巖本英利のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
テロ映画、ハイジャック映画へのオマージュとロマンを、ロボットものライトノベルに落とし込んだ意欲作です。ザ・ロックのスリル、ランボーの帰還兵に対する差別問題など、娯楽要素に加えて社会問題にも切り込んでいます。帰還兵である主人公の少年・凛児が整備士として出向している機兵育成高校がテロリストに占拠され、運良く拘束を免れた凛児と生徒の少女・連理の孤軍奮闘が始まります。味方がいない状況下での緊迫した情報戦、テロリストをじわじわと制圧していく展開は王道ながら爽快感があります。人を守るために強くなることを願った主人公を襲う凄絶な出来事、そして恩師でもあるテロリストグループのメンバーとの対決は熱くなるツボを抑えています。
○各章のタイトル、キャラクターの何気ない捨て台詞、連理のAIの名前など、近年までのハイジャック映画のパロディが随所にあるのは映画好きならニヤリとしてしまう嬉しい演出。キャラクターどうしの関係性が非常に上手く組み上げられていました。 情報軍特殊部隊の帰還兵である主人公、情報軍サイバーチームのAI、恩師であり上官のテロリスト、そしてその凄惨な過去にただならぬ意味を持つヒロイン…と非常に燃えるもので、個性が豊かで、ライトノベルとしてオリジナルの深みを出しています。
●主人公と恩師との対決に比重が寄り気味で、彼を引き入れた主要テロリストグループが何をしたかったのか、2億円を要求したその後は、といった点が見えづらく、お飾り感があったのはすこし残念でした。10歳前後の少年が新宿テロに出動していることや、高校生が兵器に搭乗することについて、リアリティを出す工夫がもう一声欲しいところでした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレおもしろかったーーー
本棚に入れるの忘れてたw
えーーと、世間に対して少なからず不満をもつ用務員の青年がほかの高校生やら先生と大規模(!)召喚されるけど
時空の狭間的なところでほかの生徒に力を奪われてそれを気の毒ね~という視線でみられてこいつらといっしょにはいたくないですと強く願ってひとり雪山に召喚されて
魔獣の豹的なかわいいねこちゃんといっしょに暮らす話
ねこがひたすらかわいい
ヒロインらしいヒロインがいないのでこの子がヒロインかな
魔法がとっても器用になくらいでそんなチートとかではないかな
淡々としてあんまり人間好きじゃないようなところがきらいじゃない -
Posted by ブクログ
異世界に召喚されたしがないおっさんが、チート能力なしにガチのサバイバルを強いられる話。
昨今のヌルい異世界チート無双モノとは対極に位置するような物語構成が殊のほか気に入っております。
何度も死にかけながら修行して、ようやっと異世界における人並み程度の能力になったとか。やたら底意地の悪い人間、もしくは主人公の蔵人さんに無理解な登場人物が多いとか。
異世界の厳しい現実(リアル)がこれでもかと襲い掛かる1巻です。
相棒であり保護者である雪白の姉御(魔獣)がいなかったら早々に「詰んで」いたでしょうね。ある意味、神様がくれた餞別とは雪白のことだったのかも。
ずっと鬱展開が続くのかと思いきや、最後の最後で一矢報いる展開があったのでホッとしました。 -
Posted by ブクログ
『螺旋のエンペロイダー』
上遠野浩平
ブギーポップシリーズではお馴染みの「MPLS」に中心を書かれている。いわゆるスピンオフの学園モノ。
主人公はなんとなく「ペルソナ4」の主人公を彷彿とさせる容姿で、なんとなくやる気がなく、しかしその能力はすごいというなんともありがちな設定。
ブギーポップシリーズは長い。新しい読者にはハードルが高く見えるのではないだろうか。実際書店で初期のブギーポップの作品はほとんど見かけないので、新しい読者としてはこの『螺旋のエンペロイダー』は上遠野作品の入口としておすすめできるものではないだろうか。「ビートのディシプリン」「炎の魔女」などがあったように。
「誰にも共感されない苦悩を持つ者は孤独だが、その苦悩を武器に変換できなければ、鈍感な世界に対して京大な威力を行使することも可能だ。しかしそれで孤独がすくわれることもない」
霧間誠一〈世界の帝国〉(p22)
★「霧間誠一」は作者の代弁者と思えて仕方ないが、それとは違う働きもあるように思える。
「いや……思い出せるかも、って。たとえ操られていたとはいえ、命懸けの死闘を演じていたそのギリギリの感覚を、でも駄目だわ。なんかもう、すごく遠い……」(p252)
★なんでもいいが、ある一線から遠のいたことのある人には心に響くのではないだろうか。その諦めというか、受け入れる姿勢を含めて。
この作品は「Spin1」となっている。登場人物もまだ多く生存しているので、今後また楽しみにしたい。