米津篤八のレビュー一覧
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家にいた僕はドアのベルが鳴り続けるので、二十三回目のベルに耐えきれずに起きた。ドアスコープを覗くと小柄な老婆が立っていた。誰かと尋ねても返事がない、もう一度聞くと、自分はチョン・クッスンと名乗り、「ここはチェ・ダルスの家か?」と聞く。ドアを開けた僕の脇を通り抜けて応接間のソファーに座った老婆に「どちら様ですか?」と再び聞くと、「お前のおばあさんだよ」と答えた?光復節を前に腸チフスで亡くなったというおばあさんが復活した!死んだと言われていた祖母が突然帰国し、それも60억원もの大金を家族にあげようというのだ。家族みんなが、僕を含めて、その大金に釣られないわけがなかった。腸チフスで亡くなったと聞かされていた祖母は、祖父を裏切り日本人と一緒に日本に逃げ出したという…。祖母の態度に右往左往する家族。そしてだんだんと明かされる祖母の過去。韓国の郷土主義、男尊女卑、保守と革新の対立、IMF危機、色々なことがごちゃ混ぜに入っているお話だ。韓国の風土の一部が見えるかもしれない。面白かった。
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Posted by ブクログ
『言葉の品格』がとても良かったので、この本も読みました。
敢えて比べるなら、『言葉の品格』のほうがより好きだけど、この『言葉の温度』も良かった。
著者自身が日常の中で遭遇したり、見聞きしたりすることを題材に思うこと、考えることを書いている。それが深いのだと思う。表面的なことに捕らわれずに、思いを馳せていくから、深みのある所から紡がれた言葉は読む人を引き込んでいく。
「序」の部分;
言葉にはそれぞれの温度があります。温もりと冷たさの程度が、それぞれ違うのです。
温もりのある言葉は、悲しみを包み込んでくれます。生活に疲れたとき、ある人は友人とおしゃべりして悩みを打ち明け、ある人は本を読んで作家が投げかける文章から慰めを得ます。
(中略)
では、本書を手に取ったあなたの言葉の温度は何度ぐらいでしょうか。
温もりのある言葉を心がけていきたくなる一冊。 -
Posted by ブクログ
前作で主人公の正体がわかってしまったのに、
どうやって続編を作ったの?と興味を持って読み始めた。
前作主人公独孤氏は、本作の主人公ではなくなっていた。
でも、舞台は同じ『不便なコンビニ』。
そして、本作では前作からの細やかな伏線回収なされ、
さらに『不便なコンビニ』を別のストーリーとして
書き換えてしまっていた。なるほど、すごい。
興味を持っている人は、できれば、2冊で1作と思って読んでみてほしい。
前作と同じくKヒーリングの土台のまま、
登場人物たちの優しさや思いやりに触れてホッとすることは変わらない。
『不便なコンビニ』を読もうと思ったきっかけは、
本作の著者のトークイベントに参加するためだった。
どちらかと言えば、同じイベントで登壇する『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』の
ファン・ボルムさん目当てだったのだが、どうせならと思って読んでみた。
そして、読んだ本の印象と実際の著者の雰囲気や話し方を目の当たりにすると、
この『不便なコンビニ』は確かに彼から生まれたものなんだと思った。
トークイベント前、
私はこの本を読んで、読みやすい分かりやすい構成と、
必要な要素を組み合わせて無駄なく使い切る文体が、
韓国の多くの人に受け入れられるきっかけになったのだろうと感じた。
ただ、私にとってはもう少し人の感情を深掘りしていくようなものがいいとも思っていた。
トークイベンを聞きながら思ったことは、
元編集者というだけあって、やはり人気になるものをよく熟知していらっしゃったんだ、ということだった。
用意周到というよりは、自分の編集者として活動していた経験をしっかりとこの本に活かしたんだろうと。
悪くない、でも私にはこっちよりそっちの方が好きなんだ、
と改めて思ってしまった。 -
Posted by ブクログ
ジャンルの一つとして、Kヒーリングという言葉ができたのは、
この作品もきっかけの一つになっているらしい。
韓国では大ベストセラーなのだとか。
どうりで、ゆっくりと胸に暖かさが積み重なっていくような感覚があったのか。と読後に思った。
ただ、私は個人的には読み比べた『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』の方が好みではあった。
『不便なコンビニ』は、記憶を失った主人公と、
その周りの人たちの触れ合いが描かれる。
主人公はホームレスだったが、ある日女性のポーチを拾ったことがきっかけで彼女の営むコンビニで働くことになった。
なんだこいつ、と主人公のことをはじめは思うものの、
慣れてくると各章に分かれた1つ1つの小さなエピソードが
小気味よく感じられてくる。
そして物語自体はあっさりと進んでいき、その中で主人公も
周囲の人たちも、
誰もが人に対して思いやりを持って接することを考え始める。
ヒーリングというだけあって、読んでいて気持ちが緩んでいくのだが、後半の2章は重い。
大切な人を大切に思い続けることは、とても大変なことで
簡単じゃないんだと、改めて思った。