齋藤先生の「文系のため理系読書」で紹介されていた本
恐らく大半の人がそうであるように、子供の頃、宇宙の図鑑を飽きるほど何度も何度も見て楽しんだ
幼いながらも土星や木星の美しさや神秘さに夢中になったものだ
いつの間にか、日常に忙殺され、月を眺め「あら、綺麗な満月」
こんな程度しか宇宙を感じなくなって
...続きを読むきていた
…しかし再び時が来たようである(笑)
ウォーミングアップ的な内容から始まり、子供の頃以来の宇宙勉強のため、助かる…
なぜ夏は暑く、冬は寒いのか?
天動説から地動説へ
ニュートンの「惑星が太陽のまわりを回るのも、リンゴが落ちるのも全く同じという物理法則」が、万有引力の法則である
等々…こんな感じで始まる
【個人的備忘録】
■なぜ太陽は燃え続けていられるか
・太陽は主に水素とヘリウムてできたガスが重力によって集められ形づくっている
・太陽の中心部は約1500万度の高温のため、原子の姿を保てないほど激しく動き回っている→(簡単に言うと)軽い原子である水素同士がこの激しい動きにより、バラバラになり、融合され、次に重い原子のヘリウムになる
これが核融合
(夏の暑い日に温度の高さを皮膚で感じるのは、分子が温度が高いほど活発に動き回り、私たちに皮膚にバチバチ激しく当たるため)
・核融合のエネルギーにより、太陽自身が重力で潰れるのを防いでいる
・エネルギーがなくなると動きが止まり自らの重さで潰れる(強力な重力に引っ張られて星全体が中心部に向かって落ちる)
というわけで太陽にも寿命がある(50億年くらい先ではあるが…)
この結論に至るまでにも、ケルヴィン(絶対温度の単位「K」はケルヴィンにちなんでのこと)からはじまり、アインシュタインの特殊相対性理論により、算出が正しい方向に是正された
またこの世に存在する元素のほとんどが、星の内部で核融合が起こって、私たちの体を作っている炭素やカルシウム、また酸素や窒素が生まれた
私たちはまさにに星のかけらなのである
■暗黒物質(ダークマター)
・銀河系の質量が目に見える物質の質量だけでは足りない
天体を作っている物質も地球の物質と同じ(そして、その物質はすべて原子でできているはずと信じられていたが…)
・暗黒物質は原子とは異なる物質であり、光を出さず、他の物質とも反応しない、衝突しても幽霊のように通り抜けてしまう物質
・原子はこの世の物質の20%にも満たない(この本執筆時のため、現在の観測とは異なります もっと少ないはず)
・天体の材料であるバラバラの原子が暗黒物質の重力により宇宙空間でまとまる役目を果たしているがまだ正体不明
・暗黒エネルギー(ダークエネルギー)とは、宇宙は膨張しており、そして膨張しているにも関わらず、エネルギーが増えている!
この謎のエネルギーのこと
他にも興味深い内容がいくつもあった
そして最後にこんな神秘的なことも…
〜宇宙は人間が存在できるようにつくられている
どの法則も星や人間が生まれるのにちょうどよくできている
人間が生まれなかった宇宙は誰にも観測されないので、存在そのものが認識されない
人間を生んだこの宇宙だけが、存在を認識されているのだとすれば、そこで働く法則が人間のためにできているのは当然
宇宙の起源が私たちの起源であり、宇宙の運命が私たちの運命
宇宙に対する理解を深めるのは、人間が自分自身を理解する道である〜
齋藤先生のオススメだけに、とても読みやすく理解しやすい本であった
物理や化学が自分じゃないみたいに頭に入ってくる!
面白くてびっくりしてしまった!
今まで物理や化学の本を何度読んでも眠くなってしまっていた自分が、宇宙を介して物理や化学を少しずつ理解し最後まで楽しく読めた(そのことも感動)
完全に入門レベルのやさしい内容なのだが、わかりやすく掘り下げることができる
子供の頃から宇宙に魅せられ夢中になるのは、その神秘さだけでなく我々が持つDNAの力によるものなんだと実感
宇宙の遥か遠い存在を身近に感じ、さらなる宇宙の謎と神秘を感じ、宇宙と人間の関係性の奥深さを感じ、こんなことを考える自分に喜びを感じられた
「科学の理論にとって、自然界の原理や法則は、よりシンプルな方が説得力がある」
こういうの良い!
著者の有名な『宇宙は何でできているのか 』もぜひ読みたい!
大変な良書に出会え、齋藤先生に心から感謝する次第である