米津篤八のレビュー一覧
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『不便なコンビニ』の続編です。韓国の下町にあるコンビニ、ALWAYS青坡洞店のその後が書かれていました。
新しい深夜バイトのファン・クンベがいい味をだしていました。おしゃべりで、人に気を遣えるおじさんです。深夜バイトになりたかった理由は思ってもみなかったものでした。前作の独孤さんと同様に、驚かされました。
就活三年目の女性、コロナ禍で仕事がうまくいかない精肉食堂の経営者、不公平を感じている高校一年生の男子、そしてこのコンビニのオーナー。それぞれが悩みを抱えていましたが、クンベさんのおかげで新たな道筋を見つけていきました。
自分の本当の思いを聞いてくれる人がいるだけで、人は何かが変わるのか -
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どこか足りない、不便なコンビニだけど…
やっぱり、何だか温かみを感じる場所。
不便なコンビニ2作目。
韓国の青坡洞(チョンパドン)にあるコンビニ
ALWAYSは、コロナ渦真っ只中。
そんな店に、前作は記憶喪失のホームレスの
独狐がメインでしたが
今作は、40代のポジティブマインドで
口数多い深夜アルバイトのファンクンベを
中心に話が進んでいきます。
コロナ禍の影響で店の営業がうまくいかない人や
家にも学校にも居場所がない少年、
就活がうまくいかない女性など
悩み、困っている人にクンベの明るい言葉が
問題解決のちょっとしたヒントをくれます。
個人的には「ツー・ワン・プラス」の
家にも学校 -
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この本には、いろんな人がでてくる。それでも、人種も性別も生い立ちも病歴も、そんなの関係なくてみんな、ただの人間だった。スティグマに覆い隠されて見えづらいけど、みんな、私と同じただの人間なんだ。すべて、誰にでも起こりうること。
なんか、この本は本当に要約できなくて、すみません。私が言いたいのはこういうことです、相手の立場になって世界をみてみる姿勢をずっと忘れたくないということです。こういうことを考える人間が悪いとか、良いとか、そんなのないと思うんです。そして、差別されがちな人だって、なんかやらかしちゃう人だって、何かがそうさせてるだけで本音は別のところにある。
異常だと思われてても、その問題 -
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お客さんがあまり来なくて品揃えもいまいちなコンビニで、オーナーと深夜バイトさん、そしてお客さんとの交流に心温まる物語『不便なコンビニ』の続編。
今回は新しい深夜バイトさんとお客さん、オーナーの放蕩息子との交流にまたじーんとさせられました。
特に元オーナーとオーナーを引き継いだ放蕩息子の、母と息子の再起・心機一転のストーリーが心にぐぐっときました。
子育てでの後悔、ああしてあげればよかったという思い、息子へのあきらめ、自分の老い‥自分と重なって苦しくなってしまうほどだったけど、関係は変われるということに救われる思いでした。
「そのとき、姉の忠告が思い浮かんだ。
いつまでも自分が保護者だとは思 -
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2021年に韓国で発売された「不便なコンビニ」は、当時コロナ蔓延の最中で人々が生きづらさを感じていたこともあって、本国でベストセラーになった作品です。
その後「Kヒーリング小説」なるジャンルが生まれ、この作品も世界18ヵ国で翻訳・出版、日本でも2024年に「本屋大賞翻訳小説部門」第3位に入りました。
本作は前作に引き続き、ソウルの下町に店を構える小さなコンビニ「ALWAYS」を舞台に8章からなる連作短編集です。
今回は各章ごとに、「ALWAYS」にやって来る、個性的なお客が中心人物となって話が展開されます。
そして今回の特徴的なのは深夜バイト店員のクァクの後を引き継いだ中年のファン・ク -
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ネタバレ一生大切にしたい小説に出会ってしまった気がする。
最初から心を掴まれるストーリー、人々の生きづらさと主人公であるトッコさんの人柄や文章のユーモアのバランスがよくドラマを観ているように映像が脳に浮かんできた。
韓国の競争社会とそこに生きる人の辛さが心に刺さる。
勝ち組か負け組かで判断され、勝ち組でなければ生きている意味もないと言われているような空気の中で“社会の一番の底辺であり負け組”扱いのホームレス(しかもアル中で記憶喪失)の男性がコンビニで真面目に働き人と関わることを通して周りの人や彼自身にも希望を灯す、明日への活力になる作品だった。
最終章、記憶を失っていたトッコの正体が明らかになり彼視点