あらすじ
最新の理論と実験から迫る全く新しい宇宙観。宇宙の90パーセント以上は得体の知れない暗黒物質と暗黒エネルギーからできている。その正体を探っていくと多くの次元と宇宙が見え隠れしているというのだ。急展開を見せる宇宙の最前線をふまえて「宇宙とは何か」を問い直す最新宇宙論入門。(ブルーバックス・2011年7月刊)
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Posted by ブクログ
わかりやすい、名著といろいろなところで見るのだけど、確かにコンパクトなのに宇宙論を丁寧に読者にわかるように書かれていた。
暗黒物質、暗黒エネルギー、多次元宇宙、超ひも理論など、本当に上手く説明されていて、おもいをめぐらし、考え抜いてみたいと思わされる。
著者はIPMUの初代機構長をされていた。
IPMUを先日訪れて施設内を見学させていただいたのだけど、自由な議論を重んじる空間が用意されていて、壮大な宇宙のことに思考で挑むには場も大切と思わされた。
ヘタなSF本より、刺激的でワクワクさせられる素敵な本だった。
Posted by ブクログ
内容としては、各章で暗黒物質や暗黒エネルギー、多次元宇宙などが扱われ、最終第8章「宇宙は本当にひとつなのか」につながっている。
文章が非常に読みやすく、また内容も非常に初歩的な部分からやさしく解説されている。
暇つぶしに本を読みたい人、宇宙に少しでも興味がある人、課題で科学的な分野の本を読まなければならなくなった人、など全員におすすめできる本だった。
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902
村山 斉
(むらやま・ひとし)
1964年東京生まれ。東京大学国際高等研究所数物連携宇宙研究機構(IPMU)の 初代機構長、特任教授。米国カリフォルニア大学バークレー校物理教室教授。 1991年、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。理学博士。東北大学大学院理学研究科物理学科助手、ローレンス・バークレー国立研究所研究員、カリフォルニア大学バークレー校物理学科助教授、准教授を経て、同大学物理学科MacAdams冠教授。米国プリンストン高等研究所メンバー(03~04年)。2007年10月より現職。専門は素粒子物理学。2002年、西宮湯川記念賞受賞。素粒子理論におけるリーダーであり、基礎科学分野における若き指導者の一人でもある。
原子一つの大きさは一億分の一センチメートル程度で人間の感覚ではとてもとらえられないような小さな粒子である。例えば五〇グラムの鉄の中に含まれている鉄という名の原子の数は約一の後にゼロが二三個付く数()である。このように我々が日常生活で接する物質は膨大な数の原子からできているのである。
しかし鉄に限らずどんな種類の原子を取ってみても、一つ一つの原子は構造を持っており、原子の中心には原子核というさらに小さなしかも重い核があり、その核の周りに電子と呼ばれる軽い粒子が回っている。ちょうど我が太陽系を思い起こしてみるとよい。太陽系では太陽が中心であり(太陽系の核)、太陽の周りに水星、金星、地球、火星などの惑星が回っている。太陽系ではその核を成す太陽が最も重い。すなわち太陽が原子核に匹敵し、惑星が電子に匹敵する。
当然原子核は原子よりも小さく、原子核の大きさは一〇兆分の一センチメートル程度である。原子と原子核は言葉上混同されやすいので、以後、原子の中心を成す原子核のことを単に「核」と呼ぶことにするが、必要に応じて原子核と呼ぶときもある。原子爆弾が爆発するのはこの核が爆発を起こすのである。したがってより正確には原子爆弾は核爆弾と称されるべきであろう。
当時、科学と言えばドイツとうたわれていたくらいにドイツの科学は世界一を誇っていた。そして核分裂はそのドイツで発見されている。第二次世界大戦前までは日本に限らずアメリカでさえも、物理学に限らず科学を志す若者たちの多くはドイツに留学していたのである。原子爆弾の構想が出てきた以上、ドイツは間違いなく原子爆弾開発に乗り出すであろうことは容易に推測できたし、またドイツはそれを可能ならしめるような国であることもわかっていた。イギリスやアメリカの科学者達は、アメリカがヨーロッパ戦に参戦する以前から、ドイツの原子爆弾開発を懸念している。
マイトナーの父はウィーンで弁護士をしており、彼女はなに不自由ない少女時代を過ごした。数学や物理に対する娘の秀でた能力に気づいた彼女の父は、早くから彼女に家庭教師を付けて大学に入る準備をさせた。当時女性が大学に入ることじたい大変なことであった。しかし彼女は難なく入学試験に合格し、ウィーン大学に入学した。向学心に燃えていたマイトナーはできる限り多くの講義に出席したが、どのクラスも女子学生は彼女一人であった。ある教授の強い勧めもあって彼女は物理学を専攻することになった。当時、ウィーン大学は創立以来五四一年間の長い歴史中わずか一四人の女性にしか博士号を授与しておらず、しかも物理学の分野では一人として女性に博士号が授与されていなかった。一九〇六年、マイトナーが二七歳のとき、その物理学の分野で彼女に博士号が授与されたのである。当時ドイツにはマックス・プランクという物理学者がいた。プランクは後に 黒体輻射 理論を打ち立て、結局それが量子力学というまったく新しい物理学を生み出す結果となり、その業績によりプランクは一九一八年にノーベル賞を受賞することになる。マイトナーがウィーン大学で博士号を取得した頃、ベルリンでプランクは一連の講義を担当していた。内気ではあったが人一倍向学心の強いマイトナーは両親の反対を押し切って、女一人、プランクの講義を受講するためウィーンからベルリンに出向いる。
さてアインシュタインのもっとも有名な式 E = mc 2 において E はエネルギーを表し、 m は物体の質量を、 c は真空中での光のスピードを表す。真空中での光の速度( c の値)は秒速三〇万キロメートル(時速ではない!)である。地球の赤道にそって光が走行することを考えた場合、光の走行距離は一秒間に赤道の周りを七回り半する。この赤道の周り七回り半の距離がちょうど三〇万キロメートルである。これが光の秒速である。エネルギー E はすべての種類のエネルギーを表す。 E は熱エネルギーであるかもしれないし、運動エネルギーであるかもしれい。
その頃、フランス人科学者ピエール・キュリーに嫁いでいたポーランド人のマリー(ポーランド語ではマーヤ)はこのミステリアスな放射線に異常な興味を抱いた。夫のピエールはすでにピエゾ効果の発見者として有名になっていた。結晶をギューッと押して圧力を与えるとその結晶に電圧が現れ、逆に結晶に電圧をかけてやると結晶の形は変わり歪むのである。これがピエゾ効果である。ピエール・キュリーはこのピエゾ効果を利用して電位計、エレクトロメーターを考案した。マリー(キュリー夫人)はこの電位計を用いてウランから出てくる放射線を測定し、放射線の実在を確かめたのである。いちいちフィルムを感光させて放射線の有無を確かめるよりも電位計を用いたほうがより正確で手っ取り早い。この電位計を用いる方法によりマリーは、さらにウランだけでなくトリウム元素からも同じような放射線が出ていることを突き止める。
放射能に侵されていた晩年のキュリー夫人は手の指は曲がったままになり、目はほとんど見えなくなっていた。「暴いてはいけない自然を暴いてしまった神のたたりなのかしら?」と言ったことがあるマダム・キュリーは、一九三四年、白血病のため六七歳の生涯を閉じる。
ただ中性子は電気的に中性であるという点ではガンマ光子と同じである。ガンマ線を中性子線(中性子群の流れ)に置き換えてみると、右に掲げた二つの奇妙な点は完全に取り除かれることがわかったのである。
ニュートリノの存在の予言はオーストリアの物理学者ヴォルフガング・パウリによってなされている。
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夢とロマンの世界
宇宙を組織する物質の24%ぐらいがダークマター(暗黒物質)だといわれていて、残りのうち72%がダークエネルギーだとされています。ここでいうダークは、「暗い」ではなく「分からない」という意味です。分かっているの物質は全体の4%程度で、その4%でありとあらゆる星ができている。わたしたちの体もそうです。星のカケラですから。P65
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ここ数年の宇宙物理学の進展がいかにめざましいか!観測方法、理論提示の両面にわたる記述で、本書を通して感動すら覚えた。20年前に物理学を専攻していた私だが、久々に知的好奇心をそそられた。
・エネルギー保存の法則は時間がたっても物事があまり変化しないときに成り立つ。つまり、破れることがある。
・量子力学の多世界解釈。多元宇宙。
・真空エネルギー
・人間原理!この宇宙はうまくできすぎている。
Posted by ブクログ
宇宙全体の観測可能な物質は全体の5%以下であり、残りの約96%は正体の分かっていない暗黒物質、暗黒エネルギーとなっている。この謎だらけの宇宙について、何が分かっていて分かっていないかを整理しながら丁寧に解説した本。
暗黒物質があることは知っていましたが、銀河の回転運動から予測されたとは知りませんでした。また、量子力学の多世界解釈や多次元宇宙論などの解釈を読んで、この考え行き着く発想力の豊かさに驚かされました。
宇宙研究に対しての知識が深まり、謎めいた宇宙に好奇心をくすぐられる良書でした。
Posted by ブクログ
私のブルーバックス積読シリーズの一つ。
最近「量子力学の多世界解釈」を読んだが、非常に関連している本。この本は量子力学こそ出てこないものの、宇宙理論の最新を追うと、やはり解釈問題が出てきて、多次元宇宙となってくる。それすなわち量子力学の世界であり、さらに理解が深まった。
この本は一般向けにも読みやすく、「ブラックホールとは何か?」「暗黒物質とは?」といった視点から広げられる。
どうしても「最新は分かっていない」という結論も多いが、最新宇宙研究を追ってみたくなる興味深い本だ。
Posted by ブクログ
何故遠くの行くことができない星の成分がわかるのだろう。何故距離がわかるのだろう。
そのような素朴な疑問をひとつひとつ拾い上げて丁寧に解説してくれている。
距離は離れるほどに電磁波の波長が長くなる=赤くなる(赤方偏位)。
では、なんで元の色より赤っぽいってわかるの?
というのは、1つ前の解説である、地球に届く光からどの元素が吸収されたかでその星を構成している元素が判明している=元素の炎色反応の色は正確にわかっているからそれとどれだけ違うかでわかる、と玄人には先の解説とつながって言わなくてもわかるだろう部分を、きちんとひとつ間を置いて質問を挟んで繰り返して解説してくれるから素人にもわかりやすい。
暗黒物質や暗黒エネルギーの話も、拡張する宇宙の話とともに興味がひかれる解説をされている。ないと観測事実と矛盾するのに観測できずどんな物質なのかわからない、というその物質は次元が違うところにあるから見えないのでは? と誰でも思い浮かぶ仮説を思い浮かべたところで、次元の話が入るから、本当にタイミング良く読みやすい。
次元の話も「小さくて丸まっている」というのはどこかで聞いた話だったが、「小さい」から量子論の話に結びつき、丸まっているからワープの話に結びつくのは、なるほど、と思わせてくれる。
Posted by ブクログ
宇宙背景放射の成り立ち、ダークマター、ダークエネルギーについて分かりやすく書いてくれている。
見えない、感じれないものがどうして存在すると分かるのか?どうやって「観測」しているのか。
後半、多元宇宙の話は、理解が追い付かないところが多い(ほとんど?)が、必死に理解しようとすることで、頭の体操になった。でも分からん。
Posted by ブクログ
#audiobook
2011年の本。今はもっと研究が進んでいるに違いないけれど、この時点までの宇宙についてわかっていることや分からないことがよくわかる!
ダークマターやダークエネルギー、超ひも理論などがおぼろげにわかってきた。とても説明が上手で感動した。
Posted by ブクログ
「宇宙の「いまここ」をお伝えするぜ」というオビに惹かれて買ってみた。いまここに意味は求めず、ブルーバックスらしい「いまここ」が知れてよかった。
しかしなんだこの暗黒物質というのは!
こんなワケわかんないものが存在するとは!
Posted by ブクログ
最新の宇宙論をコンパクトに分かりやすくまとめた一冊。身体の中をスーッとすり抜ける暗黒物質に、異次元へとにじみ出る重力。ワタシが生きている間にひとつでも多く解明して欲しい!
Posted by ブクログ
超難解な内容を噛み砕いてとてもわかりやすくご説明されていた。それでもよくわからない部分もあったがそれもそのはず。神秘的な大宇宙はやはり未だに謎の方が多く、物理学的でもほとんどよくわからないもの。なのでわからなくて正解で、そちらの方がむしろ哲学的で仏教的で素敵。
Posted by ブクログ
宇宙の本を読んで壮大な気持ちになろうと読んでみた!!
めちゃくちゃ面白かった。
宇宙の物質の96%は、正体不明の暗黒物質と暗黒エネルギーらしい。
多次元宇宙の話が面白かった。超ひも理論は、何度か聞いたことがあったが、多次元がミクロの視点で折りたたまれているというのが初めて少し感覚的に掴めた気がする。
また、多元宇宙もロマンがある。もしかしたら別の宇宙から暗黒物質や暗黒エネルギーが来ているのかもしれない。
また、どんな実験によって、どのように宇宙の謎が生まれたり、どのようにそれを解明しているのかを分かり易くく説明してくれていた。
まだ、見つかっていないビックス粒子や、暗黒物質を世界中の研究者が大規模な実験をして捉えようと研究しているのもめちゃくちゃロマンを感じた。
壮大な世界だった。
Posted by ブクログ
【総合点】8.0/10点
普通に面白かった。エセ科学系の人でなくって、しっかりしている著者だからこその説得力。今の最新理論はもうSF並になってきているんだなぁと実感。人工知能とかもだし、どんどんリアルのSF化が進んでるね。
ダークエネルギーとかダークマターの名前は知っていたけれど、それらが提唱されたのが割りと最近だというのに驚いた。そもそもダークマターって、クロノトリガーで初めて見かけた気がするんだけど、このゲームの発売って1995年だよね。FFでも宇宙系のネーミングとかネタ多いし、スクエアさんはそっちが好きな人いるんだろうなぁ。
多元宇宙とか多次元宇宙っていうのは、概念を書かれても正直よくわからなかった。二次元と三次元、四次元まではイメージできる。でも五次元からが「???」って感じ。小さすぎて見えないのかも、というのもちょっとわからない。
ただ宇宙の真っ暗に見える空間も、暗く見えるのは単に可視光が出ていないだけで実は光がたくさんあるっていうのもどっかで見たから、「見えるから存在する」「見えないから存在しない」というのは当選違う。そもそも、人とトンボ、あるいは蜘蛛だったら全く同じものを見ても見え方はかなり違うだろうし。人間の感覚器は案外当てにならない。
欲を言えば、どうしたらこの先の研究につながるか?という点が示されていると嬉しかった。ほぼ観測技術が問題なのだと思うけれど、それが今の技術はどのくらいで、どうなったら異次元を見つけられるか?という予想でも良いので示して欲しかった。でも難しい問題なのかもしれない。
【得たこと】
宇宙は本当に謎のスケールがでかい、ということを再確認させてもらった。少なくとも、宇宙が存在する限り、人生に飽きることはなさそう。
Posted by ブクログ
娘が課題に使ったという本がリビングに置いてあったので、出張の移動中の飛行機で読みました。私が数十年前に習った宇宙に関する知識と比較すると、現在は、観測技術が上達したこともあり、かなりのことが判明してきているようです。
最も衝撃を受けたのは、1ページ目の「はじめに」に書かれたいたことで、宇宙全体の5%弱しか、原子で成り立っていなくて、残りは、暗黒物質(23%)と暗黒エネルギー(73%)という事実(p3)でした!
また、四次元の世界とは、ある事柄を決める(例:誰かと会う)のに、三次元の場所データと、一次元の時間データの合計4つの数字が必要な世界であると、理解できたのが私にとっての成果でした。私の使っていない頭の領域を刺激してくれた素晴らしい本でした。
以下は気になったポイントです。
・小惑星探知機「はやぶさ」は、推進役のイオンエンジン、姿勢制御のための化学エンジンがあったが、化学エンジンが壊れたため、イオンエンジンに使っていたキセノンガスを姿勢制御のために使って、ボロボロになりながら戻ってきた(p16)
・地球は秒速30キロで太陽の周りをまわっている、この地球が飛んでいかないのは、太陽が重力で引っ張ってくれているから(p17)
・太陽の次に近い恒星は、光速で4.2年もかかる場所にある、ケンタウルス座プロキシマ星(p19)
・星の成分は、星からやってくる光を分析することでわかる。(p20)
・ブラックホール自身は見えないが、周りの星の運動を調べると、間接的にわかる(p33)
・重力のもとになるものは目で見えない、それを暗黒物質と名付けている(p37)
・暗黒物質が異次元から来たという説は、止まっている重い素粒子は私達からは見えない次元を走っていると考える。私たちの次元では見えないが、三次元より高い次元から見ると、その素粒子は走っている(p90)
・2003年、ついに宇宙の年齢が、正確な膨張速度を割り出すことで判明、137億歳(p107)
・暗黒物質は10年以内にその正体が明らかになると期待がもてるが、73%を占める暗黒エネルギーは、まだ糸口がつかめていない(p113)
・暗黒物質と暗黒エネルギーに分けている理由は、宇宙が大きくなると暗黒物質は普通の物質と同じように薄まるのに対して、暗黒エネルギーは薄まらないから(p114)
・宇宙が大きくなるにつれて、どこからともなくエネルギーが湧いてくる、これが暗黒エネルギーである(p118)
・物質保存の法則は成り立っていない、例として、核反応や加速器を使った実験、またエネルギーも膨張している宇宙では成り立っていない(p127)
・四次元時空とは、空間を三次元、時間を一次元、私達がどこに行って何をするかを決めるときに使う(p131)
・次元とは、いくつ数を決めれば、場所と時間がちゃんと決まるかという、その個数。私達は、四つの次元を感じることができる(p135)
・超ひも理論では、宇宙は10次元だと予言されている(p138)
・重力は電磁気力と比べると弱い力であるが、そう感じないのは、電磁気力は互いに打ち消し合うことができるから(p145)
・重力は引力しかないので、集まっても打ち消し合うことがないので、集まれば集まるほど重力は強くなる。重力がおおきいというよりも、他のもっと強い力がすべて打ち消し合った結果として、重力だけを強く感じる(p146)
・相対性理論の登場で、ニュートン力学は相対性理論の中のある特別な状況であるという理解が進んだ(p163)
・量子力学の基本原理として不確定性原理があるが、これは小さな物質の場所と速さを同時に決めることができないというもの(p163)
・私達が光を見ることができるのは、光が眼の裏の網膜に当たった時に電子が神経細胞の中を流れるから、光そのものを見ているのではなく、光が当たって出てきた電子を見ている。つまり、光が異次元の世界で運動している場合、その姿は光では見ることができない、それは暗黒物質の候補となる(p172)
・私達が真空だと思っているものにはエネルギーがたくさんあるかもしれない、このエネルギーのことを真空エネルギーと呼んでいる(p182)
・素粒子を点として考えると、つじつまの合わないことが出てきたので、実は「ひも」だったと考える理論が「超ひも理論=振動してひろがっている、ひも」である(p184)
2015年9月23日作成
Posted by ブクログ
【マルチ】
暗黒エネルギーと暗黒物質は別次元に存在するという発想は目からウロコ級です。
この発想はなかったです。
存在はするが3次元ではとらえることができない。
なるほど、すばらしい!
しかし、3次元に生きる人間が3次元をこえた次元をどう理解すればいいのでしょう。
まだまだ悩みがつづく。。。
Posted by ブクログ
宇宙についてはまだまだ解明されていないことがたくさんある、ということが良くわかりました。
そして自分の物理学の知識もまだまだ足りないということも思い知らされました。量子力学をもっと勉強しておくのだったと。。。
にもかかわらず、楽しく読めてしまう本です。
5次元の時空の世界を考えることなんて普段しませんから、読んでいて非常に新鮮な感覚を覚えました。
Posted by ブクログ
宇宙完全に理解した(してない)という感じの内容。暗黒どーのこーの何て漫画か何かの話だと思ったら真面目な奴。宇宙の始まりだとか意味を考えると狂いそうになる感覚をより一層味わえる一冊。
Posted by ブクログ
文章が平易でわかりやすい。経済学部生のような門外漢にも、宇宙についての興味深い事実を、説明してくれている。
*分子がぶつかりあうときにニュートリノが発生する
*遠くの星の構成されている物質が分かるのは、光から含まれている分子を逆算することができるから
・特殊な器具を使って遠くの星を観察すると、光を何色にも分類できる
・その光の色から、星に含まれている分子についてあたりをつけることができる
*暗黒物質の存在は、本来綺麗に見えるべき遠くの星や光が、どの程度歪んでいるかで確認することができる
*暗黒物質は、宇宙の80%を占めているとされる
*異次元を確認、観察するための研究と実験が行われている。その方法としては、粒子を光の速さほどのスピードにまで上昇させ、ぶつけるという。そのときに、重力に歪みが見えれば、異次元が観察できたことになる ただ、ブラックホールがそのときにできてしまうような恐れもあるという
Posted by ブクログ
各章末に質疑応答コーナーがあってQ&A式でありがちな疑問に答えていくのだが、ほんの少し応用的なところに踏み込むと、疑問が解けるというより、さらにナゾが深まっていく。本当に宇宙論も量子論も理解しがたい。それが面白味ではあるのだが。
なぜ暗黒物質の存在が予想されたのか?それは銀河の回転運動からだった。例えば太陽系では、内側の惑星ほど公転速度が速い。これはフィギュアスケートのスピンで早く回転したいときはギュッと縮まるのと同じ理屈。銀河も中心を軸にして回転しており、銀河自身の重力のおかげでバラバラにならずに済んでいる。普通に行けば外側ほどゆっくりと回転しているはずだがそれが当てはまらない。むしろ遠くの星ほど微妙に回転速度が速いくらいだ。これを説明するためには銀河を取り巻くように重たいが目に見えないモノが取り巻いていると考える。それが暗黒物質という訳だ。
銀河が集まった銀河団も回転しており、観測結果から暗黒物質が取り巻いていると考えられる。このことは重力レンズ効果により、銀河団の後ろの銀河の姿が歪んで見えることからも裏付けられる。また、宇宙は銀河のあるフィラメント部分と空洞からなる大規模構造を有しているが、これも暗黒物質の重力のおかげで形作られている。
宇宙の遠くを見ることは、宇宙の過去を見ることと同じことである。137億光年先まで見るとビッグバンの残り火と言える宇宙背景放射に行き当たる。絶対温度2.75K(マイナス270.4度)で微妙にゆらぎがある。ここから先の38万年は宇宙が熱すぎて光もまっすぐ進めなかったので見ることができない。
地下の実験装置(カミオカンデ的なやつ)で観測しようとしたり、加速器で人為的に作ろうとしたり、暗黒物質の正体を探る研究は行われているが、いまだ正体不明である。目の前にあるはずなのにね。
宇宙の膨張は加速しつつある。かつては、高く投げたボールが落ちてくるように、いつかは重力で再びひきつけられてビッグクランチを起こすと考えられていたのに。この加速を説明するのが暗黒エネルギーだそうだ。膨張が永遠に続くのか、どこかで早くなりすぎて原子までバラバラになる(ビッグリップ)かはまだ分からない。
多次元宇宙や多元宇宙はもうお手上げ!なのだが少しだけメモ。
・重力は電磁気力に比べてすごく弱い。しかし、電磁気力は互いに打ち消しあうが重力は累積していくので、人間的には重力を強く感じる。
・重力がこんなに弱いのは、重力は異次元に漏れ出しているためではないかと言われる。
・暗黒物質も異次元からやってきたのではないかと。こっちの空間では動いていなくても異次元では運動していてエネルギーがあるので、こっちの空間では質量だけがあるような格好になる。。。
Posted by ブクログ
面白い。
宇宙のことが書いてて、特にいいのは、なんでそれが分かったのかを書いてくれてる。
どの星になんの原子があるのかは、光のプリズムの黒い線を見ればわかるとか、普通は恒星から離れたら回転速度が遅くなるがそうならないものがあるから、暗黒物質が存在するとか、根拠の部分もちゃんと書いてあるところが面白い!
が、とにかく難しい。、
後半は挫折した。、悔しい。
とりあえず超ひも理論を使えばうまいこと説明できることは分かった。
Posted by ブクログ
ごくふつうの宇宙論みたいなのかあらはじまって暗黒やらヒモやら。すごいなー。わくわくする。もちろんわかんないけど暗黒物質が困ったものであることはわかった。こういう世界で研究している人は世界でどれくらいいるんかね。5000人か1万人か。
ほんとはこういうのは風呂でゆっくり読みたい。
Posted by ブクログ
初版は2011年で、その時点での最新の宇宙論をわかりやすく解説した本。
様々な宇宙論の中でも、特に、暗黒物質と多元宇宙論について詳しく掘り下げている。
ページ数が限られているブルーバックスの本なので、あれもこれもとあちこち解説しているのではなく、現代の研究では、どのような理論に基づいて、どのようなことが判明しているのか、というところにフォーカスして、詳しく説明されているのが良かった。
文章はあまり上手ではなく、なんでもっと上手い喩えがなかったんだろう、というように思うところや、言葉の使い方がおかしいと思うところはあり、その点は、読んでいて興奮が醒めてしまうところがある。
各章の終わりに載せられている質疑応答コーナーは、あまりFAQ的な内容ではなく、誰もが感じる素朴な疑問というよりは、筆者が説明をしたいことに自問自答しているような感じで、もっとみんなが疑問に思うようなことに対して答えればいいのにという気がした。
宇宙論の進化の時系列に沿って、最初から順番に説明をしていっていて、後半では、かなり新しい知見がたくさん含まれている。
最新の理論になるほど、実際に観測出来ない、想像のレベルに入っていって、哲学的な領域になってくるのだけれど、そういう話しのほうが、読んでいて面白かった。
【印象に残った内容】
・重力が他の力(電磁気力)などに比べて極端に弱いのは、別の次元に力がにじみ出てしまっているからという説が有力である。
・現代では、質量保存の法則やエネルギー保存の法則が成り立たない現象が観測されているので、それらは普遍的な法則ではなくなった。
・CERNがおこなっているLHCの実験では、ブラックホールが生まれる可能性があるが、小さく、すぐに蒸発するものなので、危険はないとホーキングが予言している。
重さがあるということはエネルギーがあるということです。何もしていないのにエネルギーをもっているということは、不思議なことです。
暗黒物質が異次元から来たという説は、この疑問を解決することができます。実は、この重い素粒子は、私たちからは見えない次元を走っているのだと考えるのです。私たちからはその次元は見えないので動いているとは思えず、止まっているように見えます。しかし、3次元より高い次元から見ると、その素粒子は走っているのです。(p.90)
暗黒エネルギーについては、エネルギー保存の法則や物質の保存の法則というのは成り立たないということになるのでしょうか?
物質保存の法則は、実はもう成り立っていません。核反応や加速器を使った実験をおこないますと、反応の前後で物質の量が増えたり減ったりすることがありますので、物質だけでは保存しないことがわかっています。(p.127)
私たちが暮らしている3次元空間を膜のようなものだと考えると、その周りにあるのが異次元ということになります。電磁気力はこの三次元空間の中にへばりついているので、二つのものを離していっても、3次元空間の中だけでしか強弱がついていきません。ですが、重力は異次元の方向にも出られるとすればどうでしょう。二つのものを引き離していくと、重力は三次元方向だけでなく、異次元の方向にもにじみ出ていくので弱くなっていくということが起きると考えられます。(p.148)
私たちが真空だと思っているものにはエネルギーがたくさんあるのかもしれません。このエネルギーのことを真空エネルギーと呼んでいます。
『般若心経』の中に、「色即是空、空即是色」という言葉があります。色というのは物質的な世界という意味です。空は空っぽという解釈でもいいのですが、仏教的な意味としては色、つまり物質的な世界を成り立たせるための法則のようなものであるらしいです。(p.182)
最新のひも理論の考えでは、宇宙はいわば試行錯誤だということになります。なぜだかはまだ分かりませんが、宇宙は「とりあえず」100の500乗個の解に対応して10の500乗個できたのかもしれません。ほとんどのトライは「失敗」します。つまり真空のエネルギーが大きすぎてすぐさま引き裂かれて人類は生まれません。真空のエネルギーの大きさだけではなく、大きくなった次元の数、いろいろな素粒子の質量、四つの力の強さ、いろいろな物理量がそれぞれの宇宙で異なっています。「たまたま」うまくいった宇宙に限って私たちは生まれたということになります。(p.192)