的思考は気遣いをもって主題を考える
    対話を通して真に思考する「訓練」をすることになる。
    これらを体験した子供は幸せだ。大人にこそこの思考の深め方を練習する必要があると思う。

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    2020年09月27日
  • 暴走する脳科学~哲学・倫理学からの批判的検討~

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    脳科学の産業応用の本を読むと同時に、脳科学のの倫理的考察を行うこの著書を読めたのは、実にタイミングが良かった。最新の脳科学の動向を、哲学の視点からじっくり整理している点も素晴らしいが、将来現実になる脳科学応用に向けた倫理のあり方、引いては、著者が考える人間観まで感じられる点に感銘した。

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    2013年06月26日
  • アフリカ哲学全史

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    学者でもない、今年齢70になろうという引退古ぼけ老人が、今更哲学でもあるまいと思っていたが、新聞に載った本書の書評で惹きつけられた。一気に読み終えた。名著であると思う。
    奴隷制に関する本を何冊か(本書で一カ所言及されており、私が尊敬してやまないエリック・ウィリアムズの『資本主義と奴隷制』『コロンブスからカストロまで』のほか、オルランド・パターソン『世界の奴隷制の歴史』、布留川正博『奴隷船の世界史 』、デイヴィッド・エルティス『環大西洋奴隷貿易歴史地図』、植村邦彦『隠された奴隷制』、デヴィッド・グレーバー『負債論』など)を読んできて、もはや植民地主義や人種差別、あるいは奴隷制についての言及や考察

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    2025年01月12日
  • アフリカ哲学全史

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    ズブの素人には拷問のように難しくてチーン

    読みたいところだけ読みました アンチ西洋中心主義な感じで面白かったよ

    (この本を読んで感想がアンチ西洋主義なのは筆者も泣いていると思うが初めて踏み入れたジャンルで細かい内訳を理解するほどのレベルには到底至らないのよ…解像度はこれから上げていきます)

    感想らしい感想が出てくるほど読めてはいないんだけど、
    「アフリカの話になるとだいたい自然科学か言語学、民俗学の話ばっかり!そーゆう土着文化の研究みたいな考えからは一旦離れて!」て終始不満そうなのが大変良かった

    普通に読み終わらなかったのでもう一回借りる予定

    それはそうとこの本で一生懸命読むよりWi

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    2024年11月11日
  • まんがで哲学 哲学のメガネで世界を見ると

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    子供向けに漫画で分かりやすく書いているけど、考えるということの本質をついていると思う。考えるということはその行為が大事で、考えても分からない状態は、より考えていけるのでいい状態。その状態にいながらも苦しまず考える力というものが現代は求められていると思う

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    2024年03月09日
  • じぶんで考えじぶんで話せるこどもを育てる哲学レッスン 増補版

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    現在の社会で必要な能力とは、思考力とコミュニケーション力、特に対話する力や議論する力。

    哲学とは真理の探究。
    考えるとは、一見すると独立して無関係に思われるふたつ以上のものに関係性をつけること、あるいは、関係性を見つけることに他ならない。
    哲学とは、色々な経験を何とか結び合わせようとする思考そのもの。
    哲学対話では、人と同じ正解でなく、人とは違った考え方が求められる。

    現在コミュニケーション能力が求められている理由は、人々を権威によって統制することができず、人々をまとめるためにも、理由に基づいた説明と説得が必要になったためと考えられる。
    つまり、コミュニケーション能力とは、権威関係が通用し

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    2023年01月05日
  • この世界のしくみ 子どもの哲学2

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    様々な質問に3人ずつがそれぞれ回答する。
    答えが出ているわけじゃなくて、なるほどと思ったら別の人に反対されていたりしてモヤモヤが残るのだけど、それこそが狙いなんでしょう。答えのない問いもあること。それに対していろんな意見があること。それを知って、自分で考えてみること。大事な力だと思う。

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    2022年10月30日
  • じぶんで考えじぶんで話せるこどもを育てる哲学レッスン 増補版

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    こども哲学の活動に参加したい!実践したい!と読むたびに思います。大人も子どもも哲学対話できる「安心」のある場所がある社会に。

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    2022年02月04日
  • じぶんで考えじぶんで話せるこどもを育てる哲学レッスン 増補版

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    ネタバレ

    子どもに自分の意見を話せる様になって欲しいとおもっていたが、先に必要なのは人の意見に耳を傾けること。意見が違う事は悪いこと、批判すべきことではない。まずはしっかり人の意見を聞く。その次に自分の頭で考えて、言葉を使って伝えられるように。
    家庭ではどんな意見でも安心して話せる環境、雰囲気作りが大切。そして、問いを立てる、質問力も大切。「本当にそうなの?」「なぜなのか?」と常識を疑う。
    Eテレの『Q~こどものための哲学』を子供と一緒に見ようと思う。

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    2021年10月15日